【失敗事例30社】資金調達後にクローズした海外スタートアップ
- 失敗事例30社から読み取れるスタートアップの主な失敗の要因は「市場のニーズ不足」「資金管理」「組織マネジメント」の3つである
- 失敗しないためには、低予算で市場ニーズを検証することが必要
- また、経営陣をはじめとした会社のメンバー間で目的や方向性を共有し、明確にすることも重要
スタートアップと聞くとどのようなイメージを連想しますか?
ビジネスプランを用意し、同じ目標をもつ仲間を集め、資金調達を経て圧倒的なスピード感でグロースを達成していくというような華やかなイメージを持たれる方も多いと思います。
しかし、ビジネスの主戦場であるマーケットには変数が多く、気概や理想だけでは乗り越えられない多くの壁が存在します。
厳しいマーケットの中でスタートアップが生き残るためには、過去の失敗事例を学び、先人たちと同じ轍を踏まないようにすることが大切です。
この記事では、惜しくもクローズしてしまった海外スタートアップの失敗事例30選とその対策について紹介します。
目次
- 海外スタートアップの失敗事例30社
- 1.HOMEJOY
- 2.TILT
- 3. ARGYLE
- 4. OPTIER
- 5. POLIANA
- 6. RDIO
- 7. QBOTIX
- 8.MONITOR110
- 9. GROOVESHARK
- 10.SECRET
- 11.BERG
- 12. JUICERO
- 13. SPOONROCKET
- 14. NOUNCER
- 15. BAWTE
- 16. ADMAZELY
- 17. LUMOS
- 18. 99DRESSES
- 19.COLOR LABS
- 20.WANTFUL
- 21.TOTSY
- 22. REWARDME
- 23. CALXEDA
- 24. EVENTVUE
- 25. SONAR MEDIA
- 26. BAWTE
- 27. ALIKOLO
- 28. LOOKERY
- 29. ARSDIGITA
- 30. WATTAGE
- スタートアップの失敗理由TOP20
- スタートアップを失敗させないために
- 適切なメトリクスで資金を管理する
- 組織マネジメント
- まとめ
- 参考リンク
昨今のスタートアップでよく取り入れられているサブスクリプションビジネスの重要指標については、こちらの資料でまとめて解説しています。無料でダウンロードいただけますので、ぜひご活用ください。
→ダウンロード:サブスクリプションビジネス経営者が見るべきKPI10選
海外スタートアップの失敗事例30社
1.HOMEJOY
掃除をしてほしい人とホームクリーナーをマッチングさせるサービス。
業種 : アプリ事業継続期間 : 2012-2015
所在地 : カリフォルニア, アメリカ
創立者 : Adora Cheung, Aaron Cheung
調達額 : $39.7M
調達ラウンド数 : 5
失敗した原因
1.依頼者が気に入ったクリーナーにオフラインで直接仕事を依頼する“プラットフォーム漏洩“が発生し、対処しきれなかった。
2.25%の仲介手数料は、質の低い仕事を行う労働者を呼び寄せ、ユーザーが臨むクオリティとは合致しないサービスなってしまった。
3.立ち上げ当時、初月から継続して利用するユーザーの割合はわずか25%で、6ヶ月後には10%を下回った。
4.類似サービスが豊富で、HOMEJOYで満足できなかったユーザーが他サービスに流入した。
2.TILT
P2Pの送金サービス
業種 : 資金移動業
事業継続期間 : 2013-2017
所在地 : カリフォルニア, アメリカ
創立者 : James Beshara, Karolyn Baxter, Khaled Hussein
調達額 : $62.1M
調達ラウンド数 : 4
失敗した原因
1.CEOの作った社内の体育会系文化が、従業員の事業に対する反対意見や懸念などを押し殺した(イエスマンで固めてしまった)。
2.B2Bツールの開発のような長期的に収益の見込めるプロジェクトに集中せずに、マーケティングに莫大な資金を投じて顧客獲得に努めた(目先の利益にとらわれ、長期的に利益を追うことをしなかった)。
3.Venmo や Gofundme のような、より専門的な競合企業に比べ、明確な顧客価値の提案が見当たらなかった。
3. ARGYLE
BtoB マーケティングを支援するソーシャルメディアツールの提供。
