アウトバンド営業のすべて:インバウンド営業との違いから学ぶ成功の秘訣

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要約SUMMARY
  • アウトバウンド営業とは、主に受動的なターゲットを中心に、より積極的に接触する手法のことで、新規開拓を目的としている
  • インバウンド営業との違いは、アプローチ方法、目的、ターゲット層の特徴などが挙げられ、組み合わせながら導入するのが効果的
  • アウトバウンド営業のメリットとしては、ターゲット選定の自由度が高いことや潜在顧客の発掘に効果的であることだ
  • デメリットは、効率が悪く、高コストなことだが、市場調査とデジタルツールの活用によって対策が可能
  • アウトバウンド営業で成功する3つのステップとしては、①ターゲットの正確な特定、②データ活用によるニーズ分析、③簡潔なコミュニケーションがある

アウトバウンド営業、そのアプローチはビジネスの新たな地平を切り拓く鍵となり得ます。

企業が直接見込み顧客に手を差し伸べ、新しい商談を創出するこの手法は、市場拡大や売上向上の強力な推進力です。

本記事は、アウトバウンド営業の基本的な役割や種類をインバウンド営業との違いに着目しながら説明し、メリット、デメリットとその対策方法をご紹介します。

具体的な3つの成功ステップと各手法におけるポイントも解説しているので、営業活動における受注率の向上、売上の増加、そして効率的な営業プロセスの構築の新たなヒントとして、ぜひ参考にしてください。

また、弊社では自社の営業組織の現状のレベルを把握し、デジタルを通じた組織強化に役立つ「営業組織のDXチェックリスト」を無料でご提供しています。ぜひ、ご活用ください。

アウトバウンド営業とは

アウトバウンド営業とは、営業が積極的に外部の見込み顧客に接触する営業手法のことで、顧客の問い合わせを元に行うインバウンド営業とよく組み合わせて取られることが多い営業アプローチです。

アウトバウンド営業の役割

アウトバウンド営業は、主に企業から顧客へ直接アプローチを行う形を取ります。

特徴としては、顧客との接点が事前にほとんどない状態から始まり、企業側から積極的にコンタクトを取っていく点にあります​​​​。

そのため、ビジネスにおける新規開拓を担う役割を持っており、既存リードや問い合わせを元に営業活動を図るインバウンドセールスと組み合わせて用いることで、見込みの高い商談に繋げることができます。

アウトバウンド営業の種類

アウトバウンド営業には、飛び込み営業、テレアポ営業、メール営業、問い合わせフォーム営業、SNS への DM営業など、多様な手法があります。

これらの手法は、新規顧客の開拓や市場の拡大に有効であり、特に新しい製品やサービスの紹介、未開拓市場への進出において有効です。自ら企業がターゲットにアプローチするためターゲット選択における自由度が高く、ニーズや業種に合わせたカスタマイズされた提案を行うことが可能です。

アウトバウンド営業とインバウンド営業の違い

アウトバウンド営業とインバウンド営業は、ターゲット層とアプローチ方法において大きく異なります。

図1:アウトバウンド営業とインバウンド営業の違い

<アウトバウンド営業>

企業から積極的に見込み顧客にコンタクトを取る手法です。

主な方法にはテレアポ、メール、飛び込み営業などがあります。

より受動的なターゲットに対して、自らターゲットを選択し、直接的で積極的なアプローチを取るのが特徴で、新規顧客の開拓に効果的です​​。インバウンド営業に比べて、社内リソースを要するため、単価の高い大手企業へのアプローチ方法として有効とされています。

<インバウンド営業>

見込み顧客からの問い合わせや資料請求を起点に営業活動を行う手法です。

主にウェブサイトや SNS 、コンテンツマーケティングなどを通じて顧客からのアプローチを促します。

より能動的な顧客が自ら関心を持って接触してくるため、関心度が高いリードに焦点を当てることができます。

アウトバウンド営業のメリットとデメリット

アウトバウンド営業には、「ターゲット選定の自由度が高い」ことや「潜在顧客の発掘に効果的」などのメリットがある反面、「効率が悪い」「高コストである」などのデメリットがありますが、「市場調査とデジタルツールの活用」によって対策が可能です。

アウトバウンド営業の主なメリット​​

ターゲット選定の自由度が高い

アウトバウンド営業におけるターゲット選定の自由度は、市場におけるポジショニングと競合優位性を確率する上で、企業の営業戦略に大きな影響を与えます。

まず、企業が積極的にターゲットを選ぶことにより、特定の市場や顧客層に合わせてカスタマイズされた提案が可能になります。

例えば、新製品を市場に導入する際、特定の業界やニーズに合わせて戦略を調整できるため、顧客の信頼と満足度を高め、長期的な関係構築を実現し、市場における競争優位を強化することができます。

