マーケティングオートメーションが機能しないのはなぜか?導入に失敗する5つの法則
高い費用をかけたのに、なかなかマーケティングオートメーションの効果がでない。または、マーケティングオートメーションの導入を考えているが、どのような障壁があるのだろうか?とお考えの方も多いと思います。
近年、広告やウェブ解析・メールなど様々なマーケティングプロセスを効率化する「マーケティングオートメーション」に注目が集まっています。一方で、その運用にもスコアリングやデータテーブルなどの専門性が必要であったり、単にツールを導入しても思うように効果があげられない企業が絶えません。本稿ではマーケティングオートメーションが失敗に陥ってしまう原因とその解決策について紹介していきます。
1.そもそものリード数が少ない
顧客が自分のビジネスの課題を正しく理解し、適切な解決策を見つけ、購買行動を素早く進めていけるように支援するためには、企業が適切な情報をベストなタイミングで提供し続けなければなりません。マーケティングオートメーションを導入することによって、そんなプロセスを自動化することができます。
しかし、展示会やインバウンドマーケティングの施策を行なっていない場合、顧客が誰であるのかを明らかにすることができません。つまり、特定個人を表すリードが取得ができていないことになります。マーケティングオートメーションはリードに対してアプローチをかけることしかできないため、そのような企業ではマーケティングオートメーションの費用対効果が低くなってしまう恐れがあります。
解決策
まず、リード情報数が少ないうちは自社のコンテンツを充実させたり、セミナーを行うなどでリード情報を獲得する方法を確立させましょう。ある程度保有するリード数が多くなってきて人手が足りないと感じ始めてから、改めてマーケティングオートメーションの導入を検討してみてはどうでしょうか?
コンテンツマーケティングを成功させるためのオウンドメディア運営方法を、こちらの記事で詳しく解説しています。
2.コンテンツ設計ができていない
まず、導入以前にコンテンツ設計ができていない企業が多数あります。 そのためマーケティングオートメーションを導入する前に、自社に十分なコンテンツがあるか、もしくはそれを作り出す体制が整っているかどうかを把握することが大切です。なぜなら、見込み顧客はより質の高いコンテンツを求めて資料請求やホワイトペーパーダウンロードなどをするのが一般的であり、そのリード情報を用いてリードナーチャリングを行うからです。
基本的にコンテンツマーケティングは以下の手順で設計します。
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ペルソナ設計
- カスタマージャーニー
まず、世の中にどのような特性を持つ人がどこに、どのくらいいるのかを定量調査します。このことをセグメンテーションと呼びます。
そこから、あなたのプロダクトをほしいと思う相手は、どのような規模・業種の企業に属していて、どのような役職・職種であるかを考えていきます。ターゲティングは、統計などの定量的なデータとヒアリングによって得られた定性的なデータを元に論理建てて行っていく必要があります。ここでの設計を間違えてしまうとせっかく作り上げたコンテンツがニーズを抱えている相手に届かなくなってしまいます。
次に、ペルソナ設計です。ターゲティングをもとに、具体的に架空の人物を作り上げる作業です。ペルソナ設計はその人の顔や家庭が見えるくらい細かく作り上げるべきです。ペルソナ設計を作ることで、本当に顧客が知りたい情報は何かを想定し、リードの目線に合わせたコンテンツを作ることができます。
最後にカスタマージャーニーです。顧客があなたのプロダクトを購入する際にどのような心理的変化をしていくのか想定したマップを描きます。カスタマージャーニーを描くことでカスタマーのフェーズに合わせてより効果的なコンテンツを作ることができます。
以上の手順を踏まえずにコンテンツを制作してしまうと、潜在顧客が本当に必要としている情報を届けられず、効果的にトラフィックを得ることができず、マーケティングオートメーションも機能不全に陥ってしまいます。
解決策
マーケティングオートメーションを導入しても効果が現れない場合、今一度セグメンテーションからカスタマージャーニーを見直してみてはどうでしょうか。現状描いているカスタマージャーニー、ペルソナを実際に獲得した顧客との照らし合わせて相違点を比較すれば、実情により近いものに改善していくことができるでしょう。
こちらの記事で、カスタマージャーニーの設計方法を説明しています。
3.人的リソースが足りていない
マーケティングオートメーションツールを提供するマルケト社によると、「マーケティングオートメーションを効果的に運用するための推奨人員は6〜7人となっています。」1)マーケティングオートメーションートメーションを運用するためには、メールマーケティング、ランディングページ作成、効果測定、CRM(顧客管理)、マーケティング・コミュニケーションなど様々なタスクがあります。
