Salesforce の導入で失敗しないために知っておくべきこと
- Salesforce 導入を成功させるポイントとして「導入目的を明確にする」「定着化に向けた運用体制を整備する」ことが挙げられる
- 導入時のよくある失敗例として「既存システムからの移行が進まない」「現場がデータを入力してくれない」「導入効果がなかなか見られない」といったことが挙げられる
- システム自体を導入することが目的とならないよう、自社の状況を把握し、導入理由を明確にした上で最適なツールを選んでいくことが重要である
Salesforce は世界シェアNo.1*のクラウド型 CRM (顧客管理)ツールです。営業現場をはじめ、マーケティングやカスタマーサービスの場面でも導入される多機能な製品です。
中小企業から大企業まで業務効率化や事業拡大を目的に導入されますが、ツールをうまく使いこなせない、想定した成果が出なかったという失敗例も少なくありません。
そこで本記事では、Salesforce の導入で失敗しないために知っておくべき成功のポイントや導入手順、よくある失敗例について解説します。
Salesforce は上手に活用することで、自社の営業活動やマーケティングを効率化し、事業成果を拡大するドライバーにもなります。Salesforce の導入を考えている方は、本記事を参考にしてみてくだい。
*International Data Corporation ( IDC ), 2020年10月, Worldwide Semiannual Software Tracker
目次
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Salesforce 導入を成功させるポイント
Saleforce を効果的に利用し、事業を成功に導くためには、事前の準備が最も大切です。
導入する前におさえておきたい2つのポイントを解説します。
導入目的を明確にする
Salesforce を導入する目的を明確にして、自社の課題解決に必要な機能を満たす製品を選択することが大切です。
Saleforce には利用する目的に応じてさまざまな製品が用意されており、それぞれが自社に合わせた細かいカスタマイズが可能です。
導入目的が曖昧なままサービスを導入すると間違った製品を選択してしまう可能性や、不要な機能が搭載され使いにくいシステムとなってしまう可能性があります。
現状を分析し課題を特定した上で、自社のニーズにあった機能を持ったツールを選ぶことが重要です。
定着化に向けた運用体制を整備する
製品を導入して運用を始める前に、実際にシステムを利用するメンバーに対して使い方や運用体制を周知することが大切です。新しいシステムが導入され、今までとは異なった作業や運用フローが発生することに抵抗感がある社員も少なくありません。
せっかく導入したツールも組織の中で定着しなければ、効果を発揮することはできません。部門長や導入推進者が中心となって関係する社員を集め、Salesforce を導入する目的やメリットを理解してもらい、社内トレーニングを行うなど受け入れ体制を整えることがポイントです。
Salesforce 導入の3ステップ
Salesforce を新しく導入するには、どのような手順で進めていくべきか、3つのステップに分けて紹介します。
1.目的設定と要件定義
自社や組織の現状分析を行い、課題を特定し、どのような目的で Salesforce を利用したいかを定義します。複数の目的がある場合には、優先順位をつけることも大切です。
次に、掲げた目的を達成するために、どのような機能が必要かという観点から要件定義を行います。Salesforce は多機能な CRM ツールであるがゆえに、さまざまな機能やオプションを盛り込むことができてしまいます。
導入初期からあらゆる機能を搭載したシステムを作るのではなく、まずは少ない機能から徐々にスケールアップしていくという考え方も有効です。
2.データのインポートと実装
Salesforce を導入する前に使っていたエクセルなどのデータベースを、Salesforce のクラウド上にインポートします。
1件ずつ手作業でシステムに入力するのは骨の折れる作業ですが、Salesforce では顧客データを一括で登録ができる仕組みがあります。導入担当者がまとめて登録すれば、現場社員や入力担当者の労力を減らせます。
データを取り込むことができたら、実装フェーズに移ります。使いやすいシステムになっているか、繰り返しレビューを行います。導入担当者だけでなく、情報の入力者、分析者など複数の目で確認を行います。
