【徹底解説】インサイドセールスのやり方!メリットや運用のポイントを解説
- インサイドセールスとは、『リード(見込み顧客)に対する非対面で行う営業』である。
- 従来のフィールドセールスが行う一気通貫型の営業とは異なり、『複数の担当者が分業型で行う効率営業』を目的にした営業体制である。
- メリットは、営業効率化・高確度の営業案件獲得・フィールドセールスの生産性向上の3点である。
- やり方は、リード発掘型・リード育成型・営業クロージング型・フィールドセールス協働型の大きく4種類である。自社にあった適切な型と導入手順は、目的・課題に合わせての選択と決定が必要。
営業効率化や成約率向上のために、インサイドセールスを導入する企業は年々増加しています。ただ、自社にあったインサイドセールスの体制や、やり方が分からず成果を出すことに困難を感じている企業も多いです。
今回は、インサイドセールスの効果的なやり方やメリット・成果を出すための運用ポイントを解説します。
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目次
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インサイドセールスとは?
インサイドセールスの定義
インサイドセールスとは、『リード(見込み顧客)に対して非対面で行う営業』と定義されます。一般的には、電話・メール・SNS・Web 会議システムなどを利用した非対面営業がそう呼ばれます。
具体的なミッションは2点です。
1点目は、お客様へのヒアリングや提案を通じて、潜在顧客の見込み顧客化(リードの創出)。2点目は見込み顧客の商談顧客化(リードの育成)です。
つまり、潜在顧客から商談可能な状態にするまでの顧客育成がミッションです。
従来の営業とインサイドセールスとの違い
では、従来の営業とインサイドセールスの違いはなんでしょうか。
従来の営業は『1人の担当者が営業プロセスの全てを一気通貫』します。一方、インサイドセールス部隊のいる営業は『複数の担当者が分業型で行う効率化を目指した営業』です。
見込み顧客の発掘・育成をインフィールドセールスが担い、商談フェーズになったらフィールドセールスに引き渡す、というのが一般的です。つまり、営業プロセスを分割して役割を分担する点が従来型の営業との違いと言えます。
近年ではこのように従来型の営業プロセスを以下4つのフェーズで分ける「The Model」と呼ばれる分業型の営業プロセスが広まってきています。
①マーケティング:集客・見込み顧客の発掘
②インサイドセールス:リードへのヒアリング・ナーチャリング・アポイントの獲得
③フィールドセールス:訪問・商談・受注
④カスタマーサクセス:アフターフォロー・契約継続
The Model 型の営業プロセスの詳細は以下の記事をご覧ください。
【徹底解説】営業プロセスを最適化・効率化する The Model(ザ・モデル)とは?
営業生産性の向上という観点から、インフィールドセールスは昨今広まりを見せています。ただし、インフィールドセールスの定義や役割は組織ごとに異なります。例えば、組織によってはフィールドセールスの商談サポート・顧客の商品/サービス活用支援(カスタマーサクセス)まで、インフィールドセールスが行うこともあります。
テレアポ・テレマとの違い
続いて混乱するケースは、テレアポ・テレマとインサイドセールスの違いです。テレアポはテレフォンアポインター、テレマはテレフォンマーケティングの略称です。テレフォンアポインターは、訪問や商談のためのアポをとる役割、テレフォンマーケティングは、市場調査やアンケートをとる目的で電話する役割です。
インサイドセールスはホットリードを作り、フィールドセールスに引き渡すことを目的にしているので、テレアポの役割はインサイドセールスの役割に含まれます。
テレマは既存顧客へのアプローチになりますので、インサイドセールスの役割を既存顧客まで広げている組織においては、テレマもインサイドセールスの一部と言えます。
しかし、インサイドセールスの目的は「成約が見込める商談を設定すること」にあります。ただアポイントを獲得するだけではなく、リードナーチャリングを行うことで成約率の高いアポイントを獲得することが求められます。
インサイドセールスのやり方
自社にインサイドセールスを導入したいと思った時、具体的には何をどう検討すればよいでしょう。
ここでは検討プロセスを6つに分けて解説します。