逆に、製品やサービスの独自性を活かし、競合が少ないニッチ市場に焦点を当てることで、競争の激しくない市場で優位性を確立できます。

潜在顧客の発掘がしやすい

アウトバウンド営業は、受動的なターゲット層にアプローチをかけるため、自社の商品やサービスをまだ知らない、または積極的に探求していない新しい顧客層に到達することが可能になります。従来の顧客基盤や既存市場ではなく、未探索の市場セグメントに焦点を当てることで、新しいニーズを発見し、新しい収益源を開拓する機会が生まれます。

そのため、企業の市場範囲を広げ、より多様な顧客基盤を構築するのに役立ち、結果的に売上と成長の機会を増加させることにつながります。

アウトバウンド営業のデメリットとその対策​​

アウトバウンド営業は新規顧客開拓への影響力の大きい優れた営業活動の手法ですが、それゆえのデメリットも存在します。

効率が悪い

アウトバウンド営業の大きなデメリットは、効率の悪さです。

多くの場合、企業が自社の商品やサービスに興味を持つかどうかは、アプローチを試みるまで不確実です。

インバウンド営業と比べても、準備に多くのリソースを使わなければならない反面、結局商談に繋がらないなど営業担当者は関心のない見込み客に時間を費やすリスクが高くなります。

例えば、テレアポでの反応が少なかったり、飛び込み営業での拒否反応が多かったりすることが一般的です。

実際に、株式会社ディグロス 1) によると、1%前後ほどの確率でしか、接点のない企業へのテレアポ成約は実現できないと言われているため、100件中1件しか成約が成功しないイメージになります。

高コストである

アウトバウンド営業は、通信費、交通費、人件費などの経済的なコストが高い手法です。

特に、大規模なテレアポや飛び込み営業活動を行う場合、これらの費用は企業の財務に大きな負担をかけることになります。

また、特定の市場や顧客層に合わせてカスタマイズされた提案ができる反面、1つのコンテンツで不特定のターゲットにアプローチをはかるインバウンド営業と比べて、ターゲット1件あたりのコストが割高になる傾向があります。

成果が属人的になりやすい

アウトバウンド営業では、個々の営業担当者のスキルや人間関係に大きく依存する傾向があります。

これにより、特定の営業担当者に成果が集中し、その人がいなくなると業績に大きな影響を及ぼすリスクが生じます。

また、営業方法が標準化されにくく、担当者ごとに成果のばらつきが生じやすいのも特徴です。

やりすぎるとイメージが悪くなる

アウトバウンド営業は積極的なアプローチが特徴ですが、度が過ぎると迷惑と感じられることがあります。

特に、頻繁な電話やメールは、顧客にとって不快な体験となり、企業のイメージを損なう原因にもなります。このようなネガティブな印象は、長期的な顧客関係の構築にも悪影響を及ぼす可能性があります。

商材によっては焼畑農業になってしまう

アウトバウンド営業は短期的な成果を重視しがちで、一度の取引で終わる「焼畑農業」のようなアプローチに陥りやすいです。

この方法では、長期的な顧客関係やリピートビジネスの構築が難しく、持続可能なビジネスモデルの構築には向いていません。

その結果、常に新しい顧客を見つける必要があり、営業コストが増大する傾向にあります。

架電メンバーのモチベーション管理が難しい

アウトバウンド営業は拒否されるケースが多く、営業担当者のストレスが高まりやすいです。

また、高い目標設定やプレッシャーにより、架電メンバーのモチベーションを維持することが難しいという問題もあります。

これにより、従業員の離職率が高まるリスクがあり、組織全体の営業活動に影響を与える可能性があります。

対策: 市場調査とデジタルツールの活用

これらの問題に対処するためには、対象市場の徹底した調査とデジタルツールの活用が有効です。

自社商品やサービスへの興味を最大化させるために、ターゲット顧客のニーズや興味をより正確に理解し、さらに細かく各リードの業界、業態、ニーズを元に戦略を立てることで、見込み客の興味を掻き立て、リードを育成していきましょう。

また、営業活動効率化に関しては、デジタルツールの活用により、見込み客を効率的に識別し、無駄なアプローチを減らし、長期的にはコストを削減できます。

例えば、CRM ・ SFA ・ MA ツールの活用は、見込み客のデータや営業活動を自動化することで、営業活動を効率化させます。

「Magic Moment Playbook」と「Revenue BPaaS」の活用

対策としてのデジタルツール活用の一例として、弊社が提供する「Magic Moment Playbook」(以下 MMP)をご紹介します。

「MMP」とは、顧客との長期的な関係性構築が、営業成果を最大化するという考えのもと、営業の質と量の向上に貢献するツールです。

以下に主な機能をまとめました。

図2:「Magic Moment Playbook」の主な機能

多くの企業は CRM や SFA ツールを導入しても、それを成果に繋げるための戦略に落とし込めていない現状があります。

「MMP」は、従来のツールのように、情報の一元管理や自動化によって営業を効率化するだけでなく、顧客状況を元に、営業担当者へ最適なアクションを自動提案する「Next Best Action 機能」やトップセールスパーソンの営業を型として標準化する「PlayBook Core 機能」により、より売上に直結する形で取得したデータを最大限活用することができます。

