事業成長の源泉は活動やノウハウの蓄積。セールスの型化とデータ連携による SaaS ビジネス推進(実践編)
※ 本記事は2022年12月に取材しておりますが、2023年10月の持株会社TOPPANホールディングスの設立、TOPPANグループ全体でのDX事業推進を牽引する「TOPPANデジタル」の設立を受けて内容を修正しております。
凸版印刷における SaaSビジネスのスタンダードモデルを構築し、継続型ビジネスを事業ポートフォリオの一角を担う規模へと拡大させることを目指す DXデザイン事業部様。
自動校正サービス review-it! をグロースさせる上で、SaaSビジネスに適したセールスプロセスの構築に課題を感じ、Magic Moment Playbook (以下、Playbook) の導入と共に、営業領域の支援サービス Revenue Ops をご利用いただきました。
今回は【実践編】として、実際に Playbook を日々の業務でご活用頂いている、デジタルマーケティングセンター マーケティングテクノロジー部の平野様、竹本様、市場開発部の西村様、村上様と、ICT開発センターの棗田様、樫木様の6名に、業務上での変化や今後の取り組みについてお伺いしました(サービス導入の経緯については 戦略編 をご覧下さい)。
【課題】
- お客さまのリアルな情報を把握して的確な提案をしたい
- セールス経験の少ないメンバーが多い中で、効果の高いセールス方法を模索していた
【解決策】
- 各案件の進捗状況を見える化
- リード獲得、新規顧客開拓におけるアクションの精度向上
- お客さまと合意すべき内容を標準化
【効果】
- タスクの抜け漏れ、案件の取りこぼしを防止
- 受注に近い案件が見えることで、開発側との連携もスムーズに
- 商談化率やその後の遷移率が向上
受け身のセールス体制によって起きていた情報の不透明
ー皆さまそれぞれの役割と以前のセールス活動について教えて下さい。
西村様:私と村上は、市場開発部の市場開発チームに所属しています。このチームは営業出身メンバーで構成される販促チームであり、SDR(インバウンドで獲得したリードへのアプローチ) と BDR (アウトバウンドでの新規開拓)の役割を担っています。
その中で、基本的に SDR の活動として、営業部門を介しお客さまとコミュニケーションを取り、 review-it! のセールス活動を行っていました。具体的には、お客さまが持つ課題や現状の整理、商談の進捗状況確認などです。
平野様:私と竹本は、マーケティングテクノロジー部の DMC(デジタルマーケティングセンター)に所属しています。部署としては個別のお客さまに受託開発をすることが多いのですが、お客さまが共通で持っている課題にはパッケージ化したサービスを提供していこうということで、review-it! シリーズの事業立ち上げを行いました。
立ち上げ後は、戦略面のブラッシュアップを行いつつ、営業部門と連携してお客さまにご提案したり、市場開発チームの SDR・BDR で獲得した商談をクロージングし、カスタマーサクセスに繋げていく役割を担っています。
竹本様:私たちは営業部門がお客さまからヒアリングした情報を元に提案活動をしておりました。直接お客さまへアプローチをかけるスタイルではないため、まずは営業部門に review-it! を販売してもらうことが必要です。そのため社内におけるサービスの認知拡大にも注力していました
棗田様:私と樫木は、ICT開発センターに所属しており、review-it! シリーズを技術面から提案しつつ、社内のスクラム開発にも参画しています。営業と開発メンバーとの仲介役を担い、エンジニアとしての立場でセールスを分析することをミッションとしています。
ーそのような活動の中で、どのような課題がありましたか?
村上様:商談の場で的確なご提案をするために、お客さまの検討状況や温度感といったリアルな情報を把握し、解像度を高めることが課題でした。
平野様:お客さまのリアルな課題やニーズを把握し、事業計画の達成に必要なリードを能動的に獲得しなければならない状況でした。
また、自分たちで直接セールス活動を行うと思っても、営業経験が少ないメンバーが多かったため、どのようにアクションすれば良いのかが分からず、属人的に手探りで効果の高い商談方法を模索していました。
お客さまにどう変わって欲しいのかを言語化し、最適なセールス手法を定義
ー営業支援サービス Revenue Ops では、どのような取り組みを行いましたか?
