御用聞き営業からソリューション営業への転換
はじめまして!株式会社Magic Moment の安部です。
簡単に自己紹介させていただきます。
早稲田大学商学部卒業後、前職ではマンガを使ったBtoBマーケティング支援サービスの新規事業立ち上げを中心に、200社以上の営業/マーケティング/採用に関するご支援を行なってまいりました。(主にアウトバウンドによる新規開拓やウェビナー施策による休眠顧客の掘り起こしなど、初回接点からクロージングまで一気通貫型の営業を経験)
現在は Magic Moment の一員として、1つでも多くの組織が顧客との関係性を起点とした営業活動を実現し、顧客理解の徹底と本質的な価値を提供できるように努めております。
Twitter:https://twitter.com/h_abe1997
今回は、売上拡大に向けてご相談いただくことが多い「受注率向上」に関連して、御用聞き営業からソリューション営業に販売体制を見直している方に向けて、私の経験則から考察していきます。
目次
なぜ御用聞き営業からソリューション営業への転換が重要なのか
インターネットが普及し、誰もが簡単に情報収集できるようになった昨今、多くの企業が売上拡大に向けて営業形態の見直しを行なっています。例えば、本テーマに掲げているように、御用聞き営業からソリューション営業に切り替える企業が多いことも良い例です。
私も前職ではマンガを使った広告クリエイティブの企画・制作を行う BtoB 営業を行なっていましたが、まさに御用聞き営業からソリューション営業への転換が成果に繋がる大きな要因だったと考えるため、以下に解説します。
まず、御用聞き営業やソリューション営業がどのような営業形態なのか、下記に定義します。(定義の仕方は人によって様々だと思いますが…)
営業形態 3つのステージ
御用聞き営業お客様の要望のみに対応する営業
(例)「何かお困り事はないですか?」「金額は●●万円です」
ソリューション営業:お客様の問題解決に向けて対応する営業
(例)「あなたのKPIは何ですか?」「どのように営業活動を行なっているのですか?」
コンサルティング型営業:お客様をあるべき姿に導く営業(主語が I ではなく You)
(例)「なぜその広告手法が必要なのですか?」「こういうやり方もありますよ」
御用聞き営業はお客様が言ったことに対して回答する営業形態である、とイメージいただけると良いかと思います。
近年は、インターネットが普及する前後で、お客様の行動が変わり、今や自分で気になる情報は簡単に得られる時代だからこそ、御用聞きだけの営業は需要が落ちてきていると考えます(もちろん、お客様の行動特性や商品特性、地域性などにも依りますが)。
少なくとも、私が担当していた広告業界の BtoB 営業においては、御用聞き営業では成果に繋がりづらかったです(「マンガ広告に興味があるので話を聞かせてください」という顕在層のお客様であれば十分対応できます)。
一方で、ソリューション営業ではより幅広い顧客のステータスに対して対応することが可能になります。例えば、売上拡大を目的に商談数を増やしたいと言っている見込み客に、
「商談数を増やすためにリードを増やすためにディスプレイ広告施策を行いましょう」
「商談後の転換率を上げるためにフィールドセールスを数名に絞りましょう」
などのように、見込み客が言っている言葉を因数分解して、相手の問題解決に向けて提案することがソリューション営業の営業形態である、とイメージしてください。
無論、ソリューション営業の方が見込み客の状況に合わせて柔軟に対応しやすいため、様々な市場でソリューション営業ができる人材が求められているのではないでしょうか。
なお、現在は下記のような状況から御用聞き営業から脱却を図ろうとする企業も多いです。
- 顕在層へのアプローチはレッドオーシャンであり、競合他社も多く他社との差別化が難しい
- 事業スケールに向けて課題が明確でない潜在層や、課題が明確だけど解決策が分かっていない準顕在層へのアプローチが必要
どのようにしてソリューション営業への転換を行うか
ここまで、御用聞き営業からソリューション営業への転換が必要な理由について解説してきましたが、一体ソリューション営業を行うために何が必要なのでしょうか。
私は、ソリューション営業を行うためには、下記の要素が必要だと考えます。
- 顧客を理解する
- 自社ソリューションのベネフィットを整理する
- ヒアリング項目を統一、フォーマットを揃える
- 商談設計を行う
詳しく、下記に解説します。
顧客を理解する
ここで指す顧客とは、営業担当者が受注を得るまでの過程で関わる相手のことと認識ください。
その上で考えるべきことは、自分たちが解決したい課題が、誰のどのような課題なのか?ということです。
BtoB営業は、意思決定プロセスが進む中で関係者が多く、様々なステークホルダーに首を縦に振ってもらわなくてはいけません。相手の役割に合わせて、現状と理想のギャップを捉え、そのギャップを解消するために自分が提案する、という意識が欠けてはならないのです。
自社ソリューションのベネフィットを整理する
