インサイドセールス BPO 成功の秘訣 選び方から導入手順まで
- インサイドセールスの BPO とは、インサイドセールスの主な役割であるリード創出・リード育成を、営業プロセスの一部としてまるごと外部の専門業者に委託すること。
- インサイドセールスの BPO が成果を上げられる理由は、社内の営業活動をコア業務に集中させ、外部のノウハウで事業を柔軟に展開できるためである。
- インサイドセールス BPO を成功させるためには、自社に必要なインサイドセールスの役割を定義し、目的に沿ったオペレーションの設計と実行を徹底させなければならない。
現在、多くの企業で営業職の人手不足が課題とされています。
エン・ジャパン株式会社の「2022年 企業の人材不足実態調査」1)によれば、人材不足を感じている部門の中で、特に不足を感じている部門が 営業職 であることが明かされています。
このような状況は、営業組織においてメンバーの疲弊やモチベーションの低下、そして安定した成果の達成が難しくなるなどの深刻な問題を引き起こします。
営業部門は、企業における主要なプロットセンター(利益を生み出す場所)であり、ここで思うように成果を上げられない状況が続いてしまうということは、企業にとって危機的な状態を意味します。
インサイドセールスのビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)は、こうした課題に対する1つの解決策となります。
本記事では、インサイドセールス BPO が成果をあげる理由と、サービス選定のポイントを解説します。
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目次
BPO とは
BPOは、「Business Process Outsourcing」の略で、企業が自社で行っていた業務プロセスの一部または全部を、社外の専門業者に委託することをいいます。
具体的には、労務業務や経理業務などのバックオフィスから、カスタマーサービスや営業など幅広い領域にわたる業務を委託することができます。
サービス提供会社によって特色が異なり、業界全体にわたる一般的なサービス提供(水平型)と、特定の業界や分野に特化したサービス提供(IT、不動産、人材育成などの垂直型)の2つのタイプに大別されます。
BPO とアウトソーシングの違い
BPO は、あくまでも「プロセスのアウトソーシング(Process Outsourcing)」であり、一般的なアウトソースとは異なります。
通常のアウトソースは、比較的単純な業務を外部のリソースを使って解決する手段です。これに対し BPO は、業務設計から業務分析、業務改善まで総合的な委託が可能であるのが特徴です。
BPO では、単に特定の業務を外部に依頼するのではなく、例えばカスタマーサクセスやインサイドセールスといった特定の業務プロセスごとに委託します。
そのため、合意形成に必要な KPI も変化します。
単なる営業代行の場合は、コンタクト数やアポ数といった具体的な行動目標を重視しますが、
BPOでは、依頼するプロセス全体の成果を重視する成果目標 が重要です。自社と委託会社とが長期的に関係を構築していくことを前提としているため、自社の成功を共に考えながら、連携や調整を行いやすいのも大きな特徴の一つだと言えます。
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インサイドセールスの BPO とは
インサイドセールスの BPO とは、インサイドセールスの主な役割であるリード創出・リード育成を、営業プロセスの一部としてまるごと外部の専門業者に委託することを指します。
単純なアポイントメントの設定などの業務だけでなく、多様な専門知識、ノウハウ、リソースを活用して、効率的な営業プロセスの構築を目指すところが特徴です。
インサイドセールスの役割は、大きく分けると以下の2つに分けられます。
BDR(Business Development Representative)
BDR は、新規顧客の開拓を行うことを目的とする、いわゆるアウトバウンド営業のことです。
新規市場への進出や新規事業の立ち上げには、これまで接点のない顧客に対してアプローチが必要になります。そこで、すでに業界での知見やノウハウのある企業を頼ることで、より確実に成果を上げることができます。
SDR(リード育成型)
SDR は、マーケティング部門等によって創出されたリードに対してアプローチする、インバウンド営業のことです。
リードの育成は、継続的なフォローや提案によって、顧客のニーズに合わせた提案やコミュニケーションをすることが重要になってきます。
貴重なリードの損失を防ぐためにも、より技術と経験に長けたインサイドセールスチームと組むことで、成果を上げることができます。
インサイドセールスの BPO は、BPO プロバイダーごとに強みにしている特徴やサービスの提供範囲が異なります。
例えば、Magic Moment が提供する「CS BPO」では、自社プロダクト『Magic Moment Playbook』というツールを開発し、効率の良い成果創出を目指しているのが特徴です。
また、インサイドセールスだけでなく、オプションとしてフィールドセールス・カスタマーサクセスを依頼することができるなど、営業プロセス全体の構築を企業の予算・課題に応じて支援できるサービスを提供していることもあります。
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なぜインサイドセールス BPO が成果を上げるのか
矢野経済研究所が行った調査2)では、「2021年度のBPOサービス全体の市場規模は、事業者売上高ベースで 4兆5,636億9,000万円にのぼる 」という推計が発表されています。
BPO は、顧客行動の変容から生まれた THE MODEL 型の営業プロセスの普及とともに、注目を浴びているのです。
それでは、インサイドセールスの BPO では、一体どのように成果向上に貢献しているのでしょうか?