1. インサイドセールスの役割を決める
1つ目のプロセスは、インサイドセールスの役割を決めることです。インサイドセールスを大きく分別すると4パターンです。自社に合うパターンは自社の課題やインサイドセールスの導入目的によって変わります。
自社のやりたいことが、新規の獲得なのか、受注率の向上なのか、営業の効率化なのか。まずは自社の課題を整理し、自社にあったものを選択しましょう。
1. リード発掘型
リード発掘型は、アウトバウンドでリードを獲得していくことを目的にしたインサイドセールスです。電話やメールの他にも広告などのマーケティング施策を交えて行うことが特徴です。
2. リード育成型
リード育成型は、リードはあるがなかなか商談につながらない、受注にはいたらないというケースに有効なインサイドセールスです。ホットなリードを作る事に特化することが特徴です。
3. 営業クロージング特化型
営業クロージング特化型は購買単価が高かったり、リードタイムが長いケースに有効なインサイドセールスです。課題のヒアリングと顧客に合わせた提案を行う BtoB営業のソリューション営業スタイルが特徴です。
ソリューション営業の詳細は以下の記事をご覧ください。
ソリューション営業とは?基本戦略や必要なポイントについて解説
4. フィールドセールス協業型
フィールドセールス協業型は、インサイドセールスとフィールドセールスで細かく役割を分けて、それぞれがリードの獲得・育成・商談に集中できるようバランスよく効率化したインサイドセールスです。
線引きがあいまいにならないよう、常に役割の明確化、引き継ぎ案件の定義、情報共有を密にし、運用していくことが特徴です。
2. 組織体制を検討する
2つ目のプロセスは組織体制を検討することです。
組織体制を検討する際は、以下のように顧客の種類・自社の扱う商材やビジネスモデル・自社の課題・インサイドセールスに期待する役割を整理するとよいでしょう。
(例)
- 顧客の種類:BtoB か BtoC、大企業もしくは中小企業か、高齢層もしくは若年層か
- 商材:高単価か低単価か。販売型かサブスクリプション型か
- 課題:新規獲得、受注率向上、営業効率化など
以上を考慮した時に、インサイドセールスとフィールドセールスを分業型にするか協業型にするか独立型にするかを検討していくとよいでしょう。
部門設定は、インサイドセールスの部門を立ち上げる、マーケや営業の部門下に置くといった選択肢があります。自社におけるインサイドセールスの役割、自社に存在するリソース、ノウハウ、期待効果などが判断軸になるでしょう。
立ち上げ時は、内製・外注いずれかで実施しますが、ここでの判断軸は社内でのノウハウ有無・予算で決めることになるでしょう。
3. 部門・部署間の連携方法を検討する
3つ目のプロセスは部門・部署間の連携方法を検討することです。
目的や役割、業務範囲を決めても運用が曖昧だと成果も出ず、効率も落ちます。
まずは『どんな情報を、どんな手段で、いつ共有するのか』などの情報の連携方法を決めましょう。
次に、『どんな状態で案件を引き継ぐのか、それをどう定義するのか』などの案件の状態定義と引き継ぎのタイミングを決めましょう。
4. 適切な KPI の設定
4つ目のプロセスは適切な KPI を設定することです。
最初に自社の KGI を確認しましょう。次に、KGI 達成に向けて部署ごとに目標の KPI を設定(再確認)しましょう。
代表的な KPI は商談化率・商談数などですが、ここでのポイントは各部門の KPI が線となり、部門ごとの KPI が連携して自社の KGI 達成につながるように設計することです。
最後に、 KPI の達成に必要な行動 KPI を決めましょう。
例えば、架電・アプローチ数・時間当たりのアプローチ数などが行動 KPI にあたります。行動 KPI はリソースや能力を見て、適宜見直していくことも大事なポイントです。
5. 成約までのシナリオを作る
5つ目のプロセスは成約までのシナリオを作ることです。
顧客の行動や状態に応じて、インサイドセールスのアプローチ方法を設計する必要があります。
例えば、「セミナーに参加したら当日中にアプローチする」「返信がなければ1週間後にアプローチする」などです。
シナリオ設計ポイントは2つあります。
- 自社目線ではなく、顧客目線でシナリオを設計する
- インサイドセールス部隊全員が使えるよう、誰が見てもわかるシナリオに標準化する
この2つのポイントはなぜ必要なのでしょうか?