私はこれまで自社・他社の営業トークを見ていく中で、自社ソリューションのメリットをいくつも言える人は多いが、ベネフィットを伝えられている人はそれほど多くないと感じます。
相手が抱える問題を解決するためには、その問題に対応するベネフィットを伝えるべきであり、事前に自分たちのソリューションがどんな問題を解決できるのか、整理しておく必要があります。もちろん、相手が抱える問題に対して自分たちのソリューションでは解決できないと感じたら、今すぐその提案は止めて、別の顧客への提案活動に時間を使ったほうが有意義ではないでしょうか。
私が広告営業を行なっていた時には、マンガ広告のベネフィットを資料化して営業部門全員でその資料を使用し、定期的にブラッシュアップをかけていました。(共通化した資料を使ってみた時のお客様の反応や、使いづらさを感じたポイントなどをスプレッドシートでまとめて改善に活かしていました)
ヒアリング項目を統一、フォーマットを揃える
相手の現状と理想のギャップを捉える際に、何と言っても相手と合意を取ることが大事です。現状と理想のギャップの合意を取らずに自分の思い込みで提案を進めてしまうと、後で「いや、理想の状態が違うんだけど…」となりかねません。
そうならないために、事前にヒアリング項目を統一しておくことが必要です。また、ヒアリング項目に対する回答のフォーマットも揃えておくことが肝心です。せっかくヒアリングをしてお客様の声を記録したとしても、フォーマットがバラバラだと後で集計・分析が難しくなってしまうからです。
例えば失注理由を分析しようと考えた時に、自由記述のテキスト入力だけでは集計用のデータとしては使いづらい、と感じたことがある方は多いのではないでしょうか。プルダウンでMECEに基づき選択肢を用意しておき、その上でテキスト記入欄を設けると集計がしやすくオススメです。
商談設計を行う
商談における営業担当者の振る舞いは、最も大事です。これまで準備してきた上記3つを発揮する場面が商談だからです。
私が前職で広告の BtoB 営業を行なっていた際に、トップパフォーマーの営業担当者と新人の営業担当者の商談同席をすると、商談の時間の使い方や商談中のお客様の目の色に違いが出ていました。
新人の営業担当者の場合、お客様のことを知ろうとする前に会社紹介を始めてしまい、テキストを読み上げているかのような紹介でお客様が退屈する表情を見てきました。
一方トップパフォーマーの場合、お客様の所掌範囲やミッションをヒアリングしてから、お客様の状況に合わせた会社紹介を行うことで、お客様の頷きが多かったり質問が多くでたり、明らかに反応に違いが出ていたのです。
トップパフォーマー(或いはハイパフォーマー)の商談の流れを下記のように抽象化させ、各パートで何を確認しているか具体的なヒアリング事項に落とし込むことで、新人の営業担当者が迷わず御用聞き営業から脱却できると考えます。
組織としてソリューション営業を実践するために
以上、御用聞き営業からソリューション営業に転換することの重要さ、必要な要素について解説してきました。ぜひ本記事をご覧いただいているソリューション営業の実践に取り組みたいという方に、トライしていただきたいです。
と言いたいところですが、実際にはすべての営業担当者がソリューション営業に転換するのは簡単な話ではありません。
組織としてソリューション営業に取り組むために、私も前職では CRM/SFA を使って顧客管理・案件管理を行い、集計したいデータ項目を用意してこれで完璧、と思っていましたが、すべての営業担当者がソリューション営業に取り組むことはできませんでした。
個人単位、数名程度の規模感であれば浸透しやすかったのですが、徐々に営業人数が増えていくにつれ、データを入力してくれない人が現れたり、自分でスプレッドシートを作成して個人で管理する人が現れたりしまったため、トップパフォーマーの活動をベースにしたソリューション営業を実践することが難しかったと振り返ります。
しかし、セールスイネーブルメントの考え方が普及してきている近年、「成果を出す営業パーソンを輩出し続ける人材育成の仕組み」の構築に向けて、従来の CRM/SFA とは異なるテクノロジーの活用が進んできているのをご存知でしょうか?
特に、米国の営業組織の87%で導入が進んでいる セールスエンゲージメントプラットフォーム では、営業担当者が顧客への最適なアプローチをデータに基づき可視化し、結果の分析と改善を自動で担ってくれるのです。
→あわせて読みたい:世界的調査機関 Gartner が重要だと位置付ける セールスエンゲージメントプラットフォームとは – Accel by Magic Moment
私は、これから組織としてソリューション営業を実践するために、データの入力や分析、商談でのヒアリング事項など、テクノロジーに任せられるところはテクノロジーに任せ、人に期待するところは人が取り組む組織づくりが必要になると考えます。
Magic Moment では、そのような思想に基づき、お客様の営業組織づくりを支援するセールスエンゲージメントプラットフォーム Magic Moment Playbook を提供しています。
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