理由1 営業活動をコア業務に集中させられるから
インサイドセールスの BPO が成果を上げらえる一番の理由は、 営業組織で最も貴重なリソースである社内の人材をコアの業務に集中させることができる ためです。
営業活動は、経験や高いスキルが重要な顧客とのコミュニケーションのほかにも、リストの作成や商談後のメールのフォローなど多くの業務を抱えています。
なんと、営業担当者の業務時間のうち、本質的な営業活動に使えている時間はわずか 39% というデータも存在します。
特に、新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍もかかるといわれており、人手不足などの問題を抱える営業組織にとって、大きな負担になっていることがわかります。
アポイント創出までの業務を代行業者に依頼することで、社内のチームはより多くの時間と労力を、見込み顧客や既存顧客とのコミュニケーションに割くことができるのです。
理由2 社外のノウハウを活用できるから
自社内でインサイドセールスに関する専門知識が不足している場合も、外部のインサイドセールスチームを活用することによって解消が可能です。
インサイドセールスに求められるスキルは、基本的なコミュニケーション能力や顧客のニーズを的確に理解するヒアリングスキルなどが中心です。
これらのスキルは、比較的汎用性が高く、新規事業のテストセールスなどで一時的にインサイドセールスを活用したい場合でも、PDCA サイクルを効果的に回すことが可能です。
また、営業部隊の中に「新規のアポ獲得に特化した部門」を設けることで、多くの見込み顧客にアプローチし、自社の専門知識が不足している場合でも、効率的にアポイントメントを確保することが可能です。
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理由3 チーム体制を柔軟に拡大 or 縮小できるから
BPOを利用すれば、企業は自由にスタッフを増減することができるため、ビジネスの成長に合わせてインサイドセールスの体制を変更できるようになります。
将来の展望が不透明な時代において、現在、あらゆる業界で企業の外部環境に柔軟に適応する能力(ダイナミックケイパビリティ)が求められています。
そして営業部門では、ますます人材不足や 現場からの離職(参考) が深刻化しています。インサイドセールスは新規事業を迅速に展開するために不可欠な役割であり、業務を外部に委託しやすい特性から、今後ますます価値が高まっていくでしょう。
※ダイナミックケイパビリティ…カリフォルニア大学教授、ディヴィット・J・ティース氏が提唱する企業の自己変革能力のこと。「企業変革力」とも。
オンデマンドウェビナーを視聴する(無料):入社2週間で成果を上げる仕組み 〜インサイドセールス編〜
インサイドセールス BPO を導入するリスク
一方で、インサイドセールス BPO を導入するには、リスクもあります。
既存の営業のオペレーションを変更することになるため、最初のサービス選定からオペレーションの設計・構築まで、慎重な検討が必要です。
特に、「フィールドセールスとの連携不足」や「社内のノウハウの蓄積不足」といった問題が導入後に成果を上げにくくするリスクがあります。さらに、情報漏洩のリスクは重大な問題に発展する可能性があります。
フィールドセールスとの連携不足に陥りやすい
従来の営業では、1つの顧客に対して、同じ営業担当者がつくことが一般的でした。
しかし、営業の基本となる一連の流れの一部を外部の事業者に委託する際には、商談の受け渡しにミスが生じる恐れがあります。
例えば、インサイドセールスで獲得した顧客情報や聞いた内容をフィールドセールスに引き継ぐ際に、「前に話したことを繰り返してしまう」などの問題が発生し、顧客からの印象(顧客体験)が損なわれる可能性があります。
インサイドセールスの役割は、 アポ獲得だけではありません 。
なぜなら、同じアポでも、「合意形成がどれだけ進んでいるか」など、その先の商談にとって重要な情報が得られているアポと、そうではないアポには大きな差があるためです。そのため、IS・FS間ではツールを活用するなどし、情報を共有し合ったり、共通のゴールを定義したりすることで、より効果的な商談を進めることができるプロセスを築くことが大切です。
あわせて読みたい:インサイドセールスとフィールドセールスの違いとは?分業のメリットや連携のコツを解説
自社のノウハウが蓄積されない
日々の営業活動から生まれるデータやノウハウを蓄積することは非常に重要です。
たとえば、最近の CRM や SFA 、高度な分析テクノロジーを活用することで、自社の顧客の行動パターンを分析し、顧客ニーズを理解する手助けができるようになります。
