営業支援ツールを比較 SFA/CRM、MAから最新支援ツールまで
- 営業支援ツールとは、SFA/CRM、MA を総称したものであり、生産性向上のために導入される。
- SaaS ビジネスが主流になり、顧客単価や解約率をコントロールすることが大切になったため注目されている。
- 営業支援ツールは多くあるが、導入に際して必要機能の有無、サポート体制の整備、セキュリティ対策の万全さを注視して比較すべきである。
- データ活用や分析を人が判断するのが容易ではないため営業支援ツールの中でもセールステックが注目されている。
近年、SaaS ビジネスが主流になり、顧客単価や解約率をコントロールすることが大切になったため、営業支援ツールへの注目が集まり、様々なツールが提供されています。
しかし、「多くのツールの中から自社に何をどうやって選べばいいのかわからない」と悩みを抱えるケースも多くあります。
営業支援ツールの導入は、パイプラインの管理や会社のプロセスの可視化のみならず、生産性向上に役立てることができます。
そこで、本記事では営業支援ツールの説明をしつつ、代表的なSFA/CRM、MA ツールを6つ比較します。
さらに、注目されている営業の実行支援をしていくセールステックをご紹介します。営業活動から売上やビジネスの持続的な成長につなげたい方には、以下の資料もオススメです。
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営業支援ツールとは?
営業支援ツールとは、SFA/CRM や MA のことを日本語で表したものです。これらのツールが、一般的に営業支援ツールと呼ばれています。
これらは反復的なタスクの自動化、多くの情報の整理と視覚化、時間とエネルギーの無駄を削減して生産性を向上させます。
その結果、長期的に利益を増やすことができます。
つまり、生産性を向上させ、収益を生み出し、「顧客エンゲージメント」を強化するために活用されています。
顧客体験が利益に欠かせない理由
顧客エンゲージメントとは、顧客と自社との関係値の総量を指します。これを高めることが、営業支援ツールが果たす効果の肝となります。
顧客の体験(CX)を向上させることで、より解約率が下がっていき、アップセル・クロスセルによる単価の向上によって、長期的な利益が上がっていきます。
以下の図は、単価・解約率が伸びることで利益が上がる代表的なサブスクリプション型の収益モデルです。損益分岐点が同じだとしても、利益は利益が発生する期間やグラフのそれぞれの傾きによって異なってきます。 (図1)
上記の収益モデルは SaaS ビジネスに共通するもので、収益が累積的になるため、営業やマーケティングなどの獲得にかかるコストの回収が長期的になってしまいます。
利益向上につながる指標は以下2点です。
- 解約率
- 顧客単価
それぞれ見ていきましょう。
上記の図では、獲得コストとサービス単価×顧客数(MRR)を踏まえると、23ヶ月目に損益分岐点がきます。
仮に解約率が下がっていくと、顧客がより長期間サービスを継続して利用してくれるようになります。
つまり、グラフの横軸(時間)が伸びるため、23ヶ月目以降は利益が発生します。25ヶ月より31ヶ月、31ヶ月より35ヶ月と時間軸が伸びるにつれて利益は伸び続けます。
また、単価が上がった場合には、グラフの傾きが大きくなるため、より短い期間でも利益が出るようになります。
単価を伸ばすためには、顧客数の増加ではなく、ユーザー単価を上げる必要があります。
ユーザー単価が上がっていくと、1ヶ月に発生する収益が増えるためです。
つまり、解約率を下げ、ユーザー単価を上げるためには、顧客の体験を上げる必要が出てきます。
営業支援ツールは、顧客の総体的な体験を上げる活動に集中できる環境を築き上げることで、長期的な売り上げ増加に貢献することができるツールです。
営業支援ツールの主な機能
営業支援ツールは上記の目的に沿っていくために、様々な機能を備えていることが多いです。
メジャーな営業支援ツールのSFA/CRM、MA を対象にして、具体的にどのようなことができるのかを見てみましょう。
営業支援 (SFA)
「SFA」は Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)の略です。
営業担当者を支援するためのツールとして活用されています。
主な機能は以下の通りです。
- 顧客管理
- 営業の行動管理
- 日報
- 見積書と請求書の作成
