大企業の The Model型組織は、なぜうまくいかないのか

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要約SUMMARY
  • The Model の本質は顧客の成功を中心としたサービス提供にあります。業務効率化や売上アップ・継続受注の増加などの副次的な効果は、あくまで目的ではなく手段と認識しておきましょう。
  • 業績が良く現状に満足している営業が多い企業は分業に失敗するケースが多いです。分業ができても部門長同士の意見やデータの定義などの連携がとれていない企業はなかなか成果に繋がりません。
  • The Model 型組織の構築では部門毎の設計が重要です。顧客起点の戦略セグメンテーション・オペレーション設計・横串を刺したデータ分析により、成果を出す The Model 型組織を構築できます。

デジタルマーケティングやリモートワークの普及により、時代に合わせた成果の出る営業プロセス「The Model」を取り入れる企業が増えてきています。しかし、「思った以上に生産性が上がらない」「部門同士の連携が上手くいかない」「売り上げや継続率に繋がらない」などの声も多いです。

業務効率化や継続顧客の増加を期待して取り入れたのに、思ったような成果が出ない…

その原因は The Model の本質を理解できていないことにあるかもしれません。今回は大企業の The Model型組織がよく陥る失敗例と、その根本的な解決策3つを解説していきます。

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The Model とは

2019年に翔泳社から出版された福田康隆氏による『THE MODEL』をきっかけに、The Model 型組織の導入に興味を持ち始めた方も多いのではないでしょうか。

「ここ数年、売上が低迷している」「一部の営業の売上に依存している」「受注は多いのに継続率が悪い」など、自社の営業に問題を抱えている企業にとって、 The Model 型の営業組織は非常に魅力的に感じると思います。まずは「The Model」について復習していきましょう。

The Modelとは

図1. 「The Modelとは」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

 The Model とは、顧客管理(CRM)プラットフォームを提供する企業の中でも世界トップを誇る企業、セールスフォース・ドットコムで活用されている営業プロセスモデルの一つです。

セールスフォース・ドットコムでは、The Model を「お客様の成功と共に、売上を拡大する仕組み」と定義しており、顧客中心のサービス提供にこだわりを持っています。これは時代の流れとともに、顧客が企業に求める期待度が年々高くなっているためです。成果を出すためには、今まで以上に顧客情報を把握して顧客を成功させ、信頼を得ることが必要となってきました。

The Model は、こうした顧客の成功を最適化するために生まれた営業プロセスとなります。

従来は一人の担当が行っていた見込み顧客の発掘・見込み顧客の育成・商談・成約後のアフターフォローといった業務を、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの各部門で分業し上手く連携することで、一貫した顧客対応をとる体制です。

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【徹底解説】営業プロセスを最適化・効率化する The Model(ザ・モデル)とは? – Accel by Magic Moment 

The Model のメリット

The Model 型の営業には、数多くのメリットがあります。分業化により業務が効率化するだけでなく、「売上が低迷している」「新人がなかなか育たない」「継続顧客が少ない」などの営業の問題点を解決できるかもしれません。ここでは大きく4つのメリットを紹介していきます。

メリット①:顧客に最適なタイミングで最適な方法で最適なコミュニケーションが取りやすくなる

従来型の営業では全ての業務を担当するために、迅速な対応ができない、潜在顧客へのアプローチまで手が回らない、など損失している営業機会も多くありました。

しかし、分業体制であれば各部門毎に最適なタイミングでのアプローチが可能です。各部門間での顧客情報の共有を徹底すれば、最適なアプローチ方法を分析することもできますし、顧客が受注に前向きになるコミュニケーションを取りやすくなります。

メリット②:専門スキルを掘り下げれば良いので習熟しやすい

The Model の分業体制により、部門毎の業務に集中できるため、スキルが磨かれ習熟しやすいというメリットもあります。今までは一人の担当が全ての業務を担当していたため、どうしても一つのスキルにかける時間が分散してしまい、専門スキルがつきにくい部分がありました。

