マーケティングオートメーション( MA )とは
AI や RPA など自動化が進む中、マーケティングでも自動化の波が来ています。それがマーケティングオートメーション( MA )です。しかし「結局、マーケティングオートメーションって何?」「マーケティングオートメーションって何ができるのか分からない」といったお声をいただくことが多いです。そこで、今回は実際に MA 運用している者の視点から「マーケティングオートメーションとは?」という基本的な概念から、何が実現できるようになるのか説明していきます。
目次
マーケティングオートメーション( MA )とは?
マーケティングオートメーションとは、顧客1人1人の属性 / 行動に合わせた体験を創造し、顧客との長期的な関係を構築することができるプラットフォームです。業務の視点でいうと、見込み顧客の育成から、選別・セールスへ送客といったマーケティングの流れを顧客のデータに基づいて効率化・自動化します。
具体例をご紹介します。
営業ツールに関心を持っているAさんは、とある営業支援会社が公開している「営業ツール調査レポート」をダウンロードしてみました。すると、市場調査や最新ツールの導入事例がメールが届くようになり、それらを読むうちにツール導入に対する興味関心が高まりました。そこで製品資料をダウンロードしてみたところ、ちょうど SFAベンダーから電話がかかってきたので自社の課題を伝えてみました。セールス担当者がうまく要件を整理して最適なプランを提案してくれたので、購買の検討を進めることにしました。
このような流れを生み出すために必要なのが、マーケティングオートメーション( MA )です。
- 顧客1人1人の行動データを取得・管理することができ、
- 行動データを元にコンテンツの配信
- そして、最適なタイミングで営業( SFA )へ通知
これらを一つのソフトウェアで実現します。
現在、この MA が世界で注目されており、2023年までに2.7兆円まで市場が拡大すると言われています。
マーケティングオートメーションが今求められている理由とは
マーケティングオートメーションについて何となく理解できたと思います。
しかし、なぜ今マーケティングオートメーション( MA )が必要とされているのか説明します。
顧客体験の変化:パーソナライズ化
MA が今必要とされている理由は、顧客体験の変化にあります。
今までは、情報を手に入れる手段として、マスメディア(新聞やテレビなど)が中心でした。マスメディアでは、企業からの情報を不特定多数のユーザーに一方的に発信するものでした。しかし、現在、顧客1人1人が PC やスマートフォンを持ち、常にインターネットと繋がっている環境にいます。その恩恵により、顧客が欲しいタイミングで情報を手に入れることが可能となりました。身近な例だと、検索エンジン( Google や Yahoo など)です。自分が欲しいタイミングで検索することができ、またその人に合った検索結果を表示することができます。
このように顧客が欲しいタイミングで情報を手に入れることが可能になったことで、企業からの一方的なマーケティング広告は顧客から嫌われるようになりました。そのため、顧客に合わせた体験を生み出すために、セグメントメール配信やプッシュ通知、チャットボットでの会話など様々な施策を行なっています。
顧客と密なコミュニケーションを取るために
顧客に合わせた体験を生み出すためには、顧客と密なコミュニケーションが取れるかが鍵となります。なぜなら、現在の顧客の状態を把握することができるからです。
見込み顧客(リード)の中でも、様々な状態の人たちがいます。
- 課題をまだ認識していない
- 課題を認知しているが、自社の商品やサービスを知っていない
- 課題を認知しているが、自社の商品やサービスを知っている
- 自社の商品やサービスの具体的な事例を知りたい
- 失注したが、今後見込みがある顧客
これらの見込み顧客の状態を見分けることができれば、顧客の状態に合わせた体験を生み出すことができます。例えば、課題を認知していない状態であると判断すれば、ユーザーの課題を掘り起こすために、問題を起こっているということの事実を突きつける必要があります。また、失注したが今後見込みがある顧客に対しては、こちらからの営業アプローチを控えめにし、顧客がアクションを起こしたタイミングに再アプローチすると、話を聞いてくれるかもしれません。
このように、顧客の状態を把握することができれば最適なタイミングでアプローチをすることができることが分かりました。ただ3000人の見込み顧客の行動を、人が管理することは可能でしょうか?
