インサイドセールスに関するよくある誤解【ウェビナーレポート】

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要約SUMMARY
  • インサイドセールス部門のマネージャーにふさわしい人物はSFAやMAの価値を理解し、データを扱えることが挙げられる
  • インサイドセールスの成果は具体的なKPIである商談件数を稼ぐことではなく、LTVを最大化させることが挙げられる
  • インサイドセールスのマネジメントは個人と会社の目標を理解することが求められる
  • そのような人材を育成していくために各業務の特性やデータ活用の大切さを理解し、ノウハウを蓄積していくことが重要である

Magic Moment では『インサイドセールスの都市伝説』のウェビナーを開催しました。

サブスクリプション型ビジネスモデルの拡大やコロナ禍での非対面営業の影響によって、インサイドセールスが急激に注目を浴び、多くの企業で導入が進んでいます。

しかし、実際に導入してみたものの商談獲得数や成約数が伸びないという企業が多く存在しているのも事実です。

本記事では、成果創出を阻害するインサイドセールスの誤解されやすいポイントに関して、ウェビナー内容の一部を紹介いたします。

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営業経験者をマネージャーにおけば OK だと思っている

営業で優秀な成績を収めた人をマネージャーに据えれば、インサイドセールスのマネージャーも十分に務まると思われている方も多いですが、実際はそうではありません。

営業経験者というだけではインサイドセールス部門のマネージャーに適さない理由

営業職で多くのことを経験し、優秀な成績を残してきた人がそのままインサイドセールスのマネージャーとなってもすぐに成果を出せるものではありません。なぜならば営業とマネージャーでは求められる能力が基本的に異なるからです。

営業とインサイドセールスのマネージャーとではどういった点が異なるのでしょうか。

まずは営業とインサイドセールスという役職がそもそも異なります。業務の目的についても営業が契約獲得を目的とするのに対し、インサイドセールスは見込み顧客であるリードに対しコールやメールや手紙などでアプローチを行い、良質な商談につながるアポを量産するという目的を持っている点でも異なります。

そして何よりも、営業のプレイヤーだった人が役職の異なるインサイドセールスの、マネジメントという立場になるという大きな違いがあります。

したがって、営業経験者として優れた業績を残してきたからといって、すぐにインサイドセールス部門のマネージャーとして結果を残せるわけではないという点を理解しておくと良いでしょう。

インサイドセールス部門のマネージャーに相応しい人物とは

ではインサイドセールス部門のマネージャーに求められる要件はどういったものがあるでしょうか。

例えば SFA や MA の価値を理解し活用できる必要があります。データの特性を理解し、顧客や社内の行動データを駆使し、ツールを活用しながら PDCA を回し、顧客へのアプローチを改善していける運用が求められます。

また、営業経験に加え、インサイドセールスとの親和性が高いマーケティングの経験があり、データを扱えるデータサイエンスの知見やセンスがあることも要件として挙げられます。

具体的には統計的にデータを読み取ることができ、そのデータを処理することでネクストアクションに繋げられる人が望ましいと言えます。これらを営業経験者が自身のトーク力でカバーするといった、属人性に頼ってしまうとチームとしての結果につながりにくくなります。

結局はアクティビティの総量に対し、どのくらいの割合でアポイントや契約が取れたかの転換率が重要であり、量の重要性も質の重要性もどちらも理解していることが重要です。

どのように相応しい人材を確保していくか

データの重要性を理解している人材を確保できれば良いですが、そういった人材はなかなかいないため、そのような人材を育成していくことが重要です。

人材確保のためにはインサイドセールスの重要性を会社に浸透させる必要があります。インサイドセールスの地位が営業やマーケティングより低いと思っている会社もありますが、そうではないこと、それぞれの役割が異なり、動き方も全然異なることを理解させ、会社に適したインサイドセールスのプロセスを確立することが重要です。

インサイドセールスの待遇やインセンティブを改善し、インサイドセールスを行いたいと思う人を増やしていくことも重要でしょう。

短期的な成果がインサイドセールスの成果だと思っている

短期的な成果のみを追いたくなる背景

目の前のKPI を課せられているからその目標を達成することが目的となってしまい、目先の結果ばかりに気を取られてしまうケースが往々にしてあります。

短期的な成果のみを追うことによって起こる弊害

インサイドセールスの具体的な KPI である商談件数を稼ぐことが目的となり、結果的に半ば無理やりアポイントを取るなどの弊害が生じます。営業に良質な商談を提供し、受注につなげるための橋渡しをすべき目的がインサイドセールスにはありますが、そのプロセスをおざなりにし、目の前の成果を追うことで結果的に本来の目的も見えなくなる弊害が考えられます。

短期的な成果のみを追いかけると、受注率だけでなく、契約の更新率も低くなってしまい、顧客の解約が増えてきます。その結果、投資に見合ったリターンが得られず、赤字になってしまう企業が出てくるのです。 

LTV と同時に引き合いに出される指標に CAC  (Customer Acquision Cost)がありますが、 LTV と CAC は一般的に3:1が適切な割合とされており、顧客の更新率が低いとこの 3:1 のバランスが崩れ、企業が継続して事業を行う上で厳しい財政状態に陥ってしまうのです。

このような弊害を避けるためには、自社のアプローチすべき顧客層を正しく定義し、自社のサービスを導入し、長年利用してくれている顧客の共通点(業種や業態や規模やビジネスモデル)などが近しい企業にアプローチしていくことが取りうる対応策の一つと言えるでしょう。

LTV の重要性

顧客生涯価値を意味する LTV は、サブスクリプション型のビジネスモデルであれば 1 回きりの付き合いではなく、何度も顧客にサービスを利用してもらうことで増加されます。

