コスト削減に繋がるインサイドセールスのやり方とは
- "ABM とは顧客・見込み客を管理しているデータベースを統合し、マーケティング部門と営業部門などが連携して企業(アカウント)単位でアプローチする方法
- インサイドセールスはマーケティングと営業の連携を担い、営業コストの削減や効率性の向上が見込まれる
- インサイドセールスはKPI設計にアポイント数を置かないことが重要で、確度の高い顧客をパスすることが目的となる"
営業、マーケティング業界においてインサイドセールスという新しい営業手法に注目が高まっています。
元々は ABM(Account Based Marketing)と呼ばれるマーケティング手法の中で活用される事が多かったインサイドセールスという新たな手法について、注目されている背景やその役割などをお伝えさせていただきます。
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目次
ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?
ABM というマーケティング手法は、顧客・見込み客を管理しているデータベースを統合し、マーケティング部門と営業部門などが連携して企業(アカウント)単位でアプローチする方法です。
自社サービスを展開するためにターゲッティングを行い、そのターゲッティングを元にマーケティング部門と営業部門が連携してアプローチを行います。
これにより、今までのマーケティングでは確度の低いリードや自社サービスを導入する可能性が低いリードを獲得する事が多かったのですが、事前にマーケティング部門、営業部門が連携してターゲッティングをするため、自社サービスを導入するであろう確度の高いリードの獲得に注力する事が可能となりました。
ABM の鍵はインサイドセールスである
ここで重要なのがマーケティング部門と営業部門の連携ですが、それを担うのがインサイドセールスというポジションです。
例えば MA ツールやアナリティクスツールを用いて、どんな企業・担当者がウェブサイトに来訪しているかの分析をし、ターゲットとしている企業の担当者が来訪していたらすぐに電話等でアクションを行います。
すぐさまアポイントの獲得、もしくは醸成活動に移る事ができ、マーケティング部門だけでも営業部門だけでも獲得が難しいホットリードを高い確率で獲得する事ができます。
他にもチャットボットを活用した事例があります。
昨今のチャットボットはディープラーニングを活用しているサービスが多く、たいていの質問に対しては自動応答しますが、滞留時間や対話内容などから判断し、インサイドセールスが直接電話で対話を行い、要件のヒアリングへと移る事もできます。
また、営業にすぐに渡せないリードですが、マーケティング部門に渡してメルマガなどでしかコンタクトしないのが勿体ないリードに対して、醸成活動をする事もインサイドセールスの大きなミッションの一つです。
具体的には、定期的な連絡を取りながら信頼関係を構築していったり、顧客のプロファイリングを伺いながら自社サービス提案の余地を見つける事です。
今までの営業組織ですが、こういった内容を外勤営業が担っていましたが、その部分をインサイドセールスが担う事で外勤営業は商談、クロージングに注力する事となり、より受注率の向上を図る事も実現できます。
このようにマーケティング部門と営業部門の架け橋となる役割をする事で、マーケティング部門ではホットリード獲得の CPA の改善やサービスサイトから醸成活動への CV 率向上、営業部門においてはホットリードへのアクションが基本となるため営業コストの削減や効率性の向上が見込まれます。
このように ABM というマーケティング手法とインサイドセールスを組み合わせる事で、シームレスに新規顧客の獲得から醸成、商談へと繋げる事が可能となります。
インサイドセールスの取り組み失敗事例から学ぶ
ただ、本来であればマーケティング、営業両方の効率を向上させるポジションのインサイドセールスが、全体の効率を下げてしまっているケースも非常に多く見受けられます。
その要因の一つとして、インサイドセールスがいわゆるテレアポと同義になってしまっているケースがあります。
上記の通り、インサイドセールスの役割はアポイントの獲得も一つですが、ホットリードを獲得してその醸成活動を行う事にあります。
そういった醸成活動をする事を無視して、単なるテレアポと化している状態ですと、インサイドセールスを導入するメリットの一つでもある営業コストの削減には繋がりません。
逆に確度の低いリードに対してアポイントを獲得して、営業は訪問しても何も話の展開が出来なかった、という悪いケースにも繋がります。
こういったケースが生じる原因として以下の点が挙げられます。
- 企業の担当者がインサイドセールスを理解できていない
- インサイドセールスに課せられた KPI の内容がアポイント数になっている
ひとつ目に関しては、企業のインサイドセールス導入を推進した担当者がインサイドセールスの役割を理解せずに導入をしてしまったケースです。
ふたつ目に関しては、インサイドセールスがテレアポになってしまっている原因として、営業プロセスのうちごく一部に過ぎないひとつの KPI だけを意識してしまうことが挙げられます。
例えば課せられた KPI が一日にアポイント5件獲得、となってしまうとプレイヤーも醸成活動などには意識が向かず、アポイントの獲得をミッションとしてしまいます。
類似のケースでアクション数を KPI にしている企業もあります。具体的には電話をした数やメールの数などです。この場合も同じくプレイヤー側はアクションすればいい、という意識になってしまい、本来の役割である醸成活動からホットリードを営業に渡す、という架け橋の役目を忘れてしまいます。
こういったケースですと、営業効率の向上どころか確度の低いアポイントばかりをパスされて受注確率も下がってしまいます。
インサイドセールスが本来設定すべき KPI とは?
では、こういった場合にどのような KPI を設定すればインサイドセールスの本来のあり方を発揮できるのでしょうか。
マーケティング部門も営業部門も売上向上が KGI としてあるのはどの企業も当たり前かと思いますが、インサイドセールスもそれは同じです。
その売上向上に対して、インサイドセールスの役割である醸成活動をポイントに KPI を設定するとすれば、あくまで一例ですが、案件化数があります。
リードの獲得、醸成活動をしていく中で顧客の購買意欲を上げるトークやコンテンツを活用し、顧客担当者が予算取りなどに動き始めた段階を案件化と定義し、その数を KPI に設定すればインサイドセールスとしての役割も満たし、マーケティング部門、営業部門の架け橋となる事も出来ます。
例えば、マーケティング部門では WEB、セミナー、DM などからの新規リード獲得を KPI とし、営業部門では一日の商談数や売上を KPI とします。
インサイドセールスでは上記の通り、案件化数を KPI とする事でマーケティング部門からインサイドセールス、営業部門とシームレスに案件を運ぶことが可能となり、全体の売上意識も共有する事ができます。
ツールで案件パイプラインの責任分担を明確化しよう
また、インサイドセールスが上手く活用出来ていないケースでよくあるもう一つの要因として、案件のパイプラインマネジメントが出来ておらず、どこで誰がアクションするのか、などの責任分担が出来なくなっているケースもあります。
マーケティング部門がファネルと呼ばれるリード獲得の流入口(上記の WEB やセミナー、DM など)に対して活動をしているのに、営業部門が DM 送付情報から勝手にアクションしてしまう、というケースは非常に多いです。
このようなケースになってしまうと、それぞれの部門が KPI を持っているにも関わらず、リードや案件の奪い合いになってしまいます。
実際にこのような事例の顧客から相談があった際は、パイプラインマネジメントと SFA/CRM ツールを活用した案件受け渡しのレギュレーション(部門間 SLA)を徹底して決める事で解決するケースが多いです。
まとめ
インサイドセールスは新しい概念であり、まだまだ成果の出るやり方が徹底されていないケースも多いことでしょう。
そこでインサイドセールスの導入を検討されている方は、まず自社の案件の流れや組織体制を確認し、自社でのインサイドセールスはどういうアクションが適切かを考える事から始めてみるのはいかがでしょうか。
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