米国の先進企業が示す2023年以降のエンゲージメント営業の未来
- 現在のインサイドセールス組織は顧客行動の変化から会話量の減少や商談化率の低下、コストの上昇に直面している
- 数少ない機会から有効な商談を創出していくためにも、エンゲージメントに着目した営業の重要性が増している
- エンゲージメント向上のテクノロジーの市場規模や企業投資は年々増加している
- Sales Engagement Platform はあらゆる営業にとって必須のテクノロジーだといえる
Revenue.io のレポート 「Revenue.io Sales Engagement Predictions for 2023 and Beyond」1)によると、調査対象となった1150万件のインサイドセールスの顧客との会話のうち、インサイドセールスの顧客との会話量や商談化率の減少、見込み顧客との会話のコストの上昇に多くの組織が悩まされているといいます。
日本においても大企業を中心にインサイドセールスの導入が進むなか、上記の環境変化は決して無視できるものではありません。背景には購買プロセスの主導権を顧客が握りつつあることが挙げられます。例えば、デジタル化が進む昨今、顧客は営業担当者に出会う前に、購買プロセスの約67%を既に終えています。
この記事では、インサイドセールスを中心とする営業組織が直面する課題とエンゲージメント型営業の未来を Revenue.io の調査と弊社 Magic Moment の知見を用いて解説し、営業組織が取り組むべき対応を考察します。
目次
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見込み顧客との会話そのものが困難な時代へ
Revenue.io のレポートが示すのは、インサイドセールスにおける3つの変化です。
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電話での顧客との会話量の減少
まず1つ目は「顧客との会話量の減少」です。2021年から2022年にかけて、Sales Development Representive と呼ばれるインバウンド型のインサイドセールス(以下 SDR )と顧客との会話量が 11.7% 減少していることがわかっています。また、2022年から2026年までの間には SDR と顧客の会話量は1年ごとに9〜11%減少すると考えられています。
また、「Gartner の調査」2)によると、B2B企業の担当者が製品を購入する際に相手企業の営業担当者との商談に費やす時間はたったの 17% となることがわかっています。そして、この数値は、顧客が複数社を比較している場合には、5〜6%まで減少してしまい、顧客と営業担当者の接触機会がいかに減少しているかがわかります。
つまり、現実的には顧客は多くのサービスを比較検討しているため、実態としては SDR により厳しい環境になってきていると言えます。
背景には販売チャネルが多様化したことで、顧客が営業担当者との接触を必要だと感じなくなっていることが挙げられます。実際に、顧客は営業担当者が接触する前に購買プロセスの約 67 %を既に終えていることがわかっています。
営業担当者が直接顧客にアクセスし、顧客の意思決定に影響を与える機会は以前と比べて少なくなっています。現在、BtoB の顧客はインターネットを通じて事前に商品・サービスや他社との比較検討に関する情報を入手しています。
つまり、デジタルで購買活動を行う顧客に適したコンテンツを提供するなどのナーチャリングの重要性が増しているとも言えます。
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顧客の商談化率の低下
次に「顧客の商談化率の低下」が挙げられます。SDR は見込み客との会話をさらに商談へとつなげることに苦戦しています。
「Revenue.io の調査」3)によると、2022年 SDR は100会話あたり5.3個の商談を獲得していますが、その数は2021年と比較して 8.6% 減少していることがわかっています。また、「The Bridge Group の調査」4)では、SDR が営業活動において顧客に有効な会話を実施した回数が2014年と比較して 45% 減少していることが示されています。
このように現在、SDR は顧客との会話から商談につなげることに苦戦しており、さらに有効な会話を生み出すことができていないことがわかります。
こうした課題の原因としては、営業担当者が次なるアクションを明確にすることができていない、顧客の状態を理解しておらず不適切な提案をしてしまっていることにより、商談へとつながる機会を損失してしまっていることが考えられています。
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顧客との会話にかかる平均コストの上昇
さらに、「顧客との会話にかかる平均コストの上昇」も大きな課題となっています。
B2B企業の見込み客との会話には、1社あたり平均で411ドルかかることがわかっており、この価格は2026年に647ドルまで増加すると見込まれています。
これにはいくつかの原因が考えられており、その1つは、見込み客が電話を警戒している点が挙げられています。先ほど述べたようにインサイドセールスの商談化率が低下するにつれて、よりマーケティング部門がコストをかけてインバウンドリード獲得にコストを費やすことが必要になります。
また、Revenue.io は急激なインフレ進行とそれに伴う FRB政策金利上昇、東アジアやロシア-ウクライナにおける地政学リスクの高まりなどの主に米国情報技術セクター企業に影響を与えるリスクの高まりを考慮すると、年間約10%のコスト上昇をもたらすと見込んでいます。また、2022年の第2四半期のスタートアップのベンチャーキャピタル資金調達額は23%減少し、これは直近10年間で最大の下落幅となっています。
つまり、顧客との会話量の減少と商談化率の低下、コストの上昇、リスクの高まりを考慮すると、企業はより見込み客のコンバージョン率を高める必要性があります。
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データ起点でエンゲージメントを高める組織への転換
先述のインサイドセールスを取り巻く困難な環境に対応していく際の考え方として、自社のコントロールの及ばない環境にキャッチアップしていくことです。
つまり、インサイドセールス組織が限られた機会をものにし、成約につなげるためにはより顧客が選択するチャネル上で、最適なアプローチをすることが大切です。幸い、顧客行動のデジタル移行には、サプライヤーにとってのチャンスでもあります。
より多くの顧客の行動履歴のデータを収集できるからです。
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リアルタイムに正確なデータを取集/インサイトを抽出する
顧客ごとに適したアプローチの実現には、顧客が求めているものを知るデータが必要です。ただ、多くの企業では「入力項目がバラバラ」「必要なデータが分からない」「管理が複雑化している」などの要因が重複し、正確かつ透明性かつリアルタイムなデータを取得できている企業はわずかです。
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前提として、より少ないリードから成約につなげる際の重要なポイントは、シームレスな顧客体験を提供することです。