- To Doリストの作成とリマインド
- 営業管理
- 注力顧客の分析
つまり、営業に関する非生産的なタスクを自動化することで、営業部門の効率化が可能です。例えば、案件の対応漏れがなくなり、確実にフォローする営業フローを構築することに役立ちます。
顧客管理 (CRM)
「CRM」は Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)の略です。
顧客との継続的で良好な関係構築のためのツールとして活用されています。
主な機能は以下の通りです。
- 顧客情報管理
- お問い合わせ管理
- 顧客調査
- 顧客分析
つまり、顧客体験(CX)を高めることで売上の向上ができるツールです。例えば、顧客履歴を活用した商品提案ができれば、顧客単価の向上に役立ちます。
マーケティング・分析 (MA)
「MA」とは、Marketing Automation (マーケティングオートメーション)の略です。
マーケティング活動を自動化するためのツールとして活用されています。
主な機能は以下の通りです。
- ターゲティング
- リードナーチャリング
- アナリティクス
つまり、需要生成 (見込み顧客の発掘、見込み顧客の育成、見込み顧客の絞り込み) を自動化することで、マーケティングの効率化ができるツールです。
例えば、ハウスリストに対してツールの比較を求めるリードが入ってきた場合、実際の比較例のメールなど、効果的なメール施策を打てれば、商談獲得数の最大化に役立ちます。
営業支援ツールが注目される背景
SaaS ビジネスが主流になったからです。
SaaS ビジネスは、従来の「売ったら顧客との関係は終わり」という関係性から「売った後も顧客と継続的な関係性を持つ」必要があります。
つまり、上述した収益モデルのなかで、利益を上げることと同義です。このことで、継続的に商品をやサービスを利用してもらったり、顧客単価を上げていくことが大切になりました。
だからこそ、上記で説明した CRM などの顧客との関係値を向上するのに資するツールや営業活動を実質的に支えていく営業支援ツールが大切になってきています。
結果、SaaS ビジネスが増えるに連れて、比例して営業支援ツールの需要も伸びてくるようになりました。 (図2)
営業支援ツールの需要は増えている
IDC Japan 株式会社の「国内顧客エクスペリエンス(CX)関連ソフトウェア」1)によると、国内 CX 関連ソフトウェア市場は2021年〜2026年の年間平均成長率(CAGR)は、8.0%で推移すると予測されています。(図3)
また、2026年には市場規模が約8,000億円になると予測されています。
理由としては、2点挙げられます。
- コロナ禍によるリモートワークの進展とデジタルツールの浸透
- 顧客行動のデジタル化と営業活動とのギャップ
それぞれ説明していきます。
コロナ禍でのリモートワークの進展とデジタルツールの浸透
コロナ禍になり、リモートワークの進展に併せて、営業のリモート化(インサイドセールス等)が進んでいます。
営業のリモート化を実現するためには、オンライン営業ツールなどが必要になり、ツールベンダーが増加しました。代表的なものでは、 Zoom や Slack は皆さまも使用しているのではないでしょうか。
また、リモート営業では、顧客データや営業活動の履歴がデータとして残ります。そのため、より顧客の属性情報や Web上での行動データや自社の営業やマーケティング活動のデータを活用して顧客体験(CX)を高め、自社の顧客基盤を構築する需要が生まれました。
よって、CX向上の営業支援ツールが需要を増しています。
顧客行動のデジタル化と営業活動とのギャップ
リモートの進展によって、変化しているのは企業の営業手法のみではありません。
実際に見込み顧客もデジタルツールを使うようになっています。
例えば、Mckinsey & Company社の調査 2)によると、欧米では、2019年から2020年にかけて BtoB の顧客との接触はデジタルチャネルに推移しています。
調査フェーズでは前年比およそ150%、評価フェーズでもおよそ120%増加していることがわかっています。
つまり、顧客が企業との接点をデジタルで求めるようになってきています。
そうなると、問題になるのが、「従来の営業活動とのギャップ」です。
以下の図は、今の購買プロセスと、営業プロセスにギャップが生まれていることを示しています。(図5)
例えば、顧客がオウンドメディアで営業支援ツールを比較するコンテンツを見た後に、Web商談で同様の説明をされたらどうでしょうか。