業種 : ソフトウェア
事業継続期間 : 2010-2014
所在地 : ノースカロライナ, アメリカ
創立者 : Adam Covati
調達額 : $1.57M
調達ラウンド数 : 2
失敗した原因
1.Adobe や HootSuite など大手競合他者との競争力不足。
2.大手 SNS の定期的な API 仕様の変更に対応するリソースが不足していた。
3.資金の問題から必要な人的リソースを揃えられなかった。
4. OPTIER
企業向けに、顧客との取引をモニタリング・分析するクラウドソフトの提供。
業種 : ソフトウェア
事業継続期間 : 2005-2014
所在地 : ニューヨーク, アメリカ
創立者 : JMotti Tal, Amir Alon
調達額 : $103.1M
調達ラウンド数 : 8
失敗した原因
1.市場シェアを拡大することができなかった。
2.iPhone の出現などからモバイルベースのアプリが普及し、顧客のトレンドを様々なチャネルから収集しなければいけなかったが、その対応に遅れた。
3.モニタリングサービスを顧客に提供するのに数ヶ月かけていたが、同じようなサービスを数時間で提供することができる会社が出現した。
5. POLIANA
政治と金の流れを可視化するアプリの提供。また、学校法人や学生向けにデータの可視化ツールを開発。
業種 : アプリ
事業継続期間 : 2013-2015
所在地 : テネシー, アメリカ
創立者:グレイソン・キャロル, ショーン・ホワイティング, パトリック・ケーソン, セス・ホワイティング
調達額 : $15,000
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.無料版ツールに頼った結果、課金ユーザーを獲得できずマネタイズに失敗。
2.経営ビジョンとキャッシュフローのバランスが取れなかった。
3.仮説検証の段階で顧客の声を十分に拾えていなかった。
4.スクール向け事業にピボットしたものの教育機関とのコネクションが無かった。
6. RDIO
検索やシェア機能に力を入れた音楽配信サービスを提供。
業種 : アプリ
事業継続期間 : 2008-2015
所在地 : カリフォルニア, アメリカ
創立者 : Janus Friis, Niklas Zennstorm, Carter Adamson
調達額 : $127.7M
調達ラウンド数 : 6
失敗した原因
1.Spotify といった競合が広告有りの無料ストリーミングサービスを提供する一方、広告なしの有料の月額プランしか提供できずユーザーの獲得に苦戦。後に広告を利用した無料配信サービスに移行したが遅かった。
2.数ヶ月間の CMO の不在など人材の保持に問題があり、マーケティング力が競合に比べて弱かった。
3.UI、UX の細部にまでこだわりすぎた結果、事業全体を俯瞰してみることを怠った。
7. QBOTIX
ソーラーパネルの発電量を効率化する太陽光発電装置を提供。
業種 : ハードウェア
事業継続期間 : 2012-2015
所在地 : カリフォルニア, アメリカ
創立者 : Wasiq Bokhari
調達額 : $23.5M
調達ラウンド数 : 3
失敗した原因
1.革新的な技術ではあったが、リスクを恐れ保守的な傾向のある公益電力市場では受け入れられず、十分な顧客を獲得することができなかった。
2.利益率の低い太陽光発電装置の提供から、ライセンス及びソフトウェアの販売にピポットしたが、ピボット中のキャッシュ現象に伴い従業員解雇しなければならず、事業の継続は不可能になった。
8.MONITOR110
データ収集サービス。
企業名 : Monitor110
業種 : データ収集
事業継続期間 : 2005~2008
所在地 : ニューヨーク, アメリカ
創立者 : Roger Ehrenberg
調達額 : $16M
調達ラウンド数 : 2
失敗した原因
1.技術部門とプロダクト開発部門の非分業体制。
2.ローンチ前にも関わらず過剰な PR を行った。
3.経営戦略に対する各部門での軋轢。
4.プロトタイプをローンチして顧客のフィードバックを集めずに、十分な完成品ができるまで開発に取り組んだ。
5.大量の資金による経営戦略の非最適化。
9. GROOVESHARK
ユーザーが無料で音楽を聞けるアプリケーションを提供。
業種 : ソフトウェア
事業継続期間 : 2006-2015
