Magic Moment

TARGETED LEAD ENRICHMENT

リードエンリッチメントという考え方。必要な情報を獲得する

空欄を埋めるためではない。狙う企業、会いたい役割、接触する理由、到達可能性のうち、次の営業行動を変える情報だけを先に定めて獲得します。

マーケティング戦略Revenue PlatformMagic Moment 編集部約14分
TARGETED ENRICHMENTREQUEST → VERIFY → OWN
TARGET COMPANY狙う企業を先に決める市場 / 企業 / 除外条件
PERSON人物・役割
SIGNALなぜ今
REACHどう届く
RESPONSE何が起きた
ENRICH & VERIFY
CUSTOMER ASSET営業が動けるリード必要な情報と検証状態が、自社に残る

CRMを開くと、企業名、業種、従業員数、売上、所在地、Webサイトが埋まっています。

データは整って見えます。

しかし営業からは、別の質問が来ます。

この会社の、どの部門へ連絡すればよいですか。

今、話す理由はありますか。

誰ならこのテーマを判断できますか。

連絡してよい経路はありますか。

企業情報が豊富でも、この質問に答えられなければ新しい商談は始まりません。

リードエンリッチメントは、CRMの空欄を増やさず埋める技術として語られます。けれど、BtoBの新規開拓で必要なのは、項目数ではありません。

次の営業行動を変える情報が、足りているか。

そこから逆算します。

COMPLETE RECORD ≠ ACTIONABLE LEAD

企業レコードが埋まっても、会話は始まらない。

COMPANY RECORD埋まっている業種 / 規模 / 売上 / 所在地 / Webサイト
?営業が聞くこと誰に / なぜ今 / どう届く / 何を話す
ACTIONABLE LEAD動ける人物 / 役割 / シグナル / 到達可能性 / 反応
企業情報の充足と、新規開拓で行動できる状態の違いを整理したMagic Moment編集部の概念図です。

一般的なデータエンリッチメント

HubSpotはデータエンリッチメントを、連絡先や企業レコードの項目を自動で補完し、完全で新しい状態に保つ機能として説明しています。氏名と業務用メール、または企業ドメインを使って、商用データセット、第三者提供者、Web上の公開情報から検証済みの業務情報を探し、CRMの項目を更新します。[16]

用途として、フォームを短くする、リードスコアリングを改善する、役職・業種・企業規模でキャンペーンを絞る、ワークフローを起動する、といった例が挙げられています。[16]

Clayは、複数のデータ提供者を順番に照会し、企業規模などの欠損を補う方法や、標準データベースにない情報をAIによるWeb調査で見つける方法を提供しています。[17]

これらは、既にあるレコードを詳しく、正確に、使いやすくするエンリッチメントです。

BtoB新規開拓では、もう一つの使い方があります。

レコードを起点にするのではなく、狙う顧客と営業目的を先に置き、その目的に必要な情報だけを獲得する方法です。

「持っているデータ」ではなく「必要な判断」を先にする

たとえば、人事部門向けの新サービスを売りたいとします。

企業データベースから、従業員1,000人以上の企業は抽出できます。しかし、その後には多くの分岐があります。

  • 人材採用の責任者か、人材開発の責任者か
  • 本社一括か、事業部ごとの判断か
  • 採用数が増えているのか、配置転換が課題なのか
  • 既に類似サービスを導入しているか
  • そのテーマを今扱う理由があるか
  • 連絡してもよい業務上の経路があるか

全部を調べる必要はありません。商材と商談条件に関係する項目だけでよいのです。

INFORMATION CONTRACT

調査前に決める、五つの必要情報。

01 / TARGETどの企業か市場、企業規模、業種、除外企業
02 / ROLE誰と会うか部門、役割、判断への関与
03 / SIGNALなぜ今か採用、組織変更、IR、技術・事業の変化
04 / REACHどう届くか業務上利用できる接触経路
05 / OUTPUT最終用途対象判定、訴求、商談条件、優先順位
集められる情報を増やすのではなく、どの判断と行動に使うかを先に定める概念図です。実際の取得可否や利用条件は、情報項目と案件ごとに異なります。