すでに顧客は Web上で同じコンテンツを見ているためその時間を無駄に感じてしまいます。つまり、ここで顧客体験が毀損されます。このように、顧客行動がデジタル化していくなかでは、企業と顧客との情報ギャップは小さくなります。
必然的に、「顧客がデジタルで何をしているのか?」をデータで知ることができなければ、提案はその時の顧客が求めるものにはなり得ません。
つまり、今までは企業主体で顧客の情報粒度をコントロールし、提案できていましたが、現在は顧客が取引の主導権を持つように変化しています。
そのため、顧客の立場に沿った営業活動が必要になってきています。つまり、顧客の行動を起点とした営業プロセスが必要になってきています。
以下の図は、顧客の購買プロセスの変化に応じた営業プロセスについて示しています。(図6)
顧客が取引の主導権を持つように変化したことで、営業活動をしていくには、顧客のデータを元にして、顧客の状況にあった営業をする必要が出てきました。
顧客主導の営業では、顧客とのチャネルを元に組織を作り上げ、各組織が顧客への顧客体験を高めるためのアプローチを実施していくことが大切になってきます。
このアプローチを実施するためには、今まで断絶していた顧客の行動情報を各部門で連携し、データを収集し、活用していくことが重要になります。
そうすると、アポの獲得、商談化、提案、受注、オンボーディングなどのすべての企業と顧客との関わりにおいて、顧客体験を向上させていくことができます。
つまり、顧客のデータを蓄積し、活用していくために、上述のような営業支援ツールが必要になってきています。
そこで、今回は SFA/CRM、MA ツールを海外・日本と分けて比較していきます。
営業支援ツール比較
営業支援ツールは多様にありますが、ここでは代表的な SFA/CRM、MA ツールについて6つご紹介していきます。(図7)
Salesforce Sales Cloud(海外SFA)
中堅/中小企業から大企業まで、15万社以上の導入実績がある SFA プラットフォームです。
取引先企業や担当者に関する基本情報、固有情報、営業が入手した情報など、さまざまな取引先情報をまとめて管理することが可能です。
また、案件の取引額、確度、進捗状況、フェーズ、競合相手やパートナー企業の情報などを一元管理し、営業活動や受注分析に活用できます。
見込み顧客の獲得から商談成立まで、ソーシャルメディアを含むあらゆるチャネルでキャンペーンを管理、トラッキングすることができます。
さらに、ワークフロー機能では簡単なマウス操作で営業プロセスの自動化が可能です。
一定条件を満たした場合にアラートメールを自動送信することや、案件が進捗した場合にタスクを自動的に割り当てるなど、様々なプロセスを自動化できます。
機能や、価格は以下の通りです。
- 機能:
- 取引先及び取引先責任者の管理
- 商談管理
- 見込み客管理
- モバイル対応
- ワークフローと承認の自動化
- ファイルの同期と共有
- レポートとダッシュボード
- 売り上げ予測
- 価格:
- Essentials:月額3,000円/ユーザー
- Professional:月額9,600円/ユーザー
- Enterprise:月額19,800円/ユーザー
- Unlimited:月額39,600円/ユーザー
kintone(国内SFA)
プログラミング不要で業務支援アプリケーションを作成できるシステムで、自社の営業活動に適した SFA を構築することができます。
表計算ソフトよりも快適に、専門システムより柔軟に、自社でシステムを開発するよりスピーディー&低コストに、「サクッと」思いついた業務改善をすぐに実行できるのが特徴です。
データの管理・集計・共有といった SFA に求められる機能を備えています。
さらに、kintone で作成した複数のアプリのデータを kintone 上で一元管理することができるため、さまざまな営業活動データをあらゆる角度から分析することを可能にします。
機能や、価格は以下の通りです。
- 機能:
- 顧客・案件管理
- 売上管理
- 問い合わせ管理
- プロジェクト管理
- 受発注管理
- 基幹システムとのデータ連携
- 社内ポータル
- 価格:
- ライトコース:月額780円/ユーザー
- スタンダードコース:月額1,500円/ユーザー
Pipedrive(海外CRM)
ビジネスを成長させる CRM プラットフォームです。