所在地 : フロリダ, アメリカ
創立者 : am Tarantino, Josh Greenberg, Andres Barreto
調達額 : $4.28M
調達ラウンド数 : 2
失敗した原因
1.著作権問題から違法配信と見なされて、730億円の罰金を請求された。
2.違法だと判断されたアプリはアップルストア、グーグルプレイ、フェイスブックから削除され、開発チームはデスクトップ版の開発を余儀なくされたが、ほぼ全てのユーザーがモバイル版を利用していたので、利用ユーザーは大きく減少した。
10.SECRET
ユーザーが匿名で互いの秘密を共有できるプラットフォーム。
業種 : ソーシャルアプリ
事業継続期間 : 2013-2015
所在地 : カリフォルニア, アメリカ
創立者 : David Byttow , Chrys Bader-Wechseler
調達額 : $35M
調達ラウンド数 : 3
失敗した原因
1.匿名というプラットフォームの性質から、からかいや誹謗中傷などが発生。コミュニティの治安が悪化し、運営側も対処するためにルールを定めたが、すでに手遅れになってしまっていた。
2.上記の理由などからリテンションの失敗(DAU の継続的な減少)から PMF を達成できず。
3.創立者が会社の株を売却することから明確なように、長期的な視点が欠けており、優秀な従業員も会社を去った。
11.BERG
IOT 開発を支援するクラウドプラットフォームの提供。
業種 : ソフトウェア
事業継続期間 : 2005-2014
所在地 : ロンドン, イギリス
創立者 : Matt Webb
調達額 : $1.3M
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.プロダクトの一つである小型プリンタ“little printer”の2万7000円という価格が、顧客にとって妥当な価格ではなかった。
2.”little printer”はレシートサイズの用紙しか印刷できず、ニーズは制限されていた。
3.プロダクトに対してマーケットは、必要不可欠ではなく高級なおもちゃという認識だった。
12. JUICERO
Wifi 接続ジューサーとサブスクリプションで果物と野菜のパケットを提供。
業種 : 製造
事業継続期間 : 2013-2017
所在地 : カリフォルニア, アメリカ
Zジョナサン:ジョナサン・ゾブロ、ソンギ・リー、ヨハン・バービー
調達額 : $118.5M
調達ラウンド数 : 2
失敗した原因
1.700$というジュースマシンの製品価格は顧客にとって高すぎるという評価だった。
2.ジューサーを利用しなくてもジュースをパックから抽出できることが判明し、顧客がジューサーを買わなくなった。
13. SPOONROCKET
10$以内の食事を10分以内に配達するフードデリバリーサービス。
業種 : アプリ
事業継続期間 : 2013-2016
所在地 : カリフォルニア, アメリカ
創立者 : Anson Tsui, Steven Hsiao
調達額 : $1.35M
調達ラウンド数 : 2
失敗した原因
1.細い利益率・高品質な原料・迅速な配達・ユーザーの定着を両立させることが困難だった。
2.低品質の食品がユーザーから不評で、競合フードデリバリーサービスにユーザーを取られてしまった。
14. NOUNCER
リアルタイムでニュースを受け取れるソーシャルアプリの提供。
業種 : アプリ
事業継続期間 : 2006-2008
所在地 : ニューヨーク, アメリカ
創立者 : Eran Hammer
調達額 : 不明
調達ラウンド数 : 不明
失敗した原因
1.アプリの α 版リリースのためのフロントエンドがおらず、ユーザーのフィードバックを十分に得ることができなかった。
2.創業者のプロジェクトにかける思いは強かったがパートナーはそうでもなく、足並みが揃わなかった。
3.ニューヨークというロケーションがスタートアップ気質とは異なったので、PLF 達成できず
15. BAWTE
顧客エンゲージメントプラットフォームの提供。
業種 : ソフトウェア
事業継続期間 : 2011-2015
所在地 : アイオワ, アメリカ
創立者 : John Jackovin
調達額 : $220K
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.プラットフォームのインプリが遅れて、利用ユーザーを確保できないと同時に売上も立てられず、またそれを緊急性の高い問題として認識できていなかった。
