2020年こそ営業組織の生産性向上を目指すべき理由とは?
- 少子高齢化やコロナ、新たなテクノロジーの発展により、限られた経営資源で売上を最大化するために、営業生産性の向上に取り組む必要性が出てきた
- 生産性の向上をするためには属人性を排除した営業プロセスへの転換が挙げられる
- 属人性を排除した営業プロセスへ転換していくためには自組織をデータで把握する必要がある
我が国は、これまで経験したことのない少子高齢化の進展という未知の世界に入ろうとしています。また、突如として現れた新型コロナウイルスの感染拡大は、大くの企業の業績に影を落としています。
ここからは、我が国が直面する社会環境の変化、それが企業の存続にどのように関わるのか、そして企業はなぜ営業組織の生産性向上が必要なのかについて紹介します。
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目次
社会環境の変化
少子化
我が国の15歳未満の子どもの数は、平成元年の2320万人から令和の時代に入って787万人も減っています。また総務省統計局の調査1)によると日本は、人口4000万人以上の国のなかで子どもの割合が11.5%と最低です。これは何を意味するのでしょうか。
一つには、未来の消費者の数が減少することを意味します。そして、このことは全ての企業に大きな影響を及ぼすことになります。なぜなら、消費経済は基本的に人口が減った分市場が小さくなるからです。
企業はこうして縮小した市場のなかで限られたパイを他社と奪い合うことでしか生き残ることはできず、いずれコストを削減することで利益を確保しようとするようになるでしょう。また、場合によっては市場からの撤退を求められる企業も出てきます。
労働力人口の減少
少子化の進展は、労働人口の減少にもつながります。厚生労働省2)によると、2040年の日本の就業者数は2017年に比べて20%減る可能性があるとしています。これは明らかに、日本の成長にとって大きな制約になってきます。
これまで通りの労働力を確保するには、これまで労働人口としてカウントされなかった高齢者や女性などに就労を促す施策が求められます。また、生産性を向上させて労働者一人当たりが生み出す付加価値を向上させることも必要です。
いずれにしても、政府だけでなく労働者を雇っている企業にとっても、労働力の確保は喫緊の課題となっていると言っても過言ではありません。
高齢化
総務省が2023年4月に発表した人口推計3)によれば、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が、29.0%と過去最高になったといいます。これは、結果的に社会保障費の増大となって国民に重くのしかかることになります。
社会保障費は、最終的には国民が納税する税金によって賄われます。それは法人である企業も例外ではありません。つまり、社会保障費の一部は企業が納税する法人税等によって賄われるということです。将来、法人税率等が引き上げられることになれば、企業の利益を圧迫する要因の一つになります。
利益を確保するには、売り上げはそのままでコストを削減する、コストはそのままで売り上げを増やす、あるいはその両方しかありません。それは取りも直さず、生産性の向上に他なりません。
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新型コロナウイルスの感染拡大
少子高齢化が進展する我が国に、新たに新型コロナウイルスの感染拡大という逆風が吹きました。
2023年現在では、感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じあ「5類」に移行しましたが、新型コロナウイルス下で進んだ働き方改革が新たな局面を迎えています。
単純なコロナ前には回帰せず、普及したテレワークやITツールを駆使した働き方への関心は高まるでしょう。
働き方改革の影響は場所選びにとどまらず、社員の価値観やキャリアの変容、購買行動の変化にもつながっており、営業方法の目まぐるしい変遷についていくために、今から手を打っておいて損することはありません。
具体的には、限られた経営資源で売上を最大化するために、営業生産性の向上に取り組むことです。
テクノロジーの発展
クラウド・機械学習などのテクノロジーの発展によって、これまで高額だったサービスの低価格化が進んでいます。その中心が SaaS(Software as a Service)です。パッケージで一括購入するしかなかった業務支援ソフトウェアなどが、定額制のサブスクリプションで利用することができるようになりました。このようなツールを活用することで、自社のビジネスの効率化・コスト削減を実現できるでしょう。
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営業生産性向上の必要性
営業生産性を低下させる要因
