ソリューション営業とは?基本戦略や必要なポイントについて解説
市場では常に競争が起きており、競合他社も増え続けています。また、インターネットによる情報の氾濫で、顧客の選択肢は昔と比べて段違いに増加しました。そのため、製品のサービスやスペックだけで顧客に選ばれることは難しくなりました。
そのような激しい市場競争の中で顧客に選ばれ続けるには、顧客の信頼を勝ち取ることが必要です。そこで最適な手法の一つとしてあるのがソリューション営業です。
今回の記事では、ソリューション営業とは何か解説すると共に、「ソリューション営業のポイント」や「実践するときに意識すること」についてもお届けします。
目次
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ソリューション営業とは?
ソリューション営業とは、顧客の問題や課題に対するニーズを掴み、その解決策を提案する営業方法です。
解決策を押し付けるのではなく、顧客が決断するプロセスを大切にすることで、顧客自身が納得をしてソリューションを採用できるようにします。
ソリューション営業では顧客の立場になって考えることが必要であり、営業担当は顧客の問題解決のためのソリューションとして何が必要か、徹底して分析することが求められます。
ソリューション営業が求められる背景
昨今はインターネットが一般化し、顧客が簡単に情報を得られる時代です。顧客は営業担当から情報を得なくても、ある程度の情報を手に入れることができます。そのため、従来とは異なる営業方法が求められます。
加えて、インターネットは簡単に情報を手に入れられますが、その分だけ情報過多になります。顧客は、何を選べばよいのかわからない状態に陥っているケースもあります。
その為、問題と解決策を提示するソリューション営業は、情報過多の時代に最適です。
また、長年の不況に勝ち残る手段としても、ソリューション営業は求められています。
日本は1998年からデフレに陥り、「供給過多」「過剰な競争」が続いています。その競争を勝ち抜くためには、顧客が本当に必要としている製品やサービスを届けることが必要です。
ここから、サプライヤー視点、バイヤー視点に分けて、さらに詳しくソリューション営業が求められる背景を探っていきましょう。
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サプライヤー視点
インターネットがない時代は、情報自体に大きな価値がありました。営業担当が持っている情報は、顧客にとって非常に役に立つものでした。
しかし、インターネットとスマートフォンの普及により、誰でも簡単に情報を得られる時代が訪れました。
そのため、営業は情報を提供するだけでなく、課題やニーズへの解決策の提示を求められるようになったのです。
バイヤー視点
情報過多の時代において、顧客自身も自社にとって何がベストな選択かがわかりません。
情報は多ければ多いほどよいと考えられがちです。しかし、情報や選択肢が多すぎると以下のようなデメリットが生じます。
- 多くの選択肢を前にして選べなくなり、無力感が生じる
- 選ばなかった選択肢がよりよく見えて、満足度が低下する
- 比較対象が多いと購入前の期待値が高まる分、購入後にがっかりすることも
このようなデメリットを生じさせないためには、課題やニーズを明確にすることが必要です。そして、課題やニーズに対しソリューションを提示することが求められます。
顧客に多くの製品を選択肢として提示するだけでは、もはや激しい競争を勝ち抜くことはできません。ソリューション営業がバイヤーにも必要とされています。
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ソリューション営業のステップ
ソリューション営業のステップには以下のステップがあります。
- 顧客分析
- 仮説立案
- 仮説検証とヒアリング
- 製品・サービスの訴求
- クロージング
それぞれのステップを詳しく解説します。
顧客分析
ソリューション営業をするためには、顧客の分析が何より重要です。
顧客分析では「事業規模」「事業内容」はもとより、「業界の規模」「業界のトレンドや動向」「顧客の業界内での立ち位置」「顧客の収益や業績」「今後の戦略」について情報収集しましょう。
くわえて、BtoB で顧客分析を行うなら、定性情報の分析を用いましょう。
