成功する商談とは? 商談の流れ、営業を型化させる重要性を解説
- 商談を成功させるには、営業の本質を理解し、顧客と自社の成功を同時に達成する姿勢が重要。
- 成功する商談は、顧客の絞り込みから、商談後までの一連の流れが綺麗に繋がっている。
- 商談を成功させるためには、確度の高いターゲット選定と、自社およびターゲットへの深い理解が求められる。
- 売上が上がらない営業組織では、業務の「型化」が有効。
商談を成功させるには、細かいテクニックの習得だけでなく、営業の本質を理解し、顧客と自社の成功を同時に達成する姿勢が重要です。
本記事では、「成功する商談の流れ」に加え、「成功する商談に必要なポイント」や「売上が上がる営業プロセスの構築手法」を解説していきます。
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目次
商談の意義
商談とは?
商談を「見込み顧客に自社商品やサービスをアピールし、契約を獲得すること」だと思われている方も多いのではないでしょうか。
しかし、商談で顧客が求めていることは「商品の魅力のアピール」ではありません。
あくまでも、顧客自身がそれまでに知らなかった知識やインサイトなど、有益な情報や気づきを得ることに顧客側はインセンティブがあります。
商談で意識すべきこと
商談を成功させるためには、まず、商談の本質(売れる仕組み)を理解する必要があります。
売れる営業が必ず意識しているポイントは、下記の4つです。
- 顧客目線で行動する
- 顧客の潜在的な課題までサポートする
- 自社商品の価値と競合との違いを明確化する
- 情報を収集する習慣を身につける
1. 顧客目線で行動する
最も基本的で重要なことは、顧客の目的が自社商材の購入ではなく、購入することで得られるメリットや課題解決にあることを意識することです。
そのため、まずは顧客の課題やニーズを明らかにし、顧客との合意をとることを重視しましょう。
つまり、あくまでも顧客と取引が成り立つのは、下記の3条件が揃ったときだといえます。
- 顧客が自らの課題に気づく
- 問題を解決するしたいと考える
- 問題の解決に自社商材の必要性を感じる
そして、商談の担当者は、次のようなプロセスを踏みます。
- 顧客が解決するべき問題について、仮説立てを行う
- 顧客が気づいていない情報を提供し、自社の話に関心を持ってもらう
- 顧客が提案するソリューションの ROI に魅力を感じ、購買後のイメージを持ってもらう
2. 顧客の潜在的な課題を掘り起こす
商談において重要なのは「課題解決を売ること」です。
しかし、顧客自身が潜在的な課題に気づいていないケースが実際には多くあります。
そのため、商談の冒頭は、顧客の話す表面的な情報から情報を引き出して、顧客の直面している問題から新しい視点でより本質的な課題を見つけ出す必要があります。
3. 自社商品の価値と競合との違いを明確化する
売れる営業は、競合他社と比較した強みや周辺の業界の動向など、自社商材に関する基本情報のほかにも、商談の流れをうまく進めていくための情報を常にアップデートしています。
売りものを自分自身がよく理解すればするほど、必然的に顧客に提案できる価値の幅は広がってくるのです。
商談の際は、相手がサービスに関心を持ったタイミングで、商材の価値や他社との比較を伝えることで、説得力や信頼感を与えることができます。
4. 情報を収集する習慣を身につける
また、商談の成功を左右するのは、必ずしも決まったトークスクリプトの内容だけではありません。
直近のニュースやクライアントが興味を示しそうな内容に敏感になり、普段からアンテナを立てておくことで、商談の質は格段に上がります。
そうした場のふとした雰囲気やチャンスを逃さない担当者は、良い結果が出しやすくなります。
社内にも、思いのほか、良質な情報が眠っているものです。過去の参考事例や顧客情報、提案資料など、顧客に具体的なイメージを抱いてもらいやすい情報もあるかもしれません。
日頃から ツールを使いこなしたり、同僚や上司と密なコミュニケーションを取るなど、常にアンテナを張ることで、自然と場の流れをコントロールできるようになってくるでしょう。
成功する商談の流れ
それでは、商談前後を含む、各プロセスの流れと意識しておくべきポイントについてご紹介していきます。
ターゲットのリスト化
商談の成功を最も左右するのは、ターゲティングです。
自社サービスの潜在価値と売上を最大化できる顧客に集中的にアプローチすることで、アプローチにかかるコストを抑えながら効率的に営業を行うことができます。
具体的には、自社で提供する商品・サービスの顧客ニーズや競合等の市場分析を行い、最優先顧客となるターゲット層を明確にします。例えば、以下の図のように、業界や企業規模をもとにセグメントの優先順位を定め、アプローチ対象となるターゲット層をリスト化しておくとよいでしょう。
成果につなげるには、ただ市場を切り分けてセグメントを規定するだけでなく、フレームワークなどを活用し、リソースの分配まで考えて営業戦略を策定する必要があります。
提案準備
提案にあたっては、自社商品・サービスの特徴や利点を隅々まで整理しておくことはもちろん、顧客の状況や課題、ニーズを仮説立てしたうえで、訴求ポイントを明確にしておくことが重要です。
「既存顧客がどのような悩みや課題を抱えて自社の商品やサービスを利用するに至ったのか」「導入したことによって何を得られたのか」「なぜ継続しているのか」などの情報からアプローチ戦略を考えると良いでしょう。