従来の CRM/SFA によくある課題の定着率の低さを改善するために、営業パーソン目線で再定義された CRM プラットフォームで、250種類以上の外部サービスと連携可能です。
また、ノーコードでチャットボットやウェブフォームを作成し、リード情報を自動収集、セールスプロセスによってパイプラインをステージ分けられます。
進捗とネクストアクションを可視化、定型業務の自動化や提案書、見積書、契約書を自動生成さらには電子契約の締結まで Pipedrive 内で完結します。
機能や、価格は以下の通りです。
- 機能:
- リード、取引、連絡先、カレンダーおよびパイプライン管理
- データインポート
- メール同期、開封とクリックの追跡およびグループメール送信
- メールシーケンスを含む自動化フィルター
- ミーティング、メールおよびビデオ通話のスケジューリング
- 電子署名によるドキュメントと文書の管理
- 収益予測とより詳細な報告の機能
- プロジェクトの計画、追跡および送信
- 電話サポートとCRMの実装
- レポートとカスタマイズ
- 価格:
- エッセンシャル:月額12.5ドル/ユーザー
- アドバンス:月額24.9ドル/ユーザー
- プロフェッショナル:月額49.9ドル/ユーザー
- パワー:月額59.9ドル/ユーザー
- エンタープライズ:月額74.9ドル/ユーザー
Mazrica Sale (旧 Senses)(国内CRM)
誰でも簡単に使いこなせる UI/UX と豊富な機能が特徴のセールス・マーケティングプラットフォームです。
カンバン方式で直感的な案件管理が可能で、更新頻度に応じて色分けすることで状況を直感的に把握できます。
AI が成約確率や契約日・契約金額まで予測できるため、適切なアップセルや納期なども無理なく提案可能です。
たとえ、失注した場合でも、「予算が下りず検討見送りになった」「繁忙期なので3カ月後に連絡してほしい」など、受注できなかった理由を案件ごとに蓄積することで「ネクストアクション」の明確化に役立ちます。
案件管理以外にも、リード創出から企業情報の自動収集、顧客管理まで対応しています。
機能や、価格は以下の通りです。
- 機能:
- 顧客/案件/行動管理
- メール/スケジューラ自動連携
- 企業データ/プレスリリース自動収集
- 企業データベースによる自動入力
- 外部サービス連携
- モバイルアプリ対応
- 監査ログ
- 複数営業プロセス管理
- 取引先の階層管理
- カスタムリスト作成
- IPアドレス制限
- カスタム表/グラフ作成
- API連携
- 見積書作成
- ダッシュボード
- セールスメトリクス
- AI案件予測
- AI一括名寄せ
- 名刺OCR取り込み
- 価格:
- Starter:月額27,500円〜/5ユーザー
- Growth:月額110,000円〜/10ユーザー
- Enterprise:月額330,000円〜/20ユーザー
HubSpot (海外MA)
世界約95ヶ国で利用されているインバウンドマーケティングおよびセールスのソフトウェアです。
MA の機能を実装したソフトウェア「Marketing Hub」を中心に、営業、カスタマーサービスの領域を担う複数のソフトウェアを組み合わせて活用します。
そのため、マーケティング活動を中心に、商談・取引の管理、成約後のカスタマーサポートまで、幅広い領域での対応が可能です。
機能や、価格は以下の通りです。
- 機能:
- ウェブチャット
- フォーム
- Eメールマーケティング
- ランディングページ
- Eメールとアプリ内チャットサポート
- カスタムレポート
- キャンペーンレポート
- オムニチャネルマーケティング自動化
- カスタムオブジェクト
- カスタム行動イベント
- マルチタッチ行動イベント
- 価格:
- Starter:月額1,800円
- Professional 月額96,000円
- Enterprise 月額432,000円
エアトリスマートDX (旧 i:Sales)(国内MA)
アイセールス株式会社が提供するデジタル営業システムです。
見込み客の動向を数値やグラフで視覚的にわかりやすく把握でき、操作しやすいインターフェースのため、初心者でも使いやすくなっています。
また、データに基づいて最適な動きを取れるようになり、再現性のある人材育成を行えます。
さらに、システム提供のみならず営業DXプロジェクトの設計や、システムの運用代行、必要な資料やコンテンツの作成代行を含む伴走支援も特徴的です。
