顧客との関係構築で重要な顧客エンゲージメントの実装方法

要約SUMMARY
  • 顧客エンゲージメントとは「顧客と企業の顧客との関係値の総量」である
  • 顧客エンゲージメントを実装するためには、ハード(戦略・業務プロセス)とソフト(人材プロセス)の変革が必要である
  • 顧客のニーズに応じたフォローで顧客満足度が向上し、収益増加へと繋がる

顧客との向き合い方において、「顧客主義」「カスタマーファースト」といった顧客重視の言葉は多く使われますが、現実では、組織として顧客を重視する実態が伴っていないことが散見されます。

その要因の一つに「新規顧客の獲得」に偏重した文化が挙げられます。現代の営業は、新規顧客をより多く獲得するための売り方のツールやテクニックが注目されがちですが、営業の本質は顧客との関係構築であることを忘れてはいけません。多くのビジネスモデルにおいて顧客との関係を構築し、価値を提案し続ければ、継続的な関係構築ができ、顧客は自然と対価を払ってくれます。

顧客との中長期的な関係構築が重視されるようになった今こそ、顧客との信頼関係構築という営業の本質に立ち返るべきではないでしょうか。この、企業の顧客との関係値の総量が「顧客エンゲージメント」であり、目指すべき営業組織に「エンゲージメント型営業組織」があります。

しかしエンゲージメント型営業組織への変革は、従来の営業組織を変えることになり、決して容易いことではありません。そこで本記事では「顧客エンゲージメント」の重要性と実装方法、また実際に成功した事例をご紹介します。

▼顧客エンゲージメント最大化ツール『Magic Moment Playbook

「顧客エンゲージメント」とは何か

Magic Moment では、顧客エンゲージメントを「顧客と企業の顧客との関係値の総量」と定義しています。顧客エンゲージメントは、サブスクリプション、SaaS、リカーリング、リース、レンタルなど、顧客と継続的な関係構築を必要とする多くのビジネスモデルにとって非常に重要な考えとなります。

特に最近盛り上がりを見せているサブスクリプションビジネスは、従来の売切り型ビジネスとは根本的にビジネスモデルが異なり、顧客に継続的に利用してもらうことが収益性の根源となります。企業は顧客の成功を目指して、カスタマージャーニーを組織全体で理解し、各組織、各フェーズでどういった合意項目を積み重ねることが重要かを考えることが必要になってきます。

メリットと実装の難しさ

顧客エンゲージメントの考えをもつ営業組織を「エンゲージメント型営業組織」と言います。具体的に以下のようなメリットがあります。

  • 長期的収益の最大化
  • リソース配分が効率的にできる
  • 顧客も気づけない価値提案ができる
  • 収益増加に貢献している営業メンバーへの正しい評価
  • 売り上げ拡大が見込める 

しかし、これまで長く続いた獲得方営業からエンゲージメント型へのシフトは、簡単ではありません。従来の営業組織を変革するためには、営業オペレーションや KPI などのマネジメント体制、部門内で閉じたツールの使い方など、多くを見直していく必要があります。

メリットや実際の成功企業の事例は、「顧客エンゲージメントとは?」をご覧ください。

「エンゲージメント型営業組織」の実装方法

では、顧客エンゲージメントを重要視する「エンゲージメント型営業組織」は、何をどう進めるべきなのでしょうか。

Magic Moment では営業組織の変革のアプローチは、戦略プロセス・業務プロセス・人材プロセスの全体像を意識したアプローチが必要だと考えています。企業の状態に合わせてアプローチの優先順位は変えていく必要がありますが、常に全体像を見定めて変革を起こすことが重要です。

図1:営業組織変革の全体像(Magic Moment作成)

しかし変革には困難がつきものです。最も重要なのが、最初に「顧客エンゲージメント主義」の組織を作るという経営の強烈な意思決定です。現場の摩擦や耐えうるような経営トップの意思決定、長期的な取り組みを推進する強い覚悟が変革には必要になります。

