エンタープライズ営業を成功させる「関係構築」【ウェビナーレポート】

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要約SUMMARY
  • 営業を取り巻く環境変化や複雑化を背景に、エンタープライズにおいて関係構築が重要
  • ヒアリングなどを重視する組織が多いが、実際には「合意を取っていく」関係の型が必要
  • 合意とは、A というプロダクトに対して顧客が課題として捉えているのか(Yes or No)、検討に進むか(Yes or No)というように相手をコントロールしながらも、あくまで顧客起点であることがポイント

Magic Moment では『エンタープライズ営業を成功させる「関係構築」』のウェビナーを開催しました。

エンタープライズ向けに営業活動を行っているものの中々進展がなかったり、利害関係者が多すぎてどう進めていけば良いかわからない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、エンタープライズ営業においてなぜ関係構築が重要なのか、関係構築を実現する型の重要性について、ウェビナー(セミナー)内容の一部を紹介いたします。

→顧客との関係性を起点とした「型」を構築『Magic Moment Playbook』

営業を取り巻く環境は大きく変化している

コロナや DX をきっかけに、

  • オンライン商談
  • リモートワークの常態化
  • The Model 化
  • SaaS の台頭
  • インサイト営業
  • 営業力不足

など営業の方法や働き方が変わってきました。

営業組織の在り方は、

  • 営業形式は対面営業から非対面営業へ
  • 営業活動は量から質へ
  • 情報共有の仕組みはアナログからデジタルへ

と、変化してきています。

このように変化に対して向き合えている企業がどれほどあるかという点では、仕組みやツールの導入にチャレンジされているものの、実際に営業方法や対話の仕方を改善できている企業は、少ないのではないでしょうか。

MA ツールを活用したリード獲得、インサイドセールスがリードを育成した上でアポ取得など、より高い量と質を高めて営業組織に引き渡す仕組みを構築していることはあります。しかし、実際のフィールドセールスにおいて顧客との信頼関係構築に着目し、価値を提案し続ける営業の本質に立ち返っている企業は、多くありません。

エンタープライズをはじめ「関係構築」が必要とされる理由

購買行動の変化で、買い手と売り手の情報が質・量とともに一致してきています。検討段階というのは、商品の検討はすでに終わっており、この会社と付き合うか否かの判定をしている状態だと言えます。

下図のフライホイール型の購買行動でリファラルと評判が重視されているように、顧客が顧客を呼ぶ動きが生まれています。

このような背景から、「この会社と付き合いたい」と思われる関係構築・見せ方がかなり問われている時代となっています。インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、ホームページなどでの発信を含め、全てが顧客に評価を委ねている状態になっているため、一つ一つの質を高めることが重要だと言えます。

ウェビナーにおいても、何を話し、どのような振る舞いをするのかが重要ですし、インサイドセールスでどのような体験を作っていくのかというところまで、会社全体としてブランディングをしていくことが求められています。

エンタープライズ営業とは、大手企業を相手に行う営業手法のことです。大企業は担当者も多く、意思決定にも時間がかかります。そのため、大手企業を相手にするエンタープライズ営業こそ、関係構築が必要不可欠となります。

しかしながら、これらのことは頭では分かっていても早く受注することや売上を優先してしまい、中々実践できていないのが現実です。

オンラインとオフラインの混在により、販売活動も複雑化

インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなど、顧客折衝における役割分担が増えています。
またオンラインとオフラインの混在により、販売活動も複雑化してきています。

チャネルも多い中で、各チャネルが顧客との関係構築を起点に行動できる状態になっていないことも、課題として挙げられます。特にエンタープライズが顧客の場合、関係構築すべき相手が適切なのかどうか、その定義が決められてないことも多いです。

そのため一つ一つの所作を統合的に意識づけながら関係構築する状態には、持っていけない状況が多く見られます。

さらにリモート環境により、営業活動の難易度が向上しています。

  • 商談の情報やニュアンスの共有
  • 生産性のない社内向けの情報整備
  • ノンバーバルなコミュニケーションができない
  • 顧客折衝を通じた関係構築
  • モチベーションが見えない

といった課題がマネジメント層に起きています。

図:オンライン・オフラインの混在(Magic Moment作成)

