営業組織の働き方改革を成功させる3つのポイントと落とし穴
- 生産年齢人口の減少を背景に働き方改革が必要になっており、それに伴い DX (デジタルトランスフォーメーション)が推進されている
- DX化に伴い SFA や CRMといった営業支援システムが導入され、新しい職種としてインサイドセールスが導入されている
- SFA や CRM を導入することで営業活動のブラックボックスを解消し、属人化を解消することができる
働き方改革と合わせて注目の高まるデジタルトランスフォーメーション。営業組織に焦点を当てて、求められる働き方改革とデジタルトランスフォーメーションの必要性についてお伝えさせていただきます。
また弊社では、DX に乗り遅れまいと奮闘しているが何から変えるべきか決まらないという方に向けて「営業組織のDXチェックリスト」を無料で提供しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
目次
働き方改革とデジタルトランスフォーメーション
昨今、経営や組織体制についての文献に目を通すと、働き方改革、デジタルトランスフォーメーションという言葉をよく目にします。ご存じの方も多いかと思いますが、経済産業省を筆頭に国が推進している概念です。
ただ、言葉ばかりが先行してしまい、その必要性や実現方法が分からず、結局今までの組織、文化から変われずにいる企業が多く散見されます。
何故今の時代に働き方改革やデジタルトランスフォーメーションが注目を集めているのか、本当に必要なのか、といった点を考えていきたいと思います。
働き方改革は何故必要なのか
働き方改革が必要となった背景の大きな要因の一つに生産年齢人口の減少が挙げられます。
現在は、高度経済成長期を支えた1960年~1990年代の人口ボーナス期から人口オーナス期と呼ばれる時代に突入している背景が大きく関連しています。人口ボーナス期は「子供と老人が少なく、生産年齢人口が多い状態。豊富な労働力で高度の経済成長が可能で、多産多死社会から少産少子社会へ変わる過程で現れる」、人口オーナス期は「高齢人口が急増する一方、生産年齢人口が減少し財政、経済成長の重荷となった状態」と定義付けられています
こういった状況の中、今までの長時間労働を行う事で個々人の生産性の低下、男性が働き女性は家庭に入るといった働き方の概念を変え、生産性向上やワークライフバランスといった働き方改革に取り組む必要性が出てきています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
働き方改革と合わせて、デジタルトランスフォーメーションという言葉も最近様々なメディアで目にします。
デジタルトランスフォーメーションとは、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされる概念で「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」と定義されています。
働き方改革とデジタルトランスフォーメーションは非常に密接な関係にあり、働き方改革や生産性向上の実現には、デジタルトランスフォーメーションが必須とも言われています。
営業組織においての働き方改革とDX
働き方改革注目されている組織といえば、営業組織が挙げられます。
多くの企業で属人性が高く、活動内容がブラックボックス化されてしまっており、周りから見たら理由の分からない長時間労働を強いられてしまったり、ワークライフバランスが大きく崩れてしまいメンタルの不調に繋がってしまうケースが多いです。
企業側も活動内容がブラックボックス化されているために、要因が分からず打ち手を講じる事が出来ずにいます。
こういった営業組織の課題に対し、先に挙げたデジタルトランスフォーメーションでの解決方法で代表例といえば、SFA/CRMツールの導入や営業活動の分業の仕組みづくりがポイントとしてあります。
SFA/CRMツールの導入では、クライアント情報、商談情報、案件確度や売上予測などを可視化する事で適切なアクションプランやKGI/KPIを立て、営業の効率化を図る事が出来ます。
また、属人性が強くなりがちな営業活動において、提案手法などのナレッジ共有をする事で営業全体の標準化を図る事も可能となります。
営業活動の分業とは、いわゆるパイプラインと呼ばれる営業活動のフローを把握し、そのマネジメントを行う事で新規リード獲得、初回アポイント獲得からクロージングまでの一連の流れを可視化する事で、一人の営業が全てを担うのではなく、複数人でパイプラインマネジメントをする事で一人一人の業務負担を減らし、一つのタスクに対しての労働生産性を向上させる仕組みです。
営業の働き方改革、新しい職種のインサイドセールスとは?
