BI ツールの落とし穴 導入したのに成果が出ない4つの理由
- 90%もの企業では BI ツール導入による成果をあげられていない
- BI ツールで成果を出せない4つの原因として、以下が挙げられる
- そもそものデータの品質が低い、 データがサイロ化されている、BIツールのどの指標を見ればいいのか分からない、BIツールでデータを可視化したが施策に繋げられない
良質な顧客体験の提供が求められる今、顧客データの活用は企業にとって必要不可欠なものとなっています。実際に顧客データ活用の一環としてビジネスインテリジェンス(BI)ツールを導入する企業も増えています。しかし一方で、90%もの企業では BI ツール導入による成果をあげられていないということが Gartner 社の調査で明らかになりました。
なぜ長い運用開始までの時間や、高いツール代をかけて BI ツールを導入したのにも関わらず、効果をあげることができないのでしょうか。本記事では、BI ツールを導入した企業が陥る思わぬ落とし穴について紹介していきます。
目次
BI ツールで成果を出せない4つの原因
1. そもそものデータの品質が低い
BI ツールを導入しても、そもそもの(マスター)データの品質が低いと、データの可視化や分析ができないだけでなく、誤ったインサイトから誤った意思決定を下してしまうリスクがあります。
表面上は BI ツールを活用し、データドリブンな意思決定をしているのにも関わらず、施策の効果が出せないという状態が続いてしまった場合、データ活用に対する信頼感の低下や、データドリブンな企業文化の醸成に悪影響を及ぼしてしまいます。
データの品質の低下を招く大きな原因は、現場の担当者による CRM・SFA への不正確な情報入力です。HubSpot の調査によると、CRM を導入した企業の営業担当者のうち88%が不完全な顧客データを CRM に入力し、69%の営業担当者が CRM に入力していない独自の顧客リストを持っている、ということが明らかになりました。
- CRM・SFA に何を入力するべきか分からない
- CRM・SFA の使い方が分からない
- 既存の業務フローを崩したくない
- 業務の負担を増やしたくない
上記のような理由から CRM・SFA に不正確な情報が記録され続け、いざ BI ツールの導入やデータ活用を進めていこうとした際にデータが使い物にならない、もしくはデータクレンジングにコストがかかってしまい、費用対効果が出ないという事態に陥ってしまいます。実際に、データ分析からインサイトを抽出を担うデータサイエンティストの業務の80%が、このデータクレンジングに費やされているという調査結果もあります。
営業担当者が CRM・SFA を入力してくれない原因と解決策については、こちらで紹介しています。
2. データがサイロ化されている
セールスやマーケティング、カスタマーサクセスなどの部署間で、異なるツールを使用している場合、ツールごとに顧客データがバラバラになって保存されるため、同じ顧客でも違う人であるかのように見えてしまいます。
結果として、認知から契約、そして継続まで一貫した顧客データの分析ができず、サイロ化したデータの分析による部署ごとの部分最適な施策に陥ってしまい、事業全体としての収益性を損なってしまう結果になります。
また、サイロ化の問題は各部署のツール間だけで発生するものだけではありません。部門間における用語、計算ロジックの定義のサイロ化も、BI ツール導入でのデータ活用の妨げとなります。
Datawatch の調査によると、81%の企業で各部署が独自の定義・ロジック基づいて算出したデータをスプレッドシートに出力し、それらをまとめて今度は BI ツールに入力していると答えました。このようにデータの定義・算出ロジックがサイロ化している場合、ツール間のデータ統合を行っただけでは整合性、一貫性を担保できず、BI を活用した分析も信頼性の低いものとなってしまいます。
このような状況を回避するために、ツール間のデータ統合はもちろんのこと、部署間でデータやそのロジックの定義のすり合わせを綿密に行いましょう。
3. BI ツールのどの指標を見ればいいのか分からない
データの質やサイロ化の問題をクリアし、いざ BI ツールを活用し始めました。しかし、ここで直面するのが機能が豊富すぎるが故に、どの指標を見ればいいのか分からないという問題です。
BI ツールの中には、カスタマイズ性に優れ、多彩な指標の表示機能を搭載しているものも存在します。
しかしその指標の中で本当に重要な、KPI となり得る指標はいくつあるでしょうか?
即効性の高い、細かい指標の改善にとらわれていると、より収益に直結したインパクトの大きい KPI を見失ってしまったり、誤った施策に経営資源を浪費してしまう恐れがあります。
BI ツールは統合されたデータで、どの部署でも情報を共有、分析できる便利なツールです。しかし、使用者の目的や見るべき指標が明確になっていないと、コストばかりかかって、本質的なデータを活用した収益向上から離れていってしまいます。
4. BI ツールでデータを可視化したが施策に繋げられない
BI ツールを導入するとさまざな指標を一元的に管理し、可視化することができるようになります。また、BI ツールに搭載されているダッシュボード機能を活用することで、誰でも簡単に綺麗なレポートを作成することができるようになります。
しかし BI ツールの本来の目的は、データの可視化でも、綺麗なレポートの作成でもありません。
BI ツールの最終的な目的は、データからインサイトを発見し、収益向上のための施策をとっていくことです。可視化やレポート表示は、あくまでもその手段にすぎません。
BI ツールを導入しても、そこからインサイトを発見し、アクション可能な施策に落とし込むことができなくては、収益の向上に繋がらず、当然 BI ツール導入の費用に見合った効果を得ることができません。
また、確かにツールの力によってデータ管理やレポート作成は容易になりますが、そのデータからインサイトを抽出して施策・戦略を立案するといった作業は、いまだに人に依存している部分が多い作業です。そのため、社内にそれが可能なスキルを持った人材がいなかったり、その仕事を担っていた人が転勤、転属になってしまったという理由で BI ツールを活用できなくなってしまいます。
このような事態を回避するためにも、BI ツールでできること、できないことを把握し、BI ツールを導入して目指したい世界に必要なリソースを確保する必要があります。
まとめ
これからの時代、企業にとって顧客データの活用は避けて通れない道であります。
特に、顧客との継続的な関係構築が事業成長の鍵を握っているサブスクリプションビジネスにおいては、いかに顧客データを活用し、顧客への提供価値を高めていくかが求められます。
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