【営業】本当のトップセールスとは?
国内外を問わず、トップセールスはさまざまな場所、意味合いで使われています。
しかし、トップセールスの言葉が意味するものはどんなものでしょうか。ただ、多く売ることが本当にトップセールスでしょうか。
本記事では、トップセールスの本当の意味とトップセールスになるために必要なこと、そしてトップセールスを育てるにはどうするべきかをお伝えします。
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トップセールスとは?その本当の意味とは
最初に一般的なトップセールスの意味を説明します。トップセールスとは、営業の売上が第1位の人のことを指します。このことは一般的に受け入れられ、この定義に疑問を持つ人はいないのではないでしょうか。
しかし、これはトップセールスをどの時間軸で見るのかによって異なりますし、売った後のことを考えたときには、ただ単に売ることが正解だとは言えないこともあります。
営業は顧客がいてこそであり、相対的な関係にある
営業においてトップセールスの売上とは、1件の売上や四半期・年間成績など、どの時点を指すのでしょうか。通常、営業成績は会社に利益をもたらす売上として、1件あたりの販売額が重視されます。
しかし、仮に受注をした後すぐに解約をされたとしてもトップセールスと呼ぶべきでしょうか。サブスクリプションビジネスといった継続課金のサービスでは、販売にかかったコストを回収できずに、赤字を生み出してしまうケースもあります。
トップセールス本来の意義として、会社に利益をもたらすべきだとの観点で考えると、短い期間だけしか売れない(再現できない)、販売後の即時解約といったケースが多発する場合はトップセールスに含めるべきではありません。
トップセールスとして大切なことは、解約につながるような売り方をしない選ばないこと、長期的に顧客との関係性を築くことです。だからこそ、長期的に営業成績を上げることができます。売上を点ではなく、線として捉えることが大切です。
売上に影響する考え方として、営業には顧客がいることを忘れないようにしましょう。現代では、 LTV (生涯顧客価値)を考慮した営業活動が重視される時代です。ただ売るために顧客を犠牲にするのはナンセンスです。顧客の課題を解決し、メリットを訴求し、満足して今後も購買をしてもらうことが大切です。
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トップセールスとそうではない営業との6つの違い
トップセールスは相手の真のニーズを理解している
トップセールスはそうではない営業に比べて相手のことを理解していています。
特に顧客ですら認知できなかった潜在的ニーズを掘り起こすことで、顧客満足度を高めることができます。一般的に BtoB の顧客は製品の比較検討を慎重に行います。単なる価格で比較されないためにも、営業プロセスにおいて顧客の知り得なかった情報を伝えていくことが大切になります。
そのためには、自分本位ではなくヒアリングをしながらニーズを掘り起こしていきましょう。思い込みで商品を提供する営業スタイルはトップセールスの性質ではありません。
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事前に仮説を立てている
トップセールスは事前に顧客の課題とそれに対する営業手法の仮説を立てています。過去の案件や、全社的に整理した顧客の属性、企業分析を通じて顧客の求めるニーズを想定し、仮説を用意したうえで検証を行います。
検証を繰り返すことで「ここが違った」「これはあっていた」などと想定していたニーズと外れる部分や逆に一致する部分などが出てきます。この検証サイクルから仮説の確度を高め、顧客それぞれにあった提案を行います。
仮説を立てないまま営業をする人はトップセールスの特徴からは外れます。仮説があるからこそきちんと対策を立て、ムラの少ない営業成績を収められるのです。
顧客の合意を取りながら商談を進める
トップセールスとそうでない営業との大きな違いは、独りよがりで顧客を放置した商談をしないことがあげられます。
顧客と合意を握らずに営業を進めるケースはよくあります。特に、忙しい等の理由で事前準備を怠った際には顕著です。ニーズや課題の掘り起こし、提案といった活動も相手の心境や態度を注視しながら進めることが大切です。独りよがりな営業では、顧客はついていけません。
あくまでも顧客を前提とした商談を進め、確認を取りながら進められるのがトップセールスです。
顧客が使った際のベネフィットを伝える
忘れがちな部分として、顧客に使った際のベネフィットを伝えることが欠けているケースがあります。営業は誰しも売りたいという気持ちが強く、商材の機能や特徴の説明に終始してしまう傾向にあるからです。
