製造業の営業DX 収益改善のためのデジタル化の取組み【ウェビナーレポート】
- 製造業におけるデジタル化に関して、ノウハウや知見をどのように標準化していくのか、どのように共有していくのかが課題である。
- デジタル化の推進において、データ活用が重要である。需要に関するデータである販売保守(営業)データをいかにデジタル化し、活用していくかが鍵になる。
- データ活用において、営業プロセスの可視化をはじめ営業活動を見える化することが重要である。
Magic Momentでは『製造業の営業DX- 製造業の収益改善のためのデジタル化の取組み』のウェビナーを開催しました。
デジタル化が加速している中で、「どこから手をつけていいかわからない」「製造業において営業のDXって何をしたらいいかわからない」といった方も多いのではないでしょうか。
本記事では、なぜ製造業のデジタル化において、営業が重要なのか。現状の課題や具体的なやり方に関して、ウェビナー(セミナー)内容の一部を紹介いたします。
→製造業の営業DXをお助けする『Magic Moment Playbook』
目次
製造業界で起きている事
製造業が抱える3つの課題
ものづくり白書にもあるように、日本の製造業ではサプライチェーン、グリーン、デジタルの3つの課題に取り組んでいらっしゃるかと思います。
コロナ禍をきっかけに市場環境や製造環境の状況が変化し、サプライチェーンの問題が存在します。
グリーンに関しては、今後大きな影響を持つキーワードであり、3〜5年後確実には製造業の分野で無視できない要素となることが分かっています。
多くの企業ではサプライチェーンとグリーンの問題に多くのリソースを奪われています。
デジタル化について
デジタルは、5年〜10年ほどずっと言われている課題ですが、サプライチェーンやグリーンの課題と比較しても、こから手をつけるべきか明確に提言がなされていないのが現状です。
そこで今回はデジタル分野を中心に、どうのように進めたら良いかについて提言します。
日本企業の課題
日本企業の課題としては、収益性向上、人材強化、売上・シェア拡大の3つが挙げられています。
企業の規模別に見ると、大企業はデジタル投資に、一方で中堅中小企業は売上と人材に課題を持っています。
製造業と非製造業で比較すると、製造業の悩みとして、今後のビジネスモデルの転換や技術力の強化を重視されています。
製造業の悩みでは、
- 売上の低迷
- 業務効率化
- デジタル化
- データ収集
が大きな課題とされています。
IT投資の目的で最も多いのは業務効率化で、コロナ禍の影響によりテレワークへの対応が急務となった企業が多くなっています。また製造業の分野でも SaaS への注目が集まっています。
デジタル化
デジタル化に関するアンケート結果では、従業員の持つ技術や能力の形式化・デジタル化を通じた標準化に取り組む企業が一番多くなっています。具体的にはノウハウや知見をどのように標準化していくのか、拠点ごとに抱えがちなノウハウをどのように共有していくのかというところです。
データ活用
製造業におけるデジタル化というとデータ活用を目的とするのが一般的となっています。データの活用度合いで見ると、主に生産プロセスのデジタル化に注力しているのが製造業の特徴となっており、一方で販売についての取組は進んでいません。
売上をあげるための新規ビジネス創出に向けたデータ活用には手をつけられていないところが、大きなヒントだと言えます。
製造業のDX事例
直近では、SONY、富士通、NEC などが DX の成功事例として挙げられます。これらの事例では、サブスクリプションモデルへの転換やリカーリングモデルの導入のように、売り方の転換に取り組んでいる点が特徴です。
※詳細は以下記事をご覧ください。
SONYリカーリングモデルの導入
リカーリングモデルの導入に加え、従来違うモデルとして利用されていたサブスクモデルの取組を実施し、継続的に利用されるモデルを構築。
富士通:EC基盤により商品やサービスの展開をするサブスクリプション型サービスへシフト
サブスクモデルに転換し「受注、契約、請求」までの一連サービスを提供。
NEC:通信回線をソフトウェアで制御する事業にサブスクモデル導入
AI・IoT技術やIaaSを駆使したサービス事業の技術を最大限に適用。
