【BtoB マーケティング】フェーズ別おすすめ施策一覧
- BtoB マーケティングの仕事の範囲は広いため、事業のステージに合わせて施策を選択と集中することが重要
- フェーズに関係なく「データ分析基盤」と「仮説構築」の2つは必須
- 自社の施策や顧客とのコミュニケーションと本記事を照らし合わせながら、施策に偏りがないか確認する必要がある
インターネットにより、BtoB マーケティングにおいて顧客との関係は大きく変化しました。かつてはセールス担当が顧客と対面してから購買活動が始まりましたが、今はセールスと対面する際、購買の意思決定は70%以上のフェーズに進んでいるとされています。
BtoB マーケティングの重要性が高まっていますが、実際に何をすべきなのか分からないと悩む方は多いと思います。何をすべきかは、事業フェーズごとによって異なります。
そのような課題を解決すべく、BtoB マーケティングの施策一覧を事業フェーズごとにまとめました。
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目次
BtoB マーケティングの仕事の範囲は広い
一口に BtoB マーケティングと言っても、認知拡大から顧客獲得まで幅広く業務が広がっており、各フェーズにおいても顧客とのタッチポイントが増えたことで、行うべき施策は膨大な数になりました。
マーケティング責任者の抱える「何をすべきか分からない」という悩みは、マーケティングのカバーすべき範囲、やるべき施策が多いがゆえに「どこから手をつけていいのか分からない」というのが根本的な原因であることが多いです。
BtoB マーケティングでは選択と集中が命
出典:Hatenafotolife /https://f.hatena.ne.jp/tanemori/20081117091627
BtoB マーケティングを行う上では、上記の施策を広くカバーするのではなく、自社のフェーズに合わせたマーケティング施策を選択し集中する必要があります。特にスタートアップ企業ではマーケティングに投資できる人的、金銭的リソースに限りがあるので、戦略的にマーケティング施策を打っていかなければなりません。
Apple の創業者であるスティーブ・ジョブスが「最も重要な決定とは、何をするかではなく、何をしないかを決めることだ」と言ったように、BtoB マーケティングにおいても選択と集中が成功の鍵となっています。選択するためには、自社や顧客のフェーズを知ることが重要です。
顧客の購買プロセスのフェーズを知ることができるファネルとは?
BtoB マーケティングにおいては、ファネルごとに考えることの重要性が挙げられます。
ファネルとは、認知から購入にいたるまでの購買行動を図式化したものです。
最も一般的なものは、次のようなプロセスです。
認知→興味・関心→比較・検討→購入
冒頭に記載したように、消費者の購買プロセスが大きく変わっており「ファネルという考え方は古い」「ファネルは死んだ」とも言われておりますが、BtoB は関与者こそ多いものの、購買プロセスはシンプルです。
そのため購買プロセスの全体像を把握し、顧客がどのフェーズなのか知りたい場合、マーケティングファネルを活用することが有効です。
フェーズ以前に、BtoB マーケティング施策を行う上での基礎
選択と集中が大切であると前項で説明しましたが
- データ分析基盤の構築
- 仮説構築
上記の2点は BtoB マーケティングを行う上では必須で押さえておくべき項目です。
フェーズに関係なく、データ分析基盤の構築は重要
なぜデータ分析基盤の構築が重要なのでしょうか。それはデータを収集する環境が整っていないと、マーケティング施策を行っていても、それが本当に効果があったのか分からないからです。また、過去の施策データの分析からより効果的な施策を企画する、といったことができなくなってしまうからです。溜まったデータを後で整理すると膨大な工数が発生するので、なるべく早い段階でデータ分析基盤を構築しましょう。
具体的には
- Google Analytics(GA)の理解
- サーチコンソールの理解
- 各種タグ埋め込み
- ダッシュボード構築
- CRM 導入/ルール設定
- API 連携
- DMP(データマネジメントプラットフォーム)の導入