2.Bawte の顧客にとって、獲得した顧客を維持するにはコストがかかり大きな負担だった。
16. ADMAZELY
EC サイト向けにリターゲティング広告ツールを提供。
業種 : ソフトウェア
事業継続期間 : 2011-2013
所在地 : コペンハーゲン, デンマーク
創立者:Sylwia Erhardt-Bednarska, David Björklund, Søren Holbech Nielsen, Peter Vilsholm Therkildsen Schlegel
調達額 : $600K
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.英国市場の売り上げに大きく寄与していた英語の話せるセールス二人が、就労ビザの問題から離脱。
2.資金調達に失敗(スタートアップ支援会社 Accelerace の投資委員から、予定していた期限までに最終承認が得られず、清算日に間に合わなかった。)
3.共同創業者が家族との時間を優先するために事業から離脱。
17. LUMOS
IOT 技術による、スイッチ不要のスマートスイッチの開発 。
業種 : ハードウェア
事業継続期間 : 2014-2015
所在地 : アフマダーバード, グジャート
創立者:Yash Kotak 、 Tarkeshwar Singh 、 Pritesh Sankhe
調達額 : 不明
調達ラウンド : 不明
融資先の数 : 不明
失敗した原因
1.創業チームの IOT に関する知識・経験不足。
2.製品の実用的価値を過大評価した結果、製品が製造コストの5倍の価格で販売しなければならないという事実を無視し、費用対効果の悪い方法で製品を設計した。
3.チーム間のコミュニケーションの透明性欠如。
4.顧客のターゲティングやセグメンテーションを怠り、適切なマーケティング戦略を実行することができなかった。
18. 99DRESSES
ファッションアイテムのユーザ間取引プラットフォーム。
業種 : Eコマース
事業継続期間 : 2010-2014
所在地 : シドニー, オーストラリア
創立者 : Nikki Durkin
調達額 : $105K
調達ラウンド数 : 2
失敗した原因
1.ピボットの失敗から PMF を達成できず
2.マネタイズが取引コストに依存していいたため、取引量の減少とともに収益激減。
3.技術的問題から事業が失速してしまった。
19.COLOR LABS
近場で撮られた写真を閲覧したり自分も投稿できる写真のソーシャルアプリ。
業種 : アプリ
事業継続期間 : 2010-2012
所在地 : カリフォルニア, アメリカ
創立者 : Bill Nguyen
調達額 : $41000000
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.color.com のドメインを取得するために$425,000費やすなど、リソースの配分を間違えた。
2.facebook と連携した動画共有アプリにピボットしたが、ユーザーを獲得することができなかった。
3.Color labs の写真共有を機能させるために必要なユーザーベースを最初に時間をかけて構築しなかった。(ユーザーがアプリをダウンロードして写真を共有しようとしても付近に誰もいない)。
20.WANTFUL
友達へのプレゼントを、その属性や興味関心に基づいて選んでくれるサービス
業種 : Eコマース
事業継続期間 : 2011-2013
所在地 : ニューヨーク, アメリカ
創立者 : John Poisson
調達額 : $5.5M
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.友達へのプレゼントを選ぶという方針から自分へのプレゼントを選ぶという方針にピボットした結果、差別化要因が薄れ、多くの大手競合 EC 事業と競争することになった。
2.事業の成長が次の調達シリーズに追いつかず、追加融資を試みるも融資先が見つからず失敗。
21.TOTSY
幼児や母親向け商品のフラッシュセール EC サイトの提供。
業種 : Eコマース
事業継続期間 : 2009~2013
所在地 : ニューヨーク, アメリカ
創立者 : Christophe Garnier, Guillaume Gauthereau