営業生産性というのは、投入された経営資源に対するアウトプット、つまり売り上げの割合を指します。そして、この営業生産性を低下させる要因は、内的要因と外的要因とに分けて考えることができます。
内的要因というのは、主に営業担当者に帰することができる要因のことです。一番多いのは、無駄な時間を使うことです。具体的には、反応が薄い見込み客に営業攻勢をかけること、長い時間をかけて不必要な資料を作ること、そして、意思決定権限がない相手に営業攻勢をかけることなどが含まれます。
外的要因というのは、先に紹介した社会環境の変化が該当します。少子化は、未来の消費者数が減少することを意味します。また、新型コロナウイルスの感染拡大は景気悪化を伴い、結果的に得意先や市場の喪失につながる可能性があります。これらは、いずれも自社の売り上げが減少する可能性を秘めており、営業生産性を低下させる要因となり得ます。
いずれにしても、営業生産性を向上させるということは、限られた経営資源で売り上げを増やすことを意味し、事業を成長させるカギとなるといっても過言ではないでしょう。
営業生産性を向上させる施策
営業生産性を向上させる施策として、様々な方法論が提唱されていますが、ここでは営業担当者に焦点を当てることにします。
営業生産性を向上させる施策の一つ目は、属人性を排すること(参考)です。
具体的には、ともすれば属人的なスキルに依存すると思われがちな営業プロセスを可能な限り標準化させていくことです。個々人の営業担当者の裁量に任せた方がトップセールスの成績は伸びるかもしれません。しかし、企業が個人に依存する体制は長くは続かないうえ、常に大きなリスクを抱えています。労働力人口が減少するなか、「誰でも成果が出せる営業組織」は、企業にとっても、すべての営業担当者にとっても理想の組織ということができるでしょう。
もう一つは、営業プロセスを見直すことです。
これは標準化と並行して行います。具体的には、好成績を残している営業担当者の行動特性を基に、最適な営業プロセスを探し出します。この際に重要となるのは、各営業プロセスごとに業績を評価するための指標を定めることです。それによって、営業担当者の行動が可視化(参考)できるようになります。
こうした営業プロセスを見直す際にカギとなるのは、そのプロセスを再現可能で制御可能なものとすることです。そうすることによって、科学的にマネジメントができるようになるからです。
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営業組織セルフチェックのすすめ
自組織をチェックする難しさ
生産性を向上させる営業組織の“あるべき姿”が明らかになったとしても、それだけでは営業組織の課題が明らかになる訳ではありません。なぜなら、自社の営業組織の現状とあるべき姿とのギャップが抽出できてはじめて課題が明らかになるからです。
企業は、自社のあるべき姿と現状の差異がどこにあるのかを特定し、資源投入すべきところを判断する必要があります。
しかし、自社の営業組織の現状を把握するのは必ずしも容易ではありません。なぜなら、内部の人間ではどうしても判断が主観的になる傾向があること、組織風土や組織文化といった定性的なことでは客観的な判断が難しいことがあげられます。では、どうすればいいのでしょうか。
行動の第一歩は定量的なスコアの算出
客観的な判断をするためには、まず営業組織のスコアを調べてみることをおすすめします。スコアという定量的な指標が明らかになれば、スコアが低い部分に課題があることが分かり、営業組織が進むべき方向性も明らかになります。それは結果的に、限られた経営資源を無理なく無駄なく投入することにもつながります。
営業組織の生産性向上のための第一歩は定量的なスコアの算出からはじまります。ぜひ貴社でもはじめてみませんか。
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《引用文献》
1)総務省統計局.統計トピックス(人口推移).統計局ホームページ.2023-04.https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1371.html#aI-1.(参照2023-05-23).
2)厚生労働省.平成30年度第8回雇用政策研究会議事次第.雇用政策研究会.2019-01.https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204414_00001.html.(参照2023-05-23).
3)総務省統計局,人口推移(2022年(令和4年)10月1日現在)結果の要約.総務省統計局.2023-04.https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2022np/index.html.(参照2023-05-23).
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