機能や、価格は以下の通りです。
- 機能:
- 見込み顧客の行動可視化
- 見込み顧客の分析と一覧化
- メール送信と分析
- 資料アップロード
- フォーム作成
- ランディングページ作成
- ウェブ名刺作成
- シナリオ設定
- 見込み顧客データ管理
- 価格:
- システム利用料:月額5万円/ユーザー(最小申込数5ID〜)
- 伴走コンサルティング+運用代行:月額30万円〜
導入時のポイントを解説
上述のように様々な営業支援ツールが出てきています。
導入後にしっかりと成果を残すための選び方についてご紹介します。
目的達成に必要な機能は揃っているか
目的を定めた上で、必要な機能が揃っているかが大切です。「営業組織の可視化」や「営業の売上増加」など、目的を明確にしましょう。
目的のために機能が揃っているか社内で話し合ってみることも推奨します。
例えば、営業の売上増加なのであれば、以下の通りです。
- 見込み顧客の発掘を増やす必要があるか?
- パイプラインは目標値に対して十分であるか?
- 営業活動のデータは管理されているか?使える状態にあるか?
- 成約や転換率等が営業プロセスを通して可視化されているか?
- 営業チームはリードを変換できないのか?
成果創出サポート体制は整っているか
成果創出のためには、ツールの使いやすさはもちろんのこと、そのサポートまで含めてサービスと捉えることが大切です。
例えば、SaaS は初期費用は安くても、ランニングコストが負担になります。
いつまでに、どの程度の定量的成果を見込めるのかをベンダーと明確にし、その成果創出をサポートしてくれる仕組みがあるかを確認しましょう。
SaaS の営業支援ツールは初期費用が安価で、ハードルは低く思われますが、思いもよらなかったコストの負担がかかってくるケースがあります。
その例が以下の2つです。
- 累積的なコスト負担
- データ整形のコスト
累積的なコスト負担
SaaS サービスのコストは、月額・年額どちらにせよ徐々に増えていきます。
例えば、半年後・1年後の目標に対して、進捗が悪かった際に、定量的な目標の達成に対してどんな支援があるのかを確認しましょう。
また、Onboarding の際にどこまで利用促進のサポートをしてくれるのかや、社内で活用が進まない場合にどこまでサポートしてくれるのかも重要です。
データ整形のコスト
データが不正確で使えない状況になったり、営業が入力してくれなかったりすると、ツールは導入しているが、データの不確実性が高くうまく活用できないケースも多く見受けられます。
こうしたケースでは、データサイエンティストが、各種データを補正・統合・分析したり、ルールを営業に徹底させる周知の取り組みにもコストがかかります。
下図の通り、ある試算によると100人の営業組織で実施する場合、年に約2億円かかることがわかります。(図8)
ツールのみではなく、ツールがうまく機能するためのデータの正確性、リアルタイム性、構造化が必要不可欠です。
上記に際してのサポート内容はどうなのか確認しましょう。
セキュリティ対策は万全か
企業は顧客の財務詳細、知的財産、販売記録などの機密情報を保管しています。漏洩すると企業評価の低下による契約破棄や、新規顧客の獲得困難化が予想されます。
クラウドの場合、プロバイダーのデータベースに様々な顧客のデータが残っています。それらが流出した場合には、リスクが伴います。
だからこそ、顧客情報の漏洩がないようセキュリティ対策が行われているのか確認は必須です。
ADAPTIVE SHIELD社の SaaS セキュリティレポートによると 3)、2019年以降、SaaS
の人的ミスがクラウドビジネスの主要なセキュリティ問題の1つとして報告されています。
実際、さまざまな組織規模、業界、場所、役割の IT およびセキュリティ専門家からなる 340 人の回答者のうち63%が、SaaS の誤った設定が過去1年間にセキュリティに係るインシデントを引き起こしたと回答しています。
この問題の主な原因は、SaaS セキュリティの設定変更に関わる人が多いことなどに起因していると同レポートは指摘しています。また、SaaS の誤った設定を手動で検出して修正すると、組織は危険にさらされたままになります。
つまり、人的ミスによって顧客の情報漏洩が起きてしまっています。
こういった人が介在することで発生するインシデントに対応することなどを目的として、最近では、データアラートと呼ばれるビジネスに悪影響のある潜在的な問題を予測する機能を備えた SaaS も登場しています。
