営業組織のコスト削減で検討すべき 営業支援ツール 3選
BtoB サブスクリプションサービスを提供している企業において、効果的・効率的な営業活動を行う気運が高まっているのではないでしょうか。
書籍 ザ・モデルのように、インサイドセールスの立ち上げ、営業プロセスの整備、カスタマーサクセス部隊の立ち上げ等、実際に取り組まれている企業も多いと思います。しかし、実際の運用において、苦労されることも多いのではないでしょうか。
営業担当者のタスクの中には、効率的に収益を拡大するための業務以外にも、不必要なものがかなり多く、実は無駄なコストを払っている傾向もあります。ある統計データでは、営業担当が営業活動に費やせる時間は全体の労働時間の34%という結果がでています。
そこで、それらをなるべく効率的に行うことでコスト削減を行い、顧客に向き合って売上を向上させるための工夫に時間を割けるようにしなければなりません。
そのための有効なツールである、SFA / CRM 、マーケティングオートメーションをはじめとした、
営業活動を支援するツールですが、運用がきちんとできないと、効率化どころか、逆に工数がかかる、という事象に陥りかねません。
今回は、これら営業ツール、Sales Tech の運用について、よくある失敗例と、解決の糸口をご紹介していきます。
目次
営業ツール導入の失敗例
失敗例の前に、営業の「コスト」を概念的に捉えていきたいと思います。
図2 「営業生産性向上の方程式」(Magic Moment作成)
営業生産性向上の大命題は、営業コストを削減し、売上を高めることにあります。
上記図2の、会議に伴う準備、日常の報告業務や資料づくり、検索作業などの「時間」をいかにコスト削減し、商談数や成約率を高める行動に直結させるか、が重要です。報告や資料づくりには営業活動上の KPI などの、データを取り扱うことが多いでしょう。これらの正確なデータが、簡便に取得でき、戦略の方向性に沿って瞬時に導き出せることが、売上を高める上でも、業務を効率化するうえでも、とても重要です。
データ入力の不確かさ
KPI にしろ、営業ステージにしろ、定義を明確にしないと営業データが正確に取得できません。また、入力・報告させるメリットが営業担当者側にもないと、入力に抜け漏れが発生します。SFA の入力を正しく入力されないよくある理由として、「入力の定義が不明確」ということがよくあり、正しいデータがとれない、正しいかどうかも不明ということがあります。
例えば顧客の提案行為は、どの営業組織でも SFA 上で入力させ、報告してもらうと思います。この「提案」という行為ですら、営業担当者ごとに認識が違ってしまうと、正しいデータではなくなります。定義をしっかり行ったり理解させたりするということも重要ですが、入力させるのではなく、営業担当者のアクティビティに応じて、自然とデータ取得できる仕組みづくりも必要です。
データのサイロ化
データは、往々にして他のデータと組み合わせる必要もでてきます。
異なる部署でデータを取得している場合は、連携をとらないと、データの活用ができません。
縦割り構造の組織では、異なる組織間でのデータの活用ができない傾向にあるといわれていますが、
最悪の場合、営業担当者が、同じ内容を、違うものに複数回インプットしなければならない、ということがあります。
データを取得したい、活用したいという部署が異なる場合があり、既にそのデータが入力されているにも関わらず、入力を迫る場合です。顧客接点を担う、マーケティングやセールスも、一見近しい部署ですが、連携を十分とっておかないと、サイロ化が起きてしまいます。
営業のノウハウが蓄積されない上記のような事象により、入力が面倒と思われると、段々と入力に漏れがでてきます。営業担当者に本来役に立つ、重要なノウハウですら、可視化できなくなってしまいます。
上述の図1のとおり、営業担当者は、営業以外の業務に66%費やしています。
また、全体の8%、「営業データの手入力」という業務が含まれています。入力が敬遠されてしまうと、データやノウハウは蓄積されません。
戦略の修正ができない
データが不確かな状態では、戦略的に実施しようとしていた施策が、成果につながっているかどうかを検証することができなくなります。
例えば、市場を攻略するために、新規顧客の開拓をめざす例で説明しましょう。
有望リードの獲得のために、セミナーを開催しました。セミナーに出席し、有望と思われる顧客には、無料トライアルを一定期間申し込んでいただくことで本契約につなげようとしました。
- セミナーは目標どおり集客→〇
- 無料トライアル社数も目標どおり獲得→〇
- 最後の正式申し込み数が目標には届かなかった→✖
うまくいかなかったのは次の可能性が考えられます。
- リードのナーチャリングが不十分
- トライアル時の顧客へのフォロー不足
- 顧客課題とソリューションの結びつきが弱い
データが無ければ、これらの問題の特定ができず、しばらくしてまた同じようなセミナーを行う、という結果になりかねません。
顧客体験に一貫性を欠く
マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスという分業制は、顧客体験に一貫性を持ち、顧客満足度を高めていくことも意識しなければなりません。一方で各工程をうまくつないで顧客体験価値を提供するうえでは、顧客の情報(どのコンテンツに反応したのか、顧客のニーズは何か)の連携をうまくとることは、難易度が高いといえます。
こちらも正しくデータが抜け漏れなく入力され、データを活用できないと、連携はうまくいきません。
海外で人気が高まる営業支援ツール
SFA/CRM の導入開発コストや、部門間のコミュニケーションコストなど、ツールを使用する費用以外にも多大なコストがかかっています。それらを解決する、海外で人気が高まっている営業支援ツールを紹介します。
以下、紹介する営業支援ツールは、Sales Engagement Technology と言われていて、SFA/CRM/MA などに散らばっていたデータを統合・分析することで、営業担当者やカスタマーサクセス担当者が取るべき行動を分析できることが特徴です。
Outreach
Outreach (アウトリーチ)は、顧客毎に、そして営業プロセス毎に、
- セールスが考える
- セールスが管理する
- セールスが検索する
- セールスがメールや資料をカスタマイズする
という時間をなるべく削減したうえで、
「より多くの接点を」「より多くの顧客に」それぞれに合った形で提供でき、カスタマーエンゲージメントを高めることができるようになっています。
アカウントに対するターゲティング情報、個別アカウントに対する最適化フロー、アクティビティ等、顧客ベースで最適化するのに優れているツールです。
日々のパフォーマンスを確認し、どのようなアクティビティが機能しているかどうかを測定し、チームとしての戦略や個人のパフォーマンスの改善につなげることができるのも、大きな特徴です。
SalesLoft
- リードジェネレーション
- 商談マネジメント
- カスタマーエンゲージメント
にわたり、適切にパイプラインを管理します。
マーティングがリードを作成する場合は、優先順位付けと購入者のシグナルに基づいてインバウンドの見込み客を引き込みます。
エンゲージメントを追跡し、リードを採点したうえで、適格なリードをインサイドセールス等に引き渡します。アウトバウンドでリードを発掘する際も、顧客のニーズに基づいてパーソナライズできるようにしながら、担当者をガイドしてくれます。
また、厳選されたトレーニングライブラリと、リアルタイムのコーチングが可能になるという Sales Enablement に役立つ機能が実装されています。
Groove
Groove(グルーブ)は、上記2つに似ていますが、Salesforceの手動データ入力を90%削減することができます。GrooveとSalesforceとの連携により、GrooveでSaleforce上も更新されるからです。
例えば、画面をOutlook、Gmail、Salesforceと複数開く必要もない、複数のツールを1つの使いやすいプラットフォームに統合できる、手間のかからないユーザビリティが特徴です。
まとめ
海外では、MA ツールだけでもなく、Sales Enablement のような機能も包含した便利なツールが生まれています。日本にも、間もなく上陸してくるはずです。
ご紹介した営業支援ツールと、従来の SFA/CRM との大きな違いは、営業担当者のためのツールになっていることです。
営業担当者は、営業マネージャーやマーケティング、営業戦略の担当者が営業活動の進捗を確認・評価するためだけに、SFAにデータ入力は求められていましたが、紹介したツールは、営業担当者にメリットがあるようなデータ分析が提供され、次どのようなアクティビティを行うのか、というガイドがついてくるなど、営業担当者の日々の行動に役立つことが、開発の基本思想になっていると思います。
とはいえ、このようなツールは、技術が発展したとはいえ、導入するだけで魔法のような成果がかえってくるかというと、決してそうではないと考えます。
自社の戦略や状況に合わせて活用する
ツールありきではなく、ツールで解決したい課題や促進したい戦略方針ありき、ということです。システムの変更や追加は、慣れるのに時間を要します。それでも解決したい問題や、達成したい戦略を、明確にもっておく必要があります。
鍵はデータ活用
紹介した海外ツールをはじめ、Sales Techツールには、機械学習のプログラムが施されていることが多くなっていますが、そもそも入力されるデータが正しくないと、精度が上がりません。
ツールを導入したものの、データ入力の不確かさやデータのサイロ化により
- データに基づいた戦略の改善ができていない
- 顧客体験の一貫性を担保できていない
といった失敗に陥らないためには、データ入力の手間を省き、分断されたデータをまとめる必要があります。
Magic Moment では、営業組織がデータ入力の自動化によってデータ入力漏れなどのリスクを削減し、日々の営業活動をデータ資産として蓄積するサポートをしています。
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