このようなデータとノウハウの蓄積は、ビジネスを成功させるうえで貴重な資産です。
しかし、BPO を外部に委託することで、これらの蓄積が難しくなる可能性があります。
営業の活動データや商談で得た情報を、社内の知識として集約し、事業の成長に役立てる仕組みを導入している企業もあります(凸版印刷株式会社の事例など)。委託する事業者がどのようなアプローチを過去に行っているかを事前にリサーチしておくとよいでしょう。
あわせて読みたい:【徹底比較】インサイドセールスの生産性向上におすすめのツールを解説
情報漏洩のリスク
BPO は外部委託なので、自社の重要情報(顧客データや営業戦略など)が外部に漏れる危険性が存在します。
2023年にも、NTTドコモが業務を委託していた先で顧客情報596万件が不正に持ち出される事例が報告されました。
BPO も、通常のアウトソーシングと同様に、外部委託先による個人情報漏洩のリスクに適切な管理が求められます。信頼性の高いパートナーを選び、確実な対策を講じることが大切です。
例えば、当社も、国際基準に従った情報セキュリティマネジメント体制を整え、セキュリティ対策の意識向上に注力しています。(安心して業務に取り組んでいただくためのセキュリティ)
※企業を取り巻く環境や、導入においてポイントとなる考え方はこちらのアーカイブでもご覧いただけます。
大企業のインサイドセールスはなぜうまくいかないのか?インサイドセールスの立ち上げに必要な6つのステップ
「インサイドセールス BPOを成功させるための」 選定方法
インサイドセールスの BPO を成功させるために最も肝心なのは、委託先の選定手順です。
まずは、以下の3点を抑えましょう。
- インサイドセールス BPO を導入する目的を明確にする
- 長期的な体制の継続を見据える
- 費用対効果を総合的に検討する
インサイドセールス BPO を導入する目的を明確にする
BPOは業務を効率化し人件費を削減する役割を果たしますが、その本質は、あくまでも企業の理想の営業組織を実現するための手段です。
BPO の中には、アポ数やアプローチ数だけでなく、企業の理想的な組織体制を戦略的に実装するところまで支援するパートナーも存在します。
BPO を選定する際は、導入の目的を明確にするとよいでしょう。
目標が具体的であればあるほど、目標の合致を確認しやすくなります。
まず自社の理想的な状態を数値で明確にし、定量的な目標に落とし込むことで、委託先とのコミュニケーションが円滑になるでしょう。
参照:インサイドセールスの KPI と体制づくりのポイント【ウェビナーレポート】
長期的な体制の継続を見据える
社内に新たにインサイドセールス BPO を築く場合、組織の構築やメンバーの再編、これまでの営業体制の見直しなど、大規模な変更作業が必要です。
特に、「The Model」型の営業組織を全体で構築する場合、人材の育成やツールの最適化、営業ステージごとの連携などオペレーションの構築・最適化に多くの時間や労力がかかります。
そのため、将来的にインサイドセールスを導入し続けていく場合、BPO プロバイダの選定に慎重にならなくてはいけません。この際、各プロバイダの強みや特徴を吟味するとよいでしょう。
例えば、弊社の「CS BPO」は、成果の創出に重点を置いていることや、企業の現状の業務プロセスにコミットしているのが特徴です。
あわせて読みたい:インサイドセールスの立ち上げ方 The Modelのファーストステップ【ウェビナーレポート】
費用対効果を総合的に検討する
BPOサービス提供企業には、アポイント創出のノウハウに特化した企業や、依頼元の目的を理解し、細かい要求にも柔軟に対応できる企業など、様々な企業があります。
インサイドセールスの最終的な目標は、アポイント数や効率だけではありません。
受注数や受注率も含めたROI(投資対効果)を考慮し、実際に成果を生むのかを総合的に判断することが重要です。(成果を上げるインサイドセールス運用のポイントとは? )
例えば、企業によって、自社の得意な受注パターンやターゲットが存在します。それらをチーム内で共有しながら業務を進めた場合、短期的な成果は同じでも、長期的に大きな差が現れてくるはずです。
あわせて読みたい:インサイドセールス未経験者のスキル向上で、アポイント獲得率が2倍に増加
インサイドセールス BPO を成功させる導入手順
「インサイドセールス BPO を導入するデメリット」で紹介したケースも含めて、インサイドセールス組織が失敗する要因は大きく2つあります。
1つ目は、組織内でインサイドセールスの役割が定義できていないこと。(図8-上)
2つ目は、分業によって生じる弊害に対応できていないことです。(図8-下)
