顧客エンゲージメント強化を実現するツール5選を徹底比較
- 顧客エンゲージメントが重視された背景は「サブスクリプションビジネス」の台頭が影響している
- より良い顧客体験のためであれば、55%の顧客はより多くのコストを支払う
- 徹底的に顧客の立場となってマーケ・セールス・カスタマーサクセスの活動を行うことが大切
サブスクリプションビジネスの成長を左右する「解約率(チャーンレート)」。しかし、どのような行動やツールを活用すれば解約率を減らすことができるのか、わからない方も少なくないのではないでしょうか。
そんな解約率を減らし、売上の最大化を実現するために、サブスクリプションビジネスを展開する企業が重視したい考え方が「顧客エンゲージメント」です。
この記事では、そもそも顧客エンゲージメントとは何か、の説明に加えて、顧客エンゲージメント強化のために必要なツールやその特徴もご紹介します。併せて、ツール活用におけるよくある取り組み失敗例についても解説しています。
▼顧客エンゲージメント最大化ツール『Magic Moment Playbook』
目次
顧客エンゲージメント強化の必要性
顧客エンゲージメントとは、顧客と企業の「深い関係性」「友好的なつながり」「親密さ」を表す言葉です。ロイヤリティと似た意味を持っていますが、ロイヤルティではアンケートによって顧客の愛着(NPS)を測定する手法をとっていることに対し、顧客エンゲージメントでは顧客の行動に基づいてその度合いを測定する違いがあります。
サブスクビジネスの台頭で、顧客エンゲージメントが重視されている
近年、顧客エンゲージメントが重視された背景は「サブスクリプションビジネス」の台頭にあります。商品を一度購入すれば使い続けることができる売り切り型ビジネスとは異なり、サブスクリプションビジネスでは、顧客はサービスの利用期間に応じて料金を支払います。つまり、顧客は商品を所有するのではなく、必要に応じてサービスを利用できます。
サブスクリプションビジネスは企業にとってもメリットがあります。売り切り型ビジネスでは、ある年に売上が立っていたとしても、それが翌年も発生するかどうかはわからず、ゼロからマーケティング・セールスに投資する必要があります。
一方、サブスクリプションビジネスはストック型ビジネスです。一定の解約(チャーン)はありながらも、売上は毎月・毎年と繰り返されるため、収益予測しやすいという特徴があります。
そのため顧客の解約(チャーン)を抑えながらアップセル・クロスセルを行うことが、サブスクリプションビジネスの売上を最大化するための鍵となります。
顧客が解約(チャーン)する理由とは?
では、顧客はなぜサービスを解約するのでしょうか?
ProfitWell の調査1)によると、
- そもそも課題を解決できないサービスだった
- 望んだ成果を得ることができなかった
- サービスの使い方に慣れなかった
- より魅力的な競合サービスが現れた
- バグが直らない(と顧客が思っている)
- 課題解決の優先順位が下がった
- サービスの価格が高すぎる
- クレジットカードの有効期限が切れた
といった原因があることが明らかになりました。
もし企業がこれらの予兆を正しく察知して、顧客のニーズに応じて素早くフォローすることができればどうでしょうか。
顧客の課題を解決できるだけでなく、信頼関係(顧客エンゲージメント)も深めることができるでしょう。その結果、顧客のサービス解約が減るだけでなく、より良いサービスを求めて上位プランへのアップセル・クロスセルが増加します。Salesforce によると、より良い顧客体験のためであれば、55%の顧客はより多くのコストを支払います。
このような背景で、サブスクリプションビジネスでは「顧客エンゲージメント」が重要視されるようになりました。
海外では顧客エンゲージメントの注目度は既に高まっている
実際にカスタマーエンゲージメントカンパニーの verint(NASDAQ 上場)2)がプレスリリースで発表した、12か国の2,000人を超えるグローバルビジネスリーダーを対象に行われた調査から、82%が2021年は顧客エンゲージメント管理の課題ばかりが増加する、と考えていることが明らかになりました。
また顧客エンゲージメント市場の規模は、2026年には161億ドルに達すると予測されております。主要な市場推進要因(5G、バーチャルアシスタンス、SaaS)への支出は CAGR 18.8%で増加し、2026年には全体の55%以上を占めるようになると予測されています。
顧客エンゲージメントを強化する方法:ツール活用
顧客エンゲージメントを強化するためには3つのプロセスがあります。
- データの収集・統合
- データの可視化・分析
- 施策の落とし込み・自動化
顧客エンゲージメント強化には、ツール活用が重要
最初のプロセスでは、顧客の行動・感情・好みを把握するために、さまざまなデータを収集することが大切です。また、それぞれ別のデータベースに保存するのではなく、ひとつのデータベースに統合することで、思わぬ因果関係や相関関係に気が付くかもしれません。
次に、データの可視化・分析です。手間をかけてデータを蓄積したとしても、データを可視化できなければ価値がありません。ダッシュボードや BI でデータを見ることができるようにしましょう。
最後のプロセスは、施策への落とし込み・自動化です。データで顧客の行動やニーズを把握することができたら、どのようにフォローすれば顧客エンゲージメントを深めることができるのか、具体的な施策に落とし込むことが大切です。また近年は、顧客の行動をトリガーにアプローチを自動化するツールも出てきているため、積極的に活用することも重要です。