アプローチ
リスト化したターゲットのうち、数の多い属性や、業績の伸びている企業、過去に類似商材を購入している企業を優先して効率的にアプローチしていきます。
アプローチをする際は、電話/メール関わらず、はじめに要件を伝えます。少しでも手ごたえがあれば、相手のリアクションと事前のリサーチ内容から、相手の関心度合いが高い話を予測しながら、勝負時間1分程度でプレゼンを行います。
特にターゲティングやナーチャリングで顧客が絞られている場合、断られた顧客にも需要が眠っていることが多くあります。何度か失敗しても諦めずに、継続して連絡を取りましょう。
もし、アプローチ段階でリソースやノウハウ不足の問題があれば、インサイドセールスを導入し、効率化を図るのもよいでしょう。
商談
ヒアリング・課題共有
最初に挨拶やアイスブレイク等を行い、緊張が打ち解けたら、顧客の現在の状況や目指している姿からのヒアリングを通して、顧客の本質的な課題を掘り下げていきます。
予め収集した情報やデータから、顧客の抱えている課題を予め仮説立てしておき、顧客の市場の動向や、競合の状況、他社の事例などについて触れながら、顧客の表面的な課題から本質的な課題までを探っていきましょう。
プレゼン
顧客の本質的な課題を共有することができたら、商談の前に、顧客と正しくニーズの合意をとれているか、互いの認識を確実に一致させることが大切です。
なぜなら、顧客が真に商材を必要としていなければ、顧客は商材を長く利用せず、自社の利益につながらないからです。
商談の相手がターゲット層にマッチしていれば、ヒアリングの流れ(型)をもとに、事前に整理させた勝ちパターンを活用して、クロージングへと運んでいきます。
あくまでも顧客視点を重視することを忘れずに、顧客に合わせた提案資料等を提供し、見込み客のイメージや関心が高まる情報を提供してください。日頃から、さまざまなニーズに応じたベストプラクティスを収集し、セールスパーソンの間で共有しておくとよいでしょう。
クロージング
顧客が契約に踏み切るまでの疑念や不安を十分に払拭させることができたら、契約を決める最終フェーズ(クロージング)に入ります。
せっかくアプローチから商談へ繋げても、最終的に契約につながらなかったり、リードタイムが長くなったりすると、コストが増大する一方です。
クロージングは、マーケティングからはじまったすべてのプロセスの総決算であり、顧客獲得コスト(CAC)を回収するために、取りこぼしがないようクロージングさせる必要があります。
意思決定者に直接話ができるよう取り合ってもらったり、顧客が疑問に感じたことや腑に落ちないことを確実に解消し、顧客の意思決定を後押しするフォローを行ってください。
アフターフォロー
商談が成功してからが顧客との関係のはじまりであり、商談が終わっても、自社の長期的な利益を獲得するため、顧客との関係を維持していく努力が必要です。
カスタマーサクセス では、顧客の満足度を維持させるために積極的に顧客との接点を作り、より長くサービスや製品を継続して利用してもらえるよう、関係を築いていきましょう。顧客の利用状況をこまめに管理することで、問い合わせ対応やアップセル・クロスセルといった提案から自社の利益につなげることもできます。
また、商談がなかなか成功しない場合は、リード獲得、ナーチャリング、商談前後までの顧客との接点や、営業組織全体の環境に至るまで、深刻な問題が潜んでいないかどうか、真摯に点検する必要があります。
受注率が上がらない営業組織では、現場が疲弊しやすくなるため、営業および会社全体の循環が負のループに入っていく可能性があります。
商談を成功させるために必要なこと
あくまでも営業において大切な考え方は、「自社サービスを必要とするターゲットにより多くの価値を届け、最大の利益を獲得すること」です。
商談成功の基本は、確度の高いターゲットの選定と、自社およびターゲットへの深い理解です。
成約にかかるすべてのコストは、
①自社のサービスを必要としている人を探すこと
②自社のサービスを必要としている人にそのサービスを届けること
のどちらかに使用しなくてはなりません。
理想とされる商談では、予め見込みが高いとわかっている顧客に集中的にアプローチするため、商談の前段階で、成約の大部分を決めてしまっているのです。
自社への理解・顧客への理解は、具体的に下記のように進めることが望ましいでしょう。
顧客への理解を深める
商談の前に、顧客の詳細な情報を仕入れ、情報を整理します。顧客が抱えているであろう課題や自社が役に立ちそうな点など仮説を立てておきましょう。
SPIN 話法に沿って以下のような質問リストを作っておくことも有効です。
- 基本情報:企業規模、財務状況、事業内容、競合他社、業界など
- これまでの営業アプローチの経緯
- 顧客の事業部、担当者に関する情報
- 商談の目的
- 商談目的を達するために必要な情報
- 顧客への質問リスト
自社製品/サービスへの知見を深める
企業の顔として商談に向かう営業担当者は、自社製品やサービスに関する知識を少しでも豊富に持っている必要があります。以下のような、顧客からよく聞かれる質問は事前に理解を深め、商談の場で答えられるようにしておきましょう。
- 製品やサービスの基本仕様、機能、料金体系、契約体系
- 自社の製品やサービスがどういった点で競合他社よりも優れているか?
