「創業120年以上の会社でスタートアップのように。」 SaaS事業拡大へのチャレンジ(戦略編)
※ 本記事は2022年12月に取材しておりますが、2023年10月の持株会社「TOPPANホールディングス株式会社」の設立、TOPPANグループ全体でのDX事業推進を牽引する「TOPPANデジタル」の設立を受けて内容を修正しております。
TOPPANグループにおける SaaS ビジネスのスタンダードモデルを構築し、継続型ビジネスを事業ポートフォリオの一角を担う規模へと拡大させることを目指す TOPPANデジタル株式会社様。
自動校正サービス review-it! をグロースさせる上で、SaaS ビジネスに適したセールスプロセスの構築に課題を感じ、Magic Moment Playbook (以下、Playbook) の導入と共に、営業領域の支援サービス Revenue Ops をご利用いただきました。
今回は(戦略編)として、事業戦略部係長の藤岡様と ICT開発センター課長の原井様のお2人に、サービス導入の経緯や今後の展望についてお伺いしました。
【課題】
- 事業部全体の最適化がしたい
- 負荷を高めることなく販売状況の管理を行いたい
【解決策】
- セールスの各フェーズを定義し、パイプライン管理を実施
- セールスシナリオの磨き込み、改善の実施
- セールス活動における質・量の見える化を実現
【効果】
- 案件管理における確認や報告の手間/時間を削減
- リード獲得数を4倍に増加
- さらなる成果創出に向けた課題の明確化に成功
サブスクリプション型へのシフトに必要だったのは「全体最適」
ーお二人それぞれの役割について教えて下さい。
原井様:TOPPANデジタル株式会社 ICT開発センター でエンジニアリングマネージャーとして、「エンジニアリングとビジネスの接続」と「エンジニアリング組織のカルチャー&仕組みのアップデート」をミッションとして活動しています。
弊社のような創業120年以上の会社が今後どうやって成長していくのかを考えた時、スタートアップから学ぶことが一番の解だと考え、スタートアップのように自律的・挑戦的に働くことをビジョンとしています。Podcast を聴くことと SaaS が大好きです。
藤岡様:TOPPANデジタル株式会社に所属して、主に管理会計体制の整備に取り組んでいます。全社として DX事業を拡大しようとする中で、 今までの事業とは異なる管理が必要になってきており、その対応に注力しています。
ーMagic Moment Playbook 導入前には、どのような課題をお持ちだったのでしょうか?
藤岡様:戦略部門として、販売状況の管理について、DX事業に適した手法への変革を目指しておりました。集計・報告のための管理負荷を高めることは、事業拡大のスピードを落とすことに繋がるため避けたく、第一に事業拡大を推進しつつ、その状況を見える化する方法を探していました。
原井様:開発部門としては、自動校正サービス「review-it!」というプロダクトのグロースが課題でした。プロダクト開発の責任者として、2週間毎に継続的に新たな価値を提供する「スクラム開発」や、ユーザー体験向上のための「UXデザイン」など新たな取り組みを導入したものの、なかなか販売を拡大できませんでした。
そこで気づいたのが、プロダクト開発をモダン化する取組みはあくまでも「部分最適」であり、SaaS という新しいビジネスモデルを成功させるためには、プロダクトだけでなく、マーケティング・セールス・カスタマーサクセスに加え、サブスクリプション事業の計画・評価指標策定まで含めた「全体最適」が不可欠であるということでした。
そして、「全体最適」を実施するべく、事業部全体の戦略に関する情報を収集する中で出会ったのが、Magic Moment の「SaaS KPI – 経営戦略の道筋がわかる指標 – 」と「サブスクリプションビジネスの立ち上げのリアル – 新規事業の立ち上げから成長までの戦略 – 」という2つのコンテンツでした。
弊社が「売り切り型」から「サブスクリプション型」へシフトするために正に求めていた内容だったため、「これだ!!!」と思い、丸2日間ほど張り付いて当時公開されていたウェビナーオンデマンドや資料のほぼ全てに目を通して理解を深めました。
ー最終的に Magic Moment Playbook を導入した決め手は何だったのでしょうか?