を行う必要があります。GA やサーチコンソールの使い方、取るべきデータを理解し、ダッシュボードで可視化できる基盤を整えましょう。またマーケティング施策別に、顧客獲得にどのような効果があったのか計測するために CRM を導入し、見込み顧客の定義やデータ入力のルールを事前にセールスと擦り合わせておく必要があります。
BtoB マーケティングでは、仮説構築が重要
効果が未知の施策を行うマーケティングにおいては、仮説に基づいて施策を企画していくことが重要です。「この施策の効果は〇〇くらいだろう。なぜなら〇〇だからだ。」と仮説を立てることで、無駄な施策や調査にリソースを取られることなく、効果的にマーケティング施策を行うことができます。
具体的なタスクとしては
- デプスインタビュー
- ペルソナ作成
- カスタマージャーニー構築
- 人の行動原理理解(行動経済学・心理学・社会心理学)
- ソーシャルリスニング
- ファネル分析
- ユーザーテスト
があります。仮説構築の際には画面上の数値データだけでなく、その数値が意味するところを理解する必要があります。そのために、マーケティングであっても顧客の生の声をヒアリングする、リードに対してセールスからのフィードバックを定期的にもらう必要があります。
BtoB オススメのフェーズ別マーケティング施策
データ分析の基盤が構築され、仮説を立てることができるようになったら、フェーズごとに効果的な施策を行っていきましょう。
以下がスタートアップのフェーズ別に、行うべき施策やプロジェクトをフェーズごとに分類した一覧表です。
シード・アーリーステージのフェーズでのマーケティング施策
シード・アーリーステージは、事業までの軸となるプロダクトの設計とマーケット調査、そして初期ユーザーの獲得に注力するステージです。
特にマーケティングとしてフェーズで注力すべき施策は
- 外部メディアへの出稿
- コーポレートサイト設立
- 事例作成
- CRM 導入
の4つがあります。
外部メディアへの出稿
BtoB では自社の情報を発信し、信頼性をあげることが顧客を獲得する上で重要です。自社の発信力が弱いシード・アーリーステージでは、権威性のある他社の媒体を利用しながら PR するといった手段が有効です。外部メディアにアプローチしてインタビューを設定することで、信頼性を高めることや話題をつくることに繋がります。
コーポレートサイト設立
コーポレートサイトはインターネット上での企業の顔です。コーポレートサイトを設立し、インターネット上で興味を持ってくれた潜在顧客の受け皿を作りましょう。
事例作成
先述の通り、BtoB では信頼性の構築が肝心です。獲得した顧客の導入事例を掲載することで、似たような業種業態の企業へ安心感、信頼感を与えることができるようになります。
CRM の導入(アーリーフェーズからデータ収集の基盤を整えることは重要)
一見リード数も少なく、CSV で顧客管理ができるのでは、と思われますが、データ収集の基盤を整えるという意味で CRM の導入と入力ルールを整えましょう。また、データを取るという面では、早い段階で MA を導入するのも一つの手段です。
初期段階からデータを収集しておくことで、その後の広告やメディアなどの戦略が立てやすくなります。
CRM 戦略に関してはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
シリーズ A のフェーズでのマーケティング施策
初期ユーザーの獲得に成功し、事業を軌道に乗せようとするフェーズがシリーズ A です。このフェーズでは、紹介案件に頼らない新規顧客獲得ルートを開拓し、ビジネスモデルの確立を目指します。
- サービスサイトの作成
- イベント・セミナーの開催
- 展示会へ出展
- リードマグネット作成
が主に行うべきマーケティング施策となります。
サービスサイトの作成
シード・アーリーフェーズでは紹介案件が主でしたが、後にスケールすることを考慮し、徐々にインバウンドでの顧客獲得にシフトしていきましょう。それまでは営業が直接説明していたサービスの概要をインターネット上に掲載し、より多くの潜在顧客へ届けられるようにしましょう。
イベント・セミナーの開催/展示会への出展
