CRMデータを活用し、営業力強化を実現する米国の先進事例
- 営業担当メンバーの活動が可視化されていない、担当者との対話ができないといった理由からCRMをうまく活用できている企業は少ない
- SET は SFA / CRM / MA などに散らばっていたデータを統合、分析することができ、営業担当者が見込み顧客や、顧客とのコミュニケーションを強化し、より効果的に信頼関係を築くことを可能にする
- SMT も同様にデータを統合、分析をすることで収集したデータを分析・可視化し、それに基づいて売上予測やアクションの提案がされる
- CRM との同時利用をすることで、顧客との信頼関係を構築すると同時に、営業活動の生産性を高めることができ、DX の一貫として導入する価値の高いツールだといえる
営業組織のデジタル化に多くの企業が着手しはじめ、CRM の導入を進めている一方で、営業データの活用がなかなか進まないという課題があります。
こうした背景の中で、米国では SMT / SET が登場し、CRM との同時利用が当たり前になりつつあります。
マネージャー向けには、データを分析・表示する SMT (Sales Management Technology)
、営業担当者向けには、データ入力補助やアクション提案として SET (Sales Enablement Technology)の導入が進んでいます。
当記事では CRM 活用の難しさ、そして SMT と SET についてご紹介します。
目次
CRM 活用の難しさ
現在日本企業の間でも、多くの企業で CRM の導入が進んでいます。ミック経済研究所『ビジネス・アナリティクス市場展望 2019年版』のデータによると、2017年から2020年までの間に、CRM を利用する企業は30%以上増加しており、DX 推進のトレンドに合わせ今後も導入する企業は増えていく見込みです。1)
しかし、CRM を導入する企業が増える一方で、なかなかうまく活用できている企業は少ないのが現状です。その理由として、営業担当メンバーの活動が可視化されていない、担当者との対話ができない、データを基にした正確な判断ができない、具体的なアクションにつながらない、基幹システムと連携しない、組織間での連携がでいない、といった制限が挙げられます。
せっかく導入した CRM を、よりスムーズに効果的に利用し、顧客との関係構築につなげるには、どうすればいいのでしょうか?
その解決策として、SET (Sales Enablement Technology)と、SMT (Sales Management Technology)があります。
新たなテクノロジーの登場:Sales Enablement Technology (SET)
Sales Enablement Technology (SET)とは?
欧米の先進企業では、CRM を補助するツールとして SET の活用が進んでいます。SET を活用することで、SFA / CRM / MA などに散らばっていたデータを統合・分析でき、営業担当者やカスタマーサクセス担当者がより円滑に顧客とコミュニケーションを取ることができます。
そのため、SET は営業担当者が見込み顧客や、顧客とのコミュニケーションを強化し、より効果的に信頼関係を築くことを可能にするテクノロジーといえます。
SET には、具体的に以下のような機能が備わっています。
- コミュニケーションチャネル(電話、テキストメッセージ、メール、ビデオ会議、チャット、ソーシャルメディアなど)
- コンテンツやメッセージの提案(メールのテンプレート、プレゼンテーションデックの提示や、顧客の質問にすぐに答えるための Wiki など)
- エンゲージメントの分析と最適化
- データ入力のような単純作業の自動化(アクティビティデータの CRM への自動ログ)
SET が注目を集める理由
SET が注目を集めている理由には、以下の3つが挙げられます。
第1に、SET は、営業担当者に焦点を合わせて設計されており、1日あたりのアクティブユーザー数が高いことが挙げられます。CRM への入力は雑務だと捉えられがちなのに対して、顧客エンゲージメントを高める SET の利用は好まれる傾向にあります。
第2に、営業担当者と顧客との関係性が複雑化している中、それを支えるためのマルチチャネルに対応した機能と、各チャネルでの効率的なコミュニケーション機能が備わっている点が挙げられます。メールキャンペーンやIP電話などさまざまな方法で、顧客とのコミュニケーションをスムーズに取ることが可能です。
第3に、パートナーエコシステムの存在が挙げられます。SET を提供する企業1社ですべてのチャネルを提供しなくても、他社の機能と連携させることで足りない部分を補うことのできるようなサービスが多くなっています。そのため、利用者は今まで活用していたツールから変更することなく SET を導入することができます。
SET の提供企業例
以下では、SET を提供する会社を紹介します。
Outreach
Outreach は、営業がとるべき業務を一覧化し、カスタマーエンゲージメントを高める機能が備わったSETです。顧客毎営業プロセス毎に、営業担当者が考え、管理・検索し、メールや資料をカスタマイズするといった時間をなるべく削減して営業活動に時間を割くことができ、営業チームとしてのパフォーマンス改善につなげることができます。
SalesLoft