そこで、MA の登場です。 MA は顧客1人1人の行動データを元に見込み顧客の状態を自動で判断し、最適なタイミングで営業がアプローチすることを可能にします。
こちらの記事では、ユーザーの多いMAツールの特徴や料金を比較しています。自社に合ったツール選定のために、是非ご活用ください。
マーケティングオートメーション( MA )で実現できる事とは
MAで実現できることは、主に以下の3つだと思います。
- 行動データから見込み顧客の状態を見極め、最適なマーケティングコンテンツ(メール、文章)を配信でき、パーソナライズな体験を生み出すことができる
- 見込み顧客がホットになったタイミングで営業にアラートを出すことができ、最適なタイミングでセールスがアプローチができる
- 認知から受注までの行動データを取得でき、全体から見てどの施策が効果的だったのかを検証することができる
順番に説明していきます。
行動データから見込み顧客の状態を見極め、最適なコンテンツ(メール、文章)を配信でき、パーソナライズな体験を生み出すことができる
どれだけ良いコンテンツを作成しても見てほしいターゲットに訴求しなければ意味がありません。最近のSNS広告はセグメント別で配信することができるようになりましたが、見込み顧客の状態別に広告を配信することは難しいです。MA では、今までの見込み顧客の行動データを元に見込み顧客の状態を見極め、最適なメールや文章を配信することができます。
見込み顧客がホットになったタイミングで営業にアラートを出すことができ、最適なタイミングでセールスがアプローチができる
セールスが最適なタイミングでアプローチできるかどうかで成約率は大きく変わってきます。MA では、個々のページ行動をリアルタイムで感知するため、見込み顧客が情報をもっと知りたいと思ったタイミングで、セールスへアラートを出すことが実現します。それによって、ユーザーの行動を促進させる体験を生み出すことができます。
認知から受注までの行動データを取得でき、全体から見てどの施策が効果的だったのかを検証することができる
マーケティングとセールスで違うデータを見ている違うことによって、セールスを効率化できていないケースがあります。この原因としては、そもそも繋げることが難しいためです。例えば、セールスが Google Analytics や広告データを参照することや、マーケティングのデータを元にセールス活動を行うことはあまりないと思います。MA は、マーケティングのデータとセールスのデータを統合することが可能( CRM と連携できる場合)なので、全体から見て、どの施策に問題があるのか、効果的だったのかが明確になります。
マーケティングオートメーション( MA )の主な機能とは
リード情報の管理
リードの状態、アクティビティを記録し管理することができます。
ユーザー行動のトラッキング
各ユーザーごとでトラッキング可能になります。そのため、ユーザーのWEB上での行動を把握することができ、何に興味がありどんな情報が欲しいのかを読み解くすることができます。
スコアリング機能
ユーザーの行動や属性情報などに合わせて、スコアを振ることができます。スコアリング機能によりどのユーザーがホットなのかを一目で分かるようになります。また何ポイント以上はセールスチームへアラートすることもできるため、より成約確率の高いリードを営業にトスアップすることが可能です。
顧客に合わせたマーケティングシナリオを作成
マーケティングシナリオを作成し、顧客のアクションに対して自動でコミュニケーションやスコアリングなどをすることが可能です。この機能は、キャンペーンやワークフローなどと言われているケースが多いです。
ランディングページ( LP )作成
リード獲得のための登録フォームやリードナーチャリング用の LP など、簡単なWEBページを作成することができます。また、MA によってLPビルダー機能などもあるので、簡単に作成することが可能です。
メールマーケティング
ステップメールとメルマガどちらにも対応しています。ステップメールでは顧客の属性 / 状態に合わせて、配信することができます。また、マーケティングシナリオと組み合わせて利用するケースが多いです。
SFA / CRMと連携
SFA / CRM と連携することで、リード登録から受注までのプロセスを一貫して管理することができます。今までは、マーケティングとセールスが別々のデータを見ている状態だったのが、マーケティングとセールスが一緒のデータを見ることが可能になります。それによりマーケティングからセールスまでのどこに問題があるのかが見える化がされます。
CRM と簡単に連携できるMAツールをこちらの記事でまとめています。
注意: MA を導入した企業の8%しか優れた成果を出せていない
MA は、顧客1人1人の属性 / 行動に合わせた体験を創造し、顧客との長期的な関係を構築することができるプラットフォームです。
ただ、8%の企業しか MA で優れた成果を出せていません。
その理由は、対策方法については以下の資料で詳細に説明しています。後悔することのないように、これから MA の導入を考えている方は必読です。
まとめ
以下のことがマーケティングオートメーション( MA )によって実現できます。
- 全体のデータを取得・管理
→ 顧客1人1人の行動データを取得・管理
- 自分たちのチームの仮説からコンテンツの配信
→ 行動データを元にコンテンツの配信
- 自分たちのタイミング
→ 顧客にとって最適なタイミングで営業へ通知
マーケティングオートメーションで、以上のことが実現できることは確かです。ただ大事なことは、「顧客にとって最適な体験を創造すること」だということです。
顧客に合わせた体験を創造するための手段としての MA であることを理解し、MA を導入検討すること。この記事を読んで、そこだけを理解してもらえば幸いです。
MA導入までに必要なタスクを一覧にしてまとめていますので、この機会に是非ご活用ください。
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