イベントやセミナー、展示会への出展は短期的にリードを獲得しやすい施策です。特に、初期段階では他社と共催でイベントを開くのも一つの手段です。ただ、上記の施策は即効性は高いものの、単発で効果が終わってしまう側面があります。ストック資産として残り続けるオウンドメディアなども並行して行うべきです。イベントやセミナーの様子をまとめて記事コンテンツ化するのも効果的です。
リードマグネット作成
リードマグネットとは、Web サイトに訪れたユーザーがメールアドレス等を入力してでも欲しい、と思うような魅力的なコンテンツを意味します。e-book 形式のダウンロード資料や、ホワイトペーパーなどがこれにあたります。web サイトにリードマグネットを設置しておくことで、インターネット上でのリード獲得の入り口になります。
詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
シリーズ B のフェーズでのマーケティング施策
シリーズ B はビジネスモデルが確立し、一気に事業をグロースさせるフェーズです。この辺りから、顕在層をいかに増やすかが一つ重要となってきます。マーケティングに使用できる予算が増えるため、様々な施策を考えられるようになってきます。特に
- 広告
- オウンドメディアへの注力
- SEO
- CRO
- インサイドセールス導入
- MA(マーケティングオートメーション)
の施策を新たに注力していくべきでしょう。
広告(後半のフェーズではマス広告も視野に)
一口に広告と言っても、リスティング広告や SNS 広告、DSP など様々な種類があります。最初からどの媒体がベストかは分からないので、効果が出そうな物を広く一通り試してみて、その中から最適な物を探していく、というのも一つの手段です。また、シリーズ B の中でも後半になり全国的な展開も視野に入れる際には、マス広告の活用も候補に入りますので、少しずつ準備しましょう。
オウンドメディアへの注力
オウンドメディアのコンテンツは、広告や展示会などのオフラインのイベントとは異なり、配信後も自社の資産として残り続けます。リソースに余裕が出てきたシリーズ B では、外部リソースの活用も含めて、オウンドメディアの活用を本格化しましょう。
SEO
オウンドメディアでは、顧客にとって本質的な価値を提供し続けるのが最優先ですが、コンテンツへの流入数を増やすためには、SEO で検索順位をあげるということも必要です。コンテンツのリライトやサイト構造の改善、リンクビルディングといったテクニカルな施策で流入数を増加させることができます。
CRO
CRO とは、Conversion Rate Optimazition の頭文字をとったもので、コンバージョン率の最適化を意味します。これまでの顧客の行動フローの分析データを元に LPO や CTA の改善、UI/UX の最適化を行います。
インサイドセールスの導入
このフェーズ辺りから、セールスのリソースが不足してきます。確度の高いリードを判別し、効率的に営業活動を行うためには、インサイドセールスが必要になってきます。セールスという名前はついていますが、リードの育成、選別という役割から、マーケティング担当者が兼任する場合が多々あります。
MA(マーケティングオートメーション)の導入
オウンドメディアや広告にリソースをかけることにより、数多くのリードを獲得できるようになってきます。リードナーチャリングで獲得したリードからの収益の最大化や、リードの選別を行うためには、MA の導入が必須となります。
BtoB マーケティングはフェーズ毎の選択と集中が重要
BtoB マーケティングの仕事の範囲は広いため、事業のステージに合わせて施策を選択と集中することが重要です。例えば認知拡大施策やリード獲得施策に偏りすぎて、ファネルの途中で多くのリードが離脱してしまうケースもよく見られます。
そのような失敗を避けるためにも、上記の表と自社の施策、顧客とのコミュニケーションを照らし合わせながら、偏りがないか確認し、施策を選定してみてください。
しかし、せっかく打つべき施策が決定しても、マーケティングを通じて獲得した顧客のデータを活用していかなければ、組織としてスケールしていくことは難しいでしょう。
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