ネットワーク機器と保守をセットで提供する機器サービス/サービスデスクや機器の監視、運用管理を担うサービスの2つのサービス形態を展開。
製造業は販売・保守・サービス=営業領域からデジタル化に着手すべき
日本の製造業では、工場のDX推進やサプライチェーンとエンジニアリングチェーンの課題について多く議論がされているのに対して、販売/保守など顧客接点においては言及が少なくなっています。
しかし実態では、生産工程のデータは多く保有していても販売データがそもそも十分でなく、最終的にトップセールスの手腕に頼った営業活動になっており市場のニーズが見えていないといった課題があります。
つまり、需要に関するデータがない中、供給側のデータだけ重視してもあまり効果が得られない状況となっています。そのため、販売保守データをいかにデジタル化し、活用していくかが鍵だと考えています。
海外の製造業における営業DXの成功事例:GE
海外の先進的な製造業は、CRM に加えて、マーケティング – インサイドセールス – フィールドセールスを連携する仕組みを導入し営業活動を強化しています。ここでは、世界的な企業であるGEを例に取り上げます。
課題
- 見込み顧客(リード)数が多過ぎ、製品の購入に繋がりそうな顧客の見極めに多大な時間を要していた
- 問合せについても、緊急性が分からず、優先度が見極められなかった
- 製品も複雑化し、顧客へフィットするか否かの識別も、複雑化していた
- 結果として、営業生産性が低かった
対応
- MA や CRMシステムに蓄積されているデータを抽出し、顧客の行動や属性、企業特性等を分析
- 顧客を優先付け (Priority) し、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス全部署で連携
- マーケティングやセールスに情報を提供し、有効施策や優先アプローチ顧客をガイド
成果
- Priority Score という共通言語を用いマーケティングとセールスのコミュニケーションが円滑化
- セールスが適切な人物へアプローチするまでの時間が 4倍 早くなった
- マーケティングからセールスへの転換率が 128% 向上
- 平均商談期間が 78% 短縮
GE では、CRM、マーケティングのデータ化に早くから取り組んでおり、プロダクトの利用状況や販売状況のデータを全て可視化して、それを生産工程に繋げて高い成果を出していました。
日本の製造業の先進事例を見ても、営業データや顧客データの活用するメリットが高いことがわかります。経済産業省の製造業 DX 取組事例集で紹介されている今野製作所の例では、営業機能から上流工程に行くにつれてプロセスが複雑化しています。入り口の営業データを収集しない限り、売上に直接繋がる DX プロセス構築には困難だと言えます。
多くの製造業は生産工程の改善に着手してしまいがちですが、実は営業データは重要でかつ着手しやすいものです。ここ数年で営業データの収集がしやすい仕組みが整ってきています。
製造業の営業組織におけるデータの重要性
消費者のニーズは変わってきており、所有(モノ)から利用(コト)へシフトしています。サブスクが加熱しているように、使うというニーズが高まっています。
そのため、良い物だから売れる訳ではなく、お客様が物を使うことでどういう体験を得られるのか、どのような価値を感じられるかが重視されてきています。
また、営業組織を取り巻く環境は大きく変化しております。コロナ禍の影響で、直接会って構築してきた関係がオンラインに切り替わったことでうまくいかなくなったり、リモートワークの影響で現場が見えにくくなったりということが挙げられます。
情報社会になって、インターネットで得られる情報を超える価値提供が求められており、営業レベルが上がってきています。そのため、旧来のやり方ではなく営業にも変化が必要です。
その中で、正しく「市場・顧客」を把握することが最も重要となります。よくある話として、これまでの過去何十年間で培ってきた営業方法やノウハウに則った営業活動を続けてしまうことによって、蓋を開けてみると時代のニーズに合っていない営業になっていることがあります。
したがって、過去の実績よりも、現在そして今後の市場環境どうなるのかを顧客起点で捉えることが重要になります。