3.利用者向けの研修と利用の促進
Salesforce の利用を促進し社内で浸透させるには、実際に利用する社員向けの研修が重要です。どんなに優れたシステムであっても、人間は新しいものに抵抗感をもつものです。
Salesforce を導入する意義や目的、誰が・どのタイミングで何の情報を入力するかという運用体制を周知し、メンバーが迷いなくシステムを使える環境を構築します。
初めは分からないことも多いため、誰に問い合わせれば回答をもらえるかというサポート体制も合わせて共有します。
蓄積されたデータを分析し効率化や運用改善に役立てれば、システム導入の意義を感じることができ、さらなる利用促進につながります。
Salesforce 導入の費用
Salesforce 導入費用の内訳
Salesforce の導入費用は、利用するサービスとエディションによって異なります。
例えば営業支援ツールの場合は、ユーザー数や利用できる機能によって全4段階のエディションに分かれています。
全てのエディションで『2日以内のサポート対応、カスタマーサポートコミュニティ、インタラクティブなWebセミナー、イベント、ガイド付きジャーニー』が付属しています。
年中無休24時間体制のサポートやアドオン機能を利用する場合は追加費用が発生し、場合によっては個別見積もりが必要です。
代表的なプロダクト紹介
ここでは Salesforce の代表的なプロダクト「 Sales Cloud 」「 Service Cloud 」「 Salesforce Platform 」それぞれの機能・料金体系を紹介します。
Sales Cloud
Sales Cloud は、営業活動に必要な業務を管理できる営業支援ツールです。顧客管理、商談管理を通じてパイプライン管理が可能になり、将来の売上予測まで可視化できます。
従来、メンバー個人に依存していた営業活動をツール上で把握することで、課題発見やハイパフォーマーの発見につながるなど、組織をドライブするための示唆が得られます。
エディション | Essentials | Professional | Enterprise | Unlimited |
概要 | シンプルに始められる、ユーザー数10名までのCRM | あらゆる規模のチームに対応する包括的な CRM | 自社に合わせた細かいカスタマイズが可能なCRM | CRM 機能とサポートが無制限 |
料金 | 3,000 円 | 9,000 円 | 18,000 円 | 36,000 円 |
※金額は(税抜)/ユーザー/月、年間契約(Essentialsは月契約も可)
Service Cloud
Service Cloud は、顧客とのつながりをサポートするカスタマーサービスツールです。マルチチャネルでもつ顧客接点を Service Cloud 上に統合し、情報を一元管理できます。業務フローを自動化し、顧客ごとにパーソナライズされたサービスを瞬時に提供すれば、業務の効率化と顧客ロイヤルティーの向上を目指せます。
エディション | Essentials | Professional | Enterprise | Unlimited |
概要 | セールスとサービスをひとつにしたアプリケーション | ユーザー数に上限がない、包括的なCRM | 包括的なサービスのためのカスタマイズ可能なCRM | CRM機能が無制限 |
料金 | 3,000 円 | 9,000 円 | 18,000 円 | 36,000 円 |
※金額は(税抜)/ユーザー/月、年間契約(Essentialsは月契約も可)
Salesforce Platform
Salesforce Platform は、だれでも簡単にプログラムを作成できるローコードツールです。プログラミングの知識がなくても、プラットフォーム上でアクションを組み合わせ、自動化されたワークフローを作ることができます。あらゆる部門において、既存作業のオートメーション化をはかりたい場合に導入されます。
エディション | Platform Starter | Platform Plus |
概要 | カスタムアプリで営業、サービス、マーケティングの機能を拡張 | あらゆる部門のビジネスプロセスをデジタル化 |
料金 | 3,000 円 | 12,000 円 |
※金額は(税抜)/ユーザー/月、年間契約
Salesforce 導入時のよくある失敗とその原因
優れた顧客管理システムである Salesforce ですが、導入したけれど活用できなかった、効果が見られないといった声も少なくありません。