「IT 投資動向調査2022」3)速報によると、国内でも顧客エンゲージメント関連ソリューションへの投資が増加傾向であることが示されています。海外だけでなく、日本でも徐々に注目度が高まっていることがわかります。
顧客エンゲージメントを強化するツール5選を比較
では、具体的に顧客エンゲージメントを強化するためにはどのようなツールが人気なのでしょうか。まだ日本では認知の少ない概念ですので、海外で導入されているツールをご紹介します。
Outreach(アウトリーチ)
Outreach(アウトリーチ)は、営業部門・カスタマーサクセス部門による顧客エンゲージメント強化を支援する、米国発のツールです。SFA / CRM / MA と連携することで、見込み顧客の育成に役立つアクションを把握することができます。また、プレイブック作成機能やレポート機能があります。
特徴
- セールスメールの分析機能(開封率のレポート / AB テストの自動化 など)
- セールスシーケンス機能を用いたプレイブック作成
- Outreach Galaxy による他ツールとのデータ連携機能
価格
- 要問い合わせ
導入企業
- DocuSign
- Zoom
- Showpad など
こんな方にオススメ
- セールス部門のマネージャーおよび Rep
- カスタマーサクセス部門のマネージャーおよび Rep
▼詳しくはこちら
オンライン営業を成功に導く先進テクノロジー:アウトリーチとは
Magic Moment Playbook
Magic Moment は、営業部門・カスタマーサクセス部門による顧客エンゲージメント強化を支援する、日本発のツールです。自動的に最適なアクションが提案されるため、営業担当者の行動量を最大化します。
また、顧客の状態を正確に把握した上で提案するため、提案の質が向上します。営業の量と質を最大化することで、営業成果(LTV)を最大化させます。
特徴
- 営業担当者が今、行うべきタスクをサジェストする Next Best アクションの提示
- 再現性のある合意の台本(プレイブック)を作成、蓄積するデータを元に改善徹底
- シーケンス機能を用いたセールスメールの自動化
価格
- 導入時の初期費用と利用に応じた月額料金がかかり、ユーザー数(ID)とオプションサービスの有無によって金額は変動
導入企業
- LINE
- 三井物産
- 凸版印刷 など
こんな方にオススメ
- セールス部門のマネージャーおよび Rep
- 営業企画・営業支援のマネージャーおよび担当者
- カスタマーサクセス部門のマネージャーおよび Rep
▼詳しくはこちら
Salesloft(セールスロフト)
Salesloft(セールスロフト)も Outreach 同様に、営業部門・カスタマーサクセス部門による顧客エンゲージメント強化を支援する米国発のツールです。 Salesloft を利用することで、見込み顧客の優先順位付けやメール・架電をひとつのツールで行うことができます。
特徴
- ターゲットの属性や行動に基づいたワークフロー作成機能
- ベストプラクティス共有のためのプレイブック作成機能
- 営業パイプライン管理機能
価格
- 要問い合わせ
導入企業
- Stripe
- IBM
- CISCO など
こんな方にオススメ
- セールス部門のマネージャーおよび Rep
- カスタマーサクセス部門のマネージャーおよび Rep
▼詳しくはこちら
オンライン営業を成功に導く先進テクノロジー:Salesloft
Gong(ゴング)
Gong(ゴング)は、電話、電子メール、およびWeb会議全体での顧客とのやり取りを分析し、インサイトを提供する顧客エンゲージメント強化ツールです。音声認識、自然言語理解、予測、成功分析など、20種類以上のモデルを使用しており、データは電子メールや電話など5億件の顧客とのやり取りの中で学習される仕組みになっています。
特徴
- セールスとトークの録音・テキスト化・分析を元にしたフィードバック機能
- 製品購入の決め手となる要因、阻む要因を会話内容から特定するトピック検索機能
- 営業チームのパフォーマンス分析機能
価格
- 要問い合わせ
導入企業
- HubSpot
- Linked In
- SurveyMonkey など
こんな方にオススメ
- セールス部門のマネージャーおよび Rep
- カスタマーサクセス部門のマネージャーおよび Rep
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オンライン営業を成功に導く先進ツール:Gong とは
InsideSales(インサイドセールス)
InsideSales(インサイドセールス)は、自己学習エンジンをベースに構築された顧客エンゲージメント強化ツールです。営業担当者のガイドやタスクの自動化を通して、営業担当者が確度の高いアプローチに集中できるよう営業活動をガイドします。
特徴
- 見込み顧客に対するアプローチのガイド機能
- 顧客のスコアリング機能
- アプローチ・タスクの優先順位付け機能
価格
- 要問い合わせ
導入企業
- Groupon
- ClickDimensions
- QuickStart
こんな方にオススメ
- セールス部門のマネージャーおよび Rep
- カスタマーサクセス部門のマネージャーおよび Rep
▼詳しくはこちら
オンライン営業を成功に導く先進テクノロジー