データアラート機能では、異常を検出する AIアルゴリズム や、パターン認識を行う機械学習アルゴリズムを用いています。
学習した過去のパターンから、ビジネス上の異常事態を認識し、通知してくれます。
営業の実行フェーズを支える最先端の Sales Tech
セールステックとは、Sales と Technology を掛け合わせた造語です。IT を活用して営業活動の生産性を高める目的で使う製品やサービスのことを指します。
その中でもセールスエンゲージメントプラットフォーム(以下、SEP)が注目されています。
SEP とは、アメリカで誕生した、ツール内にデータを蓄積されたアクションへと繋げるためのテクノロジーです。営業担当者が見込み顧客や既存顧客とのコミュニケーションをより効果的に実行できるようにしてくれます。
従来の CRM/MA ツールに加えて SEP を導入することで、営業活動の効果アップが期待できます。具体的に SEP はアルゴリズム/機械学習を取り入れていることが多く AI を起点としています。
例えば、機械学習を用いて、営業に求められる次善のアクションを継続的に予測分析し、提案する Algorithmic-guided Selling や、将来の販売予測やトレンド予測を行う Predictive Lead Analytics といった仕組みがまさに SEP の機能に該当します。
SEP は、「データを元に何を判断できるか」を人ではなくテクノロジーに任せることができるため、多くの営業組織の課題である「成果のバラツキ」「売上の再現性」「新規顧客の獲得」などにおいて効果を発揮します。
例えば、Outreach社 や salesloft社 が米国では導入されています。
- Outreach社
- 評価額:44億ドル (2023年4月時点)
- 導入企業:Zoom,twillo,Docusignなど
- salesloft社
- 評価額:23億ドル (2021年12月時点)
- 導入企業:IBM,shopfy,Merakiなど
なぜ SEP が注目されているのか
数だけを見ると、SFA/CRM は多くの企業で導入され定着しているように見えます。
ただ、新規顧客・見込み顧客の増加や既存顧客からの売上拡大など、根本的な問題の解決にはあまり繋がっていない企業が多いのが現状だからです。(図9)
上記のアンケート結果の背景には、データをどのように営業活動に活用するかという分析や予測の部分を人が判断するのは容易ではないという問題があります。
だからこそ、SEP により目を向ける企業が多くなっています。また、集約されたデータから事業に資するインサイトを抽出をする需要が増えてきていることも挙げられます。(図10)
事実、現在では Revenue.io社 によると4)、セールスエンゲージメントへの企業投資は CRM への投資を上回っています。
Magic Moment Playbook
Magic Moment は、Magic Moment Playbook(以下 Playbook ) という営業支援 SaaS を提供しています。
Playbook は誰もが実行できる成果の出る営業オペレーションを営業組織に実装し、誰でも標準的な活動ができる上に、データが蓄積され、そのデータを元に最適な営業活動を導きます。
そのため、どこにアプローチすべきか悩む時間が減り、活動量が増加すると同時に、提案の質を高めることに集中できます。
成果について
実際に導入企業では、下図のような成果が出ています。
例えば、凸版印刷様では、展示会で獲得した156件のリードから Playbook を使ったセールス活動で40件を商談化しています。
詳しい導入事例はこちらです。
Playbook のシステム・機能について
ここでは主に3つの機能についてご紹介します。
まず、聞くべき内容や収集すべき情報を Magic Moment の営業知見から型化し、営業活動を行うことが可能です。(図12)
型化された記録項目によって、営業の際に、ヒアリング項目の迷いを無くせます。
全員が使うことで聞くべき項目に対して、ワンクリックで記録することができます。また、記録したデータはリアルタイムで他のツールと連携され、同じ構造のデータが溜まります。
そのため、活用できるデータをためていくことが可能です。
また、蓄積されたデータを元に最適な案件、最適なアプローチのタイミングを Playbook が導き出すため、データ起点にしたアクションへ自動的になります。(図13)