Sales Loft は、顧客とのコミュニケーションツールから、営業のコーチまでをサポートするSETです。リードジェネレーション、商談マネジメント、カスタマーエンゲージメントにわたり、適切にパイプラインを管理します。
groove
groove は、Salesforce の手動データ入力を90%削減することができる SET ツールです。Outlook、Gmail、Salesforce といった複数の画面を開く必要がなく、groove に1つのプラットフォームとして統合できます。そのため、見込み顧客とのコミュニケーションにかかる手間が減り、より効率的に営業活動を進めることができます。
詳細はこちらの記事も参照ください。
営業組織のコスト削減で検討すべき 営業支援ツール 3選 | Accel by Magic Moment
新たなテクノロジーの登場:Sales Management Technology
Sales Management Technology(SMT)とは
欧米の先進企業では、CRM を補助するツールとして SMT (Sales Management Technology)の活用が進んでいます。SMT を利用することで、SFA / CRM / MA などに散らばっていたデータを統合・分析し、営業や顧客の現状を可視化することができるのが特徴です。
SMT を活用すると、収集したデータを分析・可視化し、それに基づいて売上予測やアクションの提案がされます。そのため顧客エンゲージメントが高まり、営業部門のリーダーや担当者の生産性向上につながります。
SMT には、具体的に以下のような機能が備わっています。
- 見込み顧客や顧客とのエンゲージメントデータの収集
- CRM へのデータ入力を始めとした、単純作業の自動化
- 予算策定、テリトリー決め、セールス人員計画といった営業企画支援
- 短期的な売上予測と、翌期以降の売上予測
- 営業担当者が次に取るべきアクションの提示
SMT が注目される背景
SMT の導入が進んでいる背景には、どのような理由があるのでしょうか?
1点目に、本来 CRM で上記のような機能が提供されるはずですが、継続的なデータ入力が困難であり、レポート機能が複雑すぎるという課題から SMT のカテゴリーが誕生しました。
2点目に、データ入力に関するテクノロジーの進化や環境の変化が挙げられます。セールスのデータ入力の自動化が進んだことでデータが収集しやすくなったこと、そしてモバイル特化型や Slack を通じたCRM データ入力など、データ入力を簡易的に行うことのできるUIが提供され始めているという背景があります。
3点目に、売上予測(パイプライン管理)にあたり、企業情報やでもグラフィックだけでは不十分であり、見込み顧客や顧客とのエンゲージメントデータが必要である、という認識が広まりつつあることが挙げられます。
SMT の提供企業例
以下では、SMT を提供する会社を紹介します。
Clari
Clari は、ビッグデータ分析が活用された、効率的な営業活動をサポートするSMTツールです。営業データや Salesforce などの CRM のほか、Microsoft Sharepoint、Microsoft Exchange、Box、Dropbox、Linkedin、Gmail、ニュース、Twitter といった主要アプリケーションからデータを自動収集します。収集したデータを分析することで営業活動を可視化すると同時に、売上予測が可能です。
XANT (旧INSIDESALES.COM)
XANT(INSIDESALES.COM)は、リアルタイムで収集された顧客データをもとに、AI を活用して営業活動に必要なアクションを提案し顧客エンゲージメントを最適化すると同時に、売上見込みを可視化します。
People.ai
People.ai は、独自のAI 技術でツールから情報を自動で収集し、アップデートする SMT ツールです。データ収集を自動化し、AI 技術による的確な予測によって、顧客の状況にあった最適な営業活動を提案します。
上記のようなテクノロジーに関連し、本資料を読めば、以下の2点をクリアできる ように、必要な情報を厳選しています。
①多くの企業が直面している CRM およびそのデータ活 用の実態について知る
②上記課題を解決する最先端テクノロジーの概要と効 用について理解する
ぜひご活用ください。
まとめ
企業が DX に取り組む中で、営業組織のデジタル化に向け CRM の導入が進んでいます。その一方で、CRM 活用の難しさから、せっかく収集した営業データを効果的に利用しづらいという課題があります。
こうした背景の中で、米国では SMT / SET が登場し、CRM との同時利用が当たり前になりつつあります。SMT / SET は、顧客との信頼関係を構築すると同時に、営業活動の生産性を高めることができ、DX の一貫として導入する価値の高いツールだといえるでしょう。
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《引用文献》
1)ミック経済研究所. 「ビジネス・アナリティクス市場展望 2019年版」. 2018-12-14. https://mic-r.co.jp/mr/01530/, (参照 2020-12-25)
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