竹本様:まずは現状の業務状況の整理と、理想とするセールスの進め方についての議論を Magic Moment の渡邊さん、伊藤さんにアドバイスを貰いながら行いました。
西村様:市場開発チームでは主にリード獲得から新規顧客開拓までの BDR のプロセスのブラッシュアップに注力しました。
顧客課題の仮説立てからトークスクリプトの作成/相互レビュー、ロープレといった活動を行なう中で、それぞれのアクションの精度を上げることができました。またそれと同時に、ただアポイントを取得するだけではなく、受注への確度の高い商談機会を生み出すという発想ができるようになりました。
ーMagic Moment Playbook を導入していく中では、どのような取り組みがありましたか?
平野様:セールス活動の前後でお客さまにどう変わって欲しいのかという状態を言語化し、そのために必要なアクションについて議論を行いました。トークスクリプトの作成では、お客さまとどのような合意を形成するのかといった、今までは個々に任せていた部分までを洗い出して、標準化しました。
展示会で獲得した156件のリードから Playbook を使ったセールス活動で40件を商談化
ーセールス活動において Magic Moment Playbook はどのように活用されていますか?
西村様:Playbook では、過去の商談の提案内容がまとめられているため、タスクの抜け漏れ防止や案件の取りこぼしを防ぐことに活用できています。
村上様:Playbook 上でメールを送付できる機能によって、案件の進捗管理も行っています。送付したメールについて、お客さまと自分のどちらがボールを持っているのかなど、全て Playbook 上で整理できるのが良いですね。
ー実際の業務は全体的にどう変わりましたか?
平野様:合意すべき項目を Playbook で明確化し、各案件の進捗状況が具体的に見える化されることで、全体の状況把握も容易になりました。どの案件が受注に近いのかが見えていることで、開発側のタスク設定やメンバー調整もスムーズになったと思います。
棗田様:Playbook を活用することで開発側からフロントとなるセールスに容易に案件情報を取りに行けるようになりましたね。
樫木様:案件状況を確認することで、お客さまとの商談で使用するデータ作成やサービスの環境設定、操作説明会の内容を準備する時間確保を早めに行うことができてスケジュールの組み立てがしやすくなりました。また商談の途中段階からアサインされる我々としては、お客さまごとにサービスを利用したい目的や現状抱えている課題などを Playbook で事前に確認できることで最適な準備を行えています。
竹本様:セールス活動においては、今まではアポイント獲得からトライアル、本導入までのセールス活動が標準化できていなかったので、担当者ごとに優先順位付けやヒアリング内容のバラツキがあったところが、Playbook を使ってからは、アプローチすべき顧客や合意すべき内容が明確化されているため、そのようなブレがなくなりました。
平野様:従来は感覚的に行っていた合意形成・ヒアリングなど定型化できるプロセスを極力標準化することでセールスの効率は上がったと感じます。また全体の振り返りやプロセスの最適化について議論する上で必要なデータが見える形で集まるようになりました。
ー組織やメンバーの皆さまの考え方に変化は現れましたか?
棗田様:活動内容やノウハウを型化していく考え方や文化が広がったと考えています。また、このようなツールを積極活用して成功事例を増やしていこうという考えを持つメンバーが増えましたね。
私としては、受注できなかったお客さまからも、フィードバックを頂いて振り返りを実施したり、お客さまの発言内容を分析するようになったと思います。以前では失注後にお客さまに対してどうあれば良かったか敢えて聞くなど考えもしませんでしたが、 Playbook にノウハウを貯めこむ上で、敢えて行うようになりました。当然、時には耳が痛い指摘もありますが…。
ーその指摘がプロダクトを一層大きく成長させていく糧になりますね。一方で、定量的な効果はありましたか?