その上で、戦略・業務プロセスなどのハードな変革に短期的にスピード感を持って取り組みながら、人材プロセスのソフトな変革に中長期的に取り組む、この両面での取り組みを回すことで組織変革が進んでいきます。

図2:エンゲージメント型営業組織の正しいアプローチ(Magic Moment作成)

では、具体的にどのような変革を行えば良いのか、ハードとソフトに分けて解説します。

ハード(戦略・業務プロセス)の変革

企業が収集できるデータは増加しており、データの多様性も定性、定量の両面で増しています。データ起点の経営管理は新たな常識となっており、その第一歩として標準化、最適化を行い可視化します。

そのために顧客起点かつ、リアルタイム、正確性の高いデータを適時、手軽に収集することが肝となり、データプラットフォームの構築が必要です。データを分析することで導き出されるインサイトに基づきアクションを実行することで、ビジネスのいまを可視化し、戦略策定の精度を高めることができます。

また業務プロセスでは、マーケティングからセールスまで一気通貫で描く営業プロセスと、それを支えるツールやデータが重要です。成果を最大化する業務の基幹プロセスの構築には、顧客行動や意思決定のプロセスを念頭に置いた顧客起点の営業プロセス、オペレーションの自動化、サポートを行う各種ツールを最大限活用するためのツール最適化、膨大なデータを運用するための PDCA オペレーション構築が必要となります。

これらの基幹プロセスを構築することで、マーケティングとセールスがより強固に連携し、総当たり的な営業スタイルから明確にターゲットを絞って適切な情報を提供し続け、スムーズに商談へと繋げる営業スタイルに変革できます。

ソフト(人材プロセス)の変革

上記のようなあらゆる取り組みのベースには、変革において経営トップの意思決定に加えて、従業員1人1人の意識改革も必要になります。顧客を知り、継続的に価値の提案を行うには、組織からの支持を待つのではなく、現場で能動的に行動することが重要となるからです。

各プロセスのより詳細なアプローチ方法は「営業組織の DX の方法論」をご覧ください。

変革の事例

ここでは、Magic Moment がサポートする営業変革の事例をご紹介します。いかにして顧客エンゲージメント主義に移行し、成果につなげていったのでしょうか。

課題の共通点として、事業の全体設計を支える営業オペレーションやデータ基盤の構築にギャップが生じた結果、本来必要なデータが取れず定性的な意思決定や部分最適な施策となり、顧客のニーズにあったフォローができず継続的な関係構築に繋がらないことがあげられます。

ここを改善し「エンゲージメント型営業組織」に移行することで、長期的な収益の増加を目標とします。ハード(戦略・業務)とソフト(人材)の変革を両軸で回すために、具体的に下記のような施策を打ちました。

図:営業組織変革の具体例(Magic Moment作成)

全体設計を見直して必要なデータを標準化・最適化・自動化することで、営業オペレーションの可視化、営業担当は顧客との関係構築に集中し、顧客の行動や合意形成項目などのリアルタイムな情報が一元化され、エンゲージメントの可視化に成功しました。

また、組織で顧客エンゲージメントが共通言語になり、顧客を理解した確度の高い議論が可能となりました。その結果、顧客のニーズに応じたフォローで顧客満足度の向上にも繋がり、収益増加へと繋がりました。

まとめ

長期的な収益を増加させるためにも、顧客との信頼関係構築を重視する「エンゲージメント型営業組織」の構築が必要となってきました。

しかし変革を起こすためには、戦略・業務・人材と全体像でのアプローチが必要となり、そのためには従来の企業文化を尊重しながらも、顧客エンゲージメント主義の組織を作るという、経営による意思決定が必須です。

こうした新しい取り組みや変革をサポート・強化するソリューションとして、顧客エンゲージメントソリューションがあります。 Magic Moment では営業プロセスの変革を推進するお手伝いをしていますので、ご関心のある方は是非お問い合わせください。