この五つを決めると、「あると便利な情報」と「ないと動けない情報」を分けられます。

会社の創業年が提案に関係しないなら、今は要りません。決裁者の個人名を知っても、その人へ連絡する適切な方法と利用目的がなければ、行動には使えません。採用拡大が購買のきっかけになる商材なら、従業員数の静的な値より直近の求人変化が重要です。

情報の価値は、珍しさではなく、判断を変えるかで決まります。

企業、人物、シグナル、到達、反応を分ける

リードエンリッチメントで扱う情報は、五つの層に分けられます。

企業

業種、規模、所在地、事業内容、財務、利用技術など。対象市場に入るかを判断します。

人物・役割

会いたい部門、役割、職責、判断への関与。名刺にある肩書だけでなく、今回のテーマを誰が扱うかを見ます。

シグナル

採用、組織変更、IR、サービス導入、事業方針など、接触理由やタイミングを変える事実です。シグナルがあっても、購買意向を断定してはいけません。会話を始める仮説として使います。

到達可能性

業務上利用できる連絡経路があり、適切な目的と条件で相手へ届く可能性があるか。連絡先が存在することと、利用してよいことは別です。

反応

届いた、届かなかった。関心がある、今ではない、担当が違う、対象外だった。実際の反応は、次の接触と対象選定を変える情報です。

FIVE LAYERS

後ろの情報ほど、実行しなければ得られない。

01企業対象市場に入るか
02人物・役割誰との会話が必要か
03シグナルなぜ今、話すのか
04到達可能性適切な経路で届くか
05反応実際に何が起きたか
最初の三層は調査で補える場合があります。到達可能性と反応は、実際の連絡と検証を伴います。取得方法や利用可否は案件ごとに確認が必要です。

データベースの空欄補完は、主に企業・人物・シグナルを整えます。

狙った顧客へ届くためのエンリッチメントは、到達可能性と反応まで扱います。ここで初めて、「この情報を使って営業が動けるか」を確かめられます。

何でも集めるほど、良いわけではない

情報を増やすと、維持する責任も増えます。

誰が更新するのか。古くなったときにどう扱うのか。誰が閲覧できるのか。どの目的で利用できるのか。削除や利用停止の申し出へどう対応するのか。

個人情報保護委員会のガイドラインは、利用目的の特定と制限、適正取得、利用目的の通知・公表、データの正確性、安全管理、第三者提供などを事業者の義務として整理しています。[18]

情報がWebで見つかることだけを理由に、自由に収集・利用できるとは限りません。個人情報か個人関連情報か、取得元との契約、第三者提供、外国での取扱い、業界固有ルールなどで確認事項は変わります。

HubSpotも、エンリッチメント機能の利用者に対して、適用法令、通知、オプトアウト、同意・許諾を含む義務の確認を求め、個別の法的助言は自社の法務担当へ確認するよう案内しています。[16]

この記事は法的助言ではありません。実際の設計では、自社の法務・個人情報保護・情報セキュリティの責任者へ確認してください。

取得前に決める八つのこと

  1. 01
    利用目的

    営業対象判定、連絡、商談準備など、何に使うかを具体化する。

  2. 02
    対象と除外

    狙う企業・役割と、既存顧客、競合、連絡禁止先などを分ける。

  3. 03
    必要最小限の項目

    集められるからではなく、行動を変える項目だけにする。

  4. 04
    取得元と利用条件

    情報源、第三者提供、利用規約、国外取扱いを確認する。

  5. 05
    正確性と更新日

    古い情報を事実として使わず、検証状態を残す。

  6. 06
    アクセス権

    誰が閲覧、出力、更新できるかを限定する。

  7. 07
    配信停止・削除対応

    相手の意思を次の活動へ確実に反映する。

  8. 08
    成果との接続

    項目が増えたかではなく、接触、反応、商談が変わったかを見る。

この確認を後回しにすると、使えないデータと管理負担だけが残ります。

Revenue Platformの「リードアセット」

Revenue Platformの付帯サービス「リードアセット」は、一般的な企業リストの空欄補完とは違う位置づけです。

公式サイトでは「リストのエンリッチメントではなく、リード=人のエンリッチメント」と説明しています。連絡先だけの名簿ではなく、採用・IRなどの買いシグナルと反応データで検証した「到達可能なリード」を納品し、一度つくれば顧客の恒久資産として残す考え方です。[19]

