新人を短期間で”売れる営業マン”に育てる4つのポイント
- 営業組織で人材育成を成功させるためには、営業に必要なスキルや特徴を定量的・定性的に測定できていることが大前提
- 営業人材育成の基本的な5ステップ:①営業オペレーションの可視化、②各営業担当者の成果の可視化、③理想的な営業担当者の特徴の抽出、④スキルレベルの可視化、⑤育成プロセスの改善
- 新人営業が短期間でスキルを身につけるための4つのポイント:①短期集中の座学 + 実戦トレーニング、②活動量の増加、③知見の共有、④「合意形成」と「全体最適」への着目
目次
営業担当者のスキルは売上に直結するため、育成は営業組織にとって重要な要素です。しかし新人営業の育成方法について体系的なプロセスを構築できている企業は多くありません。
ブレーンバディ社が法人営業の経験者220名を対象におこなったセールス組織に関する調査では、営業の育成に関する課題として、「新人営業の育成は先輩営業のやり方に一任しており、内容にばらつきがある」「体系的な教育する人が充分にいない」が上位に挙がっています。1)
また営業スキルに関する課題としては「人によって営業スキルにばらつきがある」ことを挙げた人が最も多くなっています。
そこで本記事では、新人営業の育成における課題と、新人営業の育成を短期間で体系的に実施するための4つのポイントを解説します。
また、営業組織の育成方法について詳しくまとめた資料もご用意しております。ぜひこちらからダウンロードしてご活用下さい。
営業組織で見られる人材育成・新人研修の課題
営業組織で見られる人材育成・新人研修の課題の背景には、人材育成の制度が不十分であることに加え、近年のプロダクトやコミュニケーションの変化があり、これらが営業スキルのばらつきを加速する原因となっています。
営業スキルのばらつきが生まれる背景や、それによって引き起こされる問題は以下の図にまとめた内容が挙げられます。
営業人材育成の基本的な5ステップ
人材育成の大前提として、営業に必要なスキルや特徴を定量的・定性的に測定できていることが重要となります。これが把握できていないと、目標達成が営業担当者個人のスキルや経験に大きく依存することになります。
営業に必要な戦闘力を把握することができれば、以下の5ステップで担当者の営業力改善に繋げていきましょう。
- 営業オペレーションの可視化:売上増加・拡大に必要な業務に段階を設定します。移行率やスピードを測定します。(例:受注率・解約率・商談期間)
- 各営業担当者の成果の可視化:営業担当者ごとの移行率や移行スピードを測定します。
- 理想的な営業担当者の特徴の抽出:移行率や移行スピードが上位の営業担当者の行動の特徴と、必要な活動量を言語化します。
- スキルレベルの可視化:営業担当者にどの水準のスキルを求めるのかを定め、可視化します。
- 育成プロセスの改善:上位の営業担当者の行動に近づけるためのトレーニングを設計・運用しながら改善を加えます。
チームとしてどの部分のケイパビリティが不足しているのかを把握した上で人材育成プロセスを回すと、人材のミスマッチや早期退職、ランプアップの長期化などのリスク低下にも繋がります。
詳しいステップの詳細はこちらの e-book で紹介しています。ぜひ営業組織の人材育成プロセスの改善にご活用ください。
短期間で”売れるスキル”を身につけるための4つのポイント
新人営業マンが短期間で”売れるスキル”を身につけるための4つのポイントとしては、以下が挙げられます。
- 短期集中の座学 + 実戦トレーニング(架電)
- 活動量の増加
- 知見の共有
- 活動の記録と示唆出し
①新人営業マンの育成において短期集中の座学 + 実戦トレーニング(架電)は効果的
短期間でトップセールスを育てたい場合、短期集中で体系的な知識を学んだ後、実践トレーニングを積む方法が最も効果的です。
新人営業担当者の不安や怖さを取り除くために、見込み顧客との合意・ヒアリングすべき項目やその際のトーク例などを新人営業担当者がいつでも参照できる形で用意しておくことが重要です。
また、メンバーの営業の質を揃えていくためにも、営業活動の評価項目を策定しておきましょう。「A の時期までに B の評価を取れること」を新人の目標とし、評価項目はなるべく定量的にします。
②新人営業マンの育成ではトレーニング下、活動量は成果と比例する重要な指標
トレーニング期間では、活動量が増えるほど望ましいと言えます。
活動量を増やすことのメリットとして以下の2点が挙げられます。
- 経験が増えて打率が高まる
- 打率の低さを打席数でカバーできる
質も大事ですが、トレーニング初期では量を多くこなして、より多くの見込み顧客と話すことにより、共通項となりうる課題や解決策のパターンを掴むことができます。
また新人営業担当者の打率の低さを、量をこなす打席数でカバーできるようになり、成果を早く出すことにつながります。
③新人が加わり、人数が増えるほど知見が乗数的に蓄積し、オンボードが容易に
営業人員を増やすほど、1人あたりの生産性が上がります。
どんな営業トークが見込み顧客にささったのか、どんな業界があたりやすいか、といった情報をスクリプトなどに落として営業部全体で改善することで、新しく入ってきた人でもすぐにキャッチアップできる環境を作ることができます。
また、営業人員が多いほど短期間で検証数を増やすことができるメリットもあります。
検証に必要なサンプルが100件あるとき、20件/人当たれるとすると、1人だと5日間かかかりますが、5人いれば1日で終わらせることができます。
④新人育成の過程では、活動の記録と示唆出しが要諦であり、合意形成に着目
優れた営業組織では、「アポ数」などの表面的な数値だけを切り取るだけではなく、「合意形成」と「全体最適」に着目して営業組織全体での営業成績を向上させています。
