MAGIC MOMENT編集部|部門別AI設計
AIは全社共通。仕事の完成条件は、部門ごとに決める。
全社でそろえ、部門で決める。
ID権限情報管理監査費用
ライセンスは共通。仕事の完成条件は部門別。
「Copilotを、営業ではどう使うのか」
「人事では」
「経理では」
全社導入が決まると、経営やAI活用推進室は各部門へ利用例を求めます。
集まるのは、会議の要約、メールの下書き、資料作成、市場調査です。すぐ試せて、効果も感じやすい仕事です。
ただ、部門の成果へ進もうとすると止まります。
営業なら、顧客との事実をCRMへ戻し、次の行動を決め、案件を前へ進める必要があります。経理なら、数値の正本と承認を守らなければなりません。人事なら、閲覧できる個人情報と判断権限が職務によって変わります。
同じCopilotを使っても、完成させる仕事は同じではありません。
全社標準AIと現場が実際に使うAIが分かれる理由は、Copilotを全社導入したのに、現場は別のAIを使う。企業AIの「二重構造」はなぜ起きるのかで詳しく扱っています。
ライセンスと統制は全社共通。仕事の完成条件は部門別です。
全社ではAI、ID、権限、情報管理、監査、費用を決めます。部門では正本データ、仕事の文脈、許可する行動、人の承認、結果の返却先、成果指標を決めます。
利用例を集めるだけでは、業務設計にならない
ギブリーが2024年に行った、同社ウェビナー参加者244人への調査では、Copilotの利用はTeamsでの会議議事録・要約が中心でした。利用上の懸念として51.3%が生成内容の品質・正確性を挙げ、48%以上が活用事例やAIリテラシーの不足を挙げました。6割を超える回答者が、実際の業務現場における具体的な利用シナリオを求めていました。[3]
これは全企業を代表する調査ではありません。Copilot活用を扱うウェビナー参加者の回答です。ただし、「使い方が分からない」という導入後の悩みを具体的に示しています。
そこで、部門別プロンプト集、研修会、活用コンテストが始まります。
これらは利用の入口を作ります。しかし、利用例は仕事の一部分です。
「会議を要約する」の次に、誰が何を判断するのか。「メールを作る」の前に、どの顧客データを使ってよいのか。「資料を作る」の後に、どのシステムへ結果を戻すのか。
業務の始まりと終わりが決まっていなければ、AIの利用場面だけが増えます。
全社共通層と部門業務層を分ける
Copilotの部門展開は、二つの層で考えると整理できます。
全社共通層
全社で共通にするのは、安全に利用を始め、管理し続けるための条件です。
- 会社が利用を認めるAI
- 利用者のID
- データへのアクセス権限
- 入力・出力の情報管理
- 操作と判断の監査
- ライセンスと従量利用の費用管理
Microsoft 365 Copilotは、Microsoft 365のサービス境界内で動作し、Microsoft Graphを通じて、サインインした利用者が権限を持つデータへアクセスします。[5]
この共通基盤があるから、部門ごとに別のAIと別の認証を増やさずに済みます。
ただし、全社共通層は、各部門の仕事を自動的に定義しません。
部門業務層
部門ごとに決めるのは、仕事を完成させる条件です。
- 何を正本とするか
- AIが読むべき文脈は何か
- AIが提案してよい行動は何か
- AIが実行してよい行動は何か
- どこで人が承認するか
- 結果をどこへ戻し、何で成果を測るか
同じ「顧客」という言葉でも、マーケティングの対象企業、営業の商談、経理の契約・請求、カスタマーサクセスの利用状況では正本も目的も違います。
部門差を無視してデータだけをまとめると、見られる情報は増えても、仕事の責任が曖昧になります。
Microsoftも、チャットから業務の文脈と実行へ進んでいる
Microsoftの2026 Work Trend Indexは、10か国でAIを使う2万人への調査と、Microsoft 365 Copilotの10万件を超える会話の分析に基づいています。Copilot会話の49%は、分析、問題解決、評価、創造的思考などの認知的な仕事を支えていました。[4]
Copilotは、文書の下書きだけをする製品ではありません。
MicrosoftはWork IQを、Microsoft 365と外部システムにまたがる組織データ、文脈、ツールをエージェントが扱うための業務知能層として説明しています。利用者単位のアクセスとポリシー、監査、費用管理も含みます。[6]
Microsoft 365 Copilot connectorsには、外部コンテンツをMicrosoft Graphへ同期・索引化する方式と、Model Context Protocol(MCP)を使って外部システムから必要なときに取得する方式があります。[7]
つまり、方向は明確です。
AIの画面へ人が情報を持ってくるのではなく、利用者の権限と会社の統制を保ちながら、AIが仕事に必要な情報へ届くようにする。
ただし、接続方法だけでは、部門の完成条件は決まりません。
部門ごとの設計は、六つの欄で書ける
各部門へ「Copilotの使い方を考えてください」と依頼する代わりに、次の六つを書いてもらいます。
どの状態になれば仕事が終わるか
事実と結果を持つ業務システムはどこか
判断に必要な人・履歴・条件・制約は何か
AIが提案・実行してよいことは何か
どの判断を誰が引き受けるか
時間、品質、顧客、事業の何を測るか
営業
- 完了:顧客と合意した次の行動が設定され、実行されている
- 正本:CRMの取引先、担当者、商談、活動
- 文脈:過去の会話、決裁条件、懸念、合意、約束、反応
- 行動:商談準備、フォロー案、CRM更新、担当者への依頼
- 承認:顧客への送信、価格、契約、重要な案件判断