1つ目の理由は、顧客目線でのシナリオでないとナーチャリングは成功しないからです。
顧客が成約し、自社のファンとなるかどうかは、自社サービスを認知してから購買・継続するまで最適な営業体験を得られているかどうかが大切になります。つまり、インサイドセールスには顧客ごとの課題や興味に即したコミュニケーションが必要になります。
2つ目の理由は、インサイドセールス部隊全員が、一定基準以上の品質で顧客対応ができないと組織成果とは言えません。組織成果を極大化するためには、『誰がやっても同じようにできる』というシナリオの標準化が大事です。
6. 運用と改善を行う
6つ目のプロセスは運用と改善を行うことです。
期初設計は、当然パーフェクトではありません。運用しながら、体制・シナリオをブラッシュアップしていくことを大前提に考えましょう。
会社の数だけインサイドセールスの定義も存在するので、自社にとっての正解を見つけることが重要です。そのため、立ち上げたもののうまく成果がでない・KPI の進捗が悪いなどで一喜一憂せずに、ボトルネックを可視化していくよう心がけてください。
運用した結果をもとに PDCA を回し続けることで、自社にあった運用が完成します。
インサイドセールス立ち上げのステップは以下の記事でも解説しています。
インサイドセールスの立ち上げに必要な6つのステップ
インサイドセールスのメリット
ここで、改めてインサイドセールスのメリットを整理します。
メリットは大きく3点です。
営業を効率化できる
インサイドセールスの導入により営業プロセスを分業化し、各部門がそれぞれの役割、KPIに集中できるようになります。これが1つ目のメリットです。
また、情報共有や案件の定義・受け継ぎのルールをしっかり決めることで、顧客ニーズが高まった最適なタイミングで商談に繋げることができます。
確度の高い案件を作れる
インサイドセールスが入ることにより、従来の営業活動よりも顧客へのヒアリングに時間をかけることができます。これまでの営業スタイルでは1人がすべてのプロセスを担っていた分、分業化することでインサイドセールスは顧客ニーズの把握に十分な時間を割くことができます。
結果、リードナーチャリング活動を重点的に行うことができるのです。
営業が提案活動に集中できる
従来型の営業では業務が多岐に渡っているため、全ての業務にフルコミットできずに中途半端な状態になるリスクもありました。
インサイドセールスの導入は、すなわち営業活動の分業化です。営業は顧客ニーズに合った提案書の作成や調査などに時間をかけることができます。営業が商談の質を上げるための提案活動に注力できます。
インサイドセールス運用のポイント
最後に、インサイドセールスで成果を上げる運用のポイントを確認します。
情報共有のルール設定と運用の徹底
インサイドセールスにより営業は効率化します。しかし、弊害が生まれる可能性もあります。
例えば、フィールドセールスとの情報交換・連携がないことにより、分業化が生産性悪化となってしまうケースです。そうならないように、情報共有のルール設定と運用の徹底が大切になります。
見込みのない案件へのアプローチ、重複したアプローチなどを防ぐために、部門間でルールを決めて情報交換や連携の仕組みを作りましょう。
長期的視野で取り組む
インサイドセールスを導入したからといって、いきなり自社の業績が向上するわけではありません。長期的視野で取り組むことが大事です。
ボトルネックの可視化や改善、運用を繰り返し、長期的な目線で体制を磨きこむことで自社業績が向上していきます。
経営層・マネジメント層が、現場の試行錯誤時に拙速に判断しないよう、マイルストーンを設計し、マイルストーンごとに判断するということが大切です。
ツールを活用する
インサイドセールスが有効に機能するためには、インサイドセールス・フィールドセールスが、顧客の行動や属性をリアルタイムに一元化して把握する必要があります。
それができないと、部門連携もそれぞれの顧客に応じたアプローチもできません。
以下に各種ツールの概要を紹介します。是非自社に合ったツールを選択してください。
CRM
CRMとは、Customer Relationship Management の略称です。
直訳すると顧客関係管理です。顧客それぞれの情報やアンケート、問い合わせなどの顧客の行動データをまとめて管理することを指します。顧客の氏名、所属企業、役職、部署などの情報を一元化し、管理するツールが多くあります。
MA
MAとは、 Marketing Automation の略称です。
企業のマーケティング活動において、マーケターが手動で行なっている膨大な業務を自動化し、効率を高めるシステムを指します。
MA 登場以前は、獲得したリードのメール配信リスト作成やメール開封率・サイト訪問の分析など、マーケターが手動で行っていました。MA ツールではこの作業を自動で行えるものが多くあります。
SFA
SFAとは、Sales Force Automation の略称です。
直訳すると営業支援システムです。企業の営業部門における情報や業務プロセスを自動化することで、営業活動が管理する情報全般をデータ化・蓄積・分析することができるシステムを指します。
顧客情報管理・案件管理・予実管理・グラフ分析・商談管理・ターゲティング・見積もり作成・スケジュール管理・日報管理等のツールが多くあります。
オンライン商談ツール
オンライン商談ツールとは、オンライン上で商談を円滑に行うためのツールです。
BtoB 向け、BtoC 向けの2つがあります。BtoB 向けは、名刺交換・トークスクリプト表示・資料共有・チャットなど。
BtoC 向けはワンクリック接続・担当者の自動振り分け・ステータス管理など。営業生産性を向上させる機能がついているツールが多くあります。
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