顧客が指定するのは、次の内容です。

  • 狙う企業
  • 会いたい部門・役割
  • 商談や接触の目的
  • 必要な情報
  • 除外条件
  • 利用上守るべき条件

その条件に沿って情報を獲得・検証し、契約した範囲を顧客資産として残します。固定の項目、件数、価格、納期ではなく、公式サイトではリード一件あたりの従量・個別見積りとされています。[19]

FROM REQUEST TO ASSET

欲しい情報を決める。到達と反応を確かめる。自社に残す。

CUSTOMER SETS

顧客が決める

対象企業

会いたい役割

必要情報

利用目的・除外条件

ENRICH & VERIFY

獲得・検証

企業と人物

買いシグナル

到達可能性

反応データ

CUSTOMER ASSET

顧客に残る

契約したリード情報

検証状態

次の営業判断

継続利用できる資産

Revenue Platform専用サイトの公開説明をもとに、顧客が指定する内容とリードアセットとして残る価値を整理しています。取得項目、提供形式、利用条件は契約により異なります。[19]

公開していないのは、どの情報源をどう組み合わせるか、どの順序で調べるか、到達をどう判定するかといった内部の実行方法です。

顧客が判断するために必要なのは、方法のレシピではありません。自社が何を指定でき、何を受け取り、何に使えるかです。

リードアセットと商談創出は、目的が違う

リードアセットは、狙った人物と検証情報を自社へ残したいときに使います。

商談まで実行を任せたい場合は、Revenue Platformの中核サービスと組み合わせます。Revenue Platformは、対象市場、商談条件、除外条件、予算上限を合意し、AIと人が接点をつくり、条件に合う日時確定済みの商談を成果として届けます。[19][20]

欲しい結果選ぶ対象
CRMの企業・連絡先項目を補完し続けたい一般的なデータエンリッチメント
狙った企業の、会いたい人物と必要情報を資産にしたいリードアセット
対象への接触から条件に合う確定商談まで任せたいRevenue Platform
資産も商談も必要リードアセット+Revenue Platform

同じ「エンリッチメント」という言葉でも、納品物と成果地点は違います。

最初の依頼書は、一枚でよい

リードエンリッチメントを始める前に、次の一枚をつくります。

  • 対象企業の条件
  • 会いたい部門・役割
  • 今回の営業テーマ
  • 接触理由を変える情報
  • 必要な到達情報
  • 対象外・連絡禁止の条件
  • 取得情報の利用目的
  • 営業が次に行うこと

すべての項目を埋める必要はありません。分からないものを明示することが、調査の始点になります。

狙った顧客の、狙った情報を、狙って獲得する。

少し重ねすぎに聞こえる表現ですが、意味は単純です。

情報から顧客を探すのではなく、会いたい顧客から必要情報を決める。

それが、新規開拓で使えるリードエンリッチメントです。

国内の営業リスト・企業データサービスとの違いから見たい方は、こちらもご覧ください。

リストツール、日本市場のプレイヤー比較。継続契約は何を買っているのか

獲得済みリードを商談まで動かす方法は、こちらで解説しています。

「獲得した需要」を、営業に渡して終わっていませんか?

Sources

[16] https://knowledge.hubspot.com/records/get-started-with-data-enrichment — HubSpot データエンリッチメント [17] https://www.clay.com/use-cases/data-enrichment — Clay Data Enrichment [18] https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku — 個人情報保護委員会 個人情報保護法ガイドライン(通則編) [19] https://revenueops.jp — Revenue Platform 専用サイト [20] https://magicmoment.jp/revenue-platform — Magic Moment Revenue Platform 公式ページ

#リードエンリッチメント#リードアセット#ABM#企業データ#Revenue Platform

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