よって、インサイドセールス BPO を成功させる導入手順を「① IS の役割を明確にする」→「②役割に沿ったオペレーションを設計する」→「③オペレーションの実行を徹底する」の順で見ていきます。
※なお、本項の内容はこちらのアーカイブでも解説しています。
手順① IS の役割を明確にする
まず、 インサイドセールスの役割を明確にします。
BtoB プロダクトが年々高度化・複雑化している今、下の図のように、顧客の購買行動も複雑化しています。
企業は、現場で求められる能力を把握し、メンバーに与える役割を的確に定義することが求められているのです。
具体的には、ターゲット市場やメンバーのスキル状況に合わせ、以下の3つの観点からISの役割を定義するとよいでしょう。
- 信頼の醸成
顧客理解や専門的な知識・スキルの取得により、顧客の状況に合わせたコミュニケーションで信頼を醸成する - 顧客課題の明確化
顧客のニーズを先読みし、顧客が真の課題に気づいてもらえるような示唆を与え、課題とゴールについての合意を形成する - 商談の設計
フィールドセールスへの受け渡しを前提におき、どこまで合意形成できているかのデータを記録しておくなど、ルールを決める
手順② 役割に沿ったオペレーションを設計する
次のステップは、オペレーションの構築です。
ベースとなる考え方は、顧客にとって最適なオペレーションを構築すること。
言い換えれば、 最適な顧客体験を提供すること が重要です。
具体的には、①で定義した役割に基づき、顧客に合わせたコミュニケーションを設計し、組織のオペレーションに落とし込んでいきます。(図7)
例えば、対象となる顧客の部門や役職、日常業務、重要な目標や課題を事前に把握し、コミュニケーションを円滑にすることが挙げられます。
そして、 適切なタイミングで適切な情報を提供すること が必要です。(図8)
例えば、トップセールスが成果を上げるタイミングや、開封率や反応が良い時間帯を考慮し連絡を行えば、より高い成果を見込むことができます。
また、セミナーで良い感触を得た際、顧客がホットであるうち(数日以内)に連絡を取り、顧客の企業の課題をヒアリングするといったアプローチをとることもできます。
顧客のニーズに合わせた最適なコミュニケーションを実現することができれば、その分だけ良い成果に繋げることができるでしょう。
手順③ オペレーションの実行を徹底する
最後にインサイドセールス BPO の成功で重要になるのは、インサイドセールスで陥りやすい失敗を未然に防ぐ仕組みを、プロセスの中に組み込んでおくこと です。
インサイドセールスには陥りやすい様々な障壁は、組織レベルにおいても、現場レベルにおいても立ちはだかりやすいものです。
特に、 BPO の場合、委託会社に現場を預ける形になるため、どうしても管理が難しくなります。アポ数が多くても、その先のフィールドセールスで受注に結びつかない例はその典型例です。
同じ BPO サービスの提供会社でも、実際の取り組みを詳しく見て、信頼できることが確認できるようなところへ預けるようにしましょう。
あわせて読みたい:インサイドセールスの立ち上げに必要な6ステップ
営業成果を上げるCS BPO
CS BPO は、最新のテクノロジーやデータを駆使して、営業活動の無駄をなくし、質を高めることを目指しています。
一般的なインサイドセールス代行と異なり、豊富な実績とノウハウと共に、お客様の営業プロセスの構築・実行・最適化のサポートまでコミットする体制を整えています。
長期的な営業力強化だけでなく、新規事業の立ち上げなど、短期的な成果創出も得意としています。
凸版印刷株式会社、USEN-NEXT Design株式会社をはじめ、これまで多くの企業様の変革に携わってきました。
弊社のインサイドセールスのプロ人材とともに売上の拡大、営業組織の変革をしませんか。
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《引用文献》
1)エン・ジャパン株式会社.”2022年「企業の人材不足」実態調査―人事向け情報サイト『人事のミカタ』アンケート―”(2022-06-21).https://corp.en-japan.com/newsrelease/2022/29824.html,(参照 2023-08-24)
2)株式会社矢野経済研究所.“BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施”(2022-11-08).https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3127,(参照 2023-08-24)
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