リモート環境による感覚の差が出てきている

上記の課題に加え、社会文化の変化によって感覚の差が出てきています。

SNS の普及により、趣向に合う対象を選択し人間関係を構築する社会文化が浸透してきました。それにより、複雑な関係構築が不要な環境へと変化しています。

一方で営業活動においては、成果を生み出すために主体的に対話を積み上げ、自分の趣向に合わない人とも関係性を構築しなければいけないというギャップがあります。この壁が分厚く、超えられる人と超えられない人の差が大きくなっています。

ここを意識して、マネジメントが営業担当者とコミュニケーションをとらなければ、感覚的なものにズレが生じる可能性が高い状況です。顧客にとっても、求められる表現や見せ方が変わってきています。

営業担当者は様々なノウハウ情報を検索して手に入れ、それを生かそうとしています。逆にいうと、会社としての見せ方ではなく、社会に溶け込んだ一般的なものとして手に入れ、会社としての方針ではないノウハウが実行されてます。

対エンタープライズは特に信頼が重要

営業担当者が主体的に情報を入手し、活用することは大変良いことではありますが、対顧客にはどのような価値が出せているのか、良い関係性を構築できているのかという点では、個人に依存してしまい、より掴みどころのない営業組織となってしまいます。

特にエンタープライズ向けの営業においては、信頼してもらうことがとても重要です。
場合によっては、複数の営業担当が様々な部署の担当者とやりとりすることもあるでしょう。
その中で個々人の営業のやり方に大きなバラつきがあれば、相手は懸念に思うこともあるでしょう。

市場や働き方の変化、コミュニケーションや情報取得の変化により成果が安定しづらく、コントロールしにくい環境になりつつあります。

顧客との関係構築においても、感覚が違うので指導が難しくなっています。また、教えようとしてもリモートのために育成の難易度も上がっています。

これまではどちらかというと背中で見せるといった OJT での育成が主流でしたが、これからは育成スタイルも大きく変換させなければいけません。

関係構築のあり方にも、フォーマットが必要な時代

関係構築のあり方にも、一人一人に見せていけば教えられるという状況ではなく、フォーマットが必要な時代になっています。

個人スキルの底上げでも、属人性を排除した方法としてフォーマット化が有効だと言えます。また、いかに会社としてその人材が残りたいと思う組織を作っていくかが重要になります。

とはいえ、転職が当たり前の時代になりつつあるため、多くの人材が出入りすることを前提に営業組織が回っていくよう人材が辞めていく前提に立った時に、いかに新規人材が成果をあげるまでの期間を短縮させるか、というところまで考えていく必要があります。

営業の形が変わってきた今、飲み会や顧客への訪問回数は顧客との関係構築には結びつきづらくなっています。このような状況で、フォーマット化することでより再現性の高い仕事の状態を作ることが重要となっています。

エンタープライズ営業で成果がでるメンバーの特徴

それでは、エンタープライズ営業で成果がでるメンバーはどのような人なのでしょうか。以下では、その特徴についてご紹介します。

まず1つ目に、顧客との合意=握る力が圧倒的に強く、結果リードタイムが短いことです。商材に合わせた合意形成の洗い出しがポイントです。

2つ目に、握りきって商談を進めることでリスクを回避することです。合意ができているので、明確にわかりやすい商談プロセスの構築ができており、後で発生するリスクが少なくなります。関係性を仲良くやっていくのではなく、目標に向かって顧客と合意し、いつまでに何をお互いやるのかを明確にする力があります。

3つ目に、徹底的に臆病であるため、商談のリスクチェックを徹底することです。多くの優秀と言われる営業の方は、現在の状況を悪いと捉え、念入りにチェック項目を作成し実行します。一度良い関係性を作れても、どうなるかわからないという前提でリスクチェックを回していきます。

4つ目に、顧客との合意をプロジェクトに正確に持ち込むため、プロジェクトリスクが低いことです。プロジェクトを意識して成果を高めることが The Model 的な営業においては重要で、売るのは当たり前の中、その先のリスクや顧客体験まで想定した顧客との関係構築が重要になります。

上記に共通しているのは、顧客との関係性を徹底的に意識していることです。関係性を築くポイントとしては「お客様が成功するためにベストな道筋をこちらが理解していて、道に乗せていく」ことです。

しかし、実態としてこれが出来ている営業はとても少ないです。エンタープライズでも SMB でも、関係性をつくっていくプロセス自体を形として作ることが重要です。

営業の強い組織の特徴

営業の強い組織の特徴は大きく分けると、オペレーションの徹底と文化作りの徹底の2種類のパターンがあります。

オペレーションの徹底

– キーエンス/光通信

型/ルールの徹底/再現性の鬼(所作、スクリプト、マテリアル等)