営業活動を見える化する重要性
営業活動において、顧客目線だけでいいのかというとそうではなく、自社の営業活動が正しいのかどうかを次の3つの視点でチェックするべきです。
- プロセスの可視化
- 営業と顧客との関係性の可視化
- 再現性のある営業組織を構築
プロセスの可視化では、定量的な部分を管理します。そうすることで、何がうまくいって、何がうまくいかなかったのかを把握することができます。製造業では売り切りモデルが主流で、成果が出れば良い文化がありますが、売れるまでのプロセスが見えないと若手の育成や営業組織全体でのスキルアップに繋がりません。
また定量的に把握ができてプロセスの構築ができると、市場の変化にも迅速に対応ができます。
営業と顧客との関係性の可視化とは、自社の活動ではなくて結果どうなったのかを可視化することです。顧客と営業との関係性を可視化することで質が高まるので、定点観測頻度を高めて定期的に振り返りを行います。
再現性のある営業組織の構築は、把握した内容を営業組織全体で共有し再現できる状態を作ることです。
販売(営業)活動の複雑化
The Model という、それぞれの営業工程に応じて専門性を高める営業手法の導入によって、営業活動や営業という仕事内容が複雑化しています。しかしこの営業手法では部門によって分断してしまい情報の共有がされにくいという実態もあります。
とはいえ、製造業では営業担当者が全ての営業工程を担当することが一般的であり、営業が複雑化してきているのにもかかわらず各工程を意識した活動がしにくくなっています。そのため、前後の工程を可視化し、組織運営をしていく必要があります。
顧客と出会うところから受注後までをデータ化して管理することが、昨今の営業活動のコツとなります。
製造業における営業の強い組織:キーエンス
キーエンスが高収益を出し続けている理由として、開発力と営業力が優れている点が挙げられます。
開発力では、新製品の約7割が世界初・業界初の製品となっています。そしてそれらの製品開発の裏付けは顧客の声であり、市場ニーズを把握・データ化しているからこそ痒いところに手の届く製品の開発が可能となっています。
営業力では、3つ挙げられます。
1つめに営業活動データが細かく管理されている点です。営業担当者がいつ、どこで、なにをしたのかが全て見えるかされており、何が原因で販売に繋がったのかが全てデータ化されます。
2つめに営業データに基づく行動がすべて型として存在しています。想定できる全てのケースがカバーされた営業の型が存在し、会社が営業担当者へ最適解を提供できている点が強みだといえます。
3つめに、マネジメントの徹底です。外出報告を毎日徹底しており、定点観測の頻度が高いです。内容は定性的な面まで徹底して確認・議論・修正される文化があり、結果として高い営業パフォーマンスに繋がっています。
このような理想的な営業組織作りや営業の業務フロー策定のヒントとなるのが、セールステックツールの活用です。
データを営業のアクションへとつなげるSET
海外では、営業組織をデータに基づいて支援する「セールステック」の活用が進んでおり、Sales Engagement/Enablement Techonology ( SET ) というツールを活用して、営業データをアクションへとつなげています。
アメリカの企業では、このようなツールを10以上活用し、営業担当者が顧客対応に集中できる環境を作っています。結果として効率的で生産性の高い営業活動を実現しています。
アメリカの企業と比べて、日本でははまだまだツールの活用が進んでおらず、属人的な営業活動となっているのが現状です。今後はデータを活用した営業組織作りが日本でもさらに普及してくると考えています。
そこで、営業の最適解と質の高い営業活動をサポートするSET 『Magic Moment Playbook』 のご紹介です。
Magic Moment Playbookのご紹介
Magic Moment Playbook は、データに基づいた営業の最適解と行動を示唆するセールステックツールです。データに基づいて「どこに何をしたらいいか」の示唆出しをすることで、営業担当者の行動量と提案の質が上がります。
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