Magic Moment

MAGIC MOMENT編集部|部門別AI設計

AIは全社共通。仕事の完成条件は、部門ごとに決める。

全社でそろえ、部門で決める。

CRM・SFA・データ活用Magic Moment 編集部約14分
AI OPERATING MODEL
Microsoft 365 CopilotENTERPRISE LAYER全社共通AI

ID権限情報管理監査費用

同じ入口 / 異なる仕事
DEPARTMENT LAYER部門別の仕事
SALES営業CRM → 案件前進
MARKETINGマーケティング施策 → 商談
FINANCE財務会計 → 承認
HR人事人事情報 → 判断

ライセンスは共通。仕事の完成条件は部門別。

「Copilotを、営業ではどう使うのか」
「人事では」
「経理では」

全社導入が決まると、経営やAI活用推進室は各部門へ利用例を求めます。

集まるのは、会議の要約、メールの下書き、資料作成、市場調査です。すぐ試せて、効果も感じやすい仕事です。

ただ、部門の成果へ進もうとすると止まります。

営業なら、顧客との事実をCRMへ戻し、次の行動を決め、案件を前へ進める必要があります。経理なら、数値の正本と承認を守らなければなりません。人事なら、閲覧できる個人情報と判断権限が職務によって変わります。

同じCopilotを使っても、完成させる仕事は同じではありません。

全社標準AIと現場が実際に使うAIが分かれる理由は、Copilotを全社導入したのに、現場は別のAIを使う。企業AIの「二重構造」はなぜ起きるのかで詳しく扱っています。

先に結論

ライセンスと統制は全社共通。仕事の完成条件は部門別です。

全社ではAI、ID、権限、情報管理、監査、費用を決めます。部門では正本データ、仕事の文脈、許可する行動、人の承認、結果の返却先、成果指標を決めます。

利用例を集めるだけでは、業務設計にならない

ギブリーが2024年に行った、同社ウェビナー参加者244人への調査では、Copilotの利用はTeamsでの会議議事録・要約が中心でした。利用上の懸念として51.3%が生成内容の品質・正確性を挙げ、48%以上が活用事例やAIリテラシーの不足を挙げました。6割を超える回答者が、実際の業務現場における具体的な利用シナリオを求めていました。[3]

これは全企業を代表する調査ではありません。Copilot活用を扱うウェビナー参加者の回答です。ただし、「使い方が分からない」という導入後の悩みを具体的に示しています。

そこで、部門別プロンプト集、研修会、活用コンテストが始まります。

これらは利用の入口を作ります。しかし、利用例は仕事の一部分です。

「会議を要約する」の次に、誰が何を判断するのか。「メールを作る」の前に、どの顧客データを使ってよいのか。「資料を作る」の後に、どのシステムへ結果を戻すのか。

業務の始まりと終わりが決まっていなければ、AIの利用場面だけが増えます。

全社共通層と部門業務層を分ける

Copilotの部門展開は、二つの層で考えると整理できます。

ONE AI / DIFFERENT WORK全社で守ること、部門で完成させること
ENTERPRISE LAYER 全社共通
CopilotID権限情報管理監査費用
DEPARTMENT LAYER 部門別
営業CRM → 次の行動 → 案件前進
マーケティング施策 → 反応 → 商談・次の配分
財務会計・契約 → 差異 → 承認
人事人事情報・規程 → 処理 → 判断
入口と統制は共通にし、業務の正本・行動・成果を部門ごとに定義します。

全社共通層

全社で共通にするのは、安全に利用を始め、管理し続けるための条件です。

  1. 会社が利用を認めるAI
  2. 利用者のID
  3. データへのアクセス権限
  4. 入力・出力の情報管理
  5. 操作と判断の監査
  6. ライセンスと従量利用の費用管理

Microsoft 365 Copilotは、Microsoft 365のサービス境界内で動作し、Microsoft Graphを通じて、サインインした利用者が権限を持つデータへアクセスします。[5]