定性情報の分析とは、数字に表しづらい企業の性質を分析することです。たとえば、「営業戦略の課題がどこにあるのか」「意思決定における重要なキーマンは誰か」「決算時期や予算取りの時期」などです。
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仮説立案
ソリューション営業で顧客分析の次に重要なのが仮説立案です。仮説立案とは、顧客の課題について事前に仮説を立てておくことです。
仮説立案の手順は以下の通りです。
- 顧客がどのような市場価値を提供しているのか分析
- 顧客の外部環境の変化について分析
- 顧客企業のエンドユーザーの変化について分析
- 顧客の競合について分析
- 顧客の競争優位性がどこにあるのか分析
- 1~5までを総合して、顧客のあるべき姿と現状のギャップについて検討
それぞれの手順について解説していきます。
①顧客がどのような市場価値を提供しているのか分析
顧客がどのような市場価値を提供しているのか分析します。顧客が販売している製品やサービスの内容や独自性について検討しましょう。
また、その製品やサービスがどの程度のシェアなのかといった情報も必要です。顧客が提供している市場価値は、ニーズや課題に直結している可能性があります。しっかりと分析しておきましょう。
②顧客の外部環境の変化について分析
顧客を取り巻く外部環境をマクロ視点で分析しましょう。
マクロ視点で分析する場合、代表的な分析方法である PEST 分析を使うとよいでしょう。PEST 分析とは「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の頭文字を取った分析手法です。
PEST 分析は以下の6つの手順で行います。
- 情報収集
- PEST の4つの要素に分類
- 事実と解釈に分類
- 事実をチャンスとリスクに分類
- 短期か長期かに分類
- それぞれの分類を分析し、事業戦略に落とし込む
③顧客企業のエンドユーザーの変化について分析
顧客企業のエンドユーザーが誰なのかについて分析しましょう。
共通のニーズを持つ集団であるエンドユーザーのセグメントを特定し、そのセグメントの動向を探ります。たとえば、大手ゼネコンが顧客の場合は、エンドユーザーであるビルのテナント企業やテナントのユーザーについて分析しましょう。
エンドユーザーまでの構造を明らかにし、その構造の変化について把握してください。
④顧客の競合について分析
顧客の競合企業がわかれば、課題が見えてくる可能性があります。なぜなら、競合企業としのぎを削っているポイントが課題であることが多いからです。
競合企業は、普段のヒアリングでしっかりと把握しておきましょう。また、競合企業が課題としていることが顧客の課題と共通している可能性もあります。
⑤顧客の競争優位性がどこにあるのか分析
顧客が提供している製品やサービスと、顧客の競合企業を分析することで競争優位性が分析できます。
その優位性が継続するのか、それとも環境の変化によって低下するのかといったことを分析すれば、顧客の課題を浮き彫りにすることが可能です。
①~⑤までを総合して、顧客のあるべき姿と現状のギャップについて検討
最後に、①~⑤までの分析を通して情報を整理し、顧客のあるべき姿と現状のギャップについて検討してください。
たとえば、「顧客の外部環境は変化しているが、提供しているサービスや製品が追いついていない」といった分析が可能でしょう。
ヒアリングをする前に、上記のような手順で仮説立案をするとよいでしょう。
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仮説検証とヒアリング
仮説立案をしたら、丁寧にヒアリングをしながら仮説検証を行ってください。
事前に行った仮説立案を通じた分析は、ヒアリングの質を高めるはずです。仮に仮説立案が誤っていたとしても、顧客の課題をヒアリングから見つける手立てになります。
ヒアリングでは、潜在ニーズやインサイトを探りましょう。インサイトとは、マーケティング用語で「人を動かす隠れた心理」を指します。
現場のメンバーと事業責任者では、認識にずれが生じていることも多いです。全体像を俯瞰できる事業責任者からヒアリングを行うのがよいでしょう。
製品・サービスの訴求
課題を浮き彫りにしたら、その課題に最適な製品やサービスを訴求しましょう。
製品やサービスがどのように課題解決につながるのかを、顧客に丁寧に説明してください。具体的な解決案の提示こそ、ソリューション営業でもっとも重要なポイントです。