コンテンツ制作を他の部署と連携して行うとしても、最低6人の人的リソースが必要となる計算です。マーケティングオートメーションの運用経験のない企業が、マーケティングオートメーションを適切に運用することのできる組織を作ることは決して簡単なことではありません。また運用チームを構築しなければ、マーケティングオートメーションを運用しようとしても、多種多様な機能や複雑な設計に手が回らず導入しても効果が出ないという状況に陥ってしまいます。
解決策
本格的にマーケティングオートメーション運用しようとするならば、リソースを投入して適切な人数、人材をを集めて専用のチームを作るべきであります。最初はコストが掛かりますが、マーケティングオートメーションが適切に運用されホットリードが自動でセールスチームに提供できるようになれば、コストは回収できるでしょう。
4.機能が複雑で使いこなせない
マーケティングオートメーションの機能は顧客管理からスコアリングまで多種多様に及びます。そして、それを運用するためには、顧客の事業ドメインに関する理解やコンテンツマーケティングの知識、そしてツール自体の深い理解が求められます。しかし、マーケティングオートメーションという概念自体が比較的新しいものでノウハウがまだ十分と言えるほど蓄積していません。大手ツールベンダーであっても、ヘルプページやウェビナーを完全に日本語化していないケースもあります。そのような状態で多機能なツールを導入しても効果的に使いこなせず、ただメールを配信するだけのツールとしか機能していない状態に陥ってしまいます。
解決策
自社で勉強会等を開くのはもちろんですが、それでも対応しきれない場合可能性があります。その場合は思い切って専門家、コンサルに相談してみても良いかもしれません。マーケティングオートメーションを運用するために求められるスキルセットを、こちらの記事で詳しく解説しています。
5.スコアリングが正しくない
マーケティングオートメーションではリードがとったアクションに基づいてスコアリングをしていき、ある一定のラインを超えたリードをホットリード(あと一押しで契約に至るであろうリード)としてセールスチームに渡します。ここで重要になってくるのは、リードがどのようなアクションをとったら何点加点され、何点以上になったらホットなのか決定するスコアリング設定です。スコアリングの設定が不適切出会った場合、契約に繋がらないリードをセールスに渡してしまい、セールス効率が落ちてしまいます。
しかしながら、スコアリング設定にはこれといった正解がありません。「このような属性でこのような行動をとっているリードは購買意欲が高いであろう」であろうという仮説検証をひたすら行っていくしかありません。このプロセスはマーケティング部の人だけでなく、実際にセールスに渡したリードがどうであったかと、セールスからのフィードバックも重要になってきます。この一連の仮説検証プロセスが機能していないと効果的にマーケティングオートメーションを運用することができません。
解決策
スコアリングの最適化のためには、抽出したホットリードのリストの正しさと売上に繋がる購買行動の二点を重点的に検証していきます。スコアが高い見込み客が売上や営業引合いにつながっていれば、スコアをチューニングする必要はありません。次に契約に至った顧客の行動から共通の物を見つけ出しましょう。契約に至った顧客の行動はスコアリングにおいて重要な要素であるということがわかります。同時に、スコアの高かった顧客が共通に行っていない購買行動は重要度が低く、スコアは低く設定すべきだということが分かります。以上はあくまでもスコアリングの一例にしか過ぎません。実際には見込み顧客の属性などもスコアに影響していきます。
まとめ
マーケティングオートメーションはマーケティングからインサイドセールスへつなぐプロセスを大幅に自動化してくれる画期的なものであります。しかし、効果的に運用するためには、きちんとしたノウハウの裏付けのもと、人的、金銭的なリソースを投入する必要があります。また、導入には抱えるリード数が多く、人海戦術では手が回らないという状態が前提にあります。企業規模が小さいうちは少額で機能が絞られているツールから使ってみるのが良いのかもしれません。こちらの記事で、ユーザーの多いマーケティングオートメーションの特徴や値段を比較しています。
マーケティングオートメーションを導入するためには、自社に合ったツールの選定に加え、事前に充分な準備をしておく必要があります。導入するために必要なタスクを一覧にまとめていますので、是非ご活用ください。
《引用文献》
1)Marketo, https://business.adobe.com/jp/products/marketo/adobe-marketo.html
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