営業成績を高めるための分析方法、SFAを活用した方法も紹介
- 営業分析とは、営業チームのパフォーマンスをデータを用いて分析する手法のことである。
- 営業分析を行うことで、属人化された営業活動からの脱却や多様化した顧客へのニーズへの適切な対応を可能にすることができる。
- 営業分析は、動向分析によって市場の大きな動きを把握し、要因分析によって動向の真因を突き止め、2つの分析から得た仮説に基づいた検証分析といった流れで行われる。
- 営業分析を行う際には、SFA や CRM といったツールを活用することが有効である。
営業チームのパフォーマンスをデータを用いて分析する営業分析が重要となっています。営業分析を行うことによって、属人化された営業活動からの脱却や顧客のニーズへの適切な対応が可能となります。
営業分析には大きく7つの方法があり、SFA や CRM といったツールを用いるとより効率的に分析することができます。
今回は営業分析の概要から方法、具体的な営業分析の手法について解説します。
目次
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営業分析とは?
まずは営業分析の概要、営業分析が求められる理由について解説します。
営業分析とは?
営業分析とは、データを用いて営業チームのパフォーマンスを分析することです。営業分析を行うことによって、うまく機能している手法や結果に繋がりやすい顧客層、また各営業担当者がどのような課題点を抱えているのかなどの貴重なインサイトを得ることができます。
さらに、定期的に営業分析を行うことで顧客の行動履歴や行動理由、見込み顧客のコンバージョンと離脱のパターンなどを分析できます。
このような継続的な営業分析を通じて、最適なターゲットの選定や販売予測を立てることができます。
営業分析が必要な理由
営業チームに営業分析が必要な理由として、以下の代表的な2つを解説します。
- 属人化された営業からの脱却
- 顧客のニーズへの適切な対応
属人化された営業からの脱却
個人の営業スキルに依存した営業組織は、何が商談の成約や売上の貢献に寄与しているのかが分からないため、安定した売上をつくったり、将来の売上予測を立てたりすることができなくなります。
たとえ売上が向上したとしても、それは一過性で再現性がないものであり、組織やチームとしての安定性を欠いています。そのため、営業活動が属人化していると、パフォーマンスに再現性がなく、継続的な事業拡大のボトルネックとなってしまうでしょう。
こうした属人化した営業を脱却できるのが、まさに営業分析です。営業分析を行うことによって、トップセールスがどのような商品をどのように販売しているのかがわかるため、自社にとって理想的な営業の型を明確にできます。そして、その型を営業チームで共有することで、属人性を排した営業へと進化し、組織全体のパフォーマンスの底上げをすることができます。
結果的にトップセールスに依存しない営業組織を構築することができ、安定した営業成績の向上の実現につながります。
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顧客のニーズへの適切な対応
営業成績を向上するためには、顧客のニーズを適切に把握し、応えていくことが必要不可欠です。
営業分析では、売上の分析やコストの割り当て、収益の追跡が可能となるため、サービスの収益性の特定が容易となります。そのため、どのような商品・サービスが顧客から求められているのか、また何をするべきなのかを明らかにすることができます。
また、分析から明らかになった商談の成否を分けたポイントを集約して、提案の改善につなげることで、その顧客のニーズに即した商品・サービスの販売を行うことができます。
結果的に、顧客のニーズへの適切な対応を実現することが可能となり、営業活動の確度を高めることができます。
このようなニーズの分析から能動的に顧客にベストプラクティスを提案していくスタイルは営業の主流となりつつあります。以下の記事で詳しく解説しています。
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営業分析の方法
それではどのように営業分析を行えば良いのでしょうか。ここからは具体的な営業分析の方法を解説します。
基本的な営業分析の方法
営業分析には、以下3種類の基本的な手法があります。
- 動向分析
- 要因分析
- 検証分析
営業分析を行う際は、動向分析→要因分析→検証分析といった一連のプロセスで行われることが多いです。
それでは、これら3つの分析手法には、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