調達額 : $23.5M
調達ラウンド数 : 3
失敗した原因
1.UI/UX が不評で、顧客満足を達成できず(ユーザーが商品を注文をしても在庫不足が多く、低評価なレビュー)。
2.2008年から2014年にかけてフラッシュセール市場の需要が70%低下(市場の変化)。
22. REWARDME
レストラン・小売店向けに、リアルタイムでの管理に特化した顧客管理プラットフォームを提供。
業種 : ソフトウェア
事業継続期間 : 2010-2015
所在地 : カリフォルニア, アメリカ
創立者 : Stephen Johnson, Yu-kai Chou, Jun Loayza
調達額 : $1.1M
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.事業のスケールに追いつけず、資金が不足していた。
2.顧客獲得のために高額なミーティングを行った(高い CAC) 。
23. CALXEDA
ARM ベースの低電力・高性能サーバ用プロセッサの開発。
業種 : ハードウェア
事業継続期間 : 2012-2015
所在地 : オースチン, アメリカ
創立者 : Larry Wikelius, David Borland, Barry Evans
調達額 : $100M
調達ラウンド数 : 4
失敗した原因
1.CALXEDA は32bitARM チップの開発に集中していたが、多くの業界が64bit のアーキテクチャを使い始め、CALXEDA の製品のニーズが不足。
2.追加で資金調達を行おうとしたが失敗し資金が枯渇。
24. EVENTVUE
ソーシャルネットワークの仕組みを利用し、カンファレンスで獲得したリードのフォローアップ支援。
業種 : ソーシャル
事業継続期間 : 2007-2010
所在地 : コロラド, アメリカ
創立者 : Rob Johnson and Josh Fraser
調達額 : $455K
調達ラウンド数 : 2
失敗した原因
1.ターゲットからは”便利ではあるが必要不可欠ではない”と評価され、PMF を達成できず。
2.プロダクトの需要が高まってない段階でセールスにコストをかけた。
3.顧客のチケットの売り上げ増加を期待して知人参加の通知機能を追加したが、知人がいるかどうかの確認のみに使われ、チケット購入にはつながらなかった。
25. SONAR MEDIA
社内用コミュニケーションツールの提供。
業種 : ソフトウェア
事業継続期間 : 2010-2013
所在地 : フロリダ, アメリカ
創立者 : Brett Martin, Daniel Klaus
調達額 : $200K
調達ラウンド数 : 2
失敗した原因
1.顧客のフィードバックを反映しながら PMF を達成する方法が見つけられなかった。
2.費用対効果の悪い方法で顧客獲得に努めていた。
3.インキュベーターとの構造的な問題が混乱を引き起こし、資金の不足につながった。
26. BAWTE
顧客エンゲージメントプラットフォームの提供。
業種 : ソフトウェア
事業継続期間 : 2011-2015
所在地 : アイオワ, アメリカ
創立者 : John Jackovin
調達額 : $220K
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.継続利用ユーザーを確保できず、またそれを緊急性の高い問題として認識できていなかった。
2.Bawteの顧客にとって、獲得した顧客を維持するにはコストがかかり大きな負担だった
27. ALIKOLO
フリーマーケット型 EC プラットフォーム
業種 : Eコマース
業継続期間 : 2014-2015
所在地 : ジャカルタ, インドネシア
創立者 : Danny Taniwan
調達額 : $100K
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.他の E-commerce サイトと差別化ができておらず、ユーザーにとって AKIKOLO を使う理由が不明だった。
2.組織の設計とマネジメントに置いて CEO のリーダーシップが欠如していた。
3.株式の大部分を投資家に分配した結果、CEO の事業への関与や影響力が少なくなり、2度目の資金調達に失敗した。
28. LOOKERY