藤岡様:Playbook が「事業拡大を推進しつつ、その状況を見える化する」という課題を解決できる上、個別のサービスに最適化した「セールスの型」を構築できる有効なツールと考えたためです。
加えて戦略部門としては、開発部門が Playbook の導入に非常に前向きだったことも大きな要因です。実際にサービスを利用する部門が積極的だったことと、戦略部門としての課題感がマッチしたことで、提案から1ヶ月で導入を決定し、2か月後には利用を開始するというスムーズな導入に繋がりました。
原井様:「全体最適」はプロセスごとに進めようと考えており、これまで取り組んできた「プロダクト開発のモダン化」の次の課題は「セールスのモダン化」だと考えていたため、Playbook は丁度良いプロダクトでした。
実は、Playbook は機能も絞り込まれておりシンプルで使いやすそうだったし、利用者である「review-it!」のセールスメンバーも積極的に新しいことにチャレンジできるメンバーだったため、当初は Revenue Ops 無しで、ツールのみの導入を考えていました。「もし、ツールのみにしていたら」と、今考えるとぞっとしますね。
ベストプラクティスを業務プロセスに実装し、リード獲得数を4倍に
ー営業領域の支援サービス Revenue Ops とはどのような取り組みを行いましたか?
原井様:最初に行ったのは「フェーズの定義」と「KPI の設定」です。
5つのフェーズとして、①ナーチャリング(リード獲得~商談化)②クオリフィケーション(ヒアリング~トライアル提案~手続き)③クロージング(トライアル~導入)④オンボーディング(導入初期)⑤アドプション・エクスパンション(運用)を定義した後に、ARR(年間経常収益)の計画達成に必要なリード獲得数を KPI として設定しました。
その後、週次で Magic Moment の担当者と KPI を確認しつつ、セールスシナリオの磨き込み・改善を行いました。
ーその中で印象的だった取り組みはありますか?
原井様:現状の業務プロセスを SaaS の思想にあるベストプラクティスに合わせるという「Fit to Standard」のスタイルを一貫されているのが印象的でした。弊社は長年「提供するサービスをお客さまの現状業務プロセスに合わせる」ことにコミットし続けてきたので、真逆のスタイルになります。「review-it!」も SaaS商材なので頭では「Fit to Standard」であるべきと理解していても、ついつい従来のスタイルにブレそうになることがあるので見習う部分が多かったです。
また、Magic Moment のセールスである渡邊さんからカスタマーサクセスの伊藤さんへ「弊社の課題や取組み」「導入までの経緯や交わした会話」がしっかりと共有されていたので、同じ質問を受けたり、説明をする事がなく、とてもスムーズなオンボーディング体験ができました。弊社でもカスタマーサクセスを立ち上げていたタイミングだったので、その意味でも学びを得ることができました。
社内においては、ナーチャリング、クオリフィケーション、クロージング、オンボーディング、アドプション、エクスパンションといった「言葉の定義と認識合わせ」を最初に徹底したことで、これらの言葉がメンバー内でも日常的に飛び交うようになりました。また、幹部層の発言・発信にもこういったワードが出てくるようになったことも印象的でしたね。事業をやっている現場と、幹部層がアラインできていることを実感できて、とても嬉しかったです。
ー取り組みによる効果はいかがでしょうか?
原井様:最初の成果としては、フェーズを定義したことでパイプライン管理、つまり各フェーズのリード獲得数、リードタイム、コンバージョン率の予実を管理できるようになったことです。
先行指標としての成果は、リード獲得数ですね。展示会へ出展したこともありますが、Revenue Ops 導入前と比較して4倍の数を獲得できるようになりました。リードタイム短縮やコンバージョンレートの向上といった「遅行指標」については、成果が表れるまでもう少し時間がかかると捉えています。
藤岡様:一方で、次のステップに向けた2つの課題を明確にできたことも成果だと考えています。
1つ目の課題は「リード獲得以降の人員不足」、2つ目の課題は「セールスを科学する意識の醸成」です。
今回の取り組みを通じてリードを多く獲得できた結果、クオリフィケーション以降の人員不足が顕在化してきました。従来はリード獲得からクロージングまでを同じ担当者が実施していたため、どうしても後工程が繁忙となると、将来に向けた種まきとなるリード獲得の取り組みが少なくなりがちです。今回、Playbook でフェーズの定義を定め、それぞれのシナリオを構築したことで、販売活動の分業がしやすくなったと感じました。
また SaaS 商材を社内で広く展開するには、弊社が長年培ってきた販売スタイルとは大きく異なる手法・体制・評価軸が必要となってきます。そのためには、事業拡大の機運を高めて行く必要がありますが、まだまだ成果が出始めた段階です。今後もご支援頂きながら、成果に繋がるTOPPAN流の SaaS 販売のベストプラクティスを導き出していきたいと思います。
営業プロセスの見える化を実現し、報告の手間と時間を削減
ーPlaybook を使い始めて改めて気づいたメリットはありましたか?