Playbook を開くと、システムが提案した「最優先でアプローチすべき案件」を一目で確認でき、どこにアプローチすべきかの判断が不要となります。
Playbook が提案する「最優先でアプローチすべき案件」が確度が高いのは、図12で蓄積した顧客データに基づいて、最適な案件を出してくれているからです。
例えば、「期間が空いている」や「資料をダウンロードした」といった転換や成約につながる傾向のある顧客の行動と、Playbook で蓄積した顧客の反応をもとに「いま一番成約しやすい案件」や「何をすれば良いのか」を分析し、営業が取るべきアクションを提示します。
そのため、営業担当者は、必然的に確度の高い案件に徹底でき、かつすぐに実行できるため営業のスピードも改善されます。
また、システムは、営業活動の結果も取り入れ学ぶため、データが蓄積されるほどより確度の高い案件を教えてくれるようになります。
さらに、顧客とのコミュニケーションを自動化してくれる機能も特徴的です。(図14)
Playbook のシーケンス機能を使うと、あらかじめ顧客に合わせてアクションの条件を決めることで、条件を満たした顧客へのメールを自動、もしくはワンタッチで実行します。
定常的に発生するメールなど、顧客の状態に応じたコミュニケーションが効果的なタイミングで実行され、タスクの抜け漏れリスクを低減しながら活動量の大幅な向上を実現させます。
Magic Moment Playbook の成果は導入企業の実績ベースで担保され、多くの企業で営業の生産性向上に寄与しています。あなたの企業ではどのような成果が出るのか、費用対効果を知りたい方は、こちら から診断ができます。
また、詳しい製品情報については こちら よりお問い合わせください。
→ Magic Moment Playbook お問い合わせ
《引用文献》
1) IDC Japan 株式会社. “国内顧客エクスペリエンス(CX)関連ソフトウェア”. 2022年6月. https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ49281422, (参照 2023-05-25)
2) Mckinsey & Company社. “These eight charts show how COVID-19 has changed B2B sales forever”. https://www.mckinsey.com/capabilities/growth-marketing-and-sales/our-insights/these-eight-charts-show-how-covid-19-has-changed-b2b-sales-forever, (参照 2023-05-25)
3) ADAPTIVE SHIELD社. “New 2022 SaaS Security Survey Report Shines a Light on CISOs’ Perspectives for Today’s Enterprises”. 2022年4月. https://www.adaptive-shield.com/blog/new-2022-saas-security-survey-report-shines-a-light-on-cisos-perspectives-for-todays-enterprises, (参照 2023-05-25)
4) Revenue.io社. “2022 Customer Acquisition and RevOps Team Benchmarks” https://knowledge.revenue.io/hubfs/eBooks/revenue-2022-customer-acquisition-revops-team-benchmarks-report.pdf?utm_campaign=Decision%20Purch%20Q1%2022&utm_medium=email&_hsmi=206204485&_hsenc=p2ANqtz-92tJ5dFoFNlRo7aCZyqTAZuHFBxD3VRCmNde3xNawfNOKzjv7ziA5VtR5RacxXxMdbGSesXnQ5IJSwUoSpC1sTO1josQ&utm_content=206204485&utm_source=hs_automation, (参照 2023-05-25)
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