ネットユーザーのデータを収集・活用し、Facebook や Bebo のような SNSソーシャルアプリへ広告を出稿するサービス。
業種 : Web広告
事業継続期間 : 2007-2009
所在地 : カリフォルニア, アメリカ
創立者 : Rex Dixon, David Cancel, Todd Sawicki
調達額 : $3.15M
調達ラウンド数 : 2
失敗した原因
1.ビジネス自体が Facebook に依存しており、同社がプラットフォームを再設計した際に脆弱性が明らかになった。
2.タイミング悪く、経済危機の直前にサービスを立ち上げてしまった。
29. ARSDIGITA
Web アプリ事業(主にE-commerce)を支援する統合データベースを提供。
業種 : Webサービス
事業継続期間 : 1998-2001
所在地 : マサチューセッツ, アメリカ
創立者 : Philip Greenspun
調達額 : $35M
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.事業経験の浅い社外 CEO の獲得。
2.経営者がストックホルダーを訴え、裁判費用は自社のお金で賄われた。
3.事業の核であったACS(オープンソースのツールボックス)を利用しにくい難解なツールに替えてしまった。
30. WATTAGE
ハードウェア作成を容易にするオンラインプラットフォームの提供。
業種 : Webサービス
事業継続期間 : 2014-2015
所在地 : オンタリオ, カナダ
創立者 : Jeremy Bell, Peter Nitsch, Brett Hagman
調達額 : $200K
調達ラウンド数 : 1
失敗した原因
1.プロトタイプの構築にリソースをかけすぎてしまい、市場ニーズの検証が遅れてしまった。
2.プロダクトの幅を広げるよりも、カスタマイズ可能な単一の製品の販売に重点をおくべきだった。
スタートアップの失敗理由TOP20
上記のデータからわかるように、スタートアップの失敗は主に
1.市場のニーズ不足
2.資金管理
3.組織マネジメント
の3つの要因から発生していると考えられます。
ではスタートアップが事業を潰さないためには、どのように行動すべきなのでしょうか?
これら3つの要因をメインに解決策を考えてみましょう。
スタートアップを失敗させないために
低予算で市場ニーズを検証する
スタートアップの失敗理由で最も多かったのが、市場ニーズの不足です。多くのスタートアップが高額な開発費用をかけてプロダクトを完成させ、市場に投入したすえに PMF を達成できず悔しくも退場する、というパターンに陥りがちです。しかし、コストをかけてアプリ開発をしなくても、ローンチ前に低予算の施作で市場のニーズを把握することは可能です。
まずは仮説設計
まず最初に、プロダクトのターゲットを明確にし、どのようなステップを踏んで顧客になるのか仮説を立てることが重要です。仮説立てには、カスタマージャーニーやペルソナといったフレームワークを元に、ターゲットの購買に至るまでの行動・心情を浮き彫りにする方法が効果的です。
MVP 検証
仮説検証を効果的に行う方法の一つとして MVP という概念が存在します。MVP は Minimum Viable Productの略で、市場投入前の実用最小限の製品のことを指し、本格的な開発に入る前にコストをかけずに市場ニーズを検証することができます。以下、7つの効果的な MVP 検証を紹介します。
1.プロトタイプの作成
最低限の機能を備えたアプリを低コストで開発し、ユーザーテストを行う手法です。実際にエンドユーザーからフィードバックをもらえるような仕様を実装しなければならないので、MVP の中では比較的コストがかかる方法です。
2.オズの魔法使い
システム化できてない部分を人間の手で補って稼働させ、あたかもシステムが稼働しているように見せ、ニーズを調査する手法です。
カーテンの後ろから人間が操作していることから、映画“オズの魔法使い“に由来しています。
アパレル通販小売会社の Zappos は、市場ニーズの検証段階においては創業者が自ら靴を購入し配送するといったマニュアル方式を取っていました。(後にシステム化)
3.デモ動画
プロダクトやサービスについて紹介する動画を公開し、登録ユーザーを確保する手法です。
大手オンラインストレージサービスである Dropbox はサービスローンチ前の検証としてデモ動画を公開したところ、もともと5000件だったリードがわずか一日で75000リードまで増加しました。