この共通基盤があるから、部門ごとに別のAIと別の認証を増やさずに済みます。

ただし、全社共通層は、各部門の仕事を自動的に定義しません。

部門業務層

部門ごとに決めるのは、仕事を完成させる条件です。

  1. 何を正本とするか
  2. AIが読むべき文脈は何か
  3. AIが提案してよい行動は何か
  4. AIが実行してよい行動は何か
  5. どこで人が承認するか
  6. 結果をどこへ戻し、何で成果を測るか

同じ「顧客」という言葉でも、マーケティングの対象企業、営業の商談、経理の契約・請求、カスタマーサクセスの利用状況では正本も目的も違います。

部門差を無視してデータだけをまとめると、見られる情報は増えても、仕事の責任が曖昧になります。

Microsoftも、チャットから業務の文脈と実行へ進んでいる

Microsoftの2026 Work Trend Indexは、10か国でAIを使う2万人への調査と、Microsoft 365 Copilotの10万件を超える会話の分析に基づいています。Copilot会話の49%は、分析、問題解決、評価、創造的思考などの認知的な仕事を支えていました。[4]

Copilotは、文書の下書きだけをする製品ではありません。

MicrosoftはWork IQを、Microsoft 365と外部システムにまたがる組織データ、文脈、ツールをエージェントが扱うための業務知能層として説明しています。利用者単位のアクセスとポリシー、監査、費用管理も含みます。[6]

Microsoft 365 Copilot connectorsには、外部コンテンツをMicrosoft Graphへ同期・索引化する方式と、Model Context Protocol(MCP)を使って外部システムから必要なときに取得する方式があります。[7]

つまり、方向は明確です。

AIの画面へ人が情報を持ってくるのではなく、利用者の権限と会社の統制を保ちながら、AIが仕事に必要な情報へ届くようにする。

ただし、接続方法だけでは、部門の完成条件は決まりません。

部門ごとの設計は、六つの欄で書ける

各部門へ「Copilotの使い方を考えてください」と依頼する代わりに、次の六つを書いてもらいます。

01完了

どの状態になれば仕事が終わるか

02正本

事実と結果を持つ業務システムはどこか

03文脈

判断に必要な人・履歴・条件・制約は何か

04行動

AIが提案・実行してよいことは何か

05承認

どの判断を誰が引き受けるか

06成果

時間、品質、顧客、事業の何を測るか

営業

  • 完了:顧客と合意した次の行動が設定され、実行されている
  • 正本:CRMの取引先、担当者、商談、活動
  • 文脈:過去の会話、決裁条件、懸念、合意、約束、反応
  • 行動:商談準備、フォロー案、CRM更新、担当者への依頼
  • 承認:顧客への送信、価格、契約、重要な案件判断
  • 成果:準備時間、記録率、対応漏れ、次回行動、案件の前進

マーケティング

  • 完了:対象顧客の反応と商談結果を確認し、次の施策判断ができる
  • 正本:施策、接点、CRM、商談結果
  • 文脈:対象、訴求、接触履歴、商談条件
  • 行動:分析、対象抽出、施策案、予算案
  • 承認:対外発信、個人データ利用、予算変更
  • 成果:増分効果、商談、粗利、次の配分

財務や人事も同様に書けます。ただし、Magic Momentが各部門の正本や判断基準を一律に定義するわけではありません。ここでは全社設計の型を示しています。

営業では、CopilotとCRMを同じ仕事へ入れる

MicrosoftのSales agentは、CRMデータ、過去の顧客会話、メール、Teams会議、Teamsメッセージを自然言語で扱います。[8]

取引先や商談の要約、過去の会議の確認、案件情報の検索、商談準備とフォローを、Copilotの中で進められます。利用には、Sales agentのインストール、CRMへのサインイン、必要なライセンスと管理者設定があります。[8]

営業の部門設計は、次の一つの流れになります。

SALES DEPARTMENT EXAMPLECopilotを、営業の実行へつなぐ
01顧客接点会議・電話・対面・メール
02CRM顧客・案件・活動の正本
03Copilot準備・確認・フォロー
04行動人が確認し、顧客へ実行
02 CRMへ、顧客の反応と案件の結果を戻す
Copilotを使った回数ではなく、顧客接点から結果までが閉じたかを見ます。

