今更聞けない サブスクリプションビジネスとは? トレンドや特徴を徹底解説

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要約SUMMARY
  • "従来のビジネスモデルとの違いは定額課金制、ハードウェアの用意が不要、契約更新が自動という点である
  • BtoCではNetflix,Spotifyなど同型音楽などのデジタルコンテンツだけでなく最近ではモノのサブスクリプションも登場している
  • BtoBではSalesforceやMarketoなど営業支援、顧客管理というツールが販売されている
  • サブスクリプションビジネスの成功のカギは顧客の満足度を上げ、継続率を高めることである"

サブスクリプションとは、製品を購入して所有することから一定期間利用できる権利に対して金額を支払うビジネスモデルです。

BtoBのソフトウェアからスタートしたビジネスモデルですが、昨今ではBtoCで動画や音楽などのコンテンツを配信するサービスや自動車を月額制で貸し出すサービスなども登場しています。

本記事では、サブスクリプションビジネスの従来のビジネスモデルとの違いやトレンド、ビジネス成功の要因をご紹介します。

サブスクリプションビジネスとは?従来のビジネスモデルとの違い

サブスクリプションとは、定額課金制で一定期間利用できる権利に対して金額を支払うビジネスモデルです。

サブスクリプションビジネスの代表例にSaaS(Software as a Service)があります。

SaaSとはユーザーがインターネット経由でアプリケーションにアクセス、利用するサービスのことで、従来はパッケージを購入してインストールの上で利用していたアプリケーションをパッケージ購入不要で利用することができます。

サブスクリプションビジネスの主な特徴として以下の三点があります。

①定額課金制

従来の定額サービスは同じ金額で製品やサービスに対して継続的に課金されることを目的としていますが、サブスクリプションビジネスは同じ定額課金ですが、複数のプランを用意し利用権の範囲を広げるなど、顧客のニーズをキャッチアップし、いかに顧客との関係性を構築するかに注目しています。 

②ユーザーがハードウェアを追加することが不要

SaaSビジネスは、ユーザーがクラウド上のアプリケーションにアクセスし利用するため、ユーザーが追加でハードウェアを用意することは不要です。

③契約更新が自動

サブスクリプションビジネスでは、1か月や1年、複数年単位での契約など、一定の期間を設定して契約することが多く、自動更新で利用権が延長されます。

ユーザーはサービスの利用休止や解約をいつでも行えます。 

従来のビジネスモデルとの違いとして、売るまでを重要視していたビジネスモデルと違い、サブスクリプションビジネスではいつでもユーザーが解約できるため、よりユーザーファーストなサービスにすることが必須です。

サブスクリプションビジネスのトレンド

サブスクリプションビジネスはその収益性や成長性の高さから様々な企業が取り組みを始めています。

サブスクリプション型ビジネスを展開するために必要なマネジメント基盤を提供するZuoraが調査しているサブスクリプション・エコノミー・インデックス(SEI)によると、サブスクリプションビジネスの経済圏は7年半で成長率350%に及んでいます。

出典:Zuora『SUBSCRIPTION ECONOMY INDEX™』

サブスクリプションビジネスはSaaSだけではなく、動画や音楽などのデジタルコンテンツ、最近ではモノのサブスクリプションも登場しています。

BtoC、BtoBに分けていくつかご紹介します。

BtoC

Netflix

世界190ヵ国、約2億人のユーザーが視聴している動画配信サービスです。

クオリティの高いオリジナル作品を多々配信しており、画質の違いで料金プランがあり、ユーザーの視聴スタイルに合わせたサービスを展開しています。

Spotify

約5000万曲を聴くことができる音楽配信サービスです。

無料プランと有料プランの二つがあり、どちらを選んでも聴ける曲数は変わりがない特徴があります。

世界中のユーザーが作成したプレイリストを楽しむことができ、作成したプレイリストを共有することもできるため、ユーザー間での体験の共有もできる仕組みになっています。

BtoB

Salesforce

営業支援(SFA)や顧客管理(CRM)の機能を核にしたビジネスアプリケーションです。

ユーザーの利用用途によって機能を選択することができ、機能や利用状況に合わせたライセンス体系が用意されています。

PaaS領域のHerokuやBIソリューションのTableauなど、SFAやCRMの領域だけでなく統合プラットフォームのサービスです。

Marketo

世界5000社以上で導入されているMarketing Automation(MA)ツールです。

一般的なMAの機能である顧客のターゲッティングや見込み客の醸成活動といったマーケティング活動の補完機能に加えて、メールマーケティングやアプリ内へのプッシュ通知、ソーシャルメディアの活用など様々な機能を網羅しています。

価格体系も利用用途に合わせたプランが用意されており、中小企業からエンタープライズまで幅広い企業に利用されています。

経営の観点から見たサブスクリプションビジネスの特徴は?

サブスクリプションビジネスの特徴の一つに取得できるデータが従来のビジネスモデルと大きく違うという点が挙げられます。

サブスクリプションビジネスでは、従来のビジネスモデルでは取得しづらかった購入後のユーザーの行動や傾向データを取得することができ、そのデータの活用によって戦略の幅や精度が大きく向上します。

収集できるデータの幅が広がり、実行できる戦略の選択肢が増えることで、サブスクリプションビジネスには10の成長戦略と呼ばれるものがあります。

  • プライシング・パッケージング戦略
  • アップセル戦略
  • クロスセル戦略
  • 使用量に基づくプライシング
  • セルフサービスの強化
  • セールスプロセスの効率化
  • エンタープライズ市場への展開
  • 海外へのビジネス展開
  • プライシング・パッケージ設定の最適化
  • 戦略買収の強化

ユーザーのデータを保持することにより、ユーザーの分析をより解像度高く行うことが可能となります。

収集できるデータを分析し、ユーザー起点で正確性が高く、サービスをリアルタイムにブラッシュアップする戦略立案がサブスクリプションビジネス成功の肝となります。

また、サブスクリプションビジネスは投資コストの回収が中長期的になるため、従来のPLベースの事業評価だけでは事業の健全性が判断できないことも、経営観点からサブスクリプションビジネスを見た際には重要です。

サブスクリションビジネス成功の鍵は?

成功モデルも増えてきているサブスクリプションですが、成功モデルには共通の要素があります。

前述のデータの活用やPLベースではなく中長期的な利益を見据えた経営、事業の健全性の判断、サブスクリプションビジネス特有の経営指標の活用が共通要素として挙げられます。

また、サブスクリプションビジネスではユーザーとの継続的なコミュニケーションが重要なポイントです。

いかにユーザーに継続利用してもらうことかが重要なため、収集したデータを分析し、分析結果を用いてユーザー視点でサービスをバージョンアップする必要があります。

ユーザーとの継続的なコミュニケーションを重要視しないと、解約率も高くなり、適宜新規ユーザーを獲得しなけれならなります。これではサブスクリプションビジネスのメリットが消えてしまいます。 

ご紹介したデータ利活用や事業の健全性の判断基準、指標などを活用し、よりユーザー起点となるサービス提供を実現させて、継続率を高めることがサブスクリプションビジネスの成功の鍵と言えるでしょう。

まとめ

企業の成長、ビジネスモデルの転換のためにサブスクリプションビジネスを取り入れる企業も増えています。本記事でご紹介したように従来のビジネスモデルと異なる点も多く、よりユーザー視点に立つ必要があります。そのために必要なデータ利活用やサブスクリプションに適した経営指標を用いる事が重要です。今後のご検討の際にお役立ていただければと思います。

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