インサイドセールスとフィールドセールスの違いとは?
- インサイドセールスはその名前の通り、対面ではなくオフィスの内部で行う営業活動やその部門・役割を指す
- インサイドセールスとフィールドセールスで分業するメリットとして営業効率の向上、リードの取りこぼし防止などが挙げられる
- 連携を成功させるポイントとして「役割分担の明確化」「情報の共有」が重要になる
- 営業間の連携には、社内で役割分担を明確にすることと情報共有を密にしながら、リード引き渡しルールなどの仕組みを浸透させることが欠かせない
商品の特性の変遷、顧客の購入行動の変化などを受けて、また最近ではコロナの影響もあって、企業の営業手法は、従来の対面営業を主とする方法から非接触での営業も含めた新たな形態に移行しています。中でもオフィス内から電話やメールなどの手段を使って営業を行うインサイドセールスが、国内でも広く認知され浸透してきました。
そんな中、営業担当者の生産性をより高め、効率的な営業活動が進められるように自社の営業プロセスを2つに「インサイドセールス」と「フィールドセールス」に分業する手法が注目されています。顧客と直接商談を行い営業を行うフィールドセールスに対し、電話やメールなど非接触での営業を行うインサイドセールス。それぞれの違いや役割を明確に理解しながら組織体制の整備を進めることで、より効果的な営業活動ができます。
そこで本記事では、フィールドセールスとインサイドセールスのそれぞれの役割の違いと、分業の成果を最大化させるポイントを解説します。
目次
インサイドセールスについてはこちらのウェビナーでも解説しております。
大企業でインサイドセールスを導入することの難しさを取り上げたうえで、立ち上げに必要な6つのステップをご紹介しております。
無料でオンデマンドもご覧いただけます。インサイドセールスの立ち上げ・改善にご活用ください。
インサイドセールスとは
仕事内容
インサイドセールスはその名前の通り、対面ではなくオフィスの内部で行う営業活動やその部門・役割を指します。インサイドセールスは電話やメール、Web 会議ツールなどの IT ツールを活用し、顧客とコミュニケーションを取ります。見込み顧客に対して、適切なタイミング、適切な手段や内容でコンタクトをとり、相手の課題やニーズをヒアリングすることが重要な業務となります。さらに聞き出した情報を元に、顧客が求めるものに対応するソリューションを提案し、顧客との距離を縮めて顧客を育成していくこともインサイドセールスの重要な業務です。
普及の背景
インサイドセールスが普及した背景として下記の3つが挙げられます。
サブスクリプション型ビジネスモデルの拡大
サブスクリプション型ビジネスモデルが様々な業界で裾野を広げていることです。サブスクリプションとは、利用者がモノやサービスを購入するのではなく、必要な分だけを利用できるサービスです。またサービスを利用する際にも WEB で申込まで完結することができ、手軽に始められるメリットがあります。企業側としても、対面での営業をせずに申込まで誘導できるため、問合せ対応やメール、チャット、 WEB サイト上でのフォローアップや啓蒙に注力できます。これらはまさにインサイドセールスが主となり対応する業務です。
業務効率化による人手不足対策
少子高齢化が進み、働き方も多様化する中で人手不足に悩まされている企業が増えています。限られたリソースを有効に活用するために業務の効率化が注目されていますが、営業部門における効率化という意味で、インサイドセールスの果たす役割は少なくありません。対面営業では無しえなかった多くの企業への一括アプローチや、 CMS やマーケティングオートメーションツールなどのデジタルツールを使って、効率的に運用・管理することで生産性を高められることもインサイドセールスの強みです。
コロナ禍での非対面営業
昨今のコロナ禍の影響は業界に限らず甚大で、企業のビジネスそのものにも影響を与えています。対面での営業が当たり前だった業界においても、非対面での新しい顧客獲得、関係構築を考えなければいけません。このような背景にあって、非対面で営業機会を算出できるインサイドセールスが注目され、様々な業界において導入が進んでいるのです。
インサイドセールスの役割
インサイドセールスの役割は導入パターンによって異なります。
インサイドセールスのみで営業の業務フローを完結させる場合