西村様:分かりやすいところでは、展示会に参加した際に得たリードの商談化率です。初回アプローチでアポイントがとれなかったリード先へ Playbook のシーケンスによって2回目、3回目の後追いを漏らすことなく対応できたこともあり、156件のリードの内、40件という高い商談化率を達成することができました。従来の展示会から考えても、想定以上の商談機会を獲得することができ、弊社内でも注目されるサービスになってきたのではないかと思います。
平野様:リードタイムが長いため、これから成果として出てくる部分も多いですが、商談数は展示会対応後も順調に増えている一方で、スピード感や品質を落とすことなく対応できているところからセールスの効率が向上したことを感じます。
また、商談化後のトライアル決定率やトライアルから本導入への遷移率も向上しています。ここは Playbook を定着させていく中で、お客さまの予算や課題に沿ったご提案を意識するようになった点が大きいと思います。
データ活用と科学的なアプローチで目指す事業推進
ー最後に、今後 Magic Moment Playbook に期待することや、目指したい姿について教えて下さい!
樫木様:お客さまがどの機能に着目してサービスを利用したいと考えたのかなど、開発メンバーが知りたい内容を Playbook の項目に盛り込むことができているので、ここで蓄積されるデータを基に、迅速で継続的なサービス改善を行っていきたいです。
棗田様:今後も案件の状況把握・コミュニケーション改善のためにより多く活用しつつ、スクラム開発メンバーとの情報連携など利用方法を模索したいです。
西村様:今回の取組みを通して、セールスの型を作り実践することの効果が実感できたため、今後は複数のサービスの戦略作りや拡販にこの考えを広げていきたいと思います。
村上様:セールスの型を作ってアプローチする姿勢は、私たち販促部隊に限らず、営業部門など社内の方々でも必要とされる場面が多いと思いました。今後はこのような取り組みを社内の人に向けて積極的に発信していくこともやっていきたいです。
竹本様:今はまだ意識的に Playbook を開いているので、今後より自然と使えるような機能開発を期待しつつ、私自身もそれくらい日常的にプロダクトを使い込んでいきたいと思います。
平野様:竹本と同じく、タスク管理や追っかけの機能がメール通知と連携するなど、日常的なコミュニケーションツールを使いながらもシームレスに存在を意識できるようになると使い勝手がさらに良くなると感じます。また、ARR(年間経常収支)などの全体の業績が集計できるとなお嬉しいです。
今後は review-it! が拡大していくにつれて、セールス未経験のメンバーも増えると思います。そのため、初見の人でも使えるように、標準化の観点から Playbook を活用をしていきたいと思います。
また、定期的にスクリプトの項目を改善していき、より筋肉質なセールス活動を実践するために活用していきたいです。
「review-it!」に関する情報はこちら
https://review-it-proofreading.com/
採用に関する情報はこちら
https://www.wantedly.com/companies/toppan_dxd_ict
■基本情報
凸版印刷株式会社
設立:明治33年 (1900年)
業種:印刷関連
営業の型化にお困りであれば Magic Moment にお任せください
弊社では、営業活動の無駄をなくし、生産性を高める営業支援 SaaS「Magic Moment Playbook」を提供しております。
営業担当の勘や経験値に頼るのではなく、テクノロジーによって最適なアプローチをサポートすることで、誰もが顧客価値を最大化するための営業プロセスを実行できるようになります。
しかし、新規事業/新組織を構築する場合、急速な立ち上げが求められるものの、社内の人材にも限りがあるため、過去に営業プロセス構築の経験がないメンバーでプロジェクトが組成されるケースも多くあります。
そのため「そもそも自社の顧客にとって最適な営業プロセスがどういったものなのかを定義できていない」「営業オペレーションの構築のやり方が分からない」といった背景から、プロセス化に時間がかかったり、高い成果が上がるオペレーションにできないといった問題が起きやすくなります。
そこで弊社では、過去多数の企業様をご支援してきたノウハウを Revenue Ops としてサービス化し、お客様の営業組織に合ったターゲティングやプロセスの構築、営業資料の作成など、事業グロースの土台となる様々な周辺領域の支援を行っております。
Revenue Ops により貴社の状況に合わせた営業プロセスを構築した上で、 Magic Moment Playbook や Revenue BPaaS といったグロースを直接的にご支援するサービスと併せて活用いただくことで、飛躍的な成長を実現できます。
Revenue Ops のサービス内容は、お客様のご要望に応じてご相談可能です。
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