営業外注とは?メリットや外注する際の注意点を解説
- 営業外注は、「営業リソースが不足している」「営業活動のノウハウが不十分」「新規開拓が困難な場合」などのケースで有効
- 営業外注のメリットには、「即応性によるリソース確保」「人件費の変動費化」「営業ノウハウの蓄積」がある
- 有効な営業外注を実現するためには、依頼する前に「目的と課題を明確にすること」が重要
多くの企業にとって、営業力の強化は不可欠です。営業担当者だけでなく、営業部門全体が営業力を向上させる必要があります。
ただし、人材の採用と育成には多くの時間とコストがかかります。このため、営業外注という選択肢が存在します。営業を外注することで、営業人材の採用・育成にかかる時間とコストを削減することができます。
この記事では、営業外注のメリットとデメリット、営業を外注する際のポイントについて詳しく解説します。
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目次
営業外注とは?
営業外注とは、「自社の営業活動の一部、またはすべてを他社の営業代行業者に委託すること」を意味します。企業では、以下の3つのような場合に営業外注を必要とすることが多いです。
- 人的リソースが不足している場合:自社の営業担当者が不足しており、営業目標に対して十分な人員を確保できない場合に営業外注を活用することで、人的リソースを補強できます。
- 営業活動のノウハウが蓄積されていない場合:自社の営業担当者の知識や経験が不足しており、効果的な営業戦略や手法が確立されていない場合に、営業外注を利用することで他社のノウハウを活かすことができます。
- 新規開拓が難航している場合:新しい顧客や市場へのアプローチが困難で、自社だけでは新規開拓が進まない場合に営業外注を検討することで、外部の専門知識やネットワークを活用し、新規ビジネスチャンスを開拓できます。
営業外注と営業派遣の違いとは?
営業外注と営業派遣は、よく混同されるサービスですが、異なる点があります。
営業派遣
営業派遣は、通常、営業担当者の補充を目的としたサービスです。例えば、営業担当者の不足を感じた場合に、一定期間に特定の人数を派遣してもらうという形で依頼します。
したがって、営業派遣では派遣された営業担当者への指導や指示を、依頼主自身が行う必要があります。また、派遣された営業担当者の経験やスキルにはばらつきがあることが多いです。
営業外注
営業外注は、依頼元企業の営業活動を外注先の企業が丸々引き受けるサービスです。外注先の企業は、クライアント企業が求める営業成績に向けて営業戦略を立案し、スタッフを監督・指揮して営業活動を行います。
営業活動全体を外注先企業に委託するため、営業戦略やスタッフの管理・指導も外注先企業が担当することが特徴です。
このように営業派遣は個別に指定された人数の提供を主な目的とし、依頼元企業が派遣された営業担当者を指導します。一方、営業外注は営業活動全体を外注先企業に委託し、外注先企業が営業戦略の立案とスタッフの管理を担当します。
自社の営業課題に応じて、営業派遣と営業外注のどちらを利用するべきかを選択する必要があります。また、営業アウトソーシングの実態については、こちらの記事でも解説しておりますので、ご参照ください。
営業外注の必要性が高まる背景
営業人材を中人に人手不足が顕在化
近年、営業の人材不足が深刻化しています。これには複数の要因が絡んでいますが、最初に挙げられるのは生産年齢人口の減少です。少子高齢化が進み、若年層の人口が減少しているため、企業が必要な営業人材を確保することが困難になっています。
実際に、エン・ジャパンの発表している 「2022年「企業の人材不足」実態調査―人事向け情報サイト『人事のミカタ』アンケート―」1) によると、約3割の企業は営業職が不足していると回答しています。営業の適性や能力を事前に正確に評価することは難しく、採用には高いリスクが伴うこともその背景の1つです。
人材の流動性が加速し人材流出のリスク増
近年、副業サイトやマッチングプラットホームなどの登場により、働き方は多様化しています。終身雇用の考え方は古くなりつつあり、スキルアップやキャリアアップを求めて転職をすることも、以前と比較して一般的となってきています。
人材の流動性が加速した結果、人材流出のリスクは高まり、優秀な人材を長期間確保することは難しさを増しています。
採用・育成の代替案としての BPO 市場の拡大
このような営業を取り巻く環境の変化によって、営業人材の採用・育成と維持におけるコストが高まっています。優秀な人材を採用しても、その後の育成期間を経て、成果を出し始めたタイミングで転職されると、企業はコストを無駄にすることになります。
