PMF を見据えたインサイドセールス立ち上げ方【ウェビナーレポート】
- 少子化による労働力人口の減少などを背景とした人手不足、企業を取り巻く環境の変化、デジタルマーケティングの普及により、近年インサイドセールスが注目を集めている
- インサイドセールスの役割は、見込み顧客に対して電話やメールなどでコンタクトをとり、顧客ニーズを引き出したうえで商談につなげ、最終的には製品購入やサービス契約に導くこと
- PMF(プロダクトマーケットフィット)とは、提供しているプロダクトやサービスが、マーケットのニーズに合っている状態を意味する
- PMF 特有の課題を解決する取り組みとして、顧客開発が必要
- 顧客開発では仮説に基づき、顧客発見と実証、検証という一連のプロセスをを上手に繰り返すことが重要
PMF(プロダクトマーケットフィット)は、成功するビジネスの基盤です。特に、インサイドセールスにおいて、PMFを達成することは顧客のニーズに応え、持続的な成長を実現するために不可欠です。
本記事では、インサイドセールスが注目されている理由や、インサイドセールスの役割、PMF を見据えたインサイドセールスの立ち上げ方について説明しています。
また弊社は、インサイドセールスの立ち上げを検討中の方に向けて、「インサイドセールス・スタートブック」を無料で提供しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
目次
インサイドセールスとは
最近注目されているインサイドセールス(Inside Sales)とは、見込顧客に対して、電話や電子メールなどの手段をつかって営業活動することをいいます。この記事ではインサイドセールスが注目されている理由や、インサイドセールスの役割、インサイドセールスの立ち上げ方について解説します。
インサイドセールスの役割
インサイドセールスの役割は、見込み顧客に対して電話やメールなどでコンタクトをとり、顧客ニーズを引き出したうえで商談につなげ、最終的には製品購入やサービス契約に導くことです。別の言い方をすれば、営業の効率性を最大限に高め、1分1秒でも早く自社の製品やサービスを購入してもらうことを目指します。
インサイドセールスが、先ほど挙げたテレアポと異なる点は、顧客へのヒアリングにより顧客が抱えている悩みや課題を引き出し、ニーズを顕在化させる点です。さらに自社のサービスの情報提供や、顧客の課題が自社サービスによって解決できることを提案するところまでが含まれます。
インサイドセールスが注目されている背景
インサイドセールスが注目されている背景としては、少子化による労働力人口の減少などを背景とした人手不足、企業を取り巻く環境の変化、デジタルマーケティングの普及があります。
平成に入った1990代後半までは、営業マンやセールスレディが企業などに直接電話をかけ、自社の製品やサービスを売り込む「テレアポ」が国内で一般的に行われていました。
ところが2005年12月に、総務省統計局が速報人口を公表したころから、日本が人口減少に転じたと広く認識されるようになっています。企業でも2010年代以降に人手不足が目立つようになり、営業担当者が足りない企業も多くなりました。
さらに2020年の新型コロナウイルス感染症の流行により、直接顧客を訪ねるような対面営業がしにくくなったため、企業がインサイドセールスへの関心を高めています。
インターネットを活用したウェブマーケティングの普及も、インサイドセールスの活用を後押ししています。具体的にはターゲットメールやリスティングなどのウェブ広告、オウンドメディアの記事を経由した集客、オンラインセミナーによる顧客情報(リード)獲得などが挙げられます。
最近ではウェブ経由で獲得した顧客リストを基に、インサイドセールスにつなげることが簡単にできるようになってきました。
インサイドセールスの構築
インサイドセールスの構築にあたっては、自社の営業プロセスが現状でどのように行われているのかを把握する必要があります。例えば自社の営業担当者が直接コンタクトをとっていたり、代理店経由でセールスを行ったりしているのは、どの顧客セグメントなのかをはっきりさせます。
また、自社の商品・サービスの種類や価格帯によってもマーケティング手法や営業チャネルが異なる場合もあり、商品・サービス特性に応じた販売手法についても可視化しておくことが必要です。そのうえで、その部分をインサイドセールスで行うのかを明確にしておくことも重要です。
さらにウェブ経由や展示会などで獲得したリードに対して、既存の営業チャネルで見込み客に対してどの程度リーチ(接触)できているのかを調べます。 こうして営業の現状を把握しておくことにより、インサイドセールスを実施する目的や意義が見えてきます。
インサイドセールスの立ち上げ方
ここからは、インサイドセールスを立ち上げるプロセスを具体的に見ていきます。インサイ
ドセールスを立ち上げるステップは、以下の6つのプロセスになります。
1インサイドセールスチームの結成
商材やプロダクトが単数か複数か、さらに単価はいくらかといった要素を考慮して、インサイドセールス、組織・体制や販売プロセスをフロー図として見える化します。
インサイドセールス( IS )の体制例としては、以下の3つがあります。
・ IS +外勤営業(代理店)
案件発掘から育成までを IS が実施し、商談は外勤営業が訪問によって対応するという分業型です。一定の基準によって営業ステージを分解し、決められた基準をクリアした場合に
フィールドセールスに引き渡します。比較商材が限定され、単価が中くらいから高い商材の
場合にとられる体制です。
・IS+IS(クローザー)で売り切り
一定の基準によって営業ステージを分解し、決められた基準をクリアした場合に案件を引き渡します。単価が低い商材(販売先が中小企業)の場合に、とられる体制です。
・IS+アカウント営業
IS とアカウント営業が1つのチームで、アカウントプランを立てて協働しながら攻略します。社内の顧客データ、デジタル経由からのリード情報、アウトバウンドコールによってアカウント営業に商談や情報の連携をとります。