LTV を最大化させるためには「売りたい先」に売るのではなく、「本来売るべき顧客」を精査し、戦略的に提案活動を実施する必要があります。

インサイドセールスも目先の KPI を追うだけではなく、最終的な目的である LTV 最大化のために中長期的な目線で活動をしていく意識付けが重要なのです。

LTV についてはこちらでも紹介しております。

適切な KPI の設定方法

短期的なアポイント件数の KPI をインサイドセールスに課すのではなく、 LTV 最大化を意識した中長期的な目線で KPI を設定することが経営層やマネジメント層にとって求められます。

具体的には単純にアポの件数とアポから受注した件数を評価することは大事ですが、その後どのくらい契約が継続されたか更新率にも注目し、最終的に LTV を最大化させるためのアプローチを確立していくと良いでしょう。

自社の商材の特性や活用事例としてマッチしそうな顧客特性を具体的に描き、売るべき顧客(正しい使い方を長期的にしてくれる顧客)を炙り出し、アプローチしていくことが求められます。

このようなアクションを取るためには前章で触れたデータを分析できる人材がデータを正しく活用し、インサイドセールスのマネージャーとして望ましい行動をとっていくことが不可欠なのです。

そしてインサイドセールスだけではなく、営業やマーケティング、カスタマーサクセスなど関連部門の方々とのタイムリーな情報連携をしながら、アプローチすべき顧客を会社として理解していく方向に持っていくと良いでしょう。

また、架電数やメールの送信数などのインサイドセールスの行った行動 KPI を測ることに加え、その後顧客がどのように行動を起こしたかという成果 KPI も設定し、自社と顧客の両軸で KPI をセッティングすることも大切です。

自社の KPI ばかり追っていても、その結果がどうなったかの効果検証を行わない限り自社のアクションの評価ができず、実施すべき改善が見込めないからです。

顧客に設定した KPI を振り返り、いいフィードバックをもらうことができたら、自社で設定した KPI が正しかったことに繋がり、 LTV の最大化に結果的につながるでしょう。

簡単に内製化できると思っている

内製化が難しい理由

優秀な営業経験者がインサイドセールスのマネージャーに就任すると、自身の経験をもとにした属人的な思考に陥る可能性があります。

営業で培った経験をもとに自分の基準で考える可能性があり、商談のアポイントくらい簡単に取れると思い込んでしまう場合があります。しかし、その思考は属人的で再現性がない可能性が多分にあり、およそプロセスとは言えない再現性のないプロセスを設定し、結果的に現場メンバーが疲弊してしまうケースがあります。

仮に業務プロセスやルールを策定したとしても、これまでの行動データや現場メンバーの特性など、さまざまな考慮すべき点を踏まえたものではない場合、そのプロセスやルールがうまく機能することは期待できないでしょう。営業経験者のカン・経験・思い込みなどの属人性の高い要素を基に内製化に取り掛かってしまうと高い確率で失敗してしまうので注意が必要です。

内製化するメリット

インサイドセールスを内製化する場合、いくつものメリットがあります。例えばコストです。現在ではインサイドセールスもスポットで外注を請け負っている会社が多数あり、自社にノウハウがなくても対価を払うことでその業務を実行してくれますが、自社でインサイドセールスを賄えることができれば、外注費用が掛からずにすみます。

また、内製化することができれば、人材を自社で賄うことができるため、自社にノウハウやスキルが還元されます。自社のことを理解している人材がビジネスをより大きくするための最適なアクションを取ることができれば、スポットで入る外注先に比べ、会社にとって良い結果につながります。

内製化できればインサイドセールスと関係が深い営業やマーケティングやマネジメントなどの役職に「インサイドセールス経験者」として異動できるため、他部門のことを理解した上で業務を行えますし、他部門とのコミュニケーションも円滑に行い、良いパフォーマンスを期待できるでしょう。

内製化する方法

テクノロジーによる仕組み化

営業プロセスをデータやツールを活用し科学的に分析し、仕組み化することが肝となります。内製化にノウハウや経験やカンは重要なエッセンスであることに異論はありません。しかし、もっと重要なことはその会社のチームやメンバーにあった組織を作ることで、そのためにはテクノロジーの活用が欠かせません。

データに裏打ちされたロジックで施策を決定し、再現性の高いアクションをとることができれば非常に良いパフォーマンスを出せる組織になる可能性が高まります。そのためには営業を科学するデータサイエンスの知見が重要になり、テクノロジーによる仕組み化を見据えた取り組みが求められるでしょう。

まとめ

営業経験者とインサイドセールスのマネージャーは役職、役割などが異なります。営業経験者はそれぞれの役職や役割の違いを理解した上で、インサイドセールスのマネージャーとしてパフォーマンスを発揮できるような準備が必要です。

通常、インサイドセールスはアポイントを取得し、目の前の KPI を達成することに日々追われています。しかし、自社にとってアプローチすべき顧客に正しいアプローチをしないと、 サブスクリプションモデルのビジネスにおいては契約更新率に影響が出てしまうので注意が必要です。

一方でサブスクリプションモデルをとっている企業にとって、最大の目的は LTV の最大化です。自社のサービスや顧客特性を踏まえたターゲット層へのアプローチを心がけ、さまざまな施策を打っていくことが求められます。

上記を踏まえると、インサイドセールスのマネジメントは個人と会社の目標を理解することが求められます。そのためにはデータサイエンスの知見がある人が望ましいですが、そういう人材はなかなかいません。自社内で人材を育成するとともに、各業務の特性やデータ活用の大切さを理解し、ノウハウを蓄積していく必要があります。

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