分業化でスキルが向上することにより顧客へのサービス提供の質が高くなり、受注や継続利用に繋がりやすくなります。

メリット③:ボトルネックが把握しやすく PDCA が回しやすくなる

ボトルネックが把握しやすい点もメリットの一つです。

従来型の営業では顧客の発掘から受注・アフターフォローまで担当しているため、どこが問題で上手くいかないのか気づきにくい傾向がありました。The Model では分業化により、各部門毎に数値を明確にするため、課題が一目瞭然となります。浮き彫りになった課題に対してすぐに対策を講じることができるので、問題が解決するスピードも早くなるのは大きな利点です。

メリット④:再現性を高めやすく、持続的な組織が作りやすい

部門毎に業務フローを確立していけるので、社員の異動や離職があっても、再現性を高めやすいメリットもあります。

例えば、トップセールスに売上を依存していた場合は、その社員の離職により売上が下がるリスクは見逃せません。部門毎に役割を分担する The Model 型組織であれば、一人が抜けたとしても業績が大幅に下がるリスクを回避できるでしょう。新人が戦力化するスピードも期待できるため、より持続的な組織が作れるようになります。

The Model は顧客の成功のため

図2. 「The Modelとは」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

業務効率化・顧客満足度の向上・専門スキルの習熟スピード向上など、The Model 型の営業プロセスを取り入れることで、企業には多くのメリットがあることが分かりました。

しかし、The Model 型の営業プロセスを導入するそもそもの目的は、企業がメリットを享受するためではなく、顧客の成功のためにあることをきちんと覚えておく必要があります。

分業による企業の利点はあくまで目的を達成するための「How」であり、 分業を導入する目的は顧客が自社のボトルネックに気づいて解決し、成功する「Why」にあります。

この点を理解していないと、各部門が自分の部門の成果を出すことを目的に動いてしまい、顧客の成功に繋がらずに継続受注が増えない、という本末転倒な結果になりかねません。各部門毎に目指している目標を一致させるように連携を取りましょう。

The Model 型組織構築の失敗例

The Model の目的は顧客の成功にある点を理解した上で、失敗例についても見ていきましょう。

The Model 型組織構築の失敗例には、「分業できなかった場合」と「分業はできたが成果が出なかった場合」の2種類あります。

それぞれ当てはまったら要注意のケースを上げていくので、自社に該当しないかよく確認してみてください。

分業できなかった

図3. 「1.分業ができなかった」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

分業できていない組織でよく見られる状態

分業が上手くいかないケースの1つ目は、部門毎にいる取締役などの声の強い重役の意見が違っている場合です。

The Model 型組織の構築を成功させるには、分業するだけでなく、各部門が一貫して顧客の成功という同じ目的に向かって動く必要があります。しかし、そもそもの部門同士で意見が対立しているようでは成果を出すことが難しいでしょう。

2つ目のケースは、「営業はアートだ」という信念を持ち、なぜか営業データなどの情報を開示せずにブラックボックス化させ、外部の人間には触らせないサンクチュアリ(聖域)を持ちたがる営業が多い場合です。

The Model 型組織では、営業を部門毎に分業し、顧客データを各部門毎に共有する必要があるのですが、そもそも分業さえさせてくれない場合はなかなか The Model 型組織の構築が進まない事態に陥ってしまいます。

3つ目のケースは、「今更やってられない」と新規開拓(特にインサイドセールス)に取り組まない、未受注の顧客の掘り起こしを行わない営業がいる場合です。

The Model 型の組織では、分業を行うことで今まで手が回らなかった部分、未開拓だった顧客へのアプローチや契約に繋がらなかった顧客からの契約などの成果が出て、全体として売上も上がっていくのですが、今までと同じことしかしない営業がいる場合は厳しい結果となるでしょう。

分業ができない原因

このような3つのケースで分業ができない原因は、業績が好調のために危機感がなく、今まで通りでも結果を出していけるという考えの営業が多い点にあります。

また、今まで成果を出している社内でも立場の強い営業がこのような考えを持っている場合は、変革を望まない声が通ってしまいがちです。

自社の目的が顧客の成功にあるという「Why」の部分まで考えてもらえるように、3年後・5年後・10年後と先の未来まで考えた時に今までのやり方で通用するのか、という所からまずは考えていく必要が出てきます。

分業ができないことで起きる結果

このように分業がなかなか進まない場合は、プロジェクトが初期の段階で止まってしまい、そもそも The Model 型組織が構築できずに成果に結びつかないケースが多いです。