2 KPI の設定/ ROI 測定
KPI( Key Performance Indicator )とは「重要業績評価指標」のことで、 ROI は「 Return On Investment 」(投資利益率)を指します。顧客体験(カスタマージャーニー)に紐づけて KPI を設定し、ROI を測定することによって、営業にかけた費用に対する売り上げ効果がつかめるのです。
3運用 KP I 設定とルール決め
KPI を設定した後は、一人当たりのコール数やアクション、メールのフォーマット作成など細かな運用ルールを決める必要があります。
4ツールの測定、案件ステータスの定義
インサイドセールスの運用ルールが決まれば、MA (マーケティングオートメーション)や CRM (顧客関係管理)といったツールも必要に応じて連携を図ります。
5顧客データの精査、データ入力の業務設計
顧客データの精査においては、顧客データベース( DB )や営業リスト、展示会リスト、営業名刺などのデータを整理・統合。データ入力をどのタイミングで行うか業務フロー図と照らし合わせて決めます。
6 Sales Enablement
担当者のスキルに応じたトレーニングプランを実施することは、インサイドセールスを実施するうえで欠かせません。
PMF とは
PMF とは
ここからは、インサイドセールスを実施する大前提として理解が欠かせない、PMF(プロダクトマーケットフィット)について解説します。PMF(プロダクトマーケットフィット)とは、提供しているプロダクトやサービスが、マーケットのニーズに合っている状態を意味します。
例えば、PMF を確認する時の1つの方法として、ユーザーのプロダクト活用状況が、時間の経過を経ても一定の値から下がらなくなった時に、PMF が実現できているといえます。
PMF で見られる一般的な課題
PMF で見られる一般的な課題として、社内のリソース不足や、これまで PMF について十分な検証が得られていないことがあります。
例えば PMF が見えていないと、新たに人を雇ったときに、これまで通り売り上げが増えないといったことが起こります。
プロダクトがマーケットに合っているかどうかを考慮せず、強力なセールスだけで販売してきた場合、インサイドセールスを導入したところで、効果的なセールスは期待できません。つまり、「誰がやっても売れる」という、再現性が実現できないということです。
PMF が実現できていないと、企業が新しい市場に参入しても反応が悪かったり、成長までに時間がかかったりします。
スティーブン・G・ブランクの著書「アントレプレナーの教科書」に書いてある通り、避けるべきは「ヒト・モノ・カネを投じたあげく、誰も欲しがらないモノを開発する」という失敗です。
こうした失敗に陥らないためには、 PMF が重要だということを理解してください。
PMF 特有の課題を解決するための方法
PMF 前特有の課題を解決するための取り組みとして必要な顧客開発とは
PMF の重要性が分かったところで、 PMF 特有の課題を解決する取り組みとして必要な、顧客開発について説明していきます。
顧客開発における検証項目例
顧客開発における検証項目例としては、顧客発見と顧客実証があります。
顧客発見では、顧客レポート、市場タイプレポート、課題記述書、製品プレゼン資料、製品デモ、製品仕様書、事業計画などがあります。
顧客実証においては、Value Proposition、営業ロードマップ、会社概要、コンセプト Deck、製品概要、営業の提案資料、営業の提案デモなどが挙げられます。
顧客開発において定義すべき企業セグメント例
顧客開発で定義すべき企業セグメントについては、事業規模や従業員数、自社の商品が IT ツール販売かリアルプロダクト販売かといった軸で分類することが可能です。また、 IT ツール販売であれば、SaaS 型のモデルかサービス提供型かといった違いもあります。
企業規模別では、大手企業の役員クラスと商談をしたいのか、または中小企業の経営者に売り込みたいのかといったように、ターゲットによってアプローチの仕方も変わってきます。
顧客開発でやっていること
- 仮説ベースで作って、決めたことを徹底
- 振り返って改善/ピボットを繰り返す
顧客開発においてはまず、仮説ベースで施策をつくり、決めたことを徹底します。そこで決めた施策については、振り返りをしながら改善/ピボットをくり返していくことが重要です。
つまり、企業は顧客を相手に仮説検証をくり返し、「再現可能で成長性の高いビジネスモデル」を探索します。
家電製品に代表されるようないわゆるモノ売りの場合、製品コンセプトを練り、開発をしてテストをしてから販売するというモデルをとっています。ただ、こうしたモデルは成長しにくくなりました。
企業側によるプロダクトアウトの発想で商品を開発しても、売れない時代になったのです。
そこで、まずは顧客発見をしてから実証、検証を経て、再び顧客発見に戻るというサイクルが重要になります。
具体的に説明すると、どの顧客に何を販売するのか、あるいは自社のソリューションによって顧客のどのような課題が解決できるのかを明らかにしていきます。
顧客開発においては、細かく顧客をセグメント化して、同一セグメントの顧客に共通した質問を実施。そこから得られた回答を分析することにより、顧客が抱える課題を把握し、価値訴求ができます。
まとめ
インサイドセールスの構築ではまず、自社の営業プロセスが現状でどのように行われているのかを把握する必要があります。そのうえで、どの部分をインサイドセールスで行うのかを明確にしておくことも重要です。
顧客開発では仮説に基づき、顧客発見と実証、検証という一連のプロセスをを上手にくり返すことにより、プロダクトやサービスをマーケットのニーズに合った状態、すなわち PMF に近づけます。営業の生産性を上げる重要な役割を果たすのがインサイドセールスです。
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