動向分析
動向分析とは、グラフなどを用いて、業界や商品、サービスなどの大きな動きを捉える分析手法のことです。動向分析では、業界のトレンドや売れ筋商品だけでなく、競合他社と比較した自社の立ち位置まで把握できます。
ただし動向分析はあくまでも大まかな市場の動きを捉えることを目的としているため、市場におけるニーズの動向や変化、自社の商品やサービスにあった顧客の傾向を分析することにも適していません。それゆえ、他の分析手法と組み合わせて使うのが一般的です。
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要因分析
要因分析とは、売上や業界の動向に影響を与える要因を捉える分析手法のことです。動向分析によって把握した市場の動きに基づいて、その真因を探ります。
要因を特定する際、データサイエンスを活用することがあります。要因分析と自社環境によって、自社が取るべき領域や今後の需要の予測を立てることができ、具体的な戦略立案の示唆を得ることにも繋がります。
ただし注意しなければならないのは、要因を推定できても、それはあくまで仮説の域を出ないということです。それゆえ、動向分析と要因分析から得られた仮説をもとに、次に解説する検証分析を行うことが重要です。
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検証分析
検証分析は、動向分析や要因分析で立てた仮説を確かなものにするための分析手法のことです。データに基づいてテストを行ったり、実践したりすることによって、仮説が正しいのか否かを細かく検証していきます。
なお検証分析では、単に分析するのみならずインサイトを抽出し、さらなる戦略の改善に活用することが大切です。何のために、分析をするのか目的を明確にしておくことがその一歩になります。
実践的な営業分析の方法
基本的な営業分析の精度を高めることで、今後の営業活動をより良い方向に導くことができます。ここからは実践的な営業分析の方法を解説します。
KPI分析
KPI とは、Key Performance Indicator の略で、重要業績評価指標のことを指します。営業活動において、売上高や新規顧客獲得数などに目標となる数値を KPI として設定し、目標達成するまでに必要な契約数や販売数を指標にします。
こうした KPI 分析によって、目標達成に向けて取るべき行動や作業量などが明確になり、営業計画を立てやすくなります。その結果として、業務効率や生産性の向上につながります。
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エリア分析
主に、ターゲットの母数が多くなる傾向にあるBtoC商材を扱う企業にて使われる手法です。
エリア分析とは、商品やサービスにおけるターゲットがどの地域にどれほど住んでいるのかを調査する手法のことです。人口統計や年代構成、高齢者数などのデータを用いて、営業すべき地域を絞っていきます。具体的には国勢調査のデータや、エリア分析を専門で行っている組織の公表データなどを用いるのが良いでしょう。
エリア分析を行うことで、特定のエリアにおける労働者や住民の属性や嗜好がわかるようになります。地域の風土まで理解・考慮できると、精度の高いエリア分析が可能となります。
行動分析
行動分析とは、営業担当者の行動を分析し、一人ひとりの行動の傾向を掴む分析手法のことです。各営業担当者のスキルの差をなくし、標準化を図ることを目的としています。
スキルの標準化ができていないと、担当エリアごとに成績が大きく異なる可能性があります。それゆえ、何をすれば業績がアップするのか、優秀な担当者とそうではない担当者では何が異なるのかなどを分析することで、組織全体の売上向上につながります。
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営業パイプライン分析
営業パイプライン分析とは、営業活動の一連のフローをパイプに見立てて、その中で改善すべき点を見つけ出す分析手法のことです。業界によって多少違いはありますが、営業パイプラインの中で分析対象となるメトリクスは、たとえば以下のとおりです。
- リード数
- リードの案件化率
- 成約率
- 案件の商談化率
- 商談化できた案件の大きさ
- 営業サイクルの長さ
- 実際に着手している案件数 など
各項目における定量的データを分析することで、ボトルネックや弱点が明確になります。それゆえ営業パイプライン分析を行えば、自社の課題や欠点を洗い出し、その対処法を検討できるようになります。
あわせて読みたい:営業チームの課題を見える化する 営業パイプラインの分析方法
商談分析
