「商談が足りない」。この問いに、多くの会社は手段を足して答えます。展示会の小間を増やす。広告を足す。アポ代行を試す。営業を一人採用する。
それでも商談が思うほど増えないなら、見直すのは手段の数ではありません。手段ごとの「1件あたり」です。
Salesforceが2024年に世界の営業職5,500人から集めた調査では、営業は時間の70%を売る以外の仕事に使っていました。自社のデータの正確さを完全に信頼している人は35%でした。[1] 営業の時間は限られ、手元の数字も信頼しきれない。その状態で手段を足すと、どれが効いたのかが分からないまま、費用だけが増えます。
この記事では、BtoBの商談獲得の方法を10の手段に分け、比べる物差し、商談数を増やす順番、AIに任せられる範囲を整理します。
BtoBの商談獲得の方法は、10の手段に分かれる
商談を獲得する方法は、相手に来てもらう手段、こちらから届く手段、今ある接点を掘り起こす手段、外に任せる手段に分かれます。
| 手段 | 向いている場面 | 費用の出方 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 検索と記事(比較ページ・資料を含む) | 相手が自分で調べてから相談する商材 | 記事や資料をつくる人件費。成果が出るまで数か月かかる | すぐには増えない。上位に出るまでの間は、ほかの手段が要る |
| 広告(検索広告・SNS広告) | 探している人がいる商材 | 表示やクリックの数に比例 | 資料請求の件数ではなく、商談になった件数で見る |
| ウェビナー・セミナー | 課題を学びたい相手に届けたい | 企画と集客の手間 | 参加は相談の希望ではない。個別の相談は別に聞く |
| 展示会 | 業界の人が集まる場がある | 出展料・装飾・人員。1小間の総額の目安は110〜250万円[2] | 名刺の枚数ではなく、あとで商談になった数で見る |
| 電話 | 相手の会社と部門がはっきりしている | 人件費。かけた件数に比例 | 受付で止まりやすい。相手の役職と業務を先に確かめる |
| メール・問い合わせフォーム・手紙 | 電話で届きにくい相手 | 人件費と作成の手間 | 送ってよい相手か。営業の文に見えないか |
| 紹介・パートナー | 信頼が要る高額の商材 | 紹介料や共同の企画 | 件数が読みにくい。紹介先が話を聞くと了承しているか |
| 休眠リード・失注の掘り起こし | 過去の接点が多い | 人件費だけ。獲得の費用は払い済み | 止まった理由が記録に無いと、同じ話を繰り返す |
| アポ代行・営業代行・インサイドセールス代行 | 人手が足りない | アポ1件1.5万〜5万円[3]、固定報酬なら1人あたり月50万〜60万円[4] | 商談の質と、契約が終わったあとに自社に残るもの |
| 成果報酬のサービス | 欲しい商談の条件を言葉にできる | 条件を満たした商談の件数に連動 | 何を成果と数えるかを、始める前に決める |
どれか一つが正解ということはありません。商材の値段、商談の長さ、相手の役職で、合う手段は変わります。だからこそ、同じ物差しで並べる必要があります。
比べる物差しは「有効な商談1件あたりの実質単価」
表面の価格では比べられません。展示会は小間代、アポ代行はアポ1件の単価、営業代行は月額、採用は年収と手数料。単位がばらばらだからです。
同じ物差しにそろえるには、次の式を使います。
実質単価 = その手段にかかった費用の合計 ÷ 有効な商談の件数
費用には、社内の人件費も入れます。展示会なら準備と当日の人員、アポ代行なら受け取った商談に出る営業の時間です。
有効な商談は、自社が決めた条件を満たし、実際に行われた商談です。条件は、会社の規模、部門、相手の役職、課題、検討の時期などで決めます。アポの件数と、有効な商談の件数は同じではありません。
COST PER VALID MEETING
表面の価格ではなく、1件あたりで並べる。
相場として公開されている数字は、次のとおりです。
- BtoBのテレアポ代行のアポ獲得単価は、1件15,000〜50,000円がボリュームゾーン[3]
- 営業代行は、固定報酬型で営業1人あたり月50万〜60万円、受注まで任せる成果報酬型は売上の30〜50%[4]
- 人材紹介の手数料は、理論年収の35%程度[6]
- 展示会の出展は、1小間あたりの総額の目安が110〜250万円[2]
法人営業で商談数を増やす順番
手段を足す前に、次の順で並べ直します。今の施策をやめる必要はありません。
- 01今の商談の出どころを数える
先月の商談を、どの手段から来たかで分けます。記録が無いものは「不明」として数えます。不明が多いなら、まず記録を直します。
- 02有効な商談の条件を決める
会社の規模、部門、相手の役職、課題、時期。マーケティングと営業で同じ条件を使います。
- 03手段ごとに1件あたりの費用を出す
外に払った費用に社内の人件費を足し、有効な商談の件数で割ります。
- 04高い手段の予算の一部を、安い手段へ移す
全部を入れ替えるのではなく、一部を移して同じ物差しで比べます。新しい予算は要りません。
- 05毎月測り直して、入れ替える
1件あたりが高いままの手段は小さくし、安い手段を広げます。
営業のAIで、新規開拓はどこまで自動化できるか