顧客が認知してから利活用するまで顧客の体験に沿ったアプローチを行うようにします。例えば、インサイドセールスはなぜセミナーでコンバージョンしたのか、何を知りたいのか、目的は何なのかをマーケティング部門と同水準で把握していなければなりません。
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しかし、ボトルネックとして存在するのが、部門ごとに保有するデータの構造や項目、質が異なることです。
業務デザインの管理を担う担当者や部署が不足している、部門ごとに導入しているツールが異なるといったことを原因として、部門間でデータが共有されず、情報を適切に活かすことができていないないことが多いです。データが分断されていると業務も分断され、顧客体験を悪化させてしまうことにつながりかねません。
そのため、顧客の行動履歴やデータを部門横断で収集することが必要不可欠です。顧客情報が一箇所にまとまっていれば、より高い確率で顧客を商談、そして成約につなげることができます。
データを活用した顧客へのアプローチでエンゲージメントを高める
次に部門横断で収集されたデータを活用し、顧客のエンゲージメントを高めることが必要です。
限られたリードを商談へつなげていくためには、顧客が次の購買ステージへ進むためのメッセージやコンテンツを適切なタイミングで送ることが大切です。そのためには、顧客が求める情報の仮説と自社のアプローチ、その接点を仮説として立てていくようにしましょう。
その際、何をどのようなタイミングで顧客と合意していくのかを事前に決め、項目として定め、活用できるようにしておくことが必要です。下記図のように、決めた項目をもとに営業担当者の日々のアクティビティを記録することで、顧客と営業の状態を一目で把握することができます。
CRM を上回ったエンゲージメントテクノロジーの急進
前述の顧客との会話減少や商談化率低下などの課題をクリアにしていく手段としてスポットライトを浴びるのがエンゲージメントを向上させるテクノロジーです。
商談化率を高めるリアルタイムな会話ガイダンス
リアルタイムな会話ガイダンス(Real-time conversation guidance)とは、AI にもとづいて顧客との会話中に聞くべき質問や競合に関する質問への回答、担当者の振る舞い方など転換率に影響するミスを防ぐテクノロジーです。
Revenue.io によると、このテクノロジーを採用する SDR チームは採用していないチームと比べて商談化率が20.1%高く、2025年までには、ソフトウェ企業のうちこのテクノロジーを採用する企業の割合が11%から58%にまで増加すると見込まれています。
また、「Gartner の最新の予測」5)では、世界の IT 支出は2022年には4.4兆米ドルに達し、2021年から4%増加しています。
Sales Engagement Platform の台頭
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Sales Engagement Platform とは、営業担当者が見込み顧客や既存顧客とのコミュニケーションをより効果的に実行できるようにするテクノロジーのことです。SFA/CRM 内のデータ分析や売上予測の自動化や分析結果を踏まえた次に取るべき最善のアクションを担当者に教えてくれる機能などがあります。
「FACT.MR の調査」6)によると、このセールスエンゲージメントソフトウェアの市場規模は、21年の50億ドルから22年には74億に増加すると見込まれていて、22年からの10年間に市場規模はさらに4倍になると見込まれています。日本においても CAGR は13.3%と見込まれています。
また、企業投資額は CRM を上回っていてその注目度の高さが伺えます。
Sales Engagement Platform は見込み顧客との会話に最も有効である
「Gartner」 7)によると、インサイドセールス組織の87%がこのテクノロジーを採用しており、92%が営業に不可欠であると位置付けています。また、ROI は CRM を上回ります。
あわせて読みたい:世界的調査機関 Gartner が重要だと位置付ける セールスエンゲージメントプラットフォームとは
質と量の変数双方を上げるセールスエンゲージメントプラットフォーム Magic Moment Playbook
Magic Moment Playbook は営業のアクションをデータで自動化し、誰もが営業の活動量と商談成約率を同時に伸ばすことで営業組織の売上向上と生産性拡大をできるツールです。
こちら からお問合せすることで、あなたの組織で期待できる ROI をシュミレートすることできます。
また、Magic Moment Playbook を詳細に解説した資料を下記からダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
「営業の質と量を上げる」Magic Moment Playbook の詳細は、こちらをご覧ください。
《引用文献》
1)Revenue.io,https://www.revenue.io/ebooks/top-five-trends-revenue-io-sales-engagement-predictions-for-2023-and-beyond,(参照 2022-11-29)
2)Gartner,The B2B Buying Journey,https://www.gartner.com/en/sales/insights/b2b-buying-journey
3)Revenue.io,Revenue.io Releases Data-Backed Sales Engagement Predictions for 2023 and Beyond,https://www.revenue.io/blog/revenue-io-releases-data-backed-sales-engagement-predictions-for-2023-and-beyond,(参照 2022-11-29)
4)The Bridge Group,The 2021 SDR Metrics Report is Here, https://blog.bridgegroupinc.com/2021-sdr-metrics-report,(参照 2022-11-29)
5)Gartner, Gartner Forecasts Worldwide IT Spending to Reach $4.4 Trillion in 2022,https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2022-04-06-gartner-forecasts-worldwide-it-spending-to-reach-4-point-four-trillion-in-2022,
6)Fact.MR, Sales Engagement Software Market Outlook (2022-2023),https://www.factmr.com/report/sales-engagement-software-market
7)Gartner, Sales Engagement: The Definitive Guide for Platform Selection, https://www.gartner.com/en/articles/sales-engagement-the-definitive-guide-for-platform-selection
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