全体最適というのは、例えば以下の図を見てみると、アポ数だけに着目していれば、一見田中さんの評価が高くなるものの、LTV の観点でいうと山田さんのほうが生産性の高い真のトップセールスである、というように全体を俯瞰して最適化することです。
しかし、山田さんの獲得した顧客の LTV が高いという結果やアポイントの数を見ても、なぜ山田さんが結果を生み出せているのかはわかりません。
そこで、例えば「予算を聞いているか」「決裁者を確認できているか」というような山田さんのアクションを細分化して
- 見込み顧客からどのような流れで何を聞けているのか
- それがどのような影響を及ぼしているのか
のデータを取得していくことで、トップセールスである山田さんの行動を分析します。
このように、他の営業担当者でも再現可能なトップセールスの営業手法を具体的なアクションの要素から共有し、営業組織全体で合意形成を行います。
新入営業マンの即戦力化に役立つツール
最後に、新入社員の即戦力化に役立つツールをご紹介します。
SFA/CRM
営業オペレーションや、各営業担当者の成果を可視化するのによく使われるのが CRM やSFA といったツールです。
これらのツールに蓄積したデータを活用することで、営業オペレーションの中で、どこが上手くいきどこが失敗しているのかや、好成績を残すトップセールスの行動内容を把握することができます。そこから示唆を出すことができれば、人材育成の面でも大きく役立つことが期待できます。
→あわせて読みたい:CRM とは?意味や基本機能、メリット、導入時の注意点まで徹底解説 – Accel by Magic Moment
SFA/CRM の課題
SFA/CRM 活用の効果を発揮するには当然データの蓄積が必要です。しかし、営業記録の徹底は難しいのが現実です。HubSpot の「Why Your Sales Reps Hate CRM Software」2)の記事によると、以下の結果が出ています。
- 営業担当者の88% が不正確なデータを SFA/CRM に入力している
- 営業担当者の69% が指定の SFA/CRM 以外で顧客データを管理している
- 営業担当者の62% が全ての営業活動を SFA/CRM に入力できていない
これは、過半数の営業担当者が営業記録を正しく入力できておらず、結果として CRM が十分に活用されていないことを意味しています。
SFA/CRM がマネジメントのためのツールと化しているため、現場の営業担当者にとっては「入力する手間>得られる価値」という状態が多くなっているのが現実で、既存の SFA/CRM でデータの入力・加工・分析を行うには大きなコストがかかります。
SFA/CRM データの入力・加工・分析を行うためには、
- 営業オペレーション担当者がツールとオペレーションの状況をモニタリングして最適化する
- データサイエンティストが各種データを補正・統合・分析する
- エバンジェリストが組織内にデータ入力文化を醸成させる
- 責任者が即時性・正確性・網羅性を持って、複数のツールにデータを入力する
といった取り組みを組織的に行う必要があります。
これらの取り組みを既存の SFA/CRM を活用して実現するためには、営業担当者1名あたり年額150万円を超える
- ツール利用料:年額120,000円〜240,000円/営業担当者
- 導入コンサルティングエンジニアリング:年額5748,00円〜1,149,600円/営業担当者
- 営業のデータ入力工数:年額10,000,000円/営業担当者
という大きなコストがかかります。
既存の SFA/CRM の活用ではデータが分断され、データの入力・加工・分析に膨大なコストが必要であるという課題に対して、これらのデータを一本につなぎ、そのデータをもとに営業担当者に今すべきアクションというのを提示してくれるテクノロジーとして、Sales Engagement Platform(以下、SEP)が登場しています。
既存の SFA/CRM がマネジメント向けのツールになっているのに対して、SEP は営業担当者のためのツールになっているのが特徴です。こちらに関しては、まとめの最後でご紹介しております資料にて詳しく解説しております。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、新人営業マンが短期間でスキルを身につけるためのコツを主にお伝えしました。
営業組織で人材育成を成功させるためには、営業に必要なスキルや特徴を定量的・定性的に測定できていることが大前提です。
Magic Moment では、営業のデータ活用に関して以下の2点を中心に包括的にまとめた資料を無料で配布しております。
- 多くの企業が直面している CRM およびそのデータ活用の実態について知る
- 上記課題を解決する最先端テクノロジー(SEP)の概要と効用について理解する
ぜひ営業人材育成プロセスのための営業ツール活用の見直しの際にご活用ください。
《引用文献》
1) SalesZine. 『「セールス・イネーブルメント」の認知度は50%以上 「必要」は7割超え/ブレーンバディ調査』. 2021-10-15. https://saleszine.jp/news/detail/2917, (参照 2021-11-05)
2)HubSpot. “Why Your Sales Reps Hate CRM Software”. 2017-02-01.
https://blog.hubspot.com/sales/why-your-sales-reps-hate-crm-software,(参照 2021-11-05)
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