- なぜその製品やサービスを顧客が利用するべきなのか?
売上は営業プロセスで上がる
「なぜか売上が上がらない」という営業組織で、下記のような問題を抱えている現場はありませんか。
- 商談内容を共有するための情報管理がうまくいっていない
- 顧客へのフォローメール対応に時間と手間がかかる
- 営業担当者がその都度個人の判断で行動すると、営業活動は属人化し、担当者がいないと顧客対応ができない状況がある
これらは、営業のプロセスに不備があることが考えられます。
つづいて、営業のプロセスを改善のための5ステップについてご紹介します。
ステップ1:営業プロセスの設計と最適化
まず、自社の営業プロセスが、下記の図のように、顧客の体験や行動を基とした設計がなされているか点検します。
各フェーズにおける顧客行動や感情の仮説を立て、各部門がどのデータをもとに、どのようなアクションを起こすのかを規定していくとよいでしょう。
営業プロセスを設計することで、営業担当者の定性的な行動も属人化を防ぐことができます。
ステップ2:ツールの活用
プロセスを設計したら、データに基づいた営業活動を行うため、正確なデータの収集が必要です。
そのためには、たとえば営業活動に必要なデータを定義し、ツールに集積していくことが大切になってきます。
また、マーケティングとセールスが一緒のデータを見ることができるMA(マーケティングオートメーション)は、見込み顧客の育成から、選別・セールスへの送客といったマーケティングの流れを顧客のデータに基づいて効率化・自動化することができます。
ステップ3:業務の自動化
商談や提案準備といった本質的な営業活動に、どれだけの時間を割くことができるかは、営業成果を大きく左右します。
営業担当者は顧客と向き合う業務以外に約4割の時間を使っているといわれています。
多くの現場の担当者達は、電話やメール/チャットでの顧客対応・日程調整・報告書の記入など、煩雑な業務に追われてしまっているのです。
最近は業務支援ツールや AI の技術によってさまざまな解決策があります。貴重な社内人材のを重要な商談に割けるよう環境を整えることもまた、今後の営業組織には求められてくるようになります。
ステップ4:業務の可視化
営業の業務は、担当者一人一人の動きが見えにくい状況にあります。
顧客情報や顧客へのアプローチの成果などの情報を、一元化されたシステムと体制のもとで管理することで、営業責任者はもちろん、誰もが同じ情報にアクセスし、改善のプロセスを回すことができるようになります。
営業支援ツールのなかでも、Magic Moment Playbook は、営業担当者の動きがデータとして蓄積されることで、営業責任者はチームメンバーの営業活動をデータをみて分析・フィードバックをすることができます。
ステップ5:業務内容の標準化
1〜4のステップを終えたら、営業担当者それぞれの営業力をいかに高めていくかを考えます。このときにキーとなるのが「標準化」の概念です。
営業の標準化を図ると、どの営業担当者も経験問わず安定して高いパフォーマンスを発揮することが可能になります。
既存の営業では、成績の良い「トップセールス」と呼ばれる営業マンが売上の多くを支え、一方で、売上に伸び悩む営業担当者が多く現れていました。しかし、「仕事のやり方は背中をみて覚える」では、業務を属人化させ、組織の変化に対応しづらい不安定な設計を生み出してしまいます。
具体的には、トップセールスをはじめとするこれまでの営業担当者のデータを分析し、成果に結びつく要因を抽出、リスト化することが有効でしょう。
高いレベルの営業力を組織として定義していくことで、個人ごとに分散していたアクションを標準化するとともに、営業組織として売上を上げることができます。
営業を型化させる重要性
従来の「すべての判断を担当者に一任する営業」は、人手不足が深刻化する近年では非常に非効率的です。
“型化”という考え方を適用し、可視化されにくい営業の業務を組織内で形式知化させると、現場の営業姿勢から、「部門間の案件情報共有」「営業人材の育成」「営業人材の評価」「個別案件の状況把握」に至るまでのすべてを、効率的かつ効果的に遂行することができるようになります。
あわせて読みたい:営業組織がスケールするためになぜ「型化」が必要なのか
顧客が企業の製品やサービスの情報を多く得やすい現代において、商談は1回限りの取引ではなく、長期的な関係性づくりの出発点だと捉えなければなりません。
企業は、顧客の購買行動の変化に合わせ、これまでの営業組織のあり方を見直すことが求められています。
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