4.モック公開
作成したモックをオンライン上で公開し、ユーザーからフィードバックを受け取るという方法です。ソーシャルメディアプラットフォームの ALIS はデザインのモックアップを公開し、UIに関するフィードバックを集めることに成功しました。
5.先行受付
サービスをローンチする前に事前登録や購入を呼びかけ、十分な数の顧客が興味・関心を持ってくれるか確認する手法です。上記で紹介したような様々な MVP と並行して実施できる施作で、先行登録者限定の特典をつけると登録効果もアップします。
6.クラウドファンディング
企画しているプロジェクトをオンライン上で公開し、共感してくれた不特定多数のユーザーから資金を募る手法です。低コストかつアーリーアダプターの獲得や支援者からの率直なフィードバックを獲得することができます。
7.ランディングページ
サービス概要について記載してあるランディングページを作成し、トラフィックや事前登録フォームなどへの CVR を計測してユーザーのニーズを検証する方法です。ソーシャルメディア管理ツールをサブスクリプションで提供する Buffer 社は、サービス内容や料金プランなどについてランディングページを飛ばし、email や twitter などからユーザーのフィードバックを効果的に受け取ることに成功しました。
適切なメトリクスで資金を管理する
資金調達で大量のキャッシュが入ったからといって杜撰な経営戦略をとるのは致命的です。限られたリソースの中で事業を健全に推進させていくためには、追うべきメトリクスを適切に設定しておくことが重要です。特にスタートアップの場合は、バーンレートから自分の事業が何ヶ月生き残れるかを把握したり、月次で算出されるメトリクスの達成度をモニタリングしながら経営戦略やリソース配分を最適にしなければなりません。
投資家が重視する SaaS スタートアップのメトリクスについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
組織マネジメント
経営陣で目的や方向性をすり合わせる
組織として効率的なパフォーマンスを発揮するためには、目標や結果を明確にしチーム間で共有しておく必要があります。目標マネジメントの方法としては、OKR や V2MOM があります。
OKR
Objectives and Key Resultsの略称で、定性的な目標である Objectives の設定と、それを達成するために追うべき定量的な指標 Key Results を設定します。OKR は Google や Facebook などシリコンバレーの大企業が取り入れていることでも有名です。
V2MOM
Salesforce が独自に取り入れている目標管理手法で、Vision(達成したいことを定義)、Value(ビジョンを支える原則)、Methods(業務遂行に必要な手段)、Obstacles(ビジョン達成のために克服すべき課題)、Measures(求める成果に対する測定可能な指標)を設定する方式です。
まとめ
Google や Amazon、NETFLIX のような企業の事例はとても興味深いことは事実です。しかし9割のスタートアップが生き残れない今日、彼らがなぜ生き残れなかったのかを分析・検討することこそ、とても価値があります。
そして多くのスタートアップが事業の頓挫を防ぐためには、プロダクトをローンチする前に市場ニーズを定量・定性的に計測し、適切に経営資源を分配していくことが重要であることがわかりました。
弊社では、投資家が重視するサブスクリプションビジネスの重要指標を、こちらの資料でまとめて解説しています。
ぜひご活用ください。
参考リンク
- Startup graveyard/http://startupgraveyard.io/
- CB insghts/https://www.cbinsights.com/research/startup-failure-reasons-top/
- Collapsed-learn lessons from failed startups/https://collapsed.co/
- Failory/https://www.failory.com/
Accel の記事や、セミナーの告知、公開したホワイトペーパーなど、サブスクリプションビジネスの成功に役立つ情報を定期的にお届けします。