詳しい「MMP」の機能についての情報は、下記のサイトをご覧ください。

<Magic Moment Playbook>

Magic Moment Playbookサービスサイト:Magic Moment Playbook by Magic Moment

お問い合わせ:Magic Moment Playbook お問合せ

無料デモ:Magic Moment Playbook 無料デモ

また、これと組み合わせて、営業代行サービスである「Revenue BPaaS」(以下 Revenue BPaaS)を利用することで、営業戦略や業務オペレーションを改善し、ノウハウを自社に蓄積でき、アウトバウンド営業のさらなる効率化を実現できます。

実際に、アポイント獲得効率4倍・3か月で1年分の商談機会の獲得に成功した TOPPANデジタル株式会社様の事例では、新規事業「IEMANE」をグロースさせる上で、主にリソース不足によって、理想とするアポイント数を獲得できていないという課題に陥っておりました。

「Revenue BPaaS」の導入により、最適ターゲットを212社から133社へ絞ることで、より注力すべきターゲットにリソースを割くことができ、営業活動の効率化が実現できました。そして、営業活動の質の向上においては、最適なトーク、次の打ち合わせに繋げる手法、メールテンプレートなどを明確にし、「MMP」に落とし込むことで、再現性の高い営業プロセスを構築しました。

このように、営業の質と量の双方の向上によって、顧客との長期的な関係性の構築をはかることで、自社の売上を最大化することができます。

詳しい「Revenue BPaaS」の機能についての情報は、下記のサイトをご覧ください。

Revenue BPaaS サービスサイト:Revenue BPaaS by Magic Moment

お問い合わせ:Revenue BPaaS 問い合わせ

アウトバウンド営業成功のための3つのステップ

ここでは、メリット、デメリット、事例などからアウトバウンド営業を成功させるためのポイントを解説していきます。

① ターゲットの正確な特定

まず、アウトバウンド営業の成功には、ターゲット顧客の正確な特定と効果的なアプローチが不可欠です。

市場調査や顧客データを分析し、最も可能性の高い見込み顧客を特定することで、より効率的に見込みの高いリードを商談へと繋げることができます。そして、結果的に売上の増加受注率の向上に直接的に貢献します。

② データ活用によるニーズ分析

次に、アウトバウンド営業を営業成果に結びつけるためには、ターゲットのニーズや状況を正確に理解する必要があります。ターゲットによって、関心度、魅力的に感じる自社のサービス・商品機能は異なります。

そのため、分析のためにはどのデータが必要なのかを考え、リアルタイムで鮮度の高いデータを収集し続けることが重要です。

③ 簡潔なコミュニケーション

最後に、このデータを元に、簡潔なコミュニケーションでわかりやすく伝えるのがコツです。

例えば、テレアポや飛び込み営業では、限られた時間内で相手の関心を引くことが不可欠なため、簡潔かつ要点を押さえたコミュニケーションを通して、顧客に自社の製品やサービスの価値を迅速に伝えましょう。

 手法別のポイント

最後に、アウトバウンド営業それぞれの手法におけるポイントを解説します。

ぜひ、日々の営業活動に取り入れてみてください。

  • テレアポ営業

テレアポ営業の目的は、電話でアポイントを取り、商談に繋げることです。そのため、事前にターゲットのリサーチを行い、関心を引く内容を準備した上で、その内容を簡潔で聞き取りやすい話し方で伝えることが重要です。反応に基づいて柔軟に対応し、明確なクロージングを目指すことが求められます。

  • メール営業

メール営業の目的は、メールを通してターゲットと接触し、興味を持ってもらうことです。テレアポ営業と比べて、より長い時間をかけてリードの育成を行うことができるのも特徴です。メール営業では、ターゲットに適したコンテンツを提供し、興味を引くための魅力的な件名を考えることが重要です。

例えば、各リードの興味やニーズに関連性の高い情報を提供し、個別化されたメッセージでリードを育成します。

  • 訪問営業

訪問営業の目的は、自社商品の提案やヒアリングを元にした情報提供を通して、商談へと繋げることです。そのため、訪問前に十分な情報収集と準備を行い、顧客のニーズに合わせた提案を用意し、継続的な関係構築を目指すことが重要です。

これらのアウトバウンド営業手法を適切に実施することで、顧客の関心を引き、長期的なビジネス関係を築くことができます。

《引用文献》

1) 株式会社ディグロス. “テレアポの成功率は?テレアポ平均成功率やアポ率を高めるコツを解説”. コラム. 2020-10-27. https://dgloss.co.jp/column/24/, (参照 2023-11-22)