あらゆる所作、スクリプト、マテリアル、ホウレンソウの仕方、移動行動の時間管理まで徹底しています。
オペレーションの徹底をしている企業は強いです。

文化作りの徹底

  – Salesforce、ワークスアプリケーションズ、リンクアンドモチベーション

会社が何を為さねばならないのかを共通見解にしており、考え方が一致しています。アウトプットや KPI、パフォーマンスが全て共通化されています。商談の良し悪しの議論、より結果を出すための所作の改善の徹底が常に行われています。営業のみならず組織全体に考えが浸透しています。

エンタープライズ営業では「型を作る」ことが重要

ヒアリングなどを重視する組織が多いですが、実際には「合意を取っていく」関係の型が重要となります。

特にエンタープライズの領域では、関係の型のために何を合意するかを徹底的に作っていくことが大事です。
これをやらないと後戻りが非常に多くなります。

したがって、いかに合意のプロセスと関係性を高めるために良い型をつくるかが、エンタープライズ営業ではポイントとなります。言い換えれば、お互いにどうあるか、あれるかを仕組み化していくことが重要です。

エンタープライズ営業にこそ、型が必要

型とは、顧客との関係性を深め、商談にて行うべきことやノウハウが詰まった秘伝の書です。

営業の方がこれまでにやっているプロセスは言語化できます。この型を作る際に商材軸で考えがちですが、実際営業組織全体が変わるために必要なのはヒアリング項目ではありません。

お客様とこのフェーズではどういったことを合意するのかを決定することがポイントです。
ここを丁寧に言語化することが重要です。

具体的には、A というプロダクトに対して顧客が課題として捉えているのか(Yes か No)、検討に進むか(Yes か No)、というように確実に合意を取っていきます。

型を作るポイント

図:組織設計と型(Magic Moment作成)

営業の型を作るにあたってのポイントには、BANT、SPIN、MEDDIC のようなフレームワークが挙げられますが、これらはあくまでヒアリング情報に近いものです。

何よりも重要なのは、フレームワークをより言語化して、誰でも実行できる再現性の高い項目に変え、そして売り手と買い手が合意するために必要な情報としてプロセス化していくことです。

フレームワークはあくまで結果的な実態を入力するものです。例えば、ただ予算を聞いても顧客との関係性は深まりません。抱えている課題に対して、どういった問題が起きていて、どういう価値を提供できて、それを成し得るためにお金が必要で、お金が必要だから予算を聞いている、といったプロセス設計をしていかなければいけません。

トップセールスは感覚として上記を理解しているため、そういったナレッジを組織として一般化していくことが重要です。

継続される型のポイント

以下では、継続される型のポイントをご紹介します。

  • 単なる入力フィールドの羅列ではなく、流れがある
  • 営業担当が価値を感じるインサイトがある
  • 可変性、柔軟性がある
  • マネジメントからのメッセージがある
  • 営業担当が型への提案ができる

お客様目線で考えた時に、違和感なく相手が受け入れやすい流れは何か、恣意的でない対話にするためにどうしたらいいのかをお客様視点から逆算して考えることが大切です。

セールスフォースをはじめとした CRM ツールの活用ももちろん重要ですが、よくある失敗として、入力することが目的となり、相手が違和感を感じる対話になってしまうことがあります。

エンタープライズ営業こそ型を作成する必要がある

  • 一部の営業担当者だけでなくとも顧客の課題を理解できるようにするための仕組みが欲しい
  • 商談が始まっても、交渉が難航することが多く、商談期間の長期化を防ぎたい
  • 営業担当者が意思決定者・キーマンに対して柔軟に対応できるようにしたい
  • 次のアクションが決まらない
  • 無駄なアポイントを減らしたい
  • 採用した新たな営業担当者の独り立ちにかかる時間を短縮したい
  • 少数精鋭の営業組織から、事業をスケールさせるフェーズへ移行したい

このような課題を抱えている場合でも、フォーマット化していけば乗り越えられます。
エンタープライズビジネスだと、顧客ごとに異なる営業方法をするべきだと感じがちです。

しかし営業担当者が一つ一つの案件に柔軟に対応するのは難しく、ビジネス環境も複雑になっているため、ある程度型化して仕組み化することが重要です。

Magic Moment では型の作成を支援するプロダクト「Magic Moment Playbook」を提供しております。

ご興味ございましたら、是非以下の動画をご覧ください。