注意するべき点は、あくまで顧客の課題解決が主眼だということ。他社の導入事例や ROI について説明することで、顧客の納得を得やすくなります。ROI とは投資収益率のことで、導入によってどのような利益があるのかを端的に説明可能です。
クロージング
顧客の課題を適切に読み取り、ニーズを解決する提案ができたならクロージングは比較的容易です。
商談相手が決裁者でない場合は、回答をもらえる目安の時期をヒアリングしておきましょう。決裁者の了承が得られないケースも想定しておき、商談後のアフターフォローを欠かさないようにしてください。
ソリューション営業に必要なポイント
ソリューション営業において大切なポイントについて解説します。
顧客の課題やニーズの仮説立案
仮説立案はソリューション営業にとってとても重要なポイントです。
「顧客の置かれている環境」「顧客が市場に提供しているサービスや製品」「顧客のエンドユーザー」などをしっかりと理解することで課題が見えてきます。
また、顧客は意外と自分自身を理解していないことも。顧客自身が気がつかないニーズやインサイトを、仮説立案で分析して発見しましょう。
顧客の本質的な課題を想定
本当に解決したい課題に、顧客自身が気がついていないケースも。
たとえば、営業支援ツールの導入は「営業を効率化したい」というニーズのもとに進められます。しかし、その裏にあるニーズは「部門の売上を上げたい」かもしれません。顧客の口から出てくる課題やニーズはその奥に潜むさらなるニーズの手段である可能性があります。本当に解決するべきニーズはなにか、そのためにどんな行動やサービスがベストなのかを伝えるインサイトを用意しましょう。
顧客のあるべき理想の姿を想定し、そこに辿り着くための課題解決方法を考えましょう。
顧客の本質的なニーズのヒアリング
顧客の表面的なニーズをそのまま受け取るだけでは、ソリューションを提供できません。仮説立案で活用したさまざまな情報を伝え、顧客の本質的なニーズをヒアリングするようにしましょう。
また、ヒアリングではただ聞くだけではなく、こちらから情報を伝えて本質的なニーズに導くことも必要です。
顧客を味方につける
BtoB 営業は企業という組織を相手にするため、決裁者や意思決定者から遠いという特徴があります。そのため、意思決定者に働きかける担当者を味方につけることが必要です。
意思決定者は、自身の周りの信頼できる人がサプライヤーに持つ信頼感によって意思決定をする傾向にあります。そのため、担当者を味方につけ、意思決定者の外堀を埋めることが意思決定に影響を及ぼします。
また、可能ならば意思決定者と直接対話するとよいでしょう。そのため、意思決定者が誰なのかを担当者から把握することも必要です。
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ソリューション営業で実践すること
ソリューション営業を実践するためには、「顧客と対等な関係であること」と「ニーズや課題の背景」の2つを意識しましょう。
ソリューション営業は御用聞きではありません。用事を聞くだけでは課題は解決されませんし、顧客のニーズも本質的には満たされません。顧客をパートナーとして一緒に課題を解決していくという姿勢が必要です。
また顧客が話すニーズや課題の背景も意識するようにしてください。「企業レベルの戦略的なニーズ」や「手柄が欲しい担当者の個人的ニーズ」などそのレベルは様々です。そのため、しっかりとその個人ごとのニーズの背景を意識することが必要です。
ソリューション営業は個人個人に任せてうまくいくというものではありません。自社サービスにとって有効な顧客属性を明確にしたターゲティングや顧客属性ごとの課題傾向やニーズの収集・分析はソリューション営業を成功させるには必須であり、全社的な取り組みが欠かせません。
最後に BtoB 営業組織のレベルをチェックできるシートをご用意しました。顧客起点の営業活動をして、成果を高めるためにも是非、こちらをご活用ください。
無料ダウンロード:【Sales Ops】BtoB営業組織レベルチェックシート
また、弊社ではトップセールスと同じ水準・内容を再現できる「Magic Moment Playbook」を提供しています。
Magic Moment Playbook の機能についての詳しい情報は こちらの記事「営業改革を実行するための主要機能」 をご覧ください。
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