SFA/CRMツールの導入や営業活動の分業を実現させる手法として、内勤営業であるインサイドセールスと呼ばれる専門職の導入が挙げられます。
内勤営業、という言葉のイメージとしてただのテレアポではないか、とお声を頂く事がよくありますが、テレアポとの違いとして以下のポイントが挙げられます。
- テレアポはアポイント取得がミッション
- インサイドセールスは電話やメール、WEB会議システムなどを活用して顧客醸成化(ナーチャリング)を行う事がミッション
単にアポイントを獲得し、外勤営業に商談に向かわせるだけでは、全く確度がないクライアントへのアポイントも増加し、営業効率が非常に悪くなります。
インサイドセールスの業務は、今まで外勤営業が担ってきた顧客のプロファイリングや状況ヒアリングを行い、自社サービス導入に向けた醸成活動の上でアポイントを獲得するため、外勤営業の営業効率も高くなります。
また、日本ではまだ主流ではないですが、海外でのインサイドセールスでは案件クロージングまでを担っているケースも非常に多く見受けられます。
SFA/CRMツールの導入と合わせてインサイドセールスの導入を行う事で、一人ひとりの業務負担を減らし、働き方改革やワークライフバランスの取り組み成功の可能性をより上げる事ができます。
営業組織のDX取り組みの失敗例に学ぶ
しかし、上記の取り組みの失敗例というのも数多くあります。
失敗例のポイントとして以下の点が挙げられます。
- 営業活動のブラックボックスを解き明かさずにツールを先に導入してしまう
- 見込み客、案件発生からクロージングまでがレギュレーションが整っていない
ひとつ目は、先に挙げた営業活動のブラックボックス化という多くの企業が抱えている課題に対し、ツールを導入すれば解決すると考えてしまうケースです。
ふたつ目も、先に挙げた見込み客の獲得から営業への割り振り、リーガル面での折衝や提案、クロージングといったいわゆる「パイプライン」のマネジメントがツール導入前から出来ていない点があります。
多くの企業がSFA/CRMツールを導入すれば現状の課題は解決する、インサイドセールスを導入すれば透明性のある活動からシームレスな営業活動が実現できる、と思い込みがちです。
ただ、多くのシステムや仕組みと同様に、SFA/CRMやインサイドセールスはあくまでもプロセスを簡略化するためのツールや業務であり、導入を成功させ生産性向上へと繋げるためには、各企業で異なってくるパイプラインを明確化させ、何をどこまでどのツールや組織でやるか、といったプロセスの分解、割当を行う必要があります。
その上で自社に本当に必要なのかを見定め、ツールの導入や仕組みの変更を検討する事が重要なポイントです。
実際の事例として、営業の長時間労働が課題となっている企業から、SFA/CRMツールを導入すれば生産性向上、営業の働き方改革になるのではないか、と相談を受けた事があります。
このケースでも、まずは既存のパイプラインを可視化し、どこに業務負荷がかかっているのか業務量を調査し、本当にツールや営業活動の分業をする必要があるのか見定める必要がありました。
結果として、業務量調査の結果から既存の営業のKPIを適切な数値に設定し、活動報告を定期的に行うレギュレーションに変更するだけで、営業の長時間労働は解消したケースもあります。
まとめ
利便性の高いSFA/CRMツールやWEB会議システムなどが多々ある時代だからこそ、効率よく活動できる組織体系を構築し、自社の活動プロセスを確実にマネジメントを行い、その効率の良いプロセスを更に向上させる事がデジタルトランスフォーメーションであり、生産性向上へと繋がる働き方改革のあり方だと思います。
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