また、VUCA(不確実性、複雑性、曖昧性、変動性)の時代においては、社内で専門人材を採用することも難しくなってきています。そのため営業に限らず、採用・育成の代替案として、即戦力の流動的な人材を提供する BPO サービスを検討する企業は増えています。
セールス BPO 領域におけるプレイヤーの乱立
セールス BPO の領域においては、営業コンサルティングや営業代行会社が多く存在しています。さらに、大手のコールセンターでインサイドセールス代行や BPO に取り組んでいるケースや、副業人材のマッチングプラットホームでも営業の業務委託ができるサービスもあります。
営業外注のメリット・デメリット
営業外注のメリット
営業外注には以下のような3つのメリットがあります。
リソース確保における即応性
営業外注を活用することで、必要な営業リソースを迅速に確保できます。営業担当者の採用や育成には時間と労力がかかるため、優秀な営業担当者を即戦力として手に入れることができる営業外注は、営業リソースが不足している企業にとって大きなメリットです。
人件費の変動費化
営業外注によって、人件費を変動費として扱うことができます。固定費を削減し、予算を柔軟に活用できるため、企業の成長や新規事業展開に必要な資金を確保しやすくなります。人件費を効果的に管理しながら、成長の機会を逃さずに事業を拡大することができるでしょう。
自社にないノウハウの蓄積
営業外注先は営業アウトソーシングを専門とするプロフェッショナル集団です。営業外注を通じて、自社にはない営業ノウハウを取り入れることができます。優れた営業代行業者との比較や連携を通じて、自社の営業課題を明確化し、成長に繋げることができるでしょう。
営業外注のデメリットと対策
営業外注をすることによるデメリットと、それに対する対策は以下の2つが考えられます。
営業活動が見えなくなること
営業外注業者が独自の方法やペースで営業活動を展開するため、クライアント企業は自社の営業活動が見えなくなる可能性があります。
この問題に対する対策としては、綿密なコミュニケーションが重要です。自社の営業担当者を営業に同行させたり、定期的な会議や報告を行ったりすることで、営業代行業者の活動を透明化し情報を共有しましょう。
営業外注業者への依存度が高くなること
営業外注をすると短期的に成果を得られるというメリットがある一方で、営業外注業者への依存度が高まるという課題があります。依存しすぎると自社の営業力の向上や成長が制限されてしまうので、対策が欠かせません。
そのため、外注をする際には、営業ノウハウの移管を前提として、自社の営業力向上を目指すことが重要になります。外注先を選ぶ際には、営業ノウハウの共有やトレーニングの実施、定期的なレビューなどを通じて、自社の営業力を向上させる取り組みを行いましょう。
営業外注の3つのポイント
営業外注を効果的に活用するためには、以下の3つのポイントに注意する必要があります。
導入する目的と課題を明確にする
営業外注を導入する前に、その目的と課題を明確にしましょう。
自社の営業目標や課題を明確にし、それに合わせた KPI (重要業績評価指標)を設定します。外注の効果や適正な業者選定に向けて、目標達成に必要なデータ項目を明確化しましょう。
また、売上の予測やギャップの確立を通じて、目的や課題の解像度を高めることが重要です。
自社の問題を解決できるのかを検討する
営業外注は自社の問題を解決するための手段として利用されます。
外注することで得られるメリットや解決できる課題を明晰化しましょう。自社の課題を解決するためには、営業代行業者がどのようなスキルや経験を持ち、自社のニーズに適合しているかを検討する必要があります。また、自社内でのノウハウの蓄積や育成の体制も同時に検討しましょう。
費用対効果を検討する
営業外注を検討する際には、費用対効果を検討することが重要です。委託費と売上高を比較し、費用対効果を算出します。
また、売上高以外の成果や効果も考慮に入れることができます。例えば、自社の商品・サービスを手薄だったエリアに展開する場合、営業先のリーチ数を効果とみなすケースがあります。
営業が注力できていなかったエリアでは、まずは認知度を高めることが優先されます。そのような場合、営業外注業者に発注することで活動量が増加し、見込み客に効果的にリーチすることができます。
自社の目標やニーズに合った営業外注業者を選ぶために、目標達成までの期間や指標、コストなどを総合的に考慮しましょう。
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