最新 営業フレームワーク:SPICED とは
- SPICED は、顧客にとって望ましいインパクトが何かを理解し、それを実現するために必要な情報を抽出・整理できる営業のフレームワーク
- SPICED は BANT や MEDDIC などの従来のフレームワークとは異なり、自社のソリューション提案によって相手企業に与えるインパクトに重点を置いている
- SPICED は、顧客が必要とするインパクトを継続的に与え続けることが、経常収益の向上(LTV 最大化)につながるという考え方に基づいている
- SPICED では、①状況、②課題、③顧客に与えられるインパクト、④顧客にとって重要なタイミングや出来事、⑤意思決定プロセス・関係者・基準を整理する。
近年、サブスクリプション型のビジネスが普及する中で、顧客との関係構築(ロイヤリティ獲得)が重視されています。そんな中、注目を集めているのが「SPICED」という最新の営業フレームワークです。
本記事では、SPICED の基本概念から実際の活用方法までを徹底解説しています。
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SPICED の定義
SPICED とは
SPICED とは、顧客にとって望ましいインパクトが何かを理解し、それを実現するために必要な情報を抽出・整理できる営業のフレームワーク(参考)。顧客が必要とするインパクトを継続的に与え続けることが、経常収益の向上(LTV 最大化)につながるという考え方に基づいている(参考)。
具体的にこのフレームワークを通して整理するのは、①状況、②課題、③顧客に与えられるインパクト、④顧客にとって重要なタイミングや出来事、⑤意思決定プロセス・関係者・基準。
- S Situation(状況)
- 顧客の置かれている状況や詳しい背景情報のこと。
- 例:相手企業の使っているツールや人材、業界、市場環境など。
- 顧客の置かれている状況や詳しい背景情報のこと。
- P Pain(課題)
- 顧客がお金を払ってでも解決したい悩み/営業の話を聞く動機となった課題。
- 例:現在のプロセスに対する不満、キャッシュフロー、コストのかかるミスの発生、パイプライン構築など。
- 顧客がお金を払ってでも解決したい悩み/営業の話を聞く動機となった課題。
※質的課題と量的課題という分類もできる。(具体例は後述の「実際の活用例」のマトリクス参照)
- I Impact(与えられるインパクト)
- 顧客の事業目標に対して自社のソリューションが与えられるインパクト。通常、合理的なインパクトは下記の3つに分類される。
- 例:収益向上、コスト削減、顧客体験の向上
- 顧客の事業目標に対して自社のソリューションが与えられるインパクト。通常、合理的なインパクトは下記の3つに分類される。
- CE Critical Event(顧客にとって重要なタイミングや出来事)
- ソリューションを導入し、インパクトを実現するまでの期限。顧客が実際に目指していることとその期限。他の顧客との商談の中で表出した Critical Event について類似パターンを認識しておくことで、特定しやすくなる。
- 例:来年度のQ1に監査が予定されているため、それまでに解決策を講じるべく、今年度内に決断を下す必要がある。
- ソリューションを導入し、インパクトを実現するまでの期限。顧客が実際に目指していることとその期限。他の顧客との商談の中で表出した Critical Event について類似パターンを認識しておくことで、特定しやすくなる。
- D Decision(意思決定プロセス・関係者・基準)
- ソリューションを導入する際の意思決定プロセスやそれに関わる部門、意思決定の基準。
- 例:誰を巻き込む必要があるか、正式承認者は誰か、意思決定プロセスにはどのような承認と段階があるのか
- ソリューションを導入する際の意思決定プロセスやそれに関わる部門、意思決定の基準。
※案件の範囲やサイズによっては顧客の意思決定プロセスをマッピングする必要がある。
SPICEDと BANT の比較
全く違うポイント
- SPICED では予算を直接聞かず、状況や課題を聞き、それに基づいた解決策の提案による興味付けがベースとなっている。(SPICED はインサイト主導)
- BANT には Impact 説明の要素がない。SPICED はより顧客へのインパクト重視。
類似しているが違うポイント
類似点 | 相違点 |
BANT の Authority(権威性)と SPICED における Decision(意思決定プロセス・関係者・基準) | 決裁権の有無や決裁者の特定だけではなく決裁のプロセスと基準、関係者まで把握しようとしている点。 |
BANT の Time frame(導入時期)が SPICED における Critical Event(インパクトを実現するまでの期限) | 単に時期を聞くのではなく顧客がなぜそのタイムスケジュールで導入を目指しているのかの動機(実際に顧客が目指していること)を明らかにしようとする点。 |
その他
- BANT では N(ニーズ)でカバーしようとしているポイントを分解して、SPICED では状況・課題 になっているイメージ
※MEDDIC との違いはこちら
SPICED の使い方
SPICED の具体的な質問例(抜粋)
- Situation(状況)
- 東京のオフィスの営業チームは何名ですか?
- 今使っている CRM は何ですか?
- LinkedIn で現在 30名の SDR を募集していることに気づきました。この認識は正しいですか?
- Pain(課題)
- 現在、営業チームの育成はどのような取り組みをされていますか?
- お客様に合わせた提案をするために CRM をどのように活用していますか?
- Impact(顧客に与えられるインパクト)
- ランプアップが遅い営業マンは収益目標達成にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
- 可視化されていないことが採用にどのような影響を与えていますか?
- Critical Event(顧客にとって重要なタイミングや出来事)
- なぜその日が大切なのでしょうか?
- その日までに課題を解決できなかった場合はどうなるのでしょうか?
- Decision(意思決定プロセス・関係者・基準)
- これまで今回と同じようなプラットフォーム(ツール)を導入したことはありますか?
- 決裁のプロセスはどのようなものですか?法務や調達など、並行して会話すべき部門はありますか?セキュリティや IT レビューについてはいかがでしょうか?
考察
- SPICED は BANT や MEDDIC などの従来のフレームワークとは異なり、自社のソリューション提案によって相手企業に与えるインパクトに重点を置いている。これは、顧客が求めるビジネスインパクトを継続的に提供できることが LTV 最大化に繋がるという考え方に基づいている。
- チャレンジャーセールスとの比較
- SPI の部分はチャレンジャーセールスにおける「指導」(顧客のビジネスに関する独自のインサイトを提供し、それを的確に伝えて顧客を会話に引き込むこと)の実現の前提となる要素。
- CE や D はチャレンジャーセールスにおける適応の概念と似ている。相手企業の意思決定プロセスや判断基準、関心ごとを把握してそれらのポイントを満たすことによって最終意思決定者に購買してもらうことを目的としている。
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