商談分析は、営業活動中の商談データを分析し、売上げ向上や成約率の改善に活用する手法です。
商談データを収集し、顧客情報や商談の進捗、関与者などの要素を整理します。
次に、商談の進行状況や成功パターン、失敗要因などを分析し、傾向や共通点を抽出します。
また、商談の成約率や売上に影響を与える要素を特定します。
これにより、営業担当者の強みや課題を把握し、適切な戦略を策定します。
さらに、商談分析を通じて、営業プロセスや提案内容の改善点を見つけ出し、効果的な商談方法を確立します。
顧客分析
顧客分析とは、自社の顧客の属性や購買履歴などを分析して顧客についての理解を深めることです。
自社の顧客層や顧客ニーズを理解することで、時代やニーズに合わせた戦略を立てたり、競合他社との差別化を図ったりすることができます。
分析対象となる顧客層はさまざまですが、既存顧客層を分析するケースが多い傾向にあります。
ただしリード獲得や新規開拓のために見込み客層を分析したり、掘り起こしのために過去に取引があったものの現在は取引がない休眠顧客層を分析したりする場合もあります。
分析する項目は商材・業種などによって異なりますが、主に以下の項目を分析対象とします。
顧客の属性(性別、居住地、年代など)
アクション履歴(顧客に行ったマーケティング施策、顧客との商談内容など)
購買履歴、取引履歴(商材、売上金額/契約金額など)
顧客の課題、ニーズ
顧客の趣味嗜好
購買プロセス/意思決定プロセス
顧客満足度(顧客エンゲージメントやNPSなども含む)
これらの分析を通じ、自社の顧客についての理解を深めます。
クラスター分析
「クラスター分析」は、大きな集団の中から、似たもの同士を集めてグループに分ける統計的な分析手法です。
クラスター分析では、生活者の購買データやアンケート調査などから、生活者や商品をクラスター分けします。
そのため、会員登録時に記入もしくは入力するようなデモグラフィック(属性)情報による分類とはまた違った分類が可能です。
たとえば、マーケティングの現場では次のような分析に利用されています。
- 顧客層の特性分け分析
- 店舗の取り扱い商品構成の分析
- 商圏の特性分析
- ブランドのポジショニング分析
SFA / CRM 活用した営業分析
営業分析を効率的に行うためには、SFA(営業支援システム)とCRM(顧客関係管理)を活用するのが一般的です。ここでは2つのツールについて解説します。
SFA
SFA とは Sales Force Automation の略で、営業支援ツールのことを意味しています。ブラックボックス化しやすい個人の営業活動や商談の進捗状況などをデータとして可視化することで、営業組織の生産性をあげることを目的としています。
SFA を活用することで、データに基づいて改善プロセスを回しながら、営業活動を実践できます。その結果、営業活動の成果に直結しない業務は削減できるため、メイン業務に注力できるようになり、安定して成果を上げることが可能となります。
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CRM
CRM とは Customer Relationship Management の略で、直訳すると顧客関係管理となります。文字通りの意味としては、顧客の情報を一元管理することで顧客の理解を深めるマネジメント手法のことを表しています。
SFA は内部の営業担当者を管理するためのツールであるのに対し、CRM は外部の顧客を管理するためのツールという違いがあります。
CRM を導入することによって、それぞれの顧客に応じた対応が可能となります。昨今の顧客ニーズの多様化にも対応できるでしょう。CRMによって顧客満足度が向上し、売上の拡大が期待できます。
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まとめ
営業チームにおいて営業分析が求められているのは、属人化しやすい営業からの脱却できるだけでなく、多様化した顧客のニーズに対して適切な対応が可能になるからです。
営業分析を行う際には、まず動向分析によって市場の大きな動きを把握し、次に要因分析によって動向の真因を突き止めます。これらの動向分析と要因分析から得た仮説に基づいて、検証分析を行うという流れで進めることが重要です。
また営業分析を行う際には、SFA や CRM といったツールを活用することを推奨します。SFA は内部の営業担当者を管理するのに対して、CRM は外部の顧客情報を管理します。対内・対外の両方をデータに基づいて管理することで、生産的な営業活動を実現できます。
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