しかし、トップセールスはただ商品の機能を伝えるのではなく、それがもたらす価値・メリットを説明できます。あくまで商品は何かしらの課題の解決・欲求の解消の手段であることを認識しているからです。
また、価値やメリットは顧客ごとに適した訴求にする必要があります。画一的なメリットを伝えるだけでは、顧客に自社製品やサービスを使う価値を十分に伝えられません。掘り起こした潜在的なニーズに沿う提案を心がけるようにしましょう。
例えば、クラウドの導入で物流が改善するツールの営業をするケースでは、自社が想定したツール利用のメリット(物流改善)を提示しても、それはあくまでバイヤー側の一般的なメリットでしかないことです。
顧客に対して、本当にメリットがあることや悩みを解決できるツールであることを示す必要があります。つまり、顧客視点で魅力を訴求できることがトップセールスには求められます。
デメリットの話ができる
トップセールスはデメリットの話も厭わずできます。売上を継続的に上げていくことを考えると、顧客のためにならないことは自社のためにならないと理解しているからです。
一方でしっかりと顧客分析を行い、仮説を事前に立てているため自信を持って商品価値を話すことができます。仮に譲歩を迫られた場合でも、安請け合いしません。それをできるのがトップセールスです。
費用の話を厭わない
トップセールスは価格交渉を迫られても毅然とした態度でいられます。つまり、それはコストメリットをしっかりと説明できるからです。
BtoB 営業において、顧客はさまざまなサービスを比較検討したうえで、値下げ交渉を迫ってくるケースが少なくありません。
この時、トップセールスは「買ってくれるなら、値下げに応じよう」とは考えません。自社サービスが価値を発揮できる顧客を選定していて、顧客の事業メリットのために自社サービスが有効だというロジックと自信を持っているからです。
この自信を持つことは入念な商談・提案の準備が必要なことをより強調しています。準備不足では、自信を持って価値訴求ができないため、このような場面に直面した時に態度が揺らいでしまいます。
自社製品やサービスがしっかりとコストに見合う価値があることを伝えられる準備を欠かさず行いましょう。これは個人だけではなく、顧客属性ごとの課題仮説立てを組織で実施しておく必要もあります。
商談をコントロールできる
商談を上手くコントロールできるのもトップセールスの営業の特徴です。
一般的に営業は顧客との関係を築く過程で御用聞きになってしまうことが往々にしてあります。これは営業の心理が影響しています。「なんとか買って欲しい」「良い印象を持ってもらいたい」と考えるのは当然です。
しかし、このような営業のスタイルは結果に繋がりにくいことがあります。顧客の意思決定の基準は「良い人だから」ではなく、「メリットがあるから」です。
加えて、顧客自身も何がベストなのかを認知していないケースも多くあります。だからこそ、顧客はより多くのバイヤーから話を聞き、商材を天秤にかけます。
この性質を踏まえると、営業は「顧客も知らないようなこと」を教えることが大事です。つまり、インサイトです。
顧客にとって本当にメリットになる解決策や本当に解消すべきニーズに導くことです。このスタイルで商談をコントロールすることができれば、顧客はあなたを頼るようになります。
営業は顧客のパートナーであることを意識しましょう。
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トップセールスになるためのポイント
では、トップセールスになるためには何が必要かについて触れましょう。
ターゲティングを怠らない
トップセールスに必要な要素として、「アプローチすべき顧客にアプローチできること」があります。自社の製品と顧客のニーズを照らし合わせて、見込みの高い案件にアプローチができます。
そのためには、顧客ニーズや競合、ポジショニングといった市場・外的環境をもとに顧客となりうるターゲットを定めておく必要があります。次に、属性ごとに顧客のセグメントを作り、ターゲットの中からどこに優先してアプローチするべきかを決めます。
一般的な基準では、セグメントの大きさや成長率、過去の顧客単価や解約率などがあげられます。優先順位付けには個人だけではなく、チームでの取り組みが有効です。
繁忙期の EC 事業者がよく売れる商品をターゲットを絞って売ることに似ています。これには、トップセールスを育てるという組織の努力が求められます。 全社的に市場環境や自社の商材を鑑みながら、戦略を練っていきましょう。
以下の記事で営業戦略の策定に使えるフレームワークを紹介しています。ぜひ、ご活用ください。
あわせて読みたい:営業戦略の策定に使えるフレームワークとは?