見込み顧客の獲得から育成、商談、成約までを全てインサイドセールスが担当します。具体的には、チャットボットを含め、 WEB サイト上での問合せや資料請求等を通じて、見込み顧客(リード)の連絡先を獲得します。獲得したリードに対して、メルマガやキャンペーン、オンラインセミナー等を通じて、自社への興味を高めていきます。
この工程を顧客の育成=ナーチャリングと呼び、営業プロセスにおいて重要な役割を担っています。温度感が高まった顧客に対しては商品購入・サービス導入へ誘導します。また確度の高い顧客に対して、電話で営業をかけたり、オンライン商談を行う場合もあります。
このように全行程をインサイドセールスで完結できるビジネスの例としては、クラウドサービスなど、取り扱いサービスが低価格で説明や商談が簡単にできる商材が挙げられます。全行程をインサイドセールスで完結するメリットとしては、移動時間や営業コストを抑えられること、商業範囲が全国に広がることなどが挙げられます。
インサイドセールスが営業フローの一部を担う場合
見込み顧客の獲得から育成、アポイント獲得までをインサイドセールスが担当します。またアポイント取得時などに電話で顧客の抱えている課題やニーズをヒアリングします。案件成約の確度が高まった見込み顧客をフィールドセールスにつなぐまでが、営業フローの一部を担う場合のインサイドセールスの役割です。フィールドセールスは引き継がれた案件情報を元に提案方法を検討し、訪問、商談、契約と営業活動を進めます。
高価格の商品や、商品の説明が複雑になる場合にこのような分業型での営業フローが導入される傾向にあります。メリットとしては、インサイドセールス側で事前に見込み顧客の情報を把握できているため、フィールド営業が提案しやすく成約しやすいこと、不要な外出が減り、移動時間なども抑えられることなどが挙げられます。
インサイドセールスの強み
インサイドセールスの強みとしては、上述のように移動時間が発生しない、商談キャンセルを回避しやすい等による営業効率アップが挙げられます。また、商談時に提示した資料の調整をすぐに行うことによる確認時間の短縮、上司の決裁をその場で仰ぐこともできますので営業プロセスの短縮が図れます。
さらに様々な営業・マーケティングツールを活用することで営業プロセスを標準化することも可能です。これまで属人の営業スキルに頼らざるを得なかった部分についても、ノウハウを共有したりプロセスを標準化し PDCA を回しやすく体制を組むことで、様々なメリットがあるだけでなく、そのメリットを社内で共有できます。
インサイドセールスについて、詳しくはこちらの記事でも紹介しております。
仕事内容
フィールドセールスは一般的には「外勤型営業」を指し、顧客と直接対面して営業活動を行い、提案活動から、商談、受注に至るまでを担当します。従来のような顧客対応全てに関わる営業スタイルとは異なり、限定された業務に注力し、成約確度を高めることに特化している点が特徴です。そのため、業務効率化と売上の向上を目的とした、専門性が高い業務に位置づけられます。
フィールドセールスの役割
一般的なフィールドセールスの役割は、具体的に提案段階になった顧客に対して、顧客の課題やニーズに応える、さらに新しい価値を見出せる提案を行い、案件を成約に結び付けることです。
もちろん企業ごとに営業の担当範囲は異なるため、インサイドセールスが案件化するまでを担当し、フィールドセールスが引き継ぐ企業もあれば、企業によってはフィールドセールスが全ての営業活動を担うこともあります。BtoB 事業においては、フィールドセールスとインサイドセールスが併走することが多いようです。分業型の場合、多くのフィールドセールスは提案や商談、クロージング、契約までを担当します。
フィールドセールスの強み
フィールドセールスは顧客と直接会って商談を進めることができるため、信頼関係を構築しやすいことがまず挙げられます。やはり対面で顧客に資料説明や情報を伝えることで顧客の安心感を与えられ、また対面ならではの顧客からの限定的な情報を取得できるなどの効果も見込めます。また既に精度の高い商談に集中して取り組むことで、営業の商談スキルを向上させることができ、受注率を上げやすいという強みもあります。
インサイドセールスとフィールドセールスで分業するメリット
インサイドセールス、フィールドセールスそれぞれの特徴をご紹介してきましたが、ここからは2つが分業することによるメリットについてお伝えします。
営業効率向上
インサイドセールスの主目的はアポイント獲得にあり、一方でフィールドセールスは案件の受注を目標としています。それぞれの業務に専念することができるため、効率的に活動することができます。また、営業フローが明確な上にそれぞれの業務も可視化しやすいため、ボトルネックが把握しやすく、PDCA が回しやすい点も効率アップに貢献しています。