顧客エンゲージメント強化のツール活用の失敗例と解決策
ここまで、ツールを活用することで顧客エンゲージメントを効率的に強化できることをご紹介しました。顧客エンゲージメントを強化することで、予測可能でスケーラブルな営業組織を構築できます。しかし、ツールをうまく活用することができず、成果に結びつかないケースもあります。
なぜそのようなことが起きてしまうのでしょうか。よくある失敗例とその対処策についてご紹介します。
担当者がデータ入力(ツール活用)しない
顧客エンゲージメントを強化する鍵は、顧客を深く理解し、ニーズに応じたフォローを実現することです。しかし、顧客に関するデータが不正確だったり、そもそも入力・取得されていない場合、正しく顧客理解することは困難です。
よくあるケースは、営業担当者が SFA (営業支援システム)に商談データなどを正しく入力していないことです。顧客と直接コミュニケーションできる営業担当者は、データ収集という観点で重要な役割を担っています。
一方、担当者にとってデータ入力は大きな負担となっており、HubSpot によると27%の営業担当者は1日1時間データ入力に時間を費やしているといいます。
そのため、マネージャーは担当者がデータ入力する負担を減らせる仕組みを作ることが大切です。例えば、入力するデータ項目を重要なものだけに絞ることが挙げられます。また近年海外では、商談の音声データを自動でテキスト化するツールなども登場しています。このようなツールを活用して、担当者のデータ入力に関する負担を減らていきましょう。
マネージャーのためのツールになっている
担当者がデータ入力に多くの時間をかけても、それに見合ったインサイトを見つけることができていないケースです。それどころか、マーケティング部門はメール配信を行っているか、営業部門は架電・提案を行っているか、カスタマーサクセス部門は問い合わせ対応をしているかなど、顧客のためではなく業務管理のためにデータを使ってしまっていることがあります。
このようなデータの使い方も間違いではありませんが、顧客データを分析して、各担当者がより成果を出すためにはどうしたらいいのかを見つけることができてこそ、そのデータ入力やツール学習の ROI が最大化されます。
他部門のツールとデータ連携されていない
マーケティング部門は MA、営業部門は SFA/CRM、カスタマーサクセス部門はプロダクト分析ツール、と部門ごとに利用するツールが異なる組織がほとんどです。このような組織では、顧客に関する貴重なデータも分断されてしまっているでしょう。
例えば、セールス担当者が商談で顧客にヒアリングした内容を、カスタマーサクセス担当者が再びヒアリングするのは、優れた顧客体験とは言えません。もし各ツールのデータが連携されていれば、このような課題は解決されます。
他にもメリットがあります。解約する顧客と解約しない顧客について分析する際、各ツールがデータ連携されていれば、
- 顧客はウェブサイトで特定機能の紹介ページを閲覧している
- 顧客は商談で特定機能のデモを案内されている
といった共通項があることに気づくかもしれません。上記のようなインサイトが見つかれば、マーケティング E メールで機能紹介ページを紹介したり、商談スクリプトを変更するなどのアイデアが浮かびます。
顧客エンゲージメントに関する真の課題や解決策は、実は自分が担当している部門の外側にあるかもしれません。それに気づくためにも、データ連携はとても大事です。
ツールを活用し、顧客エンゲージメントを強化しよう
顧客エンゲージメントの必要性やオススメのツール、そしてツールの導入失敗しないための方法についてご紹介しました。
利用期間に応じて料金が支払われるサブスクリプションビジネスでは、徹底的に顧客の立場となってマーケティング・セールス・カスタマーサクセスの活動を行うことが大切です。しかし、顧客データなくしてそのような取り組みを行うことは困難です。
Magic Moment では顧客エンゲージメント最大化ツール「Magic Moment Playbook」を提供しております。実際に成果を10倍にした事例なども創出しております。
ご興味ございましたら是非以下の動画もご覧ください。
《引用文献》
1)ProfitWell, Here’s How Content Slows your Churn, https://www.profitwell.com/recur/all/content-churn
2)VERINT, New Harvard Business Review Analytic Services Report Outlines Key Challenges in Customer Engagement and Experience Management,
https://www.verint.com/press-room/2021-press-releases/new-harvard-business-analytics-services-report-outlines-key-challenges-in-customer-engagement-and-experience-management/
3)ビジネス+IT, 国内IT投資動向調査、要注目は「顧客エンゲージメント」ツール、4つの先進事例とは, https://www.sbbit.jp/article/cont1/72423
Accel の記事や、セミナーの告知、公開したホワイトペーパーなど、サブスクリプションビジネスの成功に役立つ情報を定期的にお届けします。