この状況に陥ると、「ウチには合わなかった」「結局何も変わらなかった」という印象を持たれ、プロジェクトが終わってしまう結果となります。

分業はできたが成果がでない

図4. 「2.分業はできたが成果が出ない」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

分業はできても成果がでない組織でよく見られる状態

分業ができたのに成果が出ないケースの1つ目は、営業プロセス全体を見通すことのできる木を見て森を見れる人がいなくなってしまう場合です。

The Model では、分業により手が回らなかったタイミングで顧客にアプローチできるようになる点が重要なのですが、そもそも全体を見れる人がいないと、顧客に最適なタイミングや最適な方法がつかめずに、ただ分業しただけで成果が出ないといった事態に陥ってしまいます。

2つ目のケースは、データの取り方や顧客の状態の定義が部門によってバラバラになっているために、顧客情報が分断されてしまう場合です。

営業プロセスを分けることにより、顧客情報を細かく把握できるのが The Model 型組織の特徴なのですが、部門毎にとっているデータの定義が揃っていない場合は正確な情報を共有できず成果に繋がりません。

3つ目のケースは、役割認識の不一致により、全員がやるべきことをやっているのに関わらず成果に繋がらない場合です。

The Model 型組織を構築する際には、各部門がどこまでやるのが最適か、自社の状況やターゲット層・商材などに合わせて適宜設定していく必要があります。この役割分担がきちんとできていない場合も、やはり成果に繋げることは難しくなってしまうでしょう。

成果がでない原因

分業はできたのに成果ができない原因として、圧倒的に多いのが戦略不足です。

ターゲット選定・アプローチ内容・顧客行動・価値提供・顧客のサクセスストーリーをどうすることで成果に繋げるのか戦略を考えていない場合は、The Model 型組織を構築しても成果を出すことは難しくなっていきます。

きちんと戦略が考えられていない場合は、部門毎に最適な役割分担を設定することも難しくなり、必要なデータの定義ができずに各部門がサイロ化(孤立化)してしまうでしょう。

分業ができないことで起きる結果

上記のような状況に陥っている場合、顧客は部門毎に違うことを言われるので企業を信頼できなくなります。こうして適切な顧客コミュニケーションができない場合、結果として受注に繋がらない、解約されるなどの悪循環が生まれてしまいます。

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なぜ売上が上がらないのか?The Model導入企業が直面する大きな課題 – Accel by Magic Moment 

 The Model 型組織構築の方針

図5. 「The Modelで必要なのは下記の各部門での設定」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

The Model で必要なのは各部門の設定

The Model 型組織の構築には、まず各部門の設定が必要です。

戦略プロセスにおいては、顧客に対してどのようなアプローチをしていくかという戦略的セグメンテーション、データを可視化するためのプラットフォームの構築を行う必要があります。

業務プロセスにおいては、顧客起点でどのような営業が必要になるかオペレーションの構築、成果を出すための PDCA サイクルを考えていく必要が出てきます。

人材プロセスにおいては、人材の採用方針や新人育成方法、顧客中心の考え方を浸透させる文化形成方法も決めていく必要があるでしょう。こうした各部門毎の設定を行っていくことにより、機能する The Model 型組織を構築していくことができます。

人、テクノロジー、オペレーションを揃える

各部門毎の設定を見ていくと、一見難しそうな印象を受けるかもしれませんが、重要なのは「人・テクノロジー・オペレーション」の3つを揃えることです。

この3つは変数であり掛け算なので、どれか一つが欠けると The Model 型組織は機能しなくなります。

例えば、全てを人力でまかなうには限界があるので、テクノロジーを入れて人をサポートする機能を作り、効率を良くすると上手く回るようになります。

しかし、テクノロジーを入れるだけでは実行できないので、きちんと活用されるようにオペレーションを組む必要も出てくるでしょう。逆にオペレーションが優れていたとしても効率が悪いと立ち行かなくなるので、人員の補充やテクノロジーの導入で効率を良くしていく必要があります。

このように、「人・テクノロジー・オペレーション」の3つの変数を最適化するような設定を各部門で考えることで、成果を出せる The Model 型組織を構築することができます。