Salesforceの同じ調査では、営業組織の81%がAIを試しているか、すでに導入していました。AIを使っている組織の83%が売上を伸ばし、使っていない組織では66%でした。[1] ただし、これはAIを使う組織と使わない組織の違いを並べた数字で、AIだけで売上が伸びたことを示すものではありません。
新規開拓の仕事を分けると、AIに任せやすいことと、人が行うことがはっきりします。
| 仕事 | AIに任せやすいこと | 人が行うこと |
|---|---|---|
| 対象 | 会社の規模や業種、採用や資金調達などの変化で並べ直す | 欲しい商談の条件を決める |
| 文面 | 相手ごとの下書きをつくる | 送る前に読み、営業の文に見えないか確かめる |
| 返信 | 断り・保留・関心ありに仕分ける | 断りの理由を読み取り、次の時期を決める |
| 記録 | 会話・メール・日程をCRMに残す | 記録を見て、次の打ち手を決める |
| 面談 | 日程を調整する | 相手と話し、商談として進めるかを見極める |
AIが増やすのは、主に「量」です。商談の「質」は、条件と会話で決まります。AIだけで商談は生まれません。
もう一つ大事なのが、AIが学ぶための記録です。どの会社に、何を伝え、どう返ってきたか。その記録が残っていなければ、AIは次の打ち手を良くできません。営業の記録が経営判断に使えない理由と確かめ方は、「営業のデータが経営判断に使えないのはなぜか」で書いています。
よくある失敗
- 件数だけを数える。 アポの件数と、有効な商談の件数は違います。件数の目標だけを置くと、条件に合わない商談が増え、営業の時間が減ります。
- 条件を決めずに外に頼む。 何を成果と数えるかが曖昧なまま始めると、あとで「質が低い」という話になります。成果の条件は、始める前に言葉にします。
- どの手段から来た商談かが残らない。 HubSpotの2026年の調査では、「顧客情報の管理方法は明確ではない・わからない」と答えた売り手が32.8%でした。[7] 出どころが残らなければ、受注までつながった手段が分からず、次の配分を決められません。
Revenue Platformで試す場合
Revenue Platformは、条件に合う商談を、成果に連動した料金で届けるサービスです。決めていただくのは、狙う対象、連絡しない相手(既存顧客や競合など)、商談の条件、予算の上限の4つです。条件に合う相手との日時確定済みの商談が届き、活動と成果は日次で確認できます。[8]
基本は、条件を満たした商談の分だけのお支払いです。固定の単価表はありません。成果の条件と、商談の難しさ(商材、市場、相手の会社の規模と決裁の階層、受注までの期間)に応じて、案件ごとに決まります。目安は、自社開拓の採算ライン診断(4項目、会社名や連絡先の入力は不要)で確かめられます。
今の手段と並べて比べたい場合は、「商談をつくる手段の実質比較」をご覧ください。
よくある質問
- BtoBで商談を獲得する方法には、何がありますか?
- 大きく10の手段があります。来てもらう手段(検索と記事、広告、ウェビナー・セミナー、展示会)、こちらから届く手段(電話、メール・問い合わせフォーム・手紙、紹介・パートナー)、今ある接点の掘り起こし(休眠リード・失注)、外に任せる手段(アポ代行・営業代行・インサイドセールス代行、成果報酬のサービス)です。どれが合うかは、商材と欲しい商談の条件で決まります。
- 法人営業で商談数を増やすには、何から始めればよいですか?
- 先月の商談を、どの手段から来たかで数えるところからです。次に有効な商談の条件を決め、手段ごとに有効な商談1件あたりの費用を出します。高い手段の予算の一部を安い手段へ移し、毎月測り直して入れ替えます。新しい予算は要りません。
- 商談獲得の費用は、どう比べればよいですか?
- 表面の価格ではなく、有効な商談1件あたりの実質単価で比べます。実質単価は、その手段にかかった費用の合計(社内の人件費を含む)を、有効な商談の件数で割った数です。Magic Momentのモデル計算では、展示会30〜45万円、アポ代行16.7万円、営業代行37.5万円、自社採用30万円でした。
- 営業のAIで、新規開拓は自動化できますか?
- 一部はできます。対象の会社の並べ直し、文面の下書き、返信の仕分け、接点の記録はAIに任せやすい仕事です。欲しい商談の条件を決めること、相手と話して商談として進めるかを見極めることは人が行います。AIだけで商談は生まれません。
出典・参照資料
- [1]Salesforce State of Sales(第6版、2024年)salesforce.com
- [2]ローカルマーケティングパートナーズ「展示会の出展費用」local-mp.co.jp
- [3]BowNow「営業代行 成果報酬型おすすめ10選」bow-now.jp
- [4]PRONIアイミツ「営業代行の費用相場」imitsu.jp
- [5]Magic Moment「商談をつくる手段の実質比較」magicmoment.jp
- [6]doda「人材紹介の手数料の相場とは?」saiyo-doda.jp
- [7]HubSpot Japan 日本の営業に関する調査(2026年)offers.hubspot.jp
- [8]Revenue Platform 専用サイトrevenueops.jp
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欲しい商談の条件から、手段の配分を一緒に整理します。
今の手段ごとの費用と商談の数、欲しい商談の条件を伺い、どこを増やし、どこを減らすかを整理します。