リードの取りこぼし防止
仮に営業担当者がリード獲得から受注までの全業務を担当する場合には、リード数が増えると全ての顧客へ網羅的にアプローチすることは難しくなり、見込みの高い顧客に手が回らず、受注率の高いリードにアクセスするタイミングを失うケースも考えられます。インサイドセールスはツールも活用しながら、効率的に大量リードに対しても漏れなくアプローチを行いながら、見込みのある顧客を探し出しアポイントまで誘導します。そのためリードの取りこぼしを防ぎ、確実にフィールドセールスに有望な案件を渡すことができます。
フィールドセールスが成果を出しやすい
インサイドセールスがリード獲得に専念することと同様に、分業することでフィールドセールスは、受注に向けた商談・提案業務に集中できるため、成果を出しやすくなります。
インサイドセールスとフィールドセールス連携を成功させるポイント
分業のメリットをお伝えしてきましたが、それぞれが適切に連携し、分業のメリットを最大化するためにはいくつかポイントがあります。順にご説明します。
役割分担の明確化
お伝えしてきたように、インサイドセールスとフィールドセールスは目的や業務内容が異なります。お互いが双方の特徴や強みを理解しておくことで、「この業務はインサイドセールスが担当すべき」「ここからはフィールドセールスに任せる」といった役割分担の基準を引きやすくなります。役割分担における明確な線引きは必要ですが、その背景を理解しておくことが、情報共有などの連携時に非常に重要になります。
また、顧客との最初の接点を持ち、課題やニーズをヒアリングするのはインサイドセールスの役割です。顧客が今何を求めているのか、社内での課題に対する認識はどうか、課題の緊急度はどのくらい高いかなど、顧客ごとに状況は全く異なります。基本的な確認項目は設定しておくべきですが、顧客ごとにヒアリングすべき項目は、インサイドセールスが実際に顧客と接する中で掘り下げて確認すべき情報を決めていく必要があります。
インサイドセールスが獲得したリードをどのタイミングでフィールドセールスに引き渡すかも非常に重要です。今温度感が高い顧客に対して3日後にアプローチしたのでは既に手遅れという場合もあります。大切な機会を逃さないためにも、リードの引き渡し条件については社内で明確に定めておく必要があります。案件の内容、緊急度、窓口の役職、規模感など様々な検討事項に対して、指針を決めておくことで迷わずに受け渡しを行えるようになります。
情報共有
インサイドセールスやフィールドセールスがスムーズに連携し効率的な営業を進めていくことができれば、今まで以上に営業効率を高められます。そのために重要なことは社内での情報共有です。SFA/CRM を活用して顧客情報や案件進捗などをリアルタイムで共有するほか、担当者間で得た知見をナレッジとして社内に蓄積する仕組みを構築することで、組織単位での営業力の底上げに繋げられます。
また、MA (マーケティングオートメーション)で顧客の温度感を点数化、優先順位付けした上でホットリードの引き渡しを自動化するなど、ツールを駆使することで、より効率的な顧客アプローチが可能です。
まとめ
この記事では、インサイドセールスが非多面での顧客へのヒアリング、育成からアポイント獲得までを主に行う一方で、フィールドセールスは対面で顧客への提案、商談から受注までを行う点を違いとしてご紹介しました。また、双方が連携することで、営業効率アップやリードの取りこぼし防止、受注等の成果が出やすいといったメリットが得られます。
営業間の連携には、社内で役割分担を明確にすることと情報共有を密にしながら、リード引き渡しルールなどの仕組みを浸透させることが欠かせません。仮に連携が上手く行かない場合には、せっかくの見込み顧客を商談に繋げられないなど、営業体制を十分に活かせないことになります。
これからインサイドセールスの立ち上げを検討中の方や、立ち上げ後のフィールドセールスとの連携に苦戦している方は、下記インサイドセールス・スタートブックを参照ください。インサイドセールスで陥りがちな落とし穴と、正しく取り組むためのポイントをまとめています。
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インサイドセールス・スタートブック
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