この流れで重要なのは、AIの回答より前にある顧客接点と、回答より後にある実行結果です。

会議要約だけが残り、正しい商談へ結ばれない。電話や対面の事実が抜ける。次の行動を実行しても、顧客の反応がCRMへ戻らない。

この状態では、同じCopilotを導入しても、利用者ごとに見える仕事が変わります。

最初の30日は、一部門・一業務・一成果

全社横断のデータ統合計画を完成させてから始める必要はありません。

1週目:一つの仕事を選ぶ

毎週繰り返され、現場が困っていて、完了を測れる仕事を選びます。

営業なら、商談準備、会議後のフォロー、CRM更新、マネージャーの案件確認などです。

2週目:事実の場所と権限を確認する

必要な情報を並べます。

Microsoft 365にあるもの。CRMにあるもの。別のツールにあるもの。担当者の記憶にしかないもの。利用者が見てよいもの。見せてはいけないもの。

3週目:提案、実行、承認を分ける

AIが案を出すだけでよい仕事と、更新や送信まで任せる仕事を分けます。

顧客への送信、価格、契約、個人情報、重要な案件変更は、人の承認が必要かを明示します。

4週目:業務の完了を測る

AIの利用回数ではなく、対象業務がどう変わったかを見ます。

  • 探す時間は減ったか
  • CRMへ必要な事実が戻ったか
  • 次の行動が設定されたか
  • 対応漏れは減ったか
  • 顧客との仕事は前へ進んだか

一つの業務で成立したら、二つ目へ広げます。

Magic Momentが担うのは、営業部門の接続

Magic Momentは、全社のすべての部門データを一つのデータベースへ集める製品ではありません。

Playbook Captureは、対面、オンライン会議、電話、メールなどの顧客接点を取得し、営業活動として構造化します。[10] Salesforce連携では、その事実を取引先、担当者、商談、活動、標準項目やカスタム項目へ戻す構成を提供しています。[11]

全社共通のCopilotを残したまま、営業部門で必要な顧客・案件・行動・結果の文脈を整える。

Magic Momentが向き合うのは、この営業部門の接続です。

具体的な連携範囲と提供条件は、公開済みの製品情報と正式な製品発表を正本とします。

Copilotを営業で使う際の具体的な機能とSalesforce接続については、Microsoft 365 Copilotは営業に使える。成果を分ける「商談の文脈」とSalesforce連携で詳しく説明しています。[9]

経営が設計するのは、AIの使い方ではなく仕事の完成条件

Copilotを各部門で何に使うか。

この問いだけでは、利用例の一覧になります。

代わりに聞くべきなのは、どの仕事を完了させるのか。そのために、どの正本と文脈へ、誰の権限で届く必要があるか。何をAIへ任せ、何を人が承認するか。結果をどこへ戻し、何を成果とするかです。

AIの入口は全社で共通にする。

仕事の完成条件は、部門ごとに決める。

この二層を分けることで、Copilotは全社員へ配られたツールから、会社の仕事を前へ動かす基盤へ変わります。

出典・参照資料

  1. [3]ギブリー Copilot for Microsoft 365利用状況調査prtimes.jp
  2. [4]Microsoft 2026 Work Trend Index Annual Reportmicrosoft.com
  3. [5]Microsoft Learn Microsoft 365 Copilot architecturelearn.microsoft.com
  4. [6]Microsoft Learn Work IQ overviewlearn.microsoft.com
  5. [7]Microsoft Learn Microsoft 365 Copilot connectors overviewlearn.microsoft.com
  6. [8]Microsoft Learn Use Sales agent in Microsoft 365 Copilotlearn.microsoft.com
  7. [9]Magic Moment Microsoft 365 Copilotと営業文脈magicmoment.jp
  8. [10]Magic Moment Playbook Capturemagicmoment.jp
  9. [11]Magic Moment Playbook Salesforce連携magicmoment.jp
#Microsoft 365 Copilot#AI活用#業務設計#CRM

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