離職率が高い営業組織の責任者の打ち手

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今、日本のあらゆる組織で人材不足が深刻になってきています。営業は特に顕著であり、人材不足を感じている企業のうち約28%の企業で営業人員が不足しているとのデータも存在しています。1) 企業の売上と成長に必要不可欠な営業の離職は、採用が困難な中で深刻な問題と言えます。そもそもどんな原因が考えられるのかを正確に把握し、それぞれの原因ごとに有効な対策を行う必要があります。そこで今回は営業の離職理由で上位にランクインしている理由をベースに、営業の離職率を下げるための対策を解説していきます。

なお、この記事では個々の離職ケースに対応する方法は記載していません。あくまで、根本的な解決を模索する中で考えられる打ち手を記載しています。

営業の離職理由

doda によるランキングを見てみると、次のような理由がトップに挙げられています。2)

「会社の将来性が不安」
「他にやりたい仕事がある」
「業界の先行きが不安」
「給与に不満がある」
「残業が多い/休日が少ない」

よく、営業の現場では「ノルマが厳しい」といった声が挙がることが多いと耳にしたことがある方も多いかもしれません。一方で統計を見ると極端な目標の高さは反映されておらず、「将来性のなさ」「給与の低さ」「業務量の多さ」といった要素が影響しているようです。

本当の原因とは

「継続的に伸びる目標を常に達成し、賃金も高く、定時に帰れる」営業パーソンは辞めるでしょうか?統計から推察するに、こういった営業パーソンは辞める可能性が低いと言えます。

賃金と定時の帰宅は明確ですが、「継続的に伸びる目標を常に達成すること」は、会社の将来性と同等ではありません。一方で、会社の売上が継続的に伸びている状況であれば、全員が将来性を確信する上で大きな材料にはなるはずです。また、それは営業責任者がコントロール出来る範疇の中にあるため、見逃すべきではない対策の種といえます。

まとめると、営業責任者としては以下の2つを抑える必要があります。

  • 多くの営業パーソンが成果を出せる環境
  • 残業の少ない環境

これはまさに、「営業の生産性を高めること」以外の何物でもありません。

結局のところ、営業の仕事では、成果を出すことがすべてを解決することになります。圧倒的な成果を出している人が「仕事が辛い、辞めたい」と言うでしょうか。営業の仕事は、あくまで結果を出すことで報酬を得られる仕事である事実はどの組織でも変わりません。成果が出ていない状態でモチベーションを維持するのは難しく、責任者としてはいかに成果を創り出す仕組みを作れるかにより、中長期的な離職率が大きく影響されると言っても過言ではありません。

どうやったら離職を防げるのか

前述の2つの要素を営業責任者目線で組織に当てはめると、以下のように言い換えることができます。

  • 多くの営業パーソンが成果を出せるために、必要な仕組みがある。そして各営業パーソンがやるべきことが明確になっている
  • 各営業がやるべきことをこなすと、必要な成果を生み出しながら定時に帰れる生産性がある

次の章では、それぞれどのように取り組むべきかについて触れていきます。

成果を出すための仕組みづくり

まず仕組みづくりですが、仕組みを手で作り、運用されるようにサポートし、さらに磨いていくためには多くの時間と労力が必要です。また、正しい仕組みは存在せず、業種・業態やビジネスモデルによりどのように取り組むべきかが異なります。そのため、「これをやれば出来る」という正解はありません。あくまでフレームを参考に自社に取り入れることが重要です。

全てのフレームを紹介していくには非常に長文になるため、ここでは概要にのみ触れます。詳細は以下のコンテンツで詳しく解説しているので、ご覧になってください。

ここでよくある失敗例を紹介します。

ある人材企業の営業組織では30人規模の営業組織を抱えており、成果のばらつきと離職に悩んでいました。そこで営業責任者はトップセールスのやり方を言語化し、マニュアルにすることで全員が再現できるサポートをしようとしていました。

数百万円の費用を投じて完成したのは200ページを超える叡智が詰まった資料でしたが、その資料はほとんど活用されることはありませんでした。結局他メンバーの成果は変わらず、「やはりあの人だからできるんだ」という空気感は打破されずに終わってしまいました。

仕組みづくりは、言語化し資料に落とすだけではなんの意味もありません。仕組みが実行され、初めて成果が得られる土俵に立つことができるのです。これは大変な作業で、かつ誰かが作った堅苦しいシステムに従うことに好意的に思わない営業パーソンも多く存在します。

近年ではそういった課題の解決策として、新たなシステムが台頭してきています。それが SET(Sales Engagement Technology)であり、この記事の下部で紹介をしています。

残業を減らすための業務負荷軽減

では次に、残業を減らすための業務負荷の軽減についてです。これには、2つの考え方があります。

  1. 業務を自動化し、一部の手間を代替すること
  2. 業務そのものをテクノロジーが導き、成果を後押しすること

1と2の間には大きな違いがあります。よく言われる、デジタル化とDX化の違いです。

結局、どの手段を使ったとしても「業務自動化」は作業削減・コスト削減の枠を出ません。業務のうち削減できる範囲には限界があります。一方で、成果を飛躍的に向上させることは現実的に可能です。例えば8割の工数を削減するのは非現実的ですが、平均の8割増の成果を出す営業パーソンはたくさんいらっしゃいます。離職率を下げるためには、売上向上を目指したほうがはるかにインパクトが出やすく、現実的なのです。

実はこのような課題に対しても、先程ご紹介した Sales Engagement Technology(SEP)というツールが解決策としてすでに米国で主流になりつつあります。なぜなら SEP は営業担当が行うべき作業の量を減らしながら、トップセールスが行う営業活動を全員の担当案件でアドバイスすることで成果の後押しまで行うことが可能だからです。具体的にどのようなものなのか、次に紹介します。

離職率の低下に効果があるSEP(Sales Engagement Technology)とは

SEP は、営業プロセスを効率化し、営業担当者の生産性を向上させることを目的として開発されたツールです。顧客管理、商談管理、営業チームのパフォーマンス分析など、営業活動に関連する多くの機能が提供されています。

SEP を導入することで、営業担当者はタスク管理や顧客対応の効率化が図られるため、業務にかかる時間を大幅に削減することができます。また、営業チーム全体の生産性が向上することで、同じ成果を得るための労力も減り、結果的に残業が減少します。

さらに、SEP はリアルタイムで営業データを提供するため、営業担当者はいつでも最新の情報をもとに適切な判断を下すことが可能です。これにより、営業活動の遅れや誤りが減り、無駄な時間を削減することができます。

こちらの記事で、今米国で普及している SET をまとめていますので、御覧ください。

また、日本でも SET の活用が始まっており、国内初の SEP として、弊社が提供している「Magic Moment Playbook」が地方企業から大手企業まで幅広く導入されています。

弊社は離職率低下や仕組みづくりの部分で他社事例を多く持ち合わせているので、ポイントや Magic Moment Playbook の活用でどのような効果が得られるのか知りたい方は、以下のお問い合わせフォームをお送りください。Magic Moment Playbook を使った営業がメールで返信いたします。

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《引用文献》

1)人事のミカタ. 『2022年「企業の人材不足」実態調査』.エン・ジャパン株式会社. 2022-06-21. (更新 2023-07-31). https://corp.en-japan.com/newsrelease/2022/29824.html,(参照 2023-04-14).

2)パーソルキャリア株式会社.「転職理由ランキング【最新版】 みんなの本音を調査!」. doda. (更新 2023-07-31). https://doda.jp/guide/reason/,(参照 2023-04-14).