商材を好きになる
商材を好きになることがトップセールスには必要です。自身が好きではない、よく理解していない商材の魅力を伝えることは困難です。顧客からすれば、説明を聞く中で、どこか自信がなく聞こえます。
商材をよく理解し、研究をする。開発者の意見も聞く。このような行動を通じて、商材に対する理解を深められ、訴求力も上がります。訴求力が上がれば顧客に合った訴求も可能です。
基本に忠実になる
トップセールスになることは、「特別なことを他の人とは違うやり方でする」ことではありません。基本に忠実になり、報告・連絡・相談、いわゆる報連相(ホウレンソウ)を徹底できているかを見直しましょう。信頼をもとにした営業では欠かせません。商談の成功確率は連絡が遅れるたびに下がっていきます。
基本を忠実にこなすのは意外と簡単なことではなく、多くの人が疎かにしてしまいがちな点です。最初は意識しながら、徐々に習慣化していくことをオススメします。
顧客の要求を想定し、それに対する返しを準備する
顧客はこちらの予想外、想定外の質問や要求を投げかけてくることがあります。
要求に対する切り返しを準備しておきましょう。特に、相手が要求してくるであろう譲歩は大切です。コストに関しては必ず準備しておきましょう。
営業としては、値下げ要求には応じたくありません。 購買の基準をコストに移さないようにしましょう。顧客が求めているのは自社のメリットや満足度です。商品のコスト(安いこと)ではなく、顧客ニーズを満たすことに注力し、そこにメリットを感じてもらえるように商談を進めます。
そのためには、価値を主軸にニーズを満たせることを相手に伝えます。顧客の要求を正確に想定することが大切です。
トップセールスを育てるために必要な3つのこと
自社でトップセールスを育てるためのポイント3点を取り上げます。
自社にあった顧客のターゲティング、全社的な戦略をつくる
トップセールスを育てるためには、自社にあった顧客を定める必要があります。
ターゲティングには自社の特徴を踏まえ、事前に戦略を練ることが大事です。このターゲティングでは競合の調査はもちろんですが、自社の商材を使うエンドユーザーの顧客ニーズをもとに自社が狙うべき顧客を定めることが重要です。
狙うべき顧客群を定めたら、年齢・性別から趣味嗜好まで細かく想定したペルソナ・顧客のライフサイクルを想定したカスタマージャーニーを作成し、自社独自の戦略を立てます。このプロセスを経ることで、営業はどの顧客群にアプローチするべきかが分かります。
闇雲にアプローチをすると、結果も出ず、リソースが疲弊する結果を招きます。営業の成果を上げるためには必須の取り組みです。
他部門との連携を整える
トップセールスを生み出せる環境を作ることが大切です。
顧客に自社商材の魅力を伝え、関係を構築し、商談を進めて成果を出すというサイクルを形成するには、営業だけでは厳しいものがあります。というのも、顧客はマーケティングの施策でサービスを認知し、体験を得て営業のフェーズまで進みます。
つまり、提案以前にその顧客がどんなことに興味があり、どんなニーズを持っているのかを把握する必要があります。
上の図のように多くの縦割りの組織では、顧客情報が共有されないため、顧客の体験を毀損しています。例えば、Web で見た情報をまた営業に説明されたり、同じ資料を提供されたりなどです。
つまり、他部門の協力は必要不可欠です。例えば、マーケティング部署はターゲットのセグメントやペルソナごとのニーズ、そのうえで自社の商材を伝えるために必要な顧客インサイト(顧客ニーズを満たす情報)を用意し、顧客に魅力を伝えられるコンテンツを用意します。
これらの情報を営業と共有できる体制とシステムを整えましょう。
上の図は、各部門の連携がうまくいっている例です。チームの力を最大限に発揮し、トップセールスを作る環境を用意するためも、営業のプロセスを分業化し顧客ごとに柔軟な対応ができるような組織を作ることが理想です。
最近では、営業プロセスを分業化し、顧客体験の向上、LTV の最大化を目指す The Model を取り入れる企業も増えています。
あわせて読みたい:【徹底解説】営業プロセスを最適化・効率化する The Model(ザ・モデル)とは?
みんなが実践可能な営業のスクリプトをつくる
トップセールスを育てるために必要なことの中には、誰もが実践できるトークスクリプトがあげられます。一定程度の営業成果を担保する営業のトークスクリプトを作ることで、トップセールス育成の環境を整えましょう。
これまでの営業記録や音声データ、成約に至った商談、トップセールスのやり方を収集・ヒアリングして、何を聞くべきかを型に落とします。これを実践することで、検証が早くなり、改善につなげられるのです。
まとめ
今回は、トップセールスの本当の意味や普通の営業との違い、トップセールスになるためのポイントを解説しました。
本当のトップセールスは一時的な成約数の多さや契約額の大きさで決まるのではなく、顧客のニーズを真に理解し、自社のファンとなってくれる顧客を生み出すことです。
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