ここでは、Salesforce を導入した際のよくある失敗とその原因を紹介します。
これらの失敗例に一つずつ対処していくことが、Salesforce 導入の成功につながります。
既存システムからの移行が進まない
Salesforce を導入する前に使っていたシステムから切り替えができず、導入が進まないケースがあります。
システムが切り替えられない理由として、Salesforce が使いにくい場合があります。導入の検討段階や製品を選定する段階で現場の意見をもらっていないと、実際の利用者の声が反映されておらず使いにくい設計になってしまいます。
また、実際にツールを使う社員が導入によるメリットや効果を認識できていないと、Salesforce を利用するモチベーションが上がりません。何となく「今まで使っていたシステムの方が慣れているから使いやすい」という理由で移行が進みません。
現場がデータを入力してくれない
いざ Salesforce を導入しても、さまざまな理由から現場の社員がデータを入力してくれないケースがあります。
データ入力に関するマニュアルが整備されていない場合や、マニュアルを読んでも分からないといった場合には入力担当者の手が止まってしまうことにつながります。
現場の社員は日々の業務に忙殺され、入力する時間が作れない場合もあります。
Salesforce の入力に慣れるまでは他の業務の負荷を減らしたり、導入推進者が隣について入力をサポートするなど、社員の負担を減らすための仕組み作りも大切です。
導入効果がなかなか見られない
導入自体には成功しているものの、期待した効果がなかなか得られない場合があります。
導入した製品に関する調査が不十分でシステムを使いこなせていない場合や、目的にあった製品が導入されていない、必要なカスタマイズが行われていない場合があります。
事前におこなった費用対効果の検討が不十分であり、現実とかけ離れた目標設定になっている場合もあります。導入による見込みや予測は正しく行えていたか、立ち止まって振り返ることも大切です。
部署間での情報共有やデータ連携がうまくいかない
Salesforce を導入しても、部署間の連携が取れておらず、情報共有やデータ連携がうまくいかない場合があります。
Salesforce を活用できているレベルが部署ごとに異なると、一方の部署では有意義に活用できているけれども、一方の部署では全く使われず、結果として全社横断した情報管理ができなくなってしまいます。
また、各部署がそれぞれ利用するだけでは情報が蓄積する一方です。定例会議のように部署間で情報共有するための仕組みづくりがないと、蓄積した情報を利活用し、さらなる効果を実感することが難しくなります。
まとめ
本記事では、Salesforce の導入に失敗しないために大切なポイントを解説しました。
Salesforce の利用を検討する際には、導入時によくある失敗の原因を知り、それぞれに対して事前に対策を講じていくことが大切です。
Salesforce は上手に活用することで、業務の効率化や自動化を実現し、コスト削減さらには売上アップが狙えます。システム自体を導入することが目的とならないよう、自社の状況を把握し、導入理由を明確にした上で最適なツールを選んでいくことが重要です。
自社の状況に応じた Salesforce を選ぶためにも、組織の現状把握は必須です。こちらの資料では、成果を出せる営業組織の特徴を10の観点に分類し、それぞれの観点での組織の到達度を診断することができます。
ぜひ、ツール導入前の組織の現状把握にご活用ください。
また、弊社が提供している営業支援 SaaS 「Magic Moment Playbook」もリマインド連絡の自動化や、ネクストアクションの自動提案などの機能により、煩雑な営業業務を効率化・自動化し、顧客に向き合う時間を生み出します。詳細についてはプロダクトページからご確認ください。
その他、Magic Moment Playbook の機能についての詳しい情報は こちらの記事「営業改革を実行するための主要機能」 をご覧ください。
<参考>
セールスフォース・ジャパン、,各種エディションと料金
https://www.salesforce.com/jp/editions-pricing/sales-cloud/
Salesforce,サクセスナビ
https://successjp.salesforce.com/
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