原井様:マネージャーとして感じるのは、セールス活動の質・量の見える化ができるようになったことですね。これまでは、気になる商談状況については、担当メンバーに「あの案件、どうだった?」と都度確認していたのですが、Playbook を見たほうが早くて客観性のある情報が得られます。
セールスメンバーとしても、複数のレポートラインへ何度も同じ報告をする手間と時間が浮いた分、よりセールス活動にモチベーション高く臨めると思います。
また、マネージャーがエンゲージメントに記録されたセールス活動の一次情報に目を通すことで、事業や顧客について解像度高く理解できるというのは当初想定していなかったメリットでした。一次情報に触れられなくなり、事業や顧客への解像度が下がって「頓珍漢なことを言い始めるマネージャー」になってしまわないか、私自身は常に恐怖心を抱いていたのですが、Playbook のおかげでその不安が和らぎました。
日々実践で活用しているセールスメンバーからの気づきは改めて 実践編 でご説明させて頂ければと思います。
今後はカスタマーサクセス BPO と共にインサイドセールスの型作りへ
ー今後追加でご利用頂くカスタマーサクセス BPO は、どのような目的で導入されるのでしょうか?
藤岡様:Revenue Ops によって顕在化することができた2つの課題「リード獲得以降の人員不足」「セールスを科学する意識の醸成」を継続して解決していくことが大きな目的です。
事業拡大の機運を高める一番の方法は成果を上げることだと思いますが、それには相応の時間が必要です。そこをスピーディーに実現するために、引き続きご支援頂くことにしました。
成果がでれば人員や予算が増え、人員や予算があれば成果に繋がるといった好循環を生み出すためにも、最初の成果が重要だと思います。カスタマーサクセス BPO によってリード獲得を支援・強化することで、弊社のセールスメンバーがクオリフィケーション以降の対応に集中することができ、成果に繋がってくると確信しています。
原井様:私たちがやりたいけど十分にできていないこととして、中小企業のお客さまへプロダクトを届けられていないことがあると感じてます。今度のカスタマーサクセス BPO との取り組みでは、そこにチャレンジしたいです。
ー最後に、今後のチャレンジについて教えてください!
原井様:SaaS 商材のインサイドセールス、BDR(Business Development Representative の略称。新規開拓型のセールス手法) の型作りです。BDR を開始してまだ2週間経ったばかりですが、その型作りの源泉は以下の3つだと感じています。
- 仮説構築したうえで行動し、実証で学び・気づき・示唆を得ることで、仮説を軌道修正するという超高速な PDCA サイクル
- 小さな気づきでもクイックに情報共有するコミュニケーション
- KPI にフルコミットする熱量
今後はこれらを弊社に持ち込んで定着させたいと思っています。
藤岡様:また、一緒にチャレンジできる仲間も募集しています。弊社のような創業120年以上の会社でスタートアップのように BtoB SaaS にチャレンジすることは将来的にとても貴重な経験に繋がると思います。
職種や職歴を問わず、少しでも興味を持って頂いた方は、いつでも話を聞きにいらっしゃって下さい。
「review-it!」に関する情報はこちら
https://review-it-proofreading.com
採用に関する情報はこちら
https://www.wantedly.com/companies/toppan_dxd_ict
■基本情報
TOPPANデジタル株式会社
設立:2023年3月1日
営業の型化にお困りであれば Magic Moment にお任せください
弊社では、営業活動の無駄をなくし、生産性を高める営業支援 SaaS「Magic Moment Playbook」を提供しております。
営業担当の勘や経験値に頼るのではなく、テクノロジーによって最適なアプローチをサポートすることで、誰もが顧客価値を最大化するための営業プロセスを実行できるようになります。
しかし、新規事業/新組織を構築する場合、急速な立ち上げが求められるものの、社内の人材にも限りがあるため、過去に営業プロセス構築の経験がないメンバーでプロジェクトが組成されるケースも多くあります。
そのため「そもそも自社の顧客にとって最適な営業プロセスがどういったものなのかを定義できていない」「営業オペレーションの構築のやり方が分からない」といった背景から、プロセス化に時間がかかったり、高い成果が上がるオペレーションにできないといった問題が起きやすくなります。
そこで弊社では、過去多数の企業様をご支援してきたノウハウを Revenue Ops としてサービス化し、お客様の営業組織に合ったターゲティングやプロセスの構築、営業資料の作成など、事業グロースの土台となる様々な周辺領域の支援を行っております。
Revenue Ops により貴社の状況に合わせた営業プロセスを構築した上で、 Magic Moment Playbook や CS BPO といったグロースを直接的にご支援するサービスと併せて活用いただくことで、飛躍的な成長を実現できます。
Revenue Ops のサービス内容は、お客様のご要望に応じてご相談可能です。
新規事業/新組織のスムーズな立ち上げを目指されているのであれば、こちらからぜひご相談ください。