解決策①顧客起点による戦略的セグメンテーションで購買体験プロセスの統一

ここまで The Model 型組織の構築には、各部門毎に「人・テクノロジー・オペレーション」が上手く機能する設定をする必要があるとお伝えしてきました。

機能する各部門の設定を行うには、顧客起点で考える戦略的セグメンテーション(市場の細分化)を行い、購買体験プロセスを統一することで顧客の信頼を得る必要があります。

そのためには、戦略的セグメンテーションを行う人材の確保とアカウントプラン(顧客別の計画)の策定が要となってきます。それぞれ見ていきましょう。

戦略的セグメンテーションを司る Sales Ops・Marketing Ops

図6. 「戦略的セグメンテーション」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

米国の BtoB 企業のセールス・マーケティング組織には、現場とは別に「Sales Ops・Marketing Ops」という部署が存在します。

Sales Ops・Marketing Ops では、主にセールス・マーケティングのプロセスやテクノロジー基盤の整備を行います。この部署には営業プロセスやテクノロジーの知識に明るい人を集めているので、プロセス全体を見通して The Model 型組織の構築に必須である各部門毎の設定を任せることができます。

しかし、最適な戦略的セグメンテーションを決めるためには、現場経験があり営業プロセスを理解しているだけでなく、導入すべき最適なテクノロジーに関する知識を持っている人材が必要となってきます。社内にそうした人材がいない場合は、外部に Sales Ops・Marketing Ops を委託すると良いでしょう。

▼ Sales Ops・Marketing Ops の部署を作りたい方は以下URLから解説資料をダウンロードできます

現代BtoBビジネスの参謀 Sales Ops・Marketing Ops – Accel by Magic Moment 

アカウントプランの策定

図7. 「戦略的セグメンテーション」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

営業がどれくらいの工数をかけるのか

戦略的セグメンテーションを決める際に重要な点が、アカウントプラン(顧客別の計画)の策定です。受注までにかかる工数別に顧客を分類し、それぞれのターゲットにどれくらいの工数をかけるか決めておきます。

ここでは大きく3つの Tier(階層)に分ける方法をご紹介します。

Tier1:注力すべき顧客

Tier2:継続的に獲得すべき顧客

Tier3:工数をかけずにとる顧客

上記3つの Tier に顧客を分類します。大量受注が見込める予算の大きいターゲットは「Tier 1:注力すべき顧客」として工数の大半をかけます。

顧客情報から購買意欲が高くあまり工数をかけずに受注できそうなターゲットは「Tier 2:継続的に獲得すべき顧客」として、少ない工数での受注獲得を狙います。

Tier3:「工数をかけずにとる顧客」にはテクノロジーを利用して大規模なマーケティングを打ち、0工数を目指します。

こうしたアカウントプランの策定を行うことで、時間をかけるべき顧客をセグメンテーションし、時間をかけなくてもとれる顧客には無駄な時間をかけず、その分注力すべき顧客に時間を注ぐことができるようになります。

上手く時間配分することで効率的な営業アプローチが可能になるため、受注率を伸ばすことにつながります。

間違ってはいけないポイント

アカウントプランの策定で重要な点は、売りやすい顧客ではなく売るべき顧客をターゲットとすることです。

売りやすい顧客というのは、すぐに買ってくれるがあまりサービスを理解していなかったり、自社に合うかを見極めていない場合があります。

確かに売上は一時的に上がるかもしれませんが、使い続けていくうちにサービスが合わない・なかなか成果に繋がらないなど、顧客の成功に繋がらずに解約してしまうので LTV(顧客生涯価値)の低い顧客である可能性が高いです。LTVが低い顧客には、せっかく工数をかけても長期的に見れば無駄になってしまいます。

自社にとって売るべき顧客は、自社のサービスで成功に導ける顧客です。こうした売るべき顧客を見極めることで、継続受注に繋がり LTV が向上し、長期的に売上が上がっていきます。

目先の売り上げにとらわれずに顧客の成功を根底に置いた営業を行うことで、The Model 型組織のメリットである長期的な売上に繋げることができるのです。

逆に、自社サービスでは成功が難しい、売るべきではない顧客には売らないように組織全体で共通認識を持っていく必要があります。

戦略的セグメンテーションの具体的な実施方法

図8. 「戦略的セグメンテーション(具体イメージ)」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

戦略的セグメンテーションでは、まずはコンタクトできていない企業の洗い出しを行い、どのくらいのリード件数を目指すべきかを考えていく所から始めていきます。

リード件数が決まったら、どんな情報をどんなやり方で伝えていくのかを決めます。こうした戦略的な作業をスキップして分業を進めてしまうと、ただ部署毎の業務が効率化されただけで、長期的に見ると継続受注率が全然上がらないという結果になりかねません。

The Model 型組織を構築する際は、戦略的セグメンテーションを必ず行なってから分業を進めていくようにしましょう。

解決策②顧客起点のオペレーション設計による役割分担と徹底的な実行

図9. 「ポイントは顧客起点で一貫し、効率的な営業オペレーションの設計」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

顧客起点で一貫した営業オペレーションを設計

顧客の成功を主眼に置いた The Model 型組織の構築においては、顧客起点で一貫した営業オペレーションを設計することが求められます。顧客が成功するオペレーション設計をすることで、結果として継続顧客の創出に繋がるので、設計の際には常に意識しましょう。

Sales Ops・Marketing Ops がいない場合

社内に Sales Ops・Marketing Ops の部署がない場合は、営業部長を中心にマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスなど、部門長全員で設計を行うようにします。どうしたら顧客が成功するのかという観点から逆算して作成していくのがポイントです。

営業オペレーションの設計後は、全ての部門長が全プロセスを説明できる状態にし、各部門長同士での目標の齟齬が起きないように注意します。

さらに、各部門の担当者が全体の中でどのプロセスをどんな目的で行なっているかを語れるレベルまで組織に落とし込んでいきます。

図10. 「商材やターゲット、既存組織形態によって最適なカタチは違う」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

この営業オペレーションの設計内容は、時代・企業・ターゲット顧客・商材・既存の組織形態などによって最適な形は違ってきます。

例えば、インサイドセールスがない企業やフィールドセールスが代わりを担う企業、マーケティングが不要な企業など様々です。顧客に届ける価値が変われば、最適な営業プロセスのあり方も変わっていきます。

The Model の組織形態をそのまま真似するのではなく、自社に合わせて最適なあり方に変えていくことが重要です。

解決策③横串を刺したデータ分析によるPDCA

図11. 「横串を刺したデータでPDCAを回す」(『大企業のThe Model型営業組織は、なぜ上手くいかないのか』より Magic Moment 作成)

顧客プロセス全体を見る

成果を出すための PDCAサイクルを作るには、顧客プロセス全体を見渡すことが重要です。各プロセス毎に転換率を出して、横串を刺して俯瞰することで、問題となっている箇所に気づきやすくなります。

例えば、転換率が異様に低い理由は何か、改善するために何を変えるかといったことが分かりやすくなります。各部門でどこのプロセスをどんな理由で改善したかが分かっていれば、部門同士での連携がとれた上で改善策を回すことができます。

一部門にとって最適だから改善するという視点で改善してしまうと、他の部門に影響が出て負担をかける可能性もあります。

例えば、契約に繋がらないアポイントを増やして営業のリソースを圧迫してしまう、継続受注に繋がらない顧客の成約を増やして長期的な売り上げに繋がらない、などの問題です。顧客プロセス全体を俯瞰することで、部門別に最適化するのではなく、全体にとって最適なサイクルを作るように心がけましょう。

まとめ

分業で効率化などのイメージが強い The Model 型組織ですが、本質は顧客の成功を中心とした考え方にあります。

The Model 型組織の構築に失敗するケースは、こうした顧客の成功ではなく部門毎の目先の利益を追い求めたことが原因となる場合が多いです。顧客起点の戦略セグメンテーション・営業オペレーション・横串を刺した PDCAサイクルを設計することで、LTV の高い顧客を増やし、成果の出る The Model 型組織を構築しましょう。

「The Model 型組織をこれから導入していきたいが、どこから変えるべきか分からない」

「自社で The Model型組織を構築するには、大幅なDX(デジタル変革)課題があるが、何をどうしたら良いのか見当もつかない」

Magic Moment では、こうしたThe Model 型組織の構築にお困りの企業様に向けて「The Model を成功させるためのチェックリスト」を提供しております。The Model 型組織を成功させるためには、営業組織をどこから変えていくべきか必要なポイントをチェックリストにした資料です。

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