- 成果:準備時間、記録率、対応漏れ、次回行動、案件の前進
マーケティング
- 完了:対象顧客の反応と商談結果を確認し、次の施策判断ができる
- 正本:施策、接点、CRM、商談結果
- 文脈:対象、訴求、接触履歴、商談条件
- 行動:分析、対象抽出、施策案、予算案
- 承認:対外発信、個人データ利用、予算変更
- 成果:増分効果、商談、粗利、次の配分
財務や人事も同様に書けます。ただし、Magic Momentが各部門の正本や判断基準を一律に定義するわけではありません。ここでは全社設計の型を示しています。
営業では、CopilotとCRMを同じ仕事へ入れる
MicrosoftのSales agentは、CRMデータ、過去の顧客会話、メール、Teams会議、Teamsメッセージを自然言語で扱います。[8]
取引先や商談の要約、過去の会議の確認、案件情報の検索、商談準備とフォローを、Copilotの中で進められます。利用には、Sales agentのインストール、CRMへのサインイン、必要なライセンスと管理者設定があります。[8]
営業の部門設計は、次の一つの流れになります。
この流れで重要なのは、AIの回答より前にある顧客接点と、回答より後にある実行結果です。
会議要約だけが残り、正しい商談へ結ばれない。電話や対面の事実が抜ける。次の行動を実行しても、顧客の反応がCRMへ戻らない。
この状態では、同じCopilotを導入しても、利用者ごとに見える仕事が変わります。
最初の30日は、一部門・一業務・一成果
全社横断のデータ統合計画を完成させてから始める必要はありません。
1週目:一つの仕事を選ぶ
毎週繰り返され、現場が困っていて、完了を測れる仕事を選びます。
営業なら、商談準備、会議後のフォロー、CRM更新、マネージャーの案件確認などです。
2週目:事実の場所と権限を確認する
必要な情報を並べます。
Microsoft 365にあるもの。CRMにあるもの。別のツールにあるもの。担当者の記憶にしかないもの。利用者が見てよいもの。見せてはいけないもの。
3週目:提案、実行、承認を分ける
AIが案を出すだけでよい仕事と、更新や送信まで任せる仕事を分けます。
顧客への送信、価格、契約、個人情報、重要な案件変更は、人の承認が必要かを明示します。
4週目:業務の完了を測る
AIの利用回数ではなく、対象業務がどう変わったかを見ます。
- 探す時間は減ったか
- CRMへ必要な事実が戻ったか
- 次の行動が設定されたか
- 対応漏れは減ったか
- 顧客との仕事は前へ進んだか
一つの業務で成立したら、二つ目へ広げます。
Magic Momentが担うのは、営業部門の接続
Magic Momentは、全社のすべての部門データを一つのデータベースへ集める製品ではありません。
Playbook Captureは、対面、オンライン会議、電話、メールなどの顧客接点を取得し、営業活動として構造化します。[10] Salesforce連携では、その事実を取引先、担当者、商談、活動、標準項目やカスタム項目へ戻す構成を提供しています。[11]
全社共通のCopilotを残したまま、営業部門で必要な顧客・案件・行動・結果の文脈を整える。
Magic Momentが向き合うのは、この営業部門の接続です。
具体的な連携範囲と提供条件は、公開済みの製品情報と正式な製品発表を正本とします。
Copilotを営業で使う際の具体的な機能とSalesforce接続については、Microsoft 365 Copilotは営業に使える。成果を分ける「商談の文脈」とSalesforce連携で詳しく説明しています。[9]
経営が設計するのは、AIの使い方ではなく仕事の完成条件
Copilotを各部門で何に使うか。
この問いだけでは、利用例の一覧になります。
代わりに聞くべきなのは、どの仕事を完了させるのか。そのために、どの正本と文脈へ、誰の権限で届く必要があるか。何をAIへ任せ、何を人が承認するか。結果をどこへ戻し、何を成果とするかです。
AIの入口は全社で共通にする。
仕事の完成条件は、部門ごとに決める。
この二層を分けることで、Copilotは全社員へ配られたツールから、会社の仕事を前へ動かす基盤へ変わります。
出典・参照資料
- [3]ギブリー Copilot for Microsoft 365利用状況調査prtimes.jp
- [4]Microsoft 2026 Work Trend Index Annual Reportmicrosoft.com
- [5]Microsoft Learn Microsoft 365 Copilot architecturelearn.microsoft.com
- [6]Microsoft Learn Work IQ overviewlearn.microsoft.com
- [7]Microsoft Learn Microsoft 365 Copilot connectors overviewlearn.microsoft.com
- [8]Microsoft Learn Use Sales agent in Microsoft 365 Copilotlearn.microsoft.com
- [9]Magic Moment Microsoft 365 Copilotと営業文脈magicmoment.jp
- [10]Magic Moment Playbook Capturemagicmoment.jp
- [11]Magic Moment Playbook Salesforce連携magicmoment.jp
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全社共通のMicrosoft 365 Copilotを、営業の顧客接点、CRM、